公開日:2022.12.01
更新日:2025.03.24
2023年10月からインボイス制度が導入されます。フリーランス(個人事業主)の収入にもインボイス制度は大きな影響を及ぼすとされており、動向を見守る必要があるでしょう。
そしてインボイス制度と関わりのある制度が消費税課税事業者制度です。
消費税課税事業者制度の対象であるかどうかで大きく収入も変わってきます。
そこで今回は、消費税課税事業者の仕組みや、消費税課税事業者とインボイス制度の関係について解説します。
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<目次>
1.消費税課税事業者とは
2.消費税課税事業者の対象となる条件
課税売上高が1,000万円以上である
資本金が1,000万円以上である
出資元の課税売上高が5億円以上である直接株主から出資を受けているもしくは株主が50%以上を保有している
上記の条件を満たさなくても書類を提出することで消費税課税事業者を選択できる
3.消費税課税事業者を選択するメリット
仕入れの額が大きいと差額分が還付される
4.消費税課税事業者を選択するデメリット
一度消費税課税事業者を選ぶと2年間免税事業者には戻れない
5.インボイス制度と消費税課税事業者の関係
インボイス制度とは
消費税課税事業者でないとインボイスを発行できない
6.まとめ
消費税課税事業者とは、その名の通り消費税が課される事業者のことを言います。
私たちが普段お買い物をするときに消費税を支払うように、法人も商品を購入したり、サービスを利用するにあたっては消費税を支払うことになります。
消費税に関しては、例えば私たちは普段スーパーで商品を購入したときに、商品の料金に消費税を上乗せした金額を支払うでしょう。
このようにサービスの利用者がサービスの提供者に対して消費税を支払います。
そしてサービスの提供者は利用者から受け取った消費税を国や地方自治体に納めるという流れになっています。
しかし利益の少ない事業者から消費税を徴収するのは事業者にとって大きな負担になってしまうでしょう。
それに消費税を徴収する国や自治体の立場からしても、少ない金額の消費税を事業者から徴収する作業は面倒です。
そこで消費税に関しては一定の利益を出しているなど条件を満たす事業者のみを課税対象とし、条件を満たさない事業者は免税事業者として扱われています。
消費税課税事業者の対象となる条件には様々なものがあります。
フリーランスは基本的には課税対象とならないケースの方が多いですが、念のため条件を確認しておきましょう。
課税売上高が1,000万円以上の場合、消費税課税事業者となります。
逆を言えば消費税は特定期間における課税売上高が1,000万円以下の場合に免税対象となります。
ちなみに特定期間と言うのは、フリーランス(個人事業主)の場合は前年の1月1日〜6月30日の半年間、法人の場合は前事業年度の開始日から半年間を指します。
消費税課税事業者の対象となる法人は、前事業年度の開始日から半年間の課税売上高を基準に消費税を算出します。
しかし設立して1年未満の企業は前事業年度の情報が存在しないため、基本的には消費税課税事業者の対象から外れます。
ただしこの条件に当てはまっていたとしても、資本金が1,000万円以上だった場合は消費税課税事業者の対象になります。
免税制度はあくまで売上に余裕がない規模の小さい企業のための制度です。
そのため自己資金ではなく株主から出資を受けているもしくは、出資元の企業が経営状況の良い企業である場合、課税対象となります。
基準は以下の2点。
・出資元の課税売上高が5億円以上である。
・直接株主から出資を受けているもしくは株主が50%以上株式を保有している
この条件を満たす企業は特定新規設立法人とみなされ、特例として消費税課税事業者の対象となります。
これまで紹介してきた条件を満たさなくても、免税を受けるより消費税課税事業者を選択した方が良いケースが存在します。
例えば輸出業者の場合輸出に消費税はかからないので、消費税課税事業者を選択して還付を受けた方がお得です。
このような場合は消費税課税事業者選択届出書を管轄の税務署に提出することで手続きができます。
こちらの書類に関しては、希望する課税対象期間の前日までが提出期限ですが、なるべく早く手続きを済ませることをおすすめします。
資本金や課税売上高が1,000万円以上の企業は消費税課税事業者しか選べませんが、免税の対象となる場合は消費税課税事業者と免税事業者のどちらかから都合の良い方を選べます。
免税の方がお得に感じるかもしれませんが、あえて消費税課税事業者を選択するメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
メリットについて解説していきます。
消費税課税事業者を選択するメリットが大きいケースは、仕入に発生する消費税が売上にかかる消費税を上回るケースです。
消費税課税事業者を選択した場合、仕入にかかった消費税を売上分の消費税の額から控除することができます。
そして控除できなかった分は確定申告の際に還付されます。
例を挙げると先ほど挙げた輸出事業者の他に大家や医師など非課税売上が大きい仕事の場合、かなりの額の控除・還付を受けられます。
このように事業内容によってはあえて消費税課税事業者を選択することで節税ができます。
消費税課税事業者を選択すると損をしてしまうケースもあります。
次は消費税課税事業者を選択するデメリットについて解説します。
一度消費税課税事業者を選択してしまうと、2年間取り消すことができません。
初年度に設備を大量に購入して仕入額が大きくなってしまったために課税事業者を選んだけれども、翌年度は仕入額よりも売上分の消費税が高額で、損をしてしまう可能性があります。
そのため、ある程度翌年度分の売上を考慮したうえで消費税課税事業者を選択しましょう。
フリーランスの収入に大きく影響を及ぼすと言われるインボイス制度。このインボイス制度と大きく関係しているのが消費税課税事業者です。
それでは、インボイス制度と消費税課税事業者の関係について解説します。
まずインボイス制度とは、売り手が買い手に対して適正な適用税率や消費税を記載したインボイス(適正価格書)を発行する制度のことを言います。
こちらの制度は取引の際に発生する消費税額を正しく把握するために2023年10月から導入されます。
インボイス制度においては、売り手側は買い手側からインボイスの発行を要求されたときに発行する、インボイスの写しを保管することが義務付けられています。
また、買い手側は仕入税額控除を受けるにあたって、インボイスの保管が義務となります。
フリーランスにおいてインボイス制度が脅威であると言われる原因が、消費税課税事業者でないとインボイスを発行できないことです。
エンジニアなどフリーランスで活動する人で課税売上高が1,000万円を超える人は限られますし、かと言って仕入分の消費税額が売上分の消費税額を上回ってあえて消費税課税事業者を選択するメリットも受けられない可能性が高いでしょう。
そこでサービスの売り手側であるフリーランスが消費税課税事業者を選択せずにインボイスを発行できないと、サービスの買い手側は仕入税額分の控除が受けられなくなってしまいます。
そのため、仕事の依頼の数が減ることが想定されるでしょう。
また、それだけでなく仕入税額分の控除が受けられなくなる代わりにフリーランスの報酬を減らす取引先も現れる可能性があります。
ただし、インボイス制度においては状況の激変を緩和するために経過措置が用意されています。
免税事業者などインボイスが発行できない事業者と取引をする場合でも、インボイス制度が始まる2023年10月から2026年10月までの3年間は80%、2026年10月から2029年10月までの3年間は50%の仕入税額の控除が可能です。
そのため、控除が適用される期間内に消費税課税事業者へ切り替える、固定のクライアントを獲得するなどして対策を練っておきましょう。
消費税課税事業者はその名の通り商品の売買など取引を行うにあたって消費税が課される事業者のことを言います。
消費税課税事業者に関しては条件を満たさない個人事業主や法人は免税となりますが、あえて消費税課税事業者を選択することも可能です。
インボイス制度の導入によって、事業を行うにあたって消費税課税事業者が圧倒的に有利な状況となりました。
フリーランスの売上にも影響するので、インボイス制度が始まる2023年10月を目安に消費税課税事業者への切り替えも検討してみてください。
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