セキュリティエンジニアは本当に「食える」職業なのか?
「ネットワークエンジニア」や「セキュリティエンジニア」といったインフラ系の専門職に対して、「食っていける人はごく一部」という声を聞くことがあります。確かに、他のIT職種と比べて求人数が目立ちにくく、キャリアの全体像が見えづらいため、不安に感じる方が多いのも事実です。
しかし結論から言えば、セキュリティエンジニアは現在も将来も「十分に食っていける職業」です。特に、以下のような背景があります。
社会全体でセキュリティ人材の需要が高まっている
近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化が進んでおり、個人情報漏洩やサービス停止など、企業にとって致命的なリスクを伴います。このため、セキュリティ対策は企業活動の「必須インフラ」となっており、業界・企業規模を問わずセキュリティ人材のニーズは急拡大しています。
経済産業省の調査(※)でも、「情報セキュリティ人材の不足は今後さらに深刻化する」とされており、経験者はもちろん、ポテンシャル層の採用や育成に力を入れる企業も増えてきました。
※ 参考:「IT人材需給に関する調査」(経済産業省)
他職種との掛け算でキャリアの選択肢が広がる
セキュリティエンジニアは、「セキュリティを専門にする」だけでなく、たとえば「クラウド×セキュリティ」「アプリ開発×セキュリティ」といったように、他職種とのハイブリッドなスキル構成が評価される場面も多くあります。
このため「セキュリティ一本で食べていく」というよりは、「他スキルも活かしながら、セキュリティ領域にも強みがある」人材として、市場価値を高めていく戦略も現実的で効果的です。
セキュリティエンジニアを目指すなら、まず何から手をつけるべきか?
セキュリティエンジニアに興味を持ったものの、「何から始めればいいのか分からない」という声は非常に多く聞かれます。情報があふれているからこそ、方向性を見失いやすいのがこの分野の特徴です。ここでは、未経験者が最初に学ぶべきステップを明確に整理していきます。
1. IT・ネットワークの基礎をしっかり固める
セキュリティの知識は、ネットワークやOS、サーバーといったITインフラの知識が土台となっています。まずは以下のような領域を学び、土台を築きましょう。
- ネットワークの基本:OSI参照モデル、IPアドレス、ルーティングなど
- OSの基礎:Windows、Linuxの基本操作とアーキテクチャ
- サーバー・Webの仕組み:HTTPの理解、Webアプリケーションの構造など
これらを学ぶことで、セキュリティの“対象”が何であるのかを理解できるようになります。
2. 情報セキュリティの全体像をつかむ
基礎ができたら、次はセキュリティ分野の全体像を押さえます。以下のようなテーマが代表的です。
- 暗号化と認証
- マルウェアの種類と挙動
- サイバー攻撃の手法(例:SQLインジェクション、XSS)
- セキュリティ対策の種類(例:WAF、IPS/IDS)
この段階では、広く浅くで構いません。「セキュリティとは何を守るための技術なのか?」という視点を持つことが大切です。
3. 目指すキャリアに応じた学習ルートを選ぶ
セキュリティエンジニアと一口に言っても、以下のように複数の職種が存在します。
| 職種 | 主な役割 |
|---|---|
| セキュリティアナリスト | インシデント対応や脅威分析を行う |
| セキュリティコンサルタント | 顧客に対してリスク評価や改善提案を行う |
| レッドチーム(攻撃側) | ペネトレーションテストなどを実施 |
| ブルーチーム(防御側) | SOC(セキュリティ運用センター)などでの監視・防御 |
自分が興味を持てそうなポジションを早めに見定めておくことで、後の学習効率が高まります。
セキュリティエンジニアに必要な知識・スキルと、その習得方法
セキュリティエンジニアとして活躍するには、セキュリティに特化した知識だけでなく、IT全般にわたる広範なスキルが求められます。ここでは代表的なスキルと、それを効率よく習得するための方法を紹介します。
セキュリティエンジニアに求められる代表的なスキル
| スキルカテゴリ | 内容の例 |
|---|---|
| ネットワーク知識 | TCP/IP、DNS、HTTP/HTTPSの仕組み、VPNやファイアウォールの構成理解など |
| OSやミドルウェアの理解 | Linux・Windowsの操作と権限管理、ログ解析、脆弱性の特定とパッチ適用など |
| プログラミング・スクリプト | Python、Bash、PowerShellなどを用いたツール作成・自動化 |
| セキュリティ技術 | 脆弱性診断、ペネトレーションテスト、暗号化技術、IDS/IPS、WAF、SIEMの活用など |
| 論理的思考力・調査力 | インシデント対応に必要な情報収集と仮説立て、分析スキル |
| コミュニケーション力 | 他部門や経営層との連携、リスク説明、セキュリティポリシー策定・教育 |
これらのスキルは、一朝一夕に身につくものではありません。しかし、現場で求められるレベル感を押さえつつ、学習の優先順位を見極めれば、効率的なスキルアップが可能です。
効率的なスキル習得方法
① 実践的な学習サービスを活用する
- TryHackMeやHack The Boxなどの仮想環境で、実際にハッキングや防御を体験できるサービスは、セキュリティ初心者に非常に有効です。
- CTF(Capture The Flag)と呼ばれるセキュリティ技術を競うイベントにも挑戦することで、実戦力が高まります。
② 書籍・資格を使って体系的に学ぶ
- 基礎から固めたいなら『情報セキュリティスペシャリスト試験(現:SC)』の教材が役立ちます。
- 応用としてCISSPやCompTIA +などの国際資格に挑戦すれば、海外でも通用するスキル証明になります。
③ 現場志向のYouTubeやX(旧Twitter)で最新情報をキャッチ
- 実務経験者の発信する動画やポストから、日々の業務での課題や工夫を学べます。
- 特にYouTubeでは「セキュリティエンジニアの日常」や「脆弱性診断の手順」といった、教科書では学べない“リアル”が得られます。
④ 自作の環境で手を動かす
- 自宅で仮想環境を構築し、脆弱性のあるWebアプリ(例:DVWAやMetasploitable)を使ってハンズオンで学習する方法も効果的です。
未経験からセキュリティエンジニアになるには?
セキュリティエンジニアと聞くと、「専門的で難しそう」「未経験には無理」と感じる人も少なくありません。しかし、未経験からでも目指すことは十分可能です。重要なのは、正しいステップと継続的な学習姿勢を持つことです。
1. ITの基礎知識を身につける
セキュリティの知識を理解するには、まず「ITの土台」が必要です。ネットワークの構造やOSの仕組み、プログラミングの基礎など、IT全般の理解が前提になります。たとえば、以下のような基礎を学びましょう。
- ネットワーク(TCP/IP、DNS、HTTPなど)
- OS(特にLinuxの操作)
- プログラミング(PythonやShellスクリプトなど)
この段階では、インフラエンジニアやヘルプデスクとしての経験も大きな武器になります。
2. セキュリティ分野の知識を段階的に学ぶ
基礎が固まったら、次はセキュリティ分野の知識に踏み込んでいきます。以下のような内容を段階的に学んでいくと理解しやすくなります。
- セキュリティの基本概念(認証・認可、暗号化、脆弱性など)
- 攻撃手法と対策(SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなど)
- セキュリティ製品の役割(WAF、IPS/IDS、SIEMなど)
書籍やUdemyなどのオンライン講座、CTF(セキュリティコンテスト)などを活用するのも有効です。
3. 資格取得を通じて体系的に学ぶ
学習の道しるべとして、セキュリティ関連の資格取得もおすすめです。知識の体系化とモチベーション維持に役立ちます。
代表的な資格:
- CompTIA Security+(セキュリティの広範な基礎知識を網羅)
- 情報セキュリティマネジメント試験(SG)(日本の国家資格。セキュリティリテラシーを評価)
- CISSP(Certified Information Systems Security Professional)(上級資格として世界的に評価が高い)
特に日本ではSG試験が入り口として人気が高く、企業でも評価されやすい傾向があります。
4. 実務経験に近い環境で学ぶ
知識だけでなく「実務経験に近い体験」を積むことが重要です。以下のような方法があります。
- 仮想環境での演習(例:TryHackMeやHack The Box)
- 自作環境でのサーバ構築・脆弱性検証
- セキュリティ系のインターンシップや副業に挑戦
これらはポートフォリオとして活用でき、転職時のアピール材料になります。
セキュリティエンジニアになるためのおすすめ勉強法
セキュリティエンジニアを目指す上で、効率よくスキルを身につける勉強法を知ることは非常に重要です。ここでは未経験スタートの方でも実践しやすい、具体的な勉強法をご紹介します。
1. 基本は「インプット」と「アウトプット」のセット
- インプット:書籍やオンライン講座で基礎知識をしっかり学ぶ
例:「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」「Udemyのセキュリティ入門講座」 - アウトプット:学んだことをすぐ手を動かして実践する
例:仮想環境での脆弱性診断演習、CTFへの参加、ブログやノートにまとめる
アウトプットが伴わないインプットは記憶に残りにくいので、必ずセットで進めましょう。
2. 学習ロードマップを作成し、ステップを明確に
- IT基礎 → セキュリティ基礎 → 資格学習 → 実践演習 → 転職・案件獲得
- 目標と期限を決めて、スケジュール管理アプリや手帳に記録
- 小さな成功体験を積み重ね、モチベーションを維持する工夫も大切
3. オンラインプラットフォームを活用する
- TryHackMe、Hack The Boxなど、実際の攻撃・防御を体験できる仮想環境
- UdemyやN予備校などの動画講座で基礎から応用まで体系的に学べる
- 無料のセキュリティ情報ブログやYouTubeチャンネルも積極的に活用
4. 資格試験対策と並行して学ぶ
- まずは「情報セキュリティマネジメント」「CompTIA Security+」など、基礎資格から
- 学習の節目で資格勉強を挟むことで理解が深まると同時に、転職時の説得力アップにもつながる
5. コミュニティ参加やSNSで情報収集・交流を
- Twitter(X)でセキュリティエンジニアの情報発信者をフォロー
- DiscordやSlackのセキュリティ系グループに参加し、質問や交流を通じて理解を深める
- これにより、最新のトレンドや実務のリアルがキャッチアップできる
この勉強法を実践することで、未経験でも「最短かつ確実に」セキュリティエンジニアへの道を切り開くことが可能になります。
資格取得とポートフォリオ作成でキャリアアップを加速する
セキュリティエンジニアとしての信頼性を高め、転職やフリーランス案件獲得の際に強力な武器となるのが「資格」と「ポートフォリオ」です。未経験からでも挑戦しやすく、効果的にキャリアを加速できるポイントを解説します。
1. セキュリティ関連の資格取得で基礎力と信用をアピール
- 情報セキュリティマネジメント試験(SG)
日本の国家資格で、セキュリティの基礎知識とマネジメント力を評価。初心者におすすめの入り口資格です。 - CompTIA Security+
世界的に認知度が高く、基礎から応用までの広範なセキュリティ知識をカバー。英語版もあるため海外案件にも有利。 - CISSP(Certified Information Systems Security Professional)
上級者向け資格。実務経験が求められますが、キャリアの最終目標として目指す価値あり。
資格勉強は知識の体系化にもつながり、未経験者が自信を持ってアピールするための材料になります。
2. ポートフォリオ作成で「実践力」を証明する
- CTF参加記録や演習結果のまとめ
TryHackMeやHack The Boxなどで獲得した成果をブログやGitHubにまとめておく。 - 自作の仮想ラボ構築例
脆弱性のあるサーバー環境を作り、どのように分析・対策を行ったかをドキュメント化。 - セキュリティに関する記事や解説動画の公開
自分の言葉でアウトプットすることで理解が深まるとともに、業界内での認知度アップに繋がる。
3. ポートフォリオを活用した転職やフリーランス案件獲得
- 書面だけの履歴書・職務経歴書に加え、実績を具体的に示せるポートフォリオは採用担当者の関心を引きやすい。
- フリーランスの場合もクライアントにスキルを納得してもらいやすく、単価アップや継続案件獲得の助けになる。
資格とポートフォリオ作成は、未経験エンジニアが「最短で実力を証明する」ための強力なツールです。これらを計画的に準備し、キャリアの土台を固めましょう。
未経験者でも実務経験に近い学びを積む方法
知識を身につけるだけでなく、実際の業務に近い経験を積むことはセキュリティエンジニアとして成長するうえで非常に重要です。未経験者が安全かつ効果的に実務感覚を養うための具体的な方法を紹介します。
1. 自宅での仮想ラボ環境構築
- Kali LinuxやMetasploitableなどの脆弱性を含むOSを利用
セキュリティ演習用の仮想マシンを立て、攻撃・防御のシナリオを体験。 - 仮想環境構築ツール(VirtualBox、VMware)を活用
複数のOSを同時に操作し、ネットワーク越しの攻防を再現可能。 - 自分で環境をセットアップする経験がトラブル対応力を鍛える
2. オンラインプラットフォームでの演習参加
- TryHackMeやHack The Boxなどのセキュリティ演習サイト
実際の脆弱性を突く練習ができ、難易度やテーマ別に学習可能。 - CTF(Capture The Flag)イベントへの参加
コンペ形式で楽しみながら実践スキルを磨けるため、モチベーション維持にも効果的。
3. インターンや副業での実務体験
- 企業のセキュリティ部門インターン
実務の流れやチーム運営を肌で感じることができる。 - クラウドソーシングやマイクロタスクでの脆弱性診断補助
小規模な案件から経験を積み、案件獲得の足がかりに。 - フリーランスの案件でも未経験歓迎のものを狙う
4. セキュリティ関連のコミュニティ参加
- オンラインフォーラムやDiscord、Slackグループ
実務者の話を聞いたり、質問してリアルな知見を得られる。 - 勉強会やミートアップに参加し、人脈を広げる
これらの経験は、単なる座学と異なり、実際のトラブルシューティングや対策を体感できるため、転職やフリーランスの案件獲得時に大きな強みになります。
情報収集とコミュニティ活用の重要性
セキュリティ分野は技術の進化が非常に速く、常に最新情報をキャッチアップすることが求められます。また、実務の現場では単独で対応できないケースも多いため、コミュニティでの情報共有やネットワーク構築が重要です。
1. 最新トレンドを追い続けるための情報収集
- Twitter(X)やブログ、YouTube
セキュリティエンジニアや専門家が日々発信するリアルな現場情報や新技術を効率的に学べる。 - 公式ベンダーサイトやセキュリティニュースサイト
脆弱性情報やパッチ情報は迅速にキャッチアップが必要。 - RSSリーダーやニュースアグリゲーターの活用
自分が関心のあるテーマを効率よく追うために便利。
2. コミュニティ参加で得られるメリット
- 質問や相談ができる環境
疑問点をすぐに解決できるだけでなく、他の人の質問からも学べる。 - 実務者とのつながりができる
将来的な転職やフリーランス案件獲得にも役立つ人脈形成。 - 最新の攻撃手法や対策情報を共有できる
セキュリティはチームワークが鍵となる分野のため、情報共有は欠かせない。
3. 参加しやすい代表的なコミュニティ例
- DiscordやSlackのセキュリティ関連チャンネル
初心者から上級者まで幅広く参加している。 - CTFやセキュリティ勉強会のオフライン・オンラインイベント
実際に顔を合わせて交流することでより深い関係構築が可能。 - GitHubのセキュリティツール開発コミュニティ
オープンソースプロジェクトに参加することでスキルアップとネットワークの拡大が見込める。
これらを日常的に活用することで、単なる知識習得にとどまらず、実務で活きる最新技術やノウハウを継続的に吸収できるようになります。
まとめと次のステップ
セキュリティエンジニアは、今後ますます需要が高まる重要な職種であり、未経験からでもしっかりとした学習計画と実践を積めば十分に目指せるキャリアです。
本記事でご紹介したように、
- ITの基礎固めから始め、セキュリティの全体像を理解する
- 効率的な勉強法でスキルを体系的に習得し、資格取得や実務に近い演習に挑戦する
- コミュニティ参加で最新情報をキャッチアップしながら人脈を広げる
これらのステップを着実に踏むことで、セキュリティエンジニアとしての市場価値を着実に高めることができます。
また、正社員登用やフリーランス転向を視野に入れている方には、専門のキャリア支援サービスを活用することも重要です。自分のスキルと希望に合った案件紹介や、実務未経験からの支援が受けられるので、転職や独立の成功率が格段に上がります。
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