公開日:2022.02.04
更新日:2025.03.24
ITサービスマネージャ試験に興味があるが、どういった試験なのか、公式サイトを読んでもよく分からないという方も多いでしょう。
ITサービスマネージャ試験はシステム運用・保守に関する珍しい資格です。
ITサービスマネージャ試験を獲得することで、システム運用・保守に関するマネジメントスキルが高いと見做され、転職やキャリアアップで有利になります。
本記事ではITサービスマネージャ試験について解説します。
ITサービスマネージャ試験の概要やメリット・デメリット、おすすめの参考書などについてまとめました。
本記事を読むことでITサービスマネージャ試験に向けて学習を始めることが可能です。
資格を取得してスキルアップを図りたいエンジニアの方はぜひ本記事を参考にしてください。
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<目次>
1.ITサービスマネージャ試験とは
ITサービスマネージャとは
ITサービスマネージャ試験とプロジェクトマネージャ試験の違い
2.ITサービスマネージャ試験試験の詳細
ITサービスマネージャ試験の試験会場・日程・受験料
ITサービスマネージャ試験の試験時間・出題形式・出題数
ITサービスマネージャ試験の出題内容
ITサービスマネージャ試験の受験者数・合格率・難易度
ITサービスマネージャ試験の申し込み手順
ITサービスマネージャ試験の有効期限
ITサービスマネージャ試験の勉強時間
3.ITサービスマネージャ試験の資格取得のメリット
ITサービスマネジメント(ITSM)の知識が身に付く
IT系企業に就職しやすい
資格手当や報奨金を貰える
他の高度試験及び支援士試験の一部免除
4.ITサービスマネージャ試験の資格取得のデメリット
勉強時間を確保する必要がある
5.ITサービスマネージャ試験合格のためのおすすめ参考書や対策法
おすすめ参考書①:ALL IN ONE パーフェクトマスター ITサービスマネージャ 2022年度 (情報処理技術者試験)
おすすめ参考書②:情報処理教科書 ITサービスマネージャ 2022~2023年版
ITサービスマネージャ試験を合格するには過去問もおすすめの対策
6.まとめ
ITサービスマネージャ試験は、情報処理技術者試験の一種です。
情報処理技術者試験はレベルが1から4まで設定されていますが、ITサービスマネージャ試験は最高レベルの4となっています。
ITサービスマネージャはシステムエンジニア(SE)向けの資格であり、その中でもシステム運用・保守責任者を対象としています。
運用・保守に関連した資格は少ないため貴重と言えます。
ITサービスマネージャ試験に合格すると、顧客のITサービスを安全に提供するために必要な技術を持っているシステム運用・保守における指揮者として、認められることになります。
試験では、システム運用・保守の基礎に関することから、情報セキュリティやシステム障害時の対応、顧客の要望に基づいたソフトウェア・ハードウェアの導入方法、などに関する知識が総合的に求められます。
情報処理技術者試験の中でも合格率が低く、難関であるのも特徴です。
特に午後の論述問題に苦戦する受験者は多く、念入りな対策が必要となります。
システム開発においては様々な立場のシステムエンジニア(SE)がいます。
その中でもITサービスマネージャは、システムの品質に責任を持つポジションとなります。
顧客に安全性・信頼性の高いITサービスを提供するために必要なポジションです。
ITサービスマネージャは、システムの運用・保守のマネジメントを担当します。
運用・保守の体制や仕組みを構築し、部下に対して指示出しを行います。
具体的には、新規ソフトウェアの導入、ソフトウェアのチェック方法の検討、障害発生時の解決フローの作成、トラブル時の部下への指示出し、などの仕事がメインです。
システムは開発して終了ではなく、システムをその後も正常稼働させるために、必ず運用・保守が必要です。
優れたシステムを開発しても、その後の不具合やトラブルに対し責任を持たなくては、ユーザーからの信頼を獲得することはできません。
そのため、ITサービスマネージャというポジションはシステム開発において重要です。
ITサービスマネージャ試験とプロジェクトマネージャ試験は、求められるスキル・知識が異なります。
プロジェクトマネージャ試験は、システム開発全体のマネジメント知識が求められます。
一方、ITサービスマネージャ試験は、システム運用・保守に関するマネジメント知識が求められます。
プロジェクトマネージャとはプロジェクトの統治を行う役割です。
納期・コストの調整やメンバーの選定、スケジュールの管理などを行う、システム開発におけるリーダーです。
プロジェクトマネージャもITサービスマネージャも、同じマネジメント業務ですが、任される範囲が異なります。
そのため、試験でも求められるスキル・知識が異なるので注意しましょう。
試験の難易度は同じ程度です。
どちらもスキルレベル4に設定されており、合格にはかなりの勉強時間を有します。
将来どの分野のプロフェッショナルになりたいか考え、その分野の知識が得られる試験を受験しましょう。
ITサービスマネージャ試験の詳細についてまとめました。
ITサービスマネージャ試験に関する以下の事項について解説しています。
・ITサービスマネージャ試験の試験会場・日程・受験料
・ITサービスマネージャ試験の試験時間・出題形式・出題数
・ITサービスマネージャ試験の受験者数・合格率・難易度
・ITサービスマネージャ試験の有効期限
・ITサービスマネージャ試験の勉強時間
ここで解説している情報はITサービスマネージャ試験の公式サイトを参考にしています。
【試験会場】
ITサービスマネージャ試験は全国で受験可能です。
ただし試験会場は自分で指定することができないので注意が必要です。
試験会場がどこになるかは、試験前に発送される受験票で初めて確認できます。
おおよその試験地に関しては、事前にこちらから確認できます。
【試験日程】
令和4年度春期試験の日程は次の通りです。
|
願書の受付期間 |
試験日 |
---|---|---|
春期試験 |
令和4年1月11日(火)~ 2月1日(火)18時 |
令和4年4月17日 |
令和元年度(2019)まで秋期に実施していました。
【受験料】
情報処理技術者試験は全て7,500円(税込)となっています。
以前は5,700円(税込)でしたが、2021年7月に改定されました。
ITサービスマネージャ試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱに分かれています。
それぞれの試験時間、出題形式、出題数は次のようになっています。
試験時間 |
出題形式 |
出題数 |
|
---|---|---|---|
午前Ⅰ |
9:30~10:20(50分) |
四肢択一 |
30問 |
午前Ⅱ |
10:50~11:30(40分) | 四肢択一 |
25問 |
午後Ⅰ |
12:30~14:00(90分) | 記述式 |
3問から2問を選択して解答 |
午後Ⅱ |
14:30~16:30(120分) | 論述式 |
2問から1問を選択して解答 |
ITサービスマネージャ試験の出題内容についてまとめました。
ITサービスマネージャ試験は午前、午後で出題範囲が異なります。
【午前Ⅰ】
午前Ⅰでは、情報処理技術者試験の高度試験(レベル4)の共通問題が出されます。
高度IT人材として知っておくべき共通知識が問われ、以下の3分野から出題されます。
・テクノロジ系
・マネジメント系
・ストラテジ系
【午前Ⅱ】
分野 |
大分類 |
中分類 |
出題範囲 |
---|---|---|---|
テクノロジ系 |
コンピュータ システム |
コンピュータ構成要素 |
◯ |
システム構成要素 |
◯ |
||
技術要素 | データベース |
◯ |
|
ネットワーク |
◯ |
||
セキュリティ |
◎ |
||
マネジメント系 |
プロジェクトマネジメント | プロジェクトマネジメント |
◎ |
サービスマネジメント | サービスマネジメント |
◎ |
|
システム監査 |
◯ |
||
ストラテジ系 |
企業と法務 | 法務 |
◯ |
※◯は出題範囲であり、◎は出題範囲のうちの重点分野を示しています。
【午後Ⅰ・Ⅱ】
1.サービスマネジメントに関すること
2.サービスマネジメントシステムの計画及び運用に関すること
3.パフォーマンス評価及び改善に関すること
4.サービスの運用に関すること
5.ファシリティマネジメントに関すること
詳しい出題範囲は「試験要綱」やITサービスマネージャ試験の過去問を確認しましょう。
ITサービスマネージャ試験の受験者数と合格率を平成28年度からまとめました。
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
|
---|---|---|---|
平成28年度秋期 |
3,555名 |
502名 |
14.1% |
平成29年度秋期 |
3,932名 | 535名 |
13.6% |
平成30年度秋期 |
3,715名 | 530名 |
14.3% |
令和元年度秋期 |
3,388名 | 497名 |
14.7% |
令和3年度春期 |
2,018名 | 303名 |
15.0% |
過去5年間ITサービスマネージャ試験の合格率は13〜15%程度となっています。
ITサービスマネージャ試験の難易度を考察するために、他の高度試験の合格率もみていきましょう。
令和3年度春期・秋期に行われた試験の合格率をまとめました。
・ネットワークスペシャリスト試験:12.8%
・プロジェクトマネージャ試験:14.4%
・ITストラテジスト試験:15.3%
・システム監査技術者試験:16.0%
・システムアーキテクト試験:16.5%
・データベーススペシャリスト試験:17.1%
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験:18.3%
ITサービスマネージャ試験は高度試験の中でも、合格率が低めであることが分かります。
この結果からすると、ITサービスマネージャ試験は非常に難易度が高いと推測されます。
ITサービスマネージャの合格を目指すには、システム運用・保守担当者として高いスキルを備えている必要があります。
また、午後の論述問題が厄介です。
論述問題は応用情報技術者試験では出題されないため、特に試験の段階を踏んで受験をしている場合、ITサービスマネージャ試験で初めて挑む方が多いです。
論述問題に慣れていない人が多いために合格率が下がってしまっている可能性もあるでしょう。
過去問などに目を通して問題が難しそうである場合、重点的に対策を講じたり、他の試験を挑戦することも良いでしょう。
ITサービスマネージャ試験の申し込み手順を紹介します。
1. 情報処理推進機構(IPA)よりのインターネット申込み
2. 申込画面から指示される手順に沿って必要事項を入力
3. 受験料の支払い(クレジットカード決済、ペイジー(Pay-easy)による払込み、コンビニでの払込み)
4. 受験票到着
ITサービスマネージャ試験を含めた情報処理技術者試験は、全て有効期限はありません。
情報処理技術者試験は、合格することで権利が与えられる資格ではないためです。
ITサービスマネージャ試験の勉強時間目安は100〜150時間程度と言われています。
ただし、どの程度の学習量が必要かは個人によって大きく異なります。
特に設計やプログラミングなど開発業務が中心の人の場合、システム運用・保守について1から勉強する必要があるため、合格するにはかなりの勉強時間が必要となるでしょう。
運用・保守の業務が中心である方の場合、業務で得た経験・知識を試験で活かすことが可能です。
ただし、午後の論述問題などは試験テクニックも要求されるため、重点的に対策しないと合格は難しいでしょう。
ITサービスマネージャ試験の資格取得のメリットは次の4つです。
・ITサービスマネジメント(ITSM)の知識が身に付く
・IT系企業に就職しやすい
・資格手当や報奨金を貰える
・他の高度試験及び支援士試験の一部免除
これらのメリットがあるため、ITサービスマネージャ試験の受験はおすすめです。
1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。
ITサービスマネージャ試験を取得することで、ITサービスマネジメント(ITSM)の知識が身につきます。
ITサービスマネジメント(ITSM)とは、ITサービスの提供や運用、管理、改善などを効率的に行うための管理方法や仕組みを指します。
ITサービスマネジメント(ITSM)の知識を身につけることで、ITサービスの状況が整理しやすくなり、障害を未然に防げたり、被害を最小限に喰い止めたりできます。
システム開発における運用・保守の重要性は高いです。
安心して使えるサービスを提供するには、障害が起こる可能性を把握し改善しなくてはいけません。
ユーザーの個人情報が漏洩するなど致命的な障害が発生すると何億や何十億もの損害が発生するケースもあります。
そのためシステムの運用・保守の責任者を目指すなら、試験を通じて総合的に知識を身につけたいです。
ITサービスマネージャ試験を取得することで、IT系企業に就職しやすくなります。
情報処理技術者試験は知名度の高い資格です。
履歴書に記載することで、採用担当者にスキルをアピールしやすいです。
またITサービスマネージャ試験は、他の高度試験に比べ合格者数が少ないです。
令和3年度春期の場合、303名しか合格者がいません。
合格者が少ない分、希少性の高いスキルを保有できます。
希少性の高いスキルを保有することにより選考でも有利に立ち回ることが可能です。
ITサービスマネージャ試験に合格することで、資格手当や報奨金が貰える企業も多いです。
資格手当の相場は月5,000円〜10,000円程度です。
毎月で考えると少なく感じますが、毎年60,000円〜120,000円貰えると考えると大きいことが分かります。
また毎月貰える資格手当以外に、申請した直後に一度だけ貰える一時金もあります。
一時金は20,000円〜100,000円程度が相場です。
ITサービスマネージャ試験に合格することで、他の高度試験及び支援士試験の一部が2年間免除されます。
たとえば、技術士試験(情報工学部門)「第一次試験専門科目」や弁理士試験の「理工Ⅴ(情報)」などは免除対象です。
こういった試験も合格にはかなりの勉強時間を有するため、一部でも免除されるのは大きいでしょう。
ITサービスマネージャ試験の資格取得のデメリットを解説します。
デメリットは次の1つしかありません。
・勉強時間を確保する必要がある
こちらのデメリットに関しては押さえておく必要はあるでしょう。
基本的にはITサービスマネージャ試験はメリットの方が多い資格ですので、受験することをおすすめします。
ITサービスマネージャ試験はスキルレベル4に相当する難関資格です。
そのため、どうしても勉強時間を確保しないといけません。
特に仕事が忙しい方は、勉強時間を捻出する方法を考える必要があります。
通勤時間や会社の昼休みなどのスキマ時間を上手く活用することを意識しましょう。
ITサービスマネージャ合格に必要な勉強時間は100〜150時間程度です。
1日2時間勉強すると2〜3ヶ月かかる計算になります。
1日に何時間勉強に費やせるか考えた上で、学習計画を立てていきましょう。
勉強時間はかかりますが、その分得られるメリットは多いため、迷ったら受験した方が良いです。
特にITコンサルタントやプロジェクトマネージャなど、責任の重いポジションを目指す方にはおすすめできます。
最後に、ITサービスマネージャ試験合格のためのおすすめ参考書や対策法を紹介します。
ITサービスマネージャ試験本は数多く出版されていますが、その中でもおすすめなのは次の2つです。
・ALL IN ONE パーフェクトマスター ITサービスマネージャ 2022年度 (情報処理技術者試験)
・情報処理教科書 ITサービスマネージャ 2022~2023年版
午前試験、午後試験の対策をまとめて立てられるおすすめの参考書です。
各試験形式別に効率の良い学習方法を提供してくれるため、合格へと近づけるでしょう。
出題頻度の高いキーワードを重点的に解説してくれます。
また、午後の論述問題で合格点を取るための具体的テクニックも教えてくれます。
ITサービスマネジメントの基礎を押さえた方が試験対策を行うのに最適な1冊です。
こちら1冊で合格するための知識を着実に身につけることが可能です。
合格に必要な知識や考え方を厳選して解説しています。
問題数が多い上に詳しい解説がついているため、1つずつ理解しながら学習を進めていけます。
また、難関である論述問題の対策も充実しています。
論文作成のテクニックや構成例、添削つきの解答例などが掲載されています。
ITサービスマネージャ試験に合格するには、過去問を解くことも大切です。
過去問を解くことで自分がどこまで合格に近づいているか確かめることができます。
時間を図って解けば、問題を解くペースが遅くないかも確認できます。
情報処理技術者試験の公式サイト(IPA)には過去問が公開されており無料でダウンロード可能です。
公式サイト(IPA)には問題と解答だけでなく講評も掲載されています。
講評を読むことで問題を解くためのポイントを知ることが可能です。
また、公式サイト(IPA)以外に「ITサービスマネージャ過去問対策.com」というサイトもおすすめで、ITサービスマネージャ試験の過去問をゲーム感覚で解くことができます。
正答率を確認したり苦手な箇所だけを復習したりすることも可能です。
公式サイト(IPA)や上記おすすめサイトを使ってスキマ時間に勉強すると良いでしょう。
本記事ではITサービスマネージャ試験について解説しました。
ITサービスマネージャ試験の概要やメリット、学習方法などがお分かりいただけたかと思います。
ITサービスマネージャ試験を受験することで、システム運用・保守におけるマネジメントスキルを培うことが可能です。
システム運用・保守は開発に比べると目立たない業務ではあるものの、システムの品質を保持し、ユーザーからの信頼性を落とさないようにするために大切なことです。
エンジニアとしてキャリアアップを目指す方には、ITサービスマネージャ試験の受験をおすすめします。
情報処理技術者試験の中でも高難易度ではありますが、その分取得すれば社内や第三者の評価を上げることが可能です。
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