公開日:2020.08.11
更新日:2025.03.24
2008年に制度として導入されたふるさと納税ですが、フリーランスの皆さんは有効に活用されているでしょうか。
「手続きが面倒そう」「制度をよく理解していない」などの理由で、まだふるさと納税を行ったことがない方もいらっしゃると思います。
ふるさと納税では、寄付先の自治体から返礼品を受け取れる他、節税対策としても有効な制度です。
正しく利用すれば得られるメリットは大きいため、この機会に始めてみることをお勧めします。
この記事では主にフリーランスの方向けに、ふるさと納税の概要や利用方法について解説しました。
特に下記の方にこの記事を一読していただきたいです。
・フリーランスの方
・ふるさと納税に興味/関心がある方
・ふるさと納税を詳しく理解したい方
・ふるさと納税の存在を知らない方
・節税したい方
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<目次>
1.ふるさと納税とは?
2.ふるさと納税における控除上限額とは?
ふるさと納税控除上限額の算出方法
3.フリーランスが行うふるさと納税のメリットデメリット
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税のデメリット
4.フリーランスがふるさと納税の流れ
納税先の自治体を決定する
納税を行う
納税した証明書と特産品を受け取る
確定申告書の寄付金控除に記入する
5.フリーランスがふるさと納税を行う際の注意点
フリーランスはワンストップ特例制度対象に入らない
全額控除の上限額を超過している
iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済を利用している
6.まとめ
ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に対して寄付を行える公的な制度です。
首都圏や大都市圏への人口流入による影響で地方が過疎化し、自治体によって税収に大きく差があることが近年課題視されてきました。
この問題の解決を主な目的として創設されたのがふるさと納税です。
寄付をした人には、寄付先から返礼品として各地の名産品などが送られる他、節税などのメリットがあります。
寄付金から自己負担額2,000円を差し引いた金額のうち、控除上限額の範囲内で所得税の還付と住民税の控除を受けることが可能です。
個人が支援する自治体の数に制限はなく、例えば生まれ故郷と現在住んでいる自治体の両方へ寄付する事も可能です。
フリーランス自身の選んだ自治体に寄付をすることでそのお金の使われ方を考えるきっかけとなり、納税に対するリテラシーの向上も見込まれています。
各自治体にとっては税収による財源確保の他、地方活性化の効果も得られます。
寄付先として選んでもらうためのサービスの向上やPRの積極化など、持続可能な地方創生支援として期待度の高い制度です。
ふるさと納税は所得税と住民税から寄付金額分から控除される利点がありますが、控除を受けられる金額には上限が設定されています。
この上限を「控除上限額」といいます。
控除上限額は、対象者の給与収入や配偶者の有無、現住所によって異なります。
上限を超えた分の寄付金額は全額自己負担となるため、ふるさと納税を節税として有効活用するには幾らまでなら控除の対象になるのか、あらかじめ自身の控除上限額を把握しておく必要があります。
ふるさと納税の控除額は、所得税の控除分と住民税の控除分を合計した金額となります。
なお、「確定申告」を行った場合は、所得税分と住民税分に分かれて控除(差し引き)されます。
・所得税
所得税の控除額の計算式
(寄附金額-2,000円)×所得税の税率
所得税の税率は以下速算表よりご参考ください。
なお、所得税率は課税所得金額によって変動します。
・住民税
住民税の控除額の計算式
基本控除額 + 特例控除額(①または②)
・基本控除額 =(寄附金額 - 2,000円)× 10%
・特例控除額(①)=(寄附金額 - 2,000円)×(100% - 10%(基本分)- 所得税の税率)
・特例控除額(②)= 住民税所得割額 × 20%
※(①)で計算した金額が住民税所得割額の20%を超える場合に、(②)の計算式になります。
寄附金控除の対象となる金額は、所得税は総所得の40%まで住民税は30%までです。
また控除される金額は、収入や家族構成に応じて上限もあります。
上記が基本的な計算式となりますが、実際の上限額は家族構成や他控除額(例えば医療費や住宅ローン控除など)によって変わります。
ふるさと納税関連のポータルサイトには、年収や家族構成別の一覧表があります。
実際にふるさと納税を行うまえに、控除上限額の目安を確認することをお勧めします。
ふるさと納税の控除上限額の計算が下記サイト内で簡単に行えますので、ご利用してみてください↓
ふるさと納税の控除限度額 計算シミュレーション【税理士監修】
フリーランスが実際にふるさと納税を行った場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
デメリットについても気になるかと思います。併せて解説していきます。
フリーランスの方のみが得られるメリットではありませんが、ふるさと納税を行う場合2,000円の自己負担で、返礼品として各地の名産品を受け取ることが可能です。
ネット上で検索すると「さとふる」などをはじめとしたふるさと納税ポータルサイトが複数確認できます。
ランキング形式で人気の自治体と返礼品が確認できるので、是非チェックしてみてください。
返礼品は和牛やコシヒカリ、日本酒などの高級食材の他、工芸品やお菓子、イベントへの参加権など、バリエーションに富む内容となっています。
また、果物や海産物などの旬の食材を、年複数回に分けて返礼してくれる自治体も人気です。
もう一つフリーランスとして、節税になるというメリットがあります。
節税の効果が得られる点も会社員と同じですが、フリーランスの場合はふるさと納税制度を利用する・しないにかかわらず、毎年確定申告をしています。
確定申告書の「寄付金控除欄」に追記するだけで申請できるため、寄付金控除の手間が少ないことも利点として挙げられます。
フリーランスがふるさと納税を行うデメリットとして、控除上限額の算出が難しいことが挙げられます。
会社員の収入が大きく上下することは少なく、控除上限額の算出が容易です。
フリーランスは時期ごとに収入の増減があることが多く、年末まで課税所得が決まらないことも珍しくありません。
控除上限額を把握しづらく、ふるさと納税の寄付金額が決められない可能性があります。
仮に12月の時点で控除の上限に余裕があることに気づき、追加のふるさと納税を行ったとしても、翌年分の扱いになる自治体もありますので覚えておきましょう。
なお、駆け込みでのふるさと納税の寄付は、必ず事前に確認が必要です。
前項まではふるさと納税についての概要を説明しました。
フリーランスが実際にふるさと納税を行う際の流れについてこの章で解説します。
まず、納税先の自治体を選択します。
フリーランスとして、生まれ故郷や応援したい自治体などを選びましょう。
特に希望する自治体がない場合は、欲しい返礼品から寄付先をさがします。「ふるなび」「ふるさとチョイス」「さとふる」などのふるさと納税ポータルサイトが有名です。
自治体ごとに「寄付した場合の返礼品として、〇〇円相当の品を送ります」などの記載があるため、返礼品の目安にしてください。
2019年6月の制度改正により、各自治体は「返礼品の調達額(返礼率)は寄付金額の3割以下」にすることが義務付けられているため、例えば10,000円分の寄付で得られる返礼品の相当額は3,000円未満といわれています。
ただし、調達額を抑えることで実質3,000円以上の価値がある返礼品を用意している自治体も実際にあります。
その他、返礼品をプレゼントとして自分以外の別の住所へ贈ることも、ふるさと納税の制度上可能です。
受取人の名前が寄付者とは異なっていても問題ないため、返礼品をプレゼントとして送ってみてはいかがでしょうか。
返礼品をプレゼントする場合の送り主の名前の表示に関して、各自治体で対応が異なるため詳細は返礼品を申し込む各自治体へ確認してみましょう。
寄付先の自治体が決定したら、控除上限額を超えない金額で申し込みましょう。
申し込み方法は電話、FAX、メールや各自治体のホームページが一般的です。
直接窓口で受け付けている自治体もあり、対応は様々です。
ふるさと納税ポータルサイト経由の場合は、各サイトに用意された「寄付申し込みフォーム」から直接の申し込みが可能です。
ふるさと納税の申し込みが完了すると、自治体から納付書などの必要書類が郵送されます。
納付書を利用、銀行振り込み、現金書留など支払方法を選んで納税します。
最近ではクレジットカード決済が可能な自治体が増えています。
また自治体によっては、Web上で申し込みから納付までを一括で行える場合もあります。
納税後、寄付をした自治体から「寄付金受領証明書」と返礼品が届きます。
寄付金受領証明書は確定申告の際必ず必要となるため、大切に保管してください。
自治体の都合または返礼品の納期により、受け取りまでに時間がかかる場合もあります。
確定申告書の寄付金控除の欄に、自治体へ寄付した金額から2,000円を引いた額を記入します。
このとき、複数の自治体に寄付した人は寄付金額の合算から2000円を引いた額を記入してください。
例えば自治体Aに8,000円、自治体Bに12,000円寄付した場合、合計寄付金額の20,000円から自己負担分2,000を差し引いて、控除額は18,000円となります。
所得税の控除分は確定申告後、他の控除と同様税務署から振り込まれます。
住民税は所得税の場合と異なり、還付金が振り込まれることはありません。
控除分が翌年の住民税から差し引かれることになります。例年5~6月に届く「住民税決定通知書」で控除額を確認してください。
ふるさと納税の申し込みから税金の控除まで、一通りのながれについて理解いただけたのではないでしょうか。
フリーランスがふるさと納税を行う際の注意点についての説明です。
フリーランスと会社員とで大きく異なる点があるため、解説していきます。
ふるさと納税で得られるメリットや申請の流れはフリーランスと社会人とでほとんど変わりませんが、ひとつ異なる点があります。
フリーランスはワンストップ特例制度の対象にならないことです。
ワンストップ特例制度対象とはふるさと納税に関して特定の条件を満たした場合、確定申告をしなくても税金の控除が受けられる制度です。
2015年度の税制改正に伴い導入されました。
ワンストップ特例申請書を提出することで、寄付先の自治体が5つまでであれば確定申告をしなくてもよい制度です。
ただし、対象者は給与所得を得ていて確定申告が必要ない納税者、つまり会社員などに限られています。
ワンストップ特例制度は、確定申告を行わなければならないフリーランス向きの制度ではありませんので注意が必要です。
フリーランスは会社員と異なり、月ごとの収入に大きな差があるなどの理由で年収を把握しづらい傾向にあります。
例えば年末の収入が少ないなどが理由で課税所得が予想より少なかった場合、控除上限額は下がります。
上限を超えた分はすべて自己負担となるためフリーランスの場合、上限金額の8割程度に抑えてのふるさと納税をおすすめします。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛け金を自身で運用しながら積み立てる個人年金です。
ニュースなどで話題になる機会も増えたため、ご存じの方も多いかもしれません。
運用可能な商品は投資信託や定期預金で、原則60歳以上に受け取ることが可能です。
小規模企業共済は、フリーランスや小規模事業者の経営者が利用できる積立式の退職金制度です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)と小規模企業共済、どちらも掛け金の全額が控除の対象となるため、節税対策として利用されている方もいらっしゃると思います。
ふるさと納税は、iDeCo(個人型確定拠出年金)と小規模企業共済のどちらか、あるいはその両方との併用が可能ですが併用する場合、他に控除対象がない場合の控除上限額よりも上限が下がります。
例えば、「年収500万円・独身」の方がふるさと納税をする場合、詳しい計算式は省きますが控除上限額はおおよそ65,000円です。
一方iDeCo(個人型確定拠出年金)に満額加入した上でふるさと納税を行う場合、控除上限額は6,000~7,000円程度減額されます。
ただし、ふるさと納税とiDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済との併用は節税対策として有効です。
控除上限額の減額分と、iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済で得られる節税分を考え、うまく併用するようにしましょう。
フリーランスの方向けにふるさと納税の仕組みや活用法、メリットデメリットなどについて解説しました。
確定申告の作業に慣れているフリーランスの方にとって、ふるさと納税は大きな手間もなく始められる、有効な節税対策のひとつといえます。
制度をしっかりと把握し節税した上で、豪華な返礼品を楽しんでみてください。
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