公開日:2021.03.16
更新日:2025.03.24
エンジニアとしての働き方のひとつである「技術者派遣」は、個人では関われないようなプロジェクトや案件に出会える可能性があります。
技術者派遣はフリーランスを目指しているエンジニアの方、もしくはエンジニアとしてのスキルアップとキャリアアップをお考えの方で「実績を積みたい」と感じている場合に役立つかもしれません。
今回は技術者派遣に関する基礎知識や技術者派遣のメリット・デメリットについてお話します。
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<目次>
1.そもそも技術者派遣とは
2.技術者派遣の種類
常用型派遣
登録型派遣
3.他の契約形態との違い
準委任契約との違い
請負契約との違い
4.2015年の労働者派遣法改正の影響
5.技術者派遣のメリット
様々な種類の案件で働くことができスキルアップできる
案件を自由に選択できる
人脈を広げられる
6.技術者派遣のデメリット
派遣切りされるリスクがある
重要な責任のあるポジションにつけないことが多い
7.技術者派遣の時給
8.まとめ
技術者派遣はエンジニア派遣とも呼ばれ、派遣会社が獲得してきた案件に雇用した個人を派遣する業態を指します。
主には派遣先の企業や組織が必要とする人材をプロジェクトごと、案件ごとに派遣する形であり、プロジェクトや案件の期間のみ、または契約した期間のみ働くことができます。
エンジニアとしての経験や知識、スキルを直接的に活用できる働き方であり、いわゆる「手に職をつける」近道と言えます。
その他、個人として営業して仕事を探す手間がないため、フリーランスよりも安定して収入を得られる可能性が高いです。
派遣と聞くとネガティブなイメージや不安感を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、今の時代はたとえ正社員であっても同じ企業や組織で働き続けられる保証はありません。
むしろ技術者派遣を経験し、異なる環境や様々な開発現場で働ける素養を身に付けることが一生涯の強みになるといっても過言ではないでしょう。
次に技術者派遣には常用型派遣と登録型派遣の2種類があります。
それぞれの特徴について簡単に説明します。
常用型派遣とは派遣会社と雇用関係を結び、派遣会社の社員もしくは契約社員として派遣先で働く形を指します。
常用型派遣では派遣会社が安定して優秀な人材を派遣するために、経験豊富かつ高いスキルを持つ人を確保する傾向にあるため、経験やスキルがある方に向いている働き方と言えます。
常用型派遣は派遣でありながら、正社員のような待遇を得られること、派遣と同じようにプロジェクトや案件が終われば、また別の環境や開発現場で働けることから、収入の安定とスキルアップやキャリアアップを両立することが可能です。
また常用型の場合は派遣会社と雇用関係を結ぶことから派遣先との契約期間が満了し、派遣会社から次の派遣先が決まらない場合でも報酬が支払われます。
登録型とは派遣会社とは直接的な雇用関係を結ぶのではなく、派遣会社に個人として登録し、派遣先で働く期間のみ派遣会社と雇用関係を結ぶ働き方を指します。
一般的には派遣と聞いてイメージするのは常用型派遣ではなく、登録型派遣です。
登録型派遣は派遣先と派遣会社が定めた契約期間が満了すれば契約終了となり、同じ派遣先で働く場合は再度、雇用契約を結ぶ必要があります。
常用型派遣と違い、派遣会社と雇用関係にないため、思っていたような派遣先がなかった、次は別の派遣会社から仕事を紹介してもらいたい場合に気兼ねなく辞められるのが利点です。
登録型派遣は派遣先との契約期間が満了した場合、次の仕事が見つからなくても報酬は支払われません。
契約期間のみ派遣会社と雇用関係にあるという点をしっかりと覚えておきましょう。
次に他の契約形態との違いを簡単に説明します。
準委任契約は「一定の期間、定められた業務の遂行」で報酬を受け取れる契約であり、いわゆるSES(System Engineering Service)と呼ばれる働き方です。
定められた期間かつ勤務時間を働けば報酬が受け取れる形であり、後述する請負契約のように成果物の納品や完成など、基本的には結果を伴う責任がないのが特徴です。
ただし、業務を遂行する上で不備や能力不足があった場合に契約が解除されたり、損害賠償になったりする可能性があります。
派遣契約では派遣先(発注主)が技術者に対して細かな指示や命令ができますが、準委任契約では発注主が細かな指示や命令をすることはできません。
逆に準委任契約と派遣契約の共通点として完成責任とともに瑕疵担保責任が発生しないことが挙げられます。
その他、派遣契約であれば3年ルールにより直接雇用や無期雇用のチャンスがありますが、準委任契約は契約が終われば満了となることも覚えておきましょう。
請負契約は「定められた期日までに成果物の納品や完成」で報酬を受け取れる契約です。
準委任型と違って成果物さえ納品および完成できればOKなため、例えば実力のある方であれば時間や日数に縛られず、短期間で高い報酬を得ることができます。
ただし、納期までの完成責任とともに「瑕疵担保責任」が発生するため成果物に問題があればメンテナンスや修正する必要があること、何らかの被害があれば損害賠償になるというリスクがあります。
準委任契約と同じく、請負契約においても発注主が細かな指示や命令をすることはできません。
その他、定められた期日までに成果物の納品や完成ができなければ報酬をもらえないこともあり、高額で請け負ったは良いけれど完成できずに報酬がもらえないどころか、完成しなかったことに対する賠償責任を取る必要があります。
派遣契約でも一定の責任はありますが、請負契約ほどの責任やリスクがない点は大きな違いと言えるでしょう。
2015年の労働者派遣法改正によって、派遣を利用する側、すなわち派遣先は3年を越えて同じ人を雇ってはいけないというルールになりました。
派遣として何年も働かせるのではなく、必要であれば直接雇用すべきということが明確化されたと言えます。
例えば、技術者派遣として3年が経過した場合、派遣先は直接雇用するか無期雇用派遣にするかを選ぶ必要があります。どちらもダメであれば別の人を派遣してもらうしかありません。
派遣される側のメリットは直接雇用か無期雇用派遣になる可能性があること、逆にデメリットは3年以上同じ派遣先で働き続けられないことです。
また、常用型の技術者派遣の場合、派遣会社と個人との間で雇用関係があるため、3年ルールは適用されないことも覚えておきましょう。
次に技術者派遣のメリットをご説明します。
技術者派遣は様々な種類の案件で働くことができスキルアップにつながります。
また、実績が増えること=キャリアアップであり、エンジニアとしての実力が磨かれるのもメリットです。
その他にもプロジェクトや案件ごとに異なる環境や開発現場、人間関係の中で働くことでコミュニケーション能力や交渉力の向上も期待できます。
決して正社員かつ同じ開発現場で働くことがダメとは言いませんし、必ずしもスキルアップやキャリアアップすることが良いとは断言できません。
しかしエンジニアとしての成長や伸び代のことを考える一定期間、または一時的にでも技術者派遣で働いてみるのも良い経験となるでしょう。
技術者派遣は常用型であっても登録型であっても比較的案件を自由に選択できるのもメリットです。
エンジニアとしての経験や知識、スキルによって異なる部分ではありますが、自分の実力に合った案件を選ぶことも出来ます。
場合によっては独学で学んだけれど、実務経験がない分野のスキルの案件を選ぶこともできます。
また契約期間が終わった場合、自分自身で延長や継続するかを決められる余地があることから、別の環境や開発現場で働きたいさらにスキルアップやキャリアアップにつながる仕事をしたい場合にも向いています。
技術者派遣は一定期間働いて次の開発現場に移っていくことで、人間関係を増やすことにつながり、人脈を広げられるのもメリットです。
派遣先で実力を示すことができれば、3年ルールによって派遣先に直接雇用される可能性もゼロではありませんし、無期雇用派遣の可能性も生まれます。
その他にも将来的にフリーランスとして働きたい場合、もしくは正社員に戻りたい場合においても、人脈を広げておくことで仕事を得られるチャンスが増える可能性も高まります。
同時に人脈が広がることで技術的な視野も広がること、幅広く興味や関心を持てるようになることも大きなメリットです。
次に技術者派遣のデメリットをご説明します。
技術者派遣は派遣切りされるリスクがあります。
この点が派遣に対するネガティブなイメージとなる部分と言えますが、今のご時世であれば、業界や業種、企業や組織としての規模に関わらず、雇用関係が維持できないことを考えれば必要以上にデメリットではないと言えます。
むしろ、技術者派遣において正社員のような雇用を望むのは難しいと覚えておくべきです。
ただし、派遣切り自体は自分の都合や気持ちでどうにもならないためショックを受ける可能性もありますし、登録型派遣の場合はいきなり収入が途絶えるという不安があるのも事実です。
いざ派遣切りにあった時にどうすべきか決めておくこと、収入が途絶える前にすぐに次の仕事を見つける手段を考えておくことが大切です。
技術者派遣はあくまでもエンジニアとして派遣される形であり、重要な責任のあるポジションにつけないことが多いというデメリットがあります。
ただし、エンジニアかつプロジェクトマネージャーの経験がある場合、派遣会社と派遣先の交渉次第でそれなりのポジションに配属させる可能性もゼロではありません。
また、考え方としては重すぎる責任を押し付けられずに済むという見方もできます。
責任感を持って仕事をするというよりお金のために働きたい人、もしくは責任によるリスクを最小限にしたい人に向いているとも言えるでしょう。
技術者派遣の時給は常用型なのか、登録型なのか、プロジェクトや案件の単価、同時に自分自身のスキルや実力によって異なりますが、平均的な相場観としては時給ベースで1,500円~3,000円以上と考えておいて間違いないでしょう。
少しでも単価を上げたいのであれば、自分の得意とする技術的分野やプログラミング言語だけでなく、関連する技術やスキルを身に付けておくのがおすすめです。
また派遣会社によって交渉力や営業力が異なることもあるため、相見積りという訳ではありません。
ひとつの派遣会社だけでなく、いくつかの派遣会社に登録や相談することも検討しておきましょう。
基本的には派遣会社と派遣先の間にある単価が自分自身に反映されることを意識して安過ぎないかどうか、もしくは高い過ぎる場合に自分の実力やスキルで対応できるかどうかなど、しっかりと検討することをおすすめします。
今回は技術者派遣に関する基礎知識や技術者派遣のメリット・デメリットについてお話しました。
技術者派遣は個人およびフリーランスでは出会えない、もしくは自分の実力では正社員として登用されにくい企業や組織の開発現場で働ける唯一の手段と言えます。
言い換えれば、普通であれば体験できない環境や開発現場で働けるということでもあり、経験や実績が欲しい人にとってはぴったりの雇用形態です。
同時に、フリーランスとして働く場合においても登録型の派遣会社に登録しておくことで、いざという時に一定の期間働くことも可能ですし、一時的に常用型で派遣会社に雇用してもらうことで安定的に収入を得ることもできます。
末永くエンジニアとして働きたいとお考えであれば、時には技術者派遣を利用することも視野にいれておくこと、異なる環境、様々な開発現場で働ける地力を持つことをおすすめします。
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