公開日:2022.01.26
更新日:2025.03.24
IT系のキャリアアップの手段として資格を取得する方法があります。
IT業界は実力主義なので資格よりも経歴が重視される傾向がありますが、少しでもキャリアアップ、給与アップのチャンスが欲しいなら資格取得に挑戦してみるべきでしょう。
中でもおすすめの資格がITコーディネータです。
今の時代、どの企業もIT技術を取り入れた業務の効率化が急務となっていますが、技術を活用しきれていない企業も多いです。
そこでITと経営両方の知見を持ったITコーディネータなら、現場を理解して業務効率化に取り組めるでしょう。
そしてITコーディネータを認定する試験がITコーディネータ試験です。
ここではITコーディネータ試験の詳細や資格を取得するメリット・デメリットについて解説します。
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<目次>
1.ITコーディネータとは
2.ITコーディネータ試験の詳細
ITコーディネータ試験の試験会場・日程・受験料
ITコーディネータ試験の試験時間・出題形式・出題数
ITコーディネータ試験の試験内容
ITコーディネータ試験の受験者数・合格率・難易度
ITコーディネータ試験の申し込み手順
ITコーディネータ試験の有効期限
ITコーディネータ試験の勉強時間
3.ITコーディネータ試験の資格取得のメリット
IT活用における経営戦略知識が身に付く
資格手当や報奨金を貰える
4.ITコーディネータ試験の資格取得のデメリット
勉強時間を確保する必要がある
5.ITコーディネータ試験の資格って役に立たない?
6.ITコーディネータ試験合格のために問題を解いて知識を蓄えよう
7.まとめ
ITコーディネータは、経営とIT双方の知見を持ち、企業のIT化を実施するにあたって必要な助言や支援を行う仕事です。
現代では業種を問わず、どの企業もITシステムの導入が急務となっています。
しかし、システムを導入しても知識が無くて活用できなかったり、最適なシステムの導入ができなかったりする企業も少なくありません。
そこで、経営とIT両方の知識を持ったITコーディネータが導入のサポートを行うことで、企業はスムーズにシステムの導入を進め、業務の効率化に取り組めます。
ITコーディネータの働き方は企業に所属して働く方法と独立する方法に分かれます。
企業で働く場合はIT系部署の管理職として、経営陣とIT系部署の橋渡し役となり経営陣に解決策を提言したり、IT分野での業務改善を推進したりします。
また、独立した場合は企業から依頼を受けて、企業が抱える課題を洗い出しからシステム導入までのサポートを行います。
ITコーディネータになるには、指定非営利活動法人ITコーディネータ協会が運営する、ITコーディネータ試験もしくは専門スキル特別認定試験に合格し、ケース研修を受講する必要があります。
試験と研修どちらが先でも問題ありませんが、どちらかの条件をクリアしたら4年以内にもう片方の条件も満たさないとITコーディネータ資格を取得できないので注意が必要です。
ちなみにITコーディネータ試験は受験資格に制限がありませんが、専門スキル特別認定試験は公認会計士などの士業や高度情報処理技術者試験などに合格している必要があります。
ただ、専門スキル特別認定試験はITコーディネータ試験と比べて試験範囲が狭いうえ、受験料も安いので、ITコーディネータ試験よりも専門スキル特別認定試験を受験する人が多い傾向にあります。
実際にITコーディネータ試験の合格者の職種を見てみると、専門スキル特別認定試験対象の資格関連業務に携わる人が半数近くを占めています。
ITコーディネータ試験は年に3回開催されます。
年に3回チャンスがあるとは言え、試験合格を目指すなら試験の詳細を把握しておくことが大切です。
それでは、ITコーディネータ試験の詳細について解説していきます。
【試験会場】
ITコーディネータ試験の会場は全国に300箇所ほどあり、住んでいる場所の近くを選ぶことが可能です。
会場はこちらから確認できます。
【試験日程】
ITコーディネータ試験は毎年多少のズレがありますが、6月・10月・2月の計3回行われます。
試験期間は1ヶ月ほど。都合の合う日を選んで受験可能です。
ちなみに2021年度の試験日程は、5月25日~6月28日、9月16日~10月18日、1月20日~2月21日でした。
申し込みは試験最終日の3日前まで可能です。
ITコーディネータ試験の年間スケジュールはこちらから確認できます。
【受験料】
ITコーディネータ試験の受験料は19,800円(税込)。
民間資格であるため国家資格と比べ、受験料はやや高く感じるかもしれません。
ちなみに対象の資格を取得していて、専門スキル特別認定試験を受験する場合の受験料は9,900円(税込)となります。
ITコーディネータ試験はコンピュータを使ったCBT方式にて行われます。
|
ITコーディネータ試験 |
専門スキル特別認定試験 |
---|---|---|
試験形式 |
多岐選択問題 |
多岐選択問題 |
問題数 |
100問(必須60問・選択40問) |
60問(必須60問) |
試験時間 |
120分 |
80分 |
ITコーディネータ試験は、IT経営推進プロセスガイドラインに則って出題されます。
IT経営推進プロセスガイドラインの内容は以下の通りです。
(1)総論
・ITを利活用して事業を成長させる
・IT経営とは
・IT経営を支える人財と役割
・IT経営の推進方法
(2)IT経営認識領域
・IT経営の認識に関すること
・全体概要
・変革認識プロセス
・変革マネジメントプロセス
・持続的成長認識プロセス
(3)IT経営実現領域
・IT経営を実現するための活動に関すること
・全体概要
・経営戦略プロセス
・業務改革プロセス
・IT戦略プロセス
・IT利活用プロセス
(4)IT経営共通領域
・IT経営の全体最適を目指すため共通に求められるマネジメント
・プロジェクトマネジメント
・モニタリング&コントロール
・コミュニケーション
そして、基本問題/応用問題/応用・選択問題の各出題範囲は以下の通りです。
基本と応用問題(60問)
・IT経営推進プロセスガイドライン(PGL)全体に関する基本問題(40問)
・経営共通領域に関する応用問題(20問)
応用・選択問題(40問)経営系問題か情報系問題かを選択
・経営系の範囲:経営戦略プロセス・業務改革プロセス・IT戦略プロセス
・情報系の範囲:IT戦略プロセス・IT利活用プロセス
応用・選択問題は受験の申し込み時に決めることになっており、よく考えて自分のスキルに適した方を選んでください。
専門スキル特別認定試験を受験する場合は、応用・選択問題の40問が免除された計60問となります。
ITコーディネータ試験の受験者数は毎回200名前後です。
うち合格者数は100〜150名程度。合格率は50%〜70%の間を行き来しています。
資格の試験だと、都合が合わずに受験しない人が出ることがよくあります。
しかしITコーディネータ試験の場合、1ヶ月の間で自分の都合の良い日時を選べるので、申し込んで受験しない人は少ないです。
申し込んで受験しない人の数が少ないのに、合格率が20%も前後するということは、ITコーディネータ試験は回ごとにかなり難易度が左右される試験と考えられるでしょう。
ITコーディネータ試験の難易度は、ITスキル標準(ITSS)によるとレベル4認定を受けています。
レベル4に分類される資格には高度情報処理技術者試験や情報処理安全確保支援士、CCIEが挙げられます。
基本情報技術者試験がレベル2、応用情報技術者試験がレベル3に分類されていることを考えると、ITコーディネータ試験は難関と言えるでしょう。
ITコーディネータ試験の申し込みは以下のような流れです。
1.ITコーディネータ試験公式サイトから申し込みます。
※ITC+とCBTSに登録をしていない方は、まず会員登録を行います。
2.上記登録完了後、試験の受験予約を行います。
申込画面から指示される手順に沿って必要事項を入力します。
3.受験料の支払い
(クレジットカード決済、ペイジー(Pay-easy)による払込み、コンビニでの払込み)
4.申し込み完了
ちなみに申し込み後に都合が悪くなってしまった場合、公式サイトから受験日時・会場の変更が可能です。
ITコーディネータ資格の有効期限は1年間です。
毎年4〜5月に更新が行われます。
この期間内に更新手数料22,000円(税込)を納付することに加え、実務報告書を提出すること、前年度の実践力ポイントが10ポイント以上あることが更新の条件となります。
ちなみに実践力ポイントに関しては、ITコーディネータ協会が付与ポイントを規定しており、機関誌の購読や資格の取得などでポイントを獲得できます。
また、ポイント対象になる業務を行った場合は自分でポイントの登録を行います。
その他にも、ITコーディネータ資格を維持するためには合格から3年以内にフォローアップ研修も受けなければいけません。
資格維持するための詳細イメージは以下になります。
(出典:ITコーディネータ協会)
ITコーディネータ試験の勉強時間は50時間以上が目安でしょう。
ITコーディネータ試験の問題は経営・情報ともに実務経験があれば勉強しなくても解ける問題が多いでしょう。
勉強時間は自分が経験したことが無い分野どちらかのみで問題ないでしょう。
ただし、ITコーディネータ試験は120分で100問を解かなければいけません。
1問あたりに割り当てられる時間は72秒。
スピード勝負になるので、問題を見たら即答できないと厳しいです。
合格するためにはテキストを読み込んで内容をよく理解する必要があります。
勉強する範囲は自分の業務範囲外の部分だけと思うと余裕に思えるかもしれません。
しかし、学習すべき範囲が狭いとしても丁寧に教科書を読み込むことに時間を割いてください。
なお、ITコーディネータ試験は過去問が公開されていません。
擬似問題は公開されていますが、古いものなので、あくまで似た問題が少し出題されるくらいの気持ちでいるのがベストです。
ITコーディネータ試験は難関資格ではありますが、合格することでどんなメリットがあるのでしょうか。
それでは、ITコーディネータ試験のメリットについて解説していきます。
IT活用に率先して取り組む立場として経営戦略の知識を身につけることは大切です。
IT活用において、経営陣の理解が得られずなかなかIT活用が進まないことは問題視されがちでしょう。
反対にIT活用を推進する側が経営に関する知識が無く、連携が難しいことも日本の企業のIT化が進まない原因として考えられます。
IT活用を進めるにあたってはIT部署側も経営側に歩み寄り、IT活用を実践することが大切でしょう。
そこでITコーディネータについて学ぶことで、経営の視点も身につき、経営側とIT部署側双方が納得できる形でIT活用を進められます。
IT企業の中には資格の取得で資格手当や報奨金を支給する企業も多いです。
しかもITコーディネータはITSSでレベル4に指定されている資格。
同じレベルに分類される資格はIT業界でも難関資格として周知されている資格ばかりなので、資格手当や報奨金も高額になることが期待できます。
ITコーディネータ試験を受験することはメリットばかりではなく、もちろんデメリットもあります。
資格を取得して損をしてしまわないように、デメリットも把握しておきましょう。
ITコーディネータ資格を取得するにあたっては、勉強時間の確保が大変です。
ITコーディネータを受験する人は基本的には社会人でしょう。
勉強時間は50時間以上となるとさほど学習時間は長くないように思えますが、仕事前や仕事終わりの時間で勉強時間を確保するのは大変です。
しかも、ITコーディネータは問題演習だけでなくテキストの読み込みにも時間をかけなければいけないので、通勤時間などスキマ時間を活用した勉強法がなかなか難しいのも難点。
ITコーディネータは試験期間の1ヶ月以内ならいつでも受験できるため、忙しくない時期を狙って受験しましょう。
ITコーディネータの資格を取得したところで役に立たないという意見も少なくありません。
確かに、ITコーディネータの資格はただ取得するだけでは意味がりません。
ITコーディネータ試験はIT活用において、経営とIT双方の知見を持っていることを証明する資格です。
そのため、ITコーディネータの資格はIT部署と経営陣を繋ぐ立ち位置におり、企業のIT活用に関して提言できる立場の人向けの資格と言えるでしょう。
実際にITコーディネータの受験者は40代・50代が多いです。
この世代は一般的に企業の管理職や部署の上位職についている世代でしょう。
したがって、実際にIT活用に携わってみて、足りない知識を補うためにITコーディネータ試験を受験していると考えられます。
若い人でIT業界でのキャリアアップを目指しているなら、同じレベル4でも高度情報処理技術者試験などを受験した方がキャリアアップに繋がりやすいです。
ITコーディネータ資格は必ずしも全員にとって役に立つ資格ではないので、自分のキャリアや社内での立ち位置を考えたうえで受験しましょう。
ITコーディネータ試験の合格にはテキストの読み込みも必要ですが、問題演習も大切です。
やはりITコーディネータはスピード勝負な試験なので、内容をいくら理解していても、問題に慣れていないと合格が難しいでしょう。
ITコーディネータ試験は過去問は販売されていません。
加えて問題もセットからランダムで出題されるので、過去に受験した人から内容を聞いてもあまり参考になりません。
ちなみにケース研修を開講している企業で、ITコーディネータ対策講座も取り扱っていることがあります。
Amazonなどで疑似問題集も発売されているので、問題演習は対策講座で使ったテキストや疑似問題集を活用して行ってください。
企業でIT活用の推進を率いる立場にあったり、ITコンサルタントとして働いている方にとっては、ITコーディネータはIT・経営両方の知識を持っているアピールになるので受験する価値が大きいでしょう。
ただ、ITコーディネータは経営など自分の業務範囲外の勉強が必要である、過去問が無く問題が予想しにくいなどの理由から、少し厄介な資格でもあります。
そのため自分のキャリアから、ITコーディネータは今必要な資格なのか、今の自分はどんなスキルを伸ばす必要があるのかを考えたうえで受験するか決めてください。
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