個人事業主の商号登記は必須?

フリーランス常識

2022.03.10

これから個人事業主になることを検討している方向けに商号登記について解説していきます。商標登記や法人登記(商業登記)との違いやメリット・デメリット、申請時の準備物も紹介しています。

本記事を読めば、今何をするべきかを理解できるでしょう。

 

 

 

1.個人事業主でも申請可能な商号登記とは


個人事業主登記関連画像
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法人を設立する際には代表者名や事務所の所在地を公開し、登記を行う必要がある一方、個人事業主は事業を開始する際に、登記を行う必要はありません。

しかし個人事業主も「商号登記」を行うことが可能です。

 

商号登記は個人事業主が屋号や営業所の住所、事業主の住所、事業主の氏名、事業内容を法務局へ登記することを指します。

 

第十一条 商人(会社及び外国会社を除く。以下この編において同じ。)は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。
2 商人は、その商号の登記をすることができる。

引用:”商法(明治三十二年法律第四十八号)”E-GOV法令検索

 

商号登記を行うことで、屋号を正式名称として使用することが可能です。

なお同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止が商法で定められています。

 

第二十七条 商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。

引用:”商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)”E-GOV法令検索

 

しかし同一の所在場所でなければ、同一の商号を登記できます。

換言すれば自身が商号登記を行っても、同一の商号を他者に利用される可能性があるということです。

 

 

 

2.商号登記と商標登録の違い


個人事業主登記関連画像
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商号登記に似た言葉の1つが「商標登録」です。

 

商標は「誰が作った商品なのか」「誰が提供しているサービスなのか」を表す言葉やマークを指し、商号とは異なります。

管轄省庁も異なり、商号登記は法務局が管轄している一方で、商標登録の管轄は特許庁です。

 

商標制度は、商品やサービスに付される目印、すなわち商標を保護することを定めて、その商標に対し、それが付された商品やサービスの出所を表示する機能、品質を保証する機能及び広告機能を持たせることにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図ることを通じて、産業の発達に寄与し、一方で需要者の利益を保護しようというものです。

引用:”商標とは”特許庁

 

なお個人事業主は屋号を商標登録することも可能です。

商号登記では同一の商号を登記することができるため、自身が登記した屋号を他者に使われることを防ぐことはできません。

 

一方で商標登記は既存の商標と類似したものは登録できないため、自身の屋号が他者に使われることを防ぐことが可能です。

 

(商標登録を受けることができない商標)
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

 

十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

引用:”商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)”E-GOV法令検索

 

商号は必要書類を集めることで自力で登記が可能ですが、商標は弁理士や特許事務所に依頼して登記を行うことになるため、費用がかかります。

必要な場合にのみ商標登録を行いましょう。

 

 

 

3.商号登記と法人登記・商業登記の違い


個人事業主登記関連画像
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商号登記は個人事業主が屋号などを登記することを指す一方で、法人登記は一般社団法人や一般財団法人、医療法人社団、宗教法人、学校法人、特定非営利活動(NPO)法人、社会福祉法人など会社以外の法人に関する重要事項に関して登記を行うことを、商業登記は株式会社や特例有限会社、合同会社、合資会社、合名会社といったいわゆる会社の登記を行うことを指します。

 

商業登記は,会社(株式会社,合名会社,合資会社,合同会社)等について,法人登記は,会社以外の様々な法人(一般社団法人・一般財団法人,NPO法人,社会福祉法人等)について,その名称や所在地,役員の氏名等を公示するための制度です。

引用:”登記-商業・法人登記-”法務省

 

個人事業主は法人登記・商業登記を行うことはできません。

必要となる手続きや登記事項も大きく異なります。商号登記に必要な書類は商号登記申請書など数種類です。

 

一方で法人登記には定款などを含む10種類以上の書類が必要になります。

法人登記は商号登記と比較して登記事項が多いです。

 

例えば資本金や発行可能株式数、設立する株式会社が取締役会設置会社である場合は、取締役会設置会社である旨など、会社法により様々な登記事項が定められています。

商号登記は登録免許税が3万円ですが、法人登記の登録免許税は資本金の1,000分の7です。

 

金額が15万円以下の場合は、15万円と定められており、より高額です。

なお法人登記は司法書士に依頼するケースもありますが、商標登録よりも手続きがシンプルで、自身で行うケースも少なくありません。

 

 

 

4.個人事業主が商号登記を行うメリットとデメリット


個人事業主登記関連画像
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個人事業主が商号登記を行うことにはメリットとデメリットの両方があります。

メリットとデメリットを簡単に解説します。

 

メリット

商号登記を行うメリットの1つは、信頼性を高めることが可能であることです。

個人事業主は法人よりも社会的信用が低い傾向があります。少しでも安心して取引をしてもらうためには、信頼性を高めることが重要です。

 

商号登記を行うことで、屋号や代表者氏名などの情報を公開し、きちんと事業を行っている個人事業主であることを証明できます。

商号登記を行ったうえで屋号付きの銀行口座を用意することで、より社会的信用を高めることが可能です。

 

屋号付きの銀行口座の開設には、商号登記を行う必要はありません。しかし商号登記を行うことで、より信頼性を高めることが可能です。

 

また個人事業主の方の中には、法人成りする方もいます。利益額が一定を超えると、法人化した方が税制上有利なためです。

個人事業主の段階で屋号を商号登記しておけば、法人化後も屋号を継続して利用できます。

 

屋号に思い入れのある方には商号登記はおすすめです。

 

 

デメリット

商号登記のデメリットは費用がかかることです。商号登記には登録免許税印紙代が3万円かかります。

司法書士などに依頼して商号登記を行う場合、追加費用がかかり、相場は2万円〜3万円ほどです。

 

商号を変更する際にも費用がかかるため、屋号とは異なり、気軽に登録・変更することはできません。

また書類を用意して法務局に提出する必要があるため、金銭的なコストだけでなく、時間的コストもかかります。

 

開業届の提出よりも手続きが複雑だという方もいます。商号登記にかかる費用や時間、手間を考えて商号登記を行うべきか判断しましょう。

 

 

 

5.個人事業主が商号登記をの申請を行う時の準備物


個人事業主登記関連画像
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商号登記の際には以下の準備物が必要です。

 

個人の実印
個人の実印の印鑑証明
印鑑届出書
商号登記申請書
登録免許税3万円
あれば屋号印、商号印

 

実印が必要になります。印鑑登録済みの実印がない場合は、まず実印が必要になります。

実印用の印鑑と顔写真付きの身分証明証(免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)を用意して役所に行けば当日中に印鑑登録が可能です。また印鑑登録即日に印鑑証明を発行することができます。

 

屋号を登録する場合には、屋号印を準備しておきましょう。屋号印を利用した方が業務上、都合が良いケースもあります。

登録免許税3万円は印紙を申請書に貼り付ける形で支払うことになりますが、一度貼り付けてしまうと剥がすのは難しいため、法務局で書類に不備がないことを確認してもらってから貼り付けましょう。

 

 

 

6.まとめ


個人事業主は商号登記をする必要はありませんが、商号登記を行うことで、社会的信用を高める効果が期待できます。

登録免許税3万円の費用がかかりますが、将来的に法人化することを検討している方や社会的信用を高めたい方におすすめです。

 

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