公開日:2021.06.23
更新日:2025.03.24
現在では多くの企業が複雑なシステムを導入しており、開発や運用、保守、統合などにあたる人員を内部から捻出することは、本業に割く人員とのバランスを見ると難しいと言えます。
そこで多くの企業が利用しているのが、SESやSIerです。SESとSIerの特徴を整理しておくことで、両者を効果的に活用できるようになるでしょう。
そのためこの記事では、SESの概要や他の契約形態との違い、SIerの概要や種類について詳しく紹介します。
特に、以下の方にこの記事をご一読していただきたいです。
・IT業界に関する基礎的な知識・情報を習得したいエンジニアやビジネスマン
・SESと他の契約形態との違いを明確に整理したい方
・SIerの意味や読み方について知りたい方
・SIerの種類について知りたい方
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<目次>
1.SESとは
SESとは準委任契約
請負契約との違い
混同されがちな派遣契約との違い
2.SIerとは
システムインテグレーターの略
メーカー系SIer
ユーザー系SIer
独立系SIer
3.まとめ
この章ではSESの契約形態や混同されやすい形態との違いを整理し、SESの概要について詳しくお伝えします。
SESとは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略であり、「準委任契約」と呼ばれるIT業界での契約形態の1つです。
SESは、主にシステム開発の現場で用いられます。
・準委任契約とは
準委任契約とはエンジニアが持つスキルや労働力を提供することを目的とした契約形態であり、エンジニアは働いた時間に応じて報酬を得ます。
そのため業務において完成義務はなく、製品に対する瑕疵担保責任もありません。
また、発注をして労働力の提供を受けるクライアント側に、エンジニアに対する業務指揮命令権がないのも特徴の1つでしょう。
・SES利用のメリット
SESを利用することで必要に応じて人員を調達できるため、企業は人材が必要な時に柔軟に調節できます。
また、社内でスキル不足に陥ったりノウハウが不足したりした場合でも、SESなら比較的迅速かつ手軽に必要なエンジニアを補うことが可能です。
クライアントからすればスポットでエンジニアを雇うことができるため、人材コストを抑えられる点もメリットだといえるでしょう。
請負契約とは、働いた時間に関わらず仕事の完成に対して報酬を得る契約形態のことです。
エンジニアに対する業務指揮命令権がクライアント側にない点はSESと共通していますが、以下の点で違いがあります。
・報酬に関する違い
請負契約は成果物の完成に対して報酬を得る契約形態であり、成果物が完成しなければいくら働いたとしても報酬を得られません。
一方のSESは働いた時間に応じて報酬が得られる契約形態であり、成果物が完成したか否かは問われない点で異なっています。
・成果物への責任に対する違い
請負契約は成果物に対する瑕疵担保責任を負うため、もし欠陥があった場合には修正に応じる必要もあります。
修正が必要な状態では仕事が完成したとは判断されず、そのままでは報酬を得ることもできません。
一方のSESは成果物に対する責任は問われず、決められた期間労働力を提供することで、時間に応じた報酬を得ることができます。
SESと混同されやすい形態として知られるのが、派遣契約です。
派遣契約とは、派遣会社と労働者(エンジニア)が雇用契約を結び、派遣先のクライアント企業で業務に就く契約形態を指します。
両者は混同しやすいため、ここではまず共通点を明確にした後で、違いを整理して明確に区別できるようにします。
・SESと派遣契約の共通点
SESと派遣契約が混同されやすいのは、共通点が多いからだと考えられます。
まず、SESと派遣契約は共に、働いた時間に対して報酬を得ます。
そして両者ともに報酬を出すうえで成果物が完成したかどうかが問われず、瑕疵担保責任を負うこともありません。
また、SESと派遣契約ともにクライアント先に常駐することが多い点も共通点だといえるでしょう。
・SESと派遣契約の違い
派遣契約とSESの違いとしてまず挙げられるのが、業務指揮命令権の所在です。
派遣契約では、労働者(エンジニア)に対する指揮命令権はクライアント企業にあります。
しかしSESにおいて労働者に指揮命令権を持つのは労働力提供元のSES企業です。
この点を明確に整理できておらず、SES契約で常駐しているエンジニアに対しクライアントが指示してしまうと、「偽装請負」とみなされかねないため注意しましょう。
この章では、Slerの概要や種類について詳しくお伝えします。
SIerは「エスアイアー」と読む、「System Integrator(システムインテグレーター)」の略称です。
企業等が利用しているシステムの開発や統合、運用や保守などを請け負う会社のことを指します。
世間に存在する企業の多くが、自社独自の情報システムを持っています。
しかしこれを運用するために情報システムに詳しい人材を充分に雇うことは難しく、本業に割く人員の確保が優先されるのが実情です。
また、システムは単一で役割を果たすものだけでなく、複数のシステムを統合して運用する必要がある局面も出てくることでしょう。
そこでSIerが企業の情報システムを管理し、企業が直面する問題をITの側面から解決していきます。
SIerはシステム開発から保守までを委託できるため、システム導入に対し必要以上の人員を確保する必要がなくなり、コストカットが期待できるでしょう。
メーカー系SIerとは、パソコン・ハードウェアなどを製造しているメーカーから、情報システムを管理する部門が独立してできた企業のことを言います。
有名なところではIBMや富士通などのSIerが挙げられるでしょう。
メーカー系SIerは主に親会社から受注した案件に対し、設計から保守運用までを行います。
親会社は大企業であることも多く、何年も続く大規模な案件や公共機関に関わる案件などを受けることもあります。
親会社が大企業であるため企業体制はしっかりしていることが多く、信用があるため案件が途切れにくい点も特徴的です。
近年ではクラウドサービスの一般的普及が原因で売り上げに置いて苦戦を強いられる局面もありますが、大企業に関してはそれほど大きく問題視する必要はないでしょう。
ユーザー系SIerとは、一般企業の情報システム管理部門が独立してできた企業のことを指します。
商社や保険会社、銀行など様々な企業から、ユーザー系SIerが独立しています。
ユーザー系SIerは親会社が業務で使用する情報システムの開発や運用などを行い、時には設計から新しいシステムを構築することもあります。
ユーザー系SIerでは親会社の業種によってシステムの内容も変化し、親会社の業務知識がある程度求められる局面もあるでしょう。
また、基本的には親会社からの受注した業務を行い、社外外注も少ないと言えます。
しかし、ケースによっては外部の企業から受注することもある点は、理解しておきましょう。
メーカー系SIerと同様に親会社が大企業であることが多く、経営状態が安定していることが多いといえます。
独立系SIerとは、親会社を持たず独立して企業活動を行っているSIerのことです。
独立系SIerの例としては、大塚紹介やSCSK、富士ソフトなどが挙げられるでしょう。
日本におけるSIerの多くが独立系SIerであり、ITベンチャーと呼ばれる企業も多くあります。
独立系SIerは自ら案件を取り、システム開発や運用業務を行います。
親会社の縛りがない分経営方針の自由度が高い傾向があり、従業員にスーツ着用義務がない、フレックスタイムなどを導入しているなどの特徴を持った企業が多数あります。
大企業によくある年功序列の給与形態をとっておらず、実力主義で昇給・昇進していくという企業も多いといえるでしょう。
しかしその反面で、親企業がないことから経営は安定しにくい傾向があります。
SESは準委任契約と呼ばれ、エンジニアが持つスキルや労働力を提供することを目的とした契約形態のことを指します。
SESは請負契約や派遣契約と混同しやすいのですが、報酬形態や成果物に対する責任の有無、指揮命令権の所在に注目すると区分けがしやすいでしょう。
一方のSIerとは、企業のシステム開発や統合、運用や保守などを主に請け負う企業のことです。
SIerにはいくつかの種類がありそれぞれに特徴があるため、意識して整理しておくことをおすすめします。
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