インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?事業者への影響や消費税との関係性は?

税金フリーランス常識

2021.08.16

2023年から導入される、インボイス制度についてご存じでしょうか。
消費税増税に伴う軽減税率への対応として導入される制度ですが、一般的には小規模事業者にとって不利な税制と認識されています。

仕事や収入が減るのでは、と不安に感じるフリーランスの方も多いのではないでしょうか。


この記事では、インボイス制度についての概要や導入後に予想される問題、その対策などについてまとめました。

特に下記の方にこの記事を一読していただきたいです。
・フリーランスの方
・事業者の方
・インボイス制度(適格請求書等保存方式)を理解したい方
・インボイス制度(適格請求書等保存方式)の存在を知らない方

 

 

 

1.インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?


インボイス制度(適格請求書等保存方式)関連画像
インボイス制度(適格請求書等保存方式)関連画像

インボイス制度とは、事業者が「仕入税額控除」を受ける要件として、所定の項目が記載された請求書や納品書の保存が求められる証票制度です

 

制度を理解する上で必要な、仕入税額控除と消費税の関係について少し触れておきます。

ご存じの通り、消費税は消費者が商品やサービスを購入する際に課税される税金です。自社で作った商品を直接消費者に売る場合、課税のタイミングは一回ですが、商品が流通する際「製造者→卸売業者→小売店→最終消費者」のように、複数の取引が発生することは珍しくありません。

 

各事業者は商品を仕入れる際に消費税を含む代金を支払うため、上記の商流ではそれぞれの事業者が重複して消費税が支払っていることになります。

流通の過程において、各事業者が払いすぎた重複分の消費税を控除するのが「仕入税額控除」です。

 

インボイス制度は、事業者が仕入税額控除を受ける際、従来の請求書とは異なる「インボイス(適格請求書)」の保存を要件とする制度のことをいいます。

 

インボイス=適格請求書

「インボイス(Invoice)」の直訳は「請求書」で、インボイス制度においては「インボイス=適格請求書」にあたります。

インボイスは「売手が、買い手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」です。

 

インボイス制度導入後は、請求書や納品書、領収書、レシートなどの書類に対し、定められた各項目を明記する必要があります。

従来仕入税額控除の請求書として認められていたものと比べて、必須の記載項目が増えており、「適格請求書発行事業者の登録番号」「適用税率」「消費税額」などが追加されました。

 

 

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始時期

インボイス制度の開始時期は2023年10月1日を予定しており、現在は導入までの猶予機関にあたります。

消費税の増税と軽減税率制度導入後の混乱を考慮し、2019年10月1日~2023年9月30日までの間は、現行の「請求書等保存方式」を維持しつつ、軽減税率対象とそれ以外を税率ごとに分けて記載する「区分記載請求書保存方式」の措置がとられています。

 

 

インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入の理由

インボイス制度が導入される理由は、取引上の消費税額を正確に把握するためです。

軽減税率が導入されたことで、品目ごとに8%と10%のどちらかが税率として適用されるのようになりました。

 

軽減税率の適用前は消費税率が一律だったため、売上金額から仕入額を引くことで、消費税の算出が容易に可能でした。

二種類の税率が並行している現在は、税率別に仕入を分けた上で、それぞれの納税額を算出しなければなりません。

 

税率ごとの正確な納税額を確認するために、価格と税率が明記されたインボイスが必要となります。

 

 

インボイス制度(適格請求書等保存方式)と従来の請求書等保存方式の違い

インボイス制度(適格請求書等保存方式)と従来の請求書等保存方式では、記載すべき項目が異なります。


引用:適格請求書の記載事項

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
取引年月日
取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率事に1回ずつ)
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

国税庁パンフレットより

 

インボイス制度と請求書等保存方式の大きな違いは、「適格請求書発行業者の登録番号」「適用税率」「消費税額」の記載が必須である点です。

インボイスを発行できるのは「適格請求書発行事業者」に限られ、課税事業者でなければ発行事業者としての登録はできません。

 

発行事業者となるためには、税務署長に対して登録申請書を提出し、登録の承認を受けた後、登録番号を附番される必要があります。

消費税額を記載しなければならない点も従来と異なります。

請求書等保存方式では「課税仕入れに係る支払対価の額」の記入は必要でしたが、消費税額自体の記入は必要ありませんでした。

 

また3万円未満の少額取引では、請求書が無くても帳簿で把握しておけば仕入税額控除が受けられましたが、インボイス制度の場合はより厳格で3万円未満の場合もインボイスの保存が求められます。

現在はインボイス制度導入前の「区分記載請求書保存方式」がとられていますが、適用税率について8%、10%の税率ごとに区分して記載する以外は、請求書保存方式と変わりません。

 

 

 

2.インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入による事業者やフリーランスの影響


インボイス制度(適格請求書等保存方式)関連画像
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インボイスの発行と保存が、2023年度以降の仕入税額控除の要件として必要なことはご理解いただけたと思います。

では、実際にインボイス制度が導入された際、事業者やフリーランスへはどのような影響があるのでしょうか。

 

事業者ごとの違いや、対応方法について説明します。

 

免税事業者と課税事業者の違い

「免税事業者」と「課税事業者」の違いは、消費税の納税義務の有無です

基準となる期間の課税売上高が1,000万円以下、かつ一定の条件を満たした事業者は、免税事業者として判定され、消費税の納税が免除されています。

納税は免除されていますが、消費税自体は請求してもよいことになっているため、今までは消費税分がそのまま事業者の収入として計上されていました。

 

インボイス制度の適用下において、適格請求書発行事業者の登録ができるのは課税事業者に限られます。

そのため免税事業者はインボイスを発行することができません。

 

免税事業者との取引をする場合、発注元は仕入税額控除を受けられず、本来の税額以上の余分な税金を納める不利益を被ります。

 

この問題によりインボイス制度導入後は、フリーランスをはじめとした免税業者との取引を避ける企業が増えるのではないか、と危惧されています。

免税業者側は取引を継続するため、仕入額控除が出来ない消費税分の値下げ対応を余儀なくされ、結果として売上が減少する可能性は否定できません。

 

 

インボイス制度(適格請求書等保存方式)に事業者やフリーランスが上手く対応する方法

フリーランスをはじめとした免税事業者のインボイス制度への対応として、「基準期間の課税売上高が1,000万円以下」でも課税事業者として適格請求書発行事業者の登録する方法が考えられます。

 

適格請求書発行事業者登録をすることでインボイスの発行が可能になれば、発注元が税額控除で困ることもないため、発注の減少を避けることができます。

ただし、課税事業者になった場合は消費税の納税義務があるため、導入前と比べ消費税額分約10%の売上が減少することになります。

 

 

インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入で事業者やフリーランスに必要な準備

インボイス制度が導入される2023年10月1日から、適格請求書発行事業者になるためには、事前に登録を行う必要があります。

登録可能期間は、原則として2021年10月1日から2023年3月31日までです。

 

免税事業者が課税事業者になるためには、通常「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要です。

ただし、「2023年10月1日を含む課税期間中」に適格請求書発行事業者登録を行った場合、上記の消費税課税事業者選択届出書の提出は不要で登録を受けた日から課税事業者となる措置がとられています。

 

 

 

3.まとめ


インボイス制度の導入まではまだ猶予がありますが、取引先との関係を考えると、現在免税事業者の方は早めに方針を決める必要があるのではないでしょうか。

この記事では、基本的に課税業者として適格請求書発行の事業者登録をすることをおすすめしていますが、最終消費者向けのサービスや、粗利率が多い事業形態であれば、免税事業者の継続も選択肢のひとつです。

 

正攻法としてこの機会に売上高1,000万円を目指し、課税業者として事業規模拡大を考えてみてはいかがでしょうか。

課税業者の判断は前々年度の売上高が基準となるため、2021年の売上高1,000万円の達成を目指すことをお勧めします。

 

 

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