公開日:2021.09.08
更新日:2025.03.24
近年日本で制作されたゲームが海外で販売され、反対に海外で制作されたゲームが日本で販売されるといったことが珍しくありません。
その際に必要になるのがローカライズです。
本記事ではゲーム業界に関わる方向けに、ローカライズについて解説していきます。
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<目次>
1.そもそもローカライズとは
2.ゲームのローカライズのステップ
ゲームの世界観や方向性を理解する(ファミリアライゼーション)
スタイルガイドを制作する
国に合わせて翻訳をする
セリフなどの音声をとる
3.ゲームのローカライズで大事なポイント
国に合わせた制作物になっているかの確認
翻訳者にローカライズの方向性や目的を伝える
翻訳者に試しにゲームをしてもらう
4.まとめ
ゲームのローカライズとは、ゲームの販売地域に応じて、世界中の人たちのローカスに向けて変更する作業です。
ローカライズの多くは言葉の翻訳ですが、絵やUIデザイン、仕様そのものを変更することもあります。
ファイナルファンタジーやポケットモンスターなど、さまざまな日本で制作されたゲームが世界中で楽しまれています。
反対にマインクラフトなど、海外で制作されたゲームが日本で販売されることも多いです。
しかし国ごとによって言語が違う上に、表現や描写の規定や考え方、概念の違いにより、全く同じままでは販売できない場合や販売できても売れない可能性があります。
例えば日本で爆発的にヒットした「妖怪ウォッチ」という日本独自の文化である妖怪を題材にしたゲームを海外で販売するのであれば、妖怪の概念を理解した上でプレイしてもらえるよう、妖怪の概念の説明を加えるといった作業が必要です。
また反対にゲームの表現規制が厳しい日本では、アメリカで制作された戦争ゲームなどの多くは、暴力表現を控えるローカライズを行ったうえで販売されています。
前章ではローカライズの概要について解説しました。
本章ではゲームのローカライズの4つのステップを解説していきます。
■ゲームのローカライズの4つのステップ
1. ゲームの世界観や方向性を理解する(ファミリアライゼーション)
2. スタイルガイドを制作する
3. 国に合わせて翻訳をする
4. セリフなどの音声をとる
ローカライズの最初のステップがファミリアライゼーションです。
ファミリアライゼーションはゲームの世界観や方向性を理解する作業を指します。
ゲームの世界観や方向性の理解なく、翻訳することはできません。
例えば歴史ものの作品のセリフやナレーションを現代語で表現してしまったり、強気な悪役のセリフを弱気な印象を与える表現をしてしまえば、ゲームの世界観が崩れてしまうでしょう。
そのためゲームの設定資料を読んだり、試作ゲームがあれば実際にプレイして、ゲームの世界観や方向性を理解します。
小説の翻訳や映画の翻訳であれば、小説を読んだり、映画を観て世界観や方向性を理解するのには時間はそれほどかかりません。
一方でゲームをクリアし、世界観や方向性を理解するためには、小説や映画と比較して長い時間がかかります。
そのためゲームをほとんどプレイせずに、ファミリアライゼーションが不十分な状態で翻訳をはじめてしまうケースも多いです。
しかし、RPGなどストーリー性の高いゲームであれば、最後までプレイした上で十分にファミリアライゼーションを行うことが特に重要になります。
スタイルガイドとグロッサリーを制作します。
規模の小さいゲームであれば、ワード数が極端に多くなることはありませんが、規模の大きいゲームは10万ワード以上になることも多いです。
そのためゲームの翻訳を1人で行うのは現実的ではありません。
複数の翻訳者に依頼をするのが一般的です。
しかし複数の翻訳者に依頼する上では、翻訳者にはそれぞれ癖があるため、統一感が問題になります。
例えば、ある翻訳者は「です・ます」調で翻訳している一方で、ある別の翻訳者が「だ・である」調で翻訳を行えば、違和感のある翻訳になってしまうでしょう。
そこで重要になるのがスタイルガイドです。
スタイルガイドは文体・用語・文字表記のルールに加えて、クライアント独自のルールを取り決めたガイドラインです。
■スタイルガイドのルール
・文体:「です・ます」調と「だ・である」調のどちらにするかなどを決める
・用語:同じ意味の複数の用語がある場合、どの用語を使うかなどを決める
・文字表記:数字やアルファベット表記は半角・全角のどちらかなどを決める
・クライアント独自:硬い文章かカジュアルな文章かなどを決める
またグロッサリーも重要です。
グロッサリーは特定の単語を「〇〇」と表記するといったルールをまとめたものを指します。
例えばりんごは本来「Apple」ですが、ストーリ上では「悪魔の実」としているのであれば「Devil Apple」と訳すのが適切でしょう。
こういった単語のルールをまとめたグロッサリーをスタイルガイドと併せて作成します。
スタイルガイドとグロッサリーが完成したら、翻訳作業に入ります。
ゲームの翻訳は複数人で行うのが一般的です。
翻訳チームや翻訳会社への依頼もローカライズの仕事の1つになります。
翻訳の完了後に声優さんなどに依頼し、セリフなどの音声を販売地域に合わせて取り直します。
この時に注意が必要なのは、言語によって同じ意味の言葉やセリフであっても、尺が異なることです。
例えば日本語では5秒かかるセリフが、他の言語では3秒しかかからないケースや、反対に10秒かかるケースがあります。
違和感のないようにセリフを取ることが重要です。
なお声優さんなどへの依頼後に、翻訳の修正が入ると声優さんのスケジュールを取り直してといった作業が必要になります。
一連の更新内容と現在の進捗状況をローカライズに関わる全てのスタッフが把握するのが重要です。
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ゲームのローカライズは単なる翻訳だけではなく、世界観や方向性の理解や、セリフなどの音声の取り直しなどの多くの作業を必要とする仕事です。
本章ではゲームのローカライズにおける大事な3つのポイントを紹介します。
国に合わせた制作物になっているかの確認を行いながら、ローカライズを行うのが大事なポイントです。
例えばある戦争ゲームをアラビア語版にローカライズした際には、ゲーム内で英語圏で人を罵る際に使われるFワードが使用されていましたが、アラブ圏ではFワードは禁句とされているため、他の言葉に置き換える必要がありました。
他にも女性の過度な露出や酒・タバコ・ドラッグなどの表現が禁止されている国や「神」などの表現に注意が必要な国もあります。
翻訳者にローカライズの方向性や目的を十分に伝えましょう。
ローカライズにおいて、翻訳は翻訳チームや翻訳会社に依頼することになりますが、翻訳者はファミリアライゼーションを行わずに、翻訳に入ることが多いです。
しかし優秀な翻訳者であっても、ローカライズの方向性や目的が伝わっていなければ、完璧な翻訳とは程遠いものとなるでしょう。
異なる背景を持つ翻訳者でも理解できるほど、ローカライズの方向性や目的を丁寧に伝えることで、完成度の高い翻訳が期待できるでしょう。
ゲームの世界観や方向性を理解し、期待に沿った翻訳を行ってもらうためには、試しにゲームをしてもらうのが効率的な方法です。
ゲームのローカライズは、ゲームの販売地域に応じて、世界中のひとたちのローカスに向けて変更する作業です。
ゲームの世界観や方向性を理解するだけでなく、販売先の地域の文化や言語の違いを十分に理解したうえで作業を行うことが求められます。
作業は複雑ですが、近年はゲームが国を跨いで販売されるケースが増えているため、ゲーム制作において重要な仕事だといえるでしょう。
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