公開日:2020.12.23
更新日:2025.03.24
転職活動を行って会社(企業)に内定すると、入社のためにさまざまな書類を提出する必要があります。
その中のひとつとして提出を求められるのが「健康診断書」です。
企業に勤めてから定期的な健康診断を受けることは周知されていますが、実は転職活動をして会社(企業)に内定後、提出する書類のひとつとして健康診断書を出す必要があります。
では、なぜ転職活動の際に内定すると健康診断書を会社(企業)に提出しなくてはならないのか、その理由や健康診断書を用意する方法・費用について詳しくご紹介します。
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<目次>
1.転職活動の際に健康診断書の提出をする理由
法律上による理由
職場の適応能力判断による理由
2.雇い入れ時健康診断とは
健康診断の受診対象者
受診時期や期限
健康診断を受診出来る場所
健康診断の受診にかかる費用は?自費になる?
健康診断結果は転職の採用に関係する?
3.健康診断書に必要な項目
4.健康診断を受診することも転職活動の一環
5.まとめ
転職活動の際に、内定をもらったり最終選考を受けたりする段階になると、会社(企業)から健康診断書の提出を求められる場合があります。
どのような理由で提出を求められているのかがわからないと、「健康診断の結果によって内定が取り消されてしまうのでは」と心配になるでしょう。
しかし、会社(企業)が健康診断書の提出を求めるのには、明確な理由があります。
すべての労働者・雇用主に関連する法律として「労働基準法」がありますが、そこからさらに独立して制定されたのが「労働安全衛生法」という法律です。
労働安全衛生法では、職場における労働者の安全と健康を確保すること、そして快適な職場環境を形成することが目的とされており、雇用主が労働者を雇う際に働きやすい環境を整えることがすすめられています。
そして、この法律の中にある「労働安全衛生規則」に、事業者(雇用主)が労働者を雇い入れる際には健康診断を行うことが義務付けられています。
しかし、健康診断を受けてから3ヵ月以内の労働者を雇う場合には、健康診断書を提出してもらえば、再度健康診断を受ける必要はありません。
このように、会社(企業)が内定時・最終選考の際などに健康診断書の提出を求めるのは、労働安全衛生法という法律にのっとった正当な理由があるからです。
もうひとつの理由として挙げられるのが、これから勤務する予定の会社(企業)に適応できるかどうかを判断するための材料として健康診断書の提出を求めるケースです。
たとえば、長距離ドライバーやタクシー運転手のように長時間車の運転をする仕事の場合には、視力や体力、その他運転に支障のある既往歴がないかをチェックする必要があります。
こうした項目は、面接だけでは決してわかりません。
健康上、仕事ができそうかどうかという適応能力を判断するために、会社(企業)が健康診断書を求める場合もあることを知っておきましょう。
労働安全衛生法という法律上、健康診断書を提出もしくは健康診断を行う必要があることを前述しました。
この健康診断のことを「雇い入れ健康診断」と言い、会社(企業)はこれから長期間働いてもらう予定の労働者を雇い入れる際に、さまざまな項目の健康診断を行う必要があります。
ここからは、雇い入れ時健康診断について、どのように健康診断を受ければ良いのか、その対象者や受診期限などを詳しく見てみましょう。
まず、健康診断を受ける必要がある受診対象者は、これから働く予定の労働者の方です。
そのうち、労働安全衛生法の「労働安全衛生規則」では「常時使用する労働者を雇い入れるとき」を対象として、健康診断を受けることを義務付けています。
つまり、雇い入れ時健康診断の受診対象になるのは正社員の方だけでなく、勤務時間や日数の多い契約社員や、パート・アルバイトの方も含まれるということです。
雇い入れ時健康診断の受診時期は、入社(雇い入れ時)の前後3か月以内が一般的です。
労働安全衛生規則によると、「医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない」としています。
つまり、前の職場ですでに健康診断を受けており、そこから3か月以内であれば雇い入れ時健康診断を受ける必要はなく、受診する必要もありません。
3か月以上が経過している場合や、前の職場で健康診断を受けていない場合には新しい職場の指示に従って雇い入れ時健康診断を受けましょう。
ただ、3か月以内の健康診断書、または半年以内の健康診断書でも対応しているなど、転職先の会社(企業)によって対応が異なる場合があるため、まずは会社(企業)の採用担当者に相談するのがおすすめです。
雇い入れ時健康診断の受診時期・期限ともに、入社時(雇い入れ時)の前後3か月だと覚えておきましょう。
雇い入れ時健康診断を受診できる場所は、全国の医療機関もしくは保健所です。
ただし医療機関によって健康診断ができる病院・できない病院があったり、予約制であったりするためまずはかかりつけ医に相談したり、近くの病院へ問い合わせ/ネットで検索してみると良いでしょう。
問い合わせの際には「雇い入れ時健康診断」または「雇用時健康診断」と伝えるとスムーズです。
雇い入れ時健康診断の受診にかかる費用は、自費・会社持ちの両方のケースがあります。
ですが、雇い入れ時健康診断にかかる費用について、昭和47年に旧労働省(現厚生労働省)から各都道府県の労働基準局長宛てに、次のような通達がなされています。
「Ⅰ法律関係 13 健康管理 (2)第六六条関係 イ 第一項から第四項までの規定により実施される健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであること。」
この項目には会社(企業)で年1回以上受ける定期健康診断のほか、雇い入れ時健康診断も含まれています。
つまり、上記の通達には法的な拘束力はないものの、雇い入れ時健康診断にかかる費用は「原則的に会社(企業)が負担するもの」という見解です。
雇い入れ時健康診断は健康保険の適用外になるため、たとえ会社(企業)負担であってもいったんは全額自費で負担することになります。
雇い入れ時健康診断でかかる費用は、検査項目が複数あるため1万円前後です。
会社(企業)の指示に従い、経費精算に必要な領収書を取っておきましょう。
また、健康診断の結果再検査や治療が必要になった場合には、保険適用となることも併せて覚えておくと良いでしょう。
雇い入れ時健康診断結果は、転職時の採用に少なからず関係することがあります。
たとえば、前述の「職場の適応能力判断による理由」のように、健康診断の結果、明らかに仕事に支障が出てしまうような結果が出てしまった場合です。
思わぬ事故やトラブルにつながる可能性があるため、雇用契約を行う際の仕事内容が務められない場合や、雇用(勤務)開始を延期しても治らない場合など、仕事に支障が出る際には採用内定の取り消しが行われる可能性があります。
この判断は、転職先の会社(企業)が労働者の健康管理を行う医師・産業医に委ねられるケースが多く、基本的には健康診断の結果ですぐに内定取り消し・解雇になることはありません。
雇い入れ時健康診断の結果で高血圧だったり、既往症があっても特に業務に差し支えがなかったりする場合には心配いらないでしょう。
雇い入れ時健康診断書には、検査を受けることが義務づけられている項目が複数存在しています。
どのような項目が必要なのか、ひとつずつ見てみましょう。
・既往歴・業務歴について
過去に手術を受けたり、治療を行ったりした経験(病歴)についてです。
たとえば、ぜんそくや高血圧、虫垂炎(盲腸)の手術経験などが挙げられます。現在風邪をひいているといったものは、既往歴とはみなされません。
・自覚症状・他覚症状があるかどうか
息苦しさを感じる、脚がつりやすいなどの体の症状はもちろん、眠れないなどの症状もこれに当てはまります。
・身長・体重・腹囲・視力・聴力
入社後に行われる定期健康診断では、特に身長・体重・腹囲から計測するメタボリックシンドロームの診断が行われるため、これらの基本的な計測も事前に行っておきます。
また、聴力については1000ヘルツ、4000ヘルツの音を用いて検査を行います。
・胸部エックス線検査
肺や心臓などの異常を調べます。
・血圧
心臓から血液が全身に送り出される際、血管の内側にどれくらいの圧力がかかるかを調べる検査です。
血圧が低い方は血液を全身に送り出す力が弱く、血圧が高い方は血管に負担がかかりやすい状態と判断できます。
・貧血検査
血液をとり、血液中のヘモグロビン値を測ります。
鉄分不足のほか、血液疾患が原因で貧血になることもあります。
・肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)
GOTとGPTはそれぞれ何らかの組織に障害が起こると血液中に増える幹細胞、γ-GTPは酵素のひとつです。
γ-GTPは常習的な飲酒で数値が上がります。
・血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・血清トリグリセライド)
LDLコレステロールは冠動脈疾患の危険因子として、HDLコレステロールはいわゆる善玉コレステロールとして知られています。
血清トリグリセライドは内臓脂肪や脂肪肝の原因になる、中性脂肪のことです。
・血糖検査
病院によって異なりますが、空腹時血糖・随時血糖のどちらかで検査を行います。
空腹時血糖は、検査日の朝食を抜いて血糖値を調べる方法、随時血糖は特に食後の時間を決めずに採血して血糖値を調べる方法です。
・尿検査
尿糖や尿蛋白を調べ、高血糖や腎硬化症などの疾患のおそれがないかを調べます。
・心電図検査
体の微弱な電気信号を調べ、不整脈や心疾患などがないかを調べます。
雇い入れ時健康診断では、これら11の項目について検査をする必要があります。
また、前の職場などで健康診断を行っていた場合でも、上記11の項目を満たしていない場合には、たとえ健康診断書があっても雇い入れ時健康診断を受けたとはみなされません。
受診できていない項目がある場合には、改めて新しい職場の雇い入れ時健康診断を受けましょう。
会社(企業)に内定をもらった際や内定後、もしくは内定がもらえそうなタイミングで、健康診断を受けるように指示されることがあります。
これは会社(企業)が労働者の健康管理を行うこと、入社後にも定期的な健康診断を行い、さらに労働者への配慮や働きやすい環境作りに務めることが目的です。
そのため、内定をもらった際に健康診断を受診するように指示されても、「なぜそのような必要があるのか」と不信に思わず、転職活動の一環として理解しておきましょう。
転職時に100%健康診断書の提出や健康診断の受診を求められるわけではありませんが、長期間の雇用をする際には健康管理のために法律で定められている項目のため、早めに受診するように心がけましょう。
転職における知識をさらに蓄えたい方は下記記事をご一読ください↓
転職時の健康診断を求められるのは、その内容によって内定取り消しを行うのではなく、あくまで会社(企業)側が労働者の健康管理を行うためです。
転職において健康診断を受診する際、入社前後3か月を目安に指示されるため、スケジュール調整を行いましょう。
そのため、転職活動時に近場で健康診断を受け付けている医療機関をあらかじめ探しておくのもおすすめです。
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