受託開発って?メリット・自社開発との違いを徹底解説!

開発

2022.06.28

エンジニアとしてに働き方・契約の一つに「受託開発・請負契約」があります。

例えばフリーランスエンジニアとして案件を受託開発として受注し、成果物を完成させることで報酬を受け取るのが一般的な流れです。
その他、準委任契約や労働者派遣契約という働き方もあることから、自身にあった働き方を比較検討すると良いでしょう。

今回は受託開発に関する基礎知識やメリット・デメリット、そして自社開発に関する基礎知識とメリット・デメリットについてお話します。

<目次>
1.受託開発とは
2.受託開発(請負契約)とその他の契約形態の違い
契約不適合責任があるか
完成責任があるか
指揮命令権
支払い方法について
3.受託開発のメリット
開発工数を抑えられる
再現性のある予算計画が立てられる
4.受託開発のデメリット
自社内のエンジニアの育成に繋がらない
社内情報を外部に渡すことでセキュリティリスクがある
5.受託開発とよく比較される自社開発とは
6.自社開発のメリット
自社内のエンジニアの育成に繋がる
エンジニアとのコミュニケーションが取りやすい
納期を柔軟に変更できる
7.自社開発のデメリット
技術選定が自社内のエンジニアに依存する
人脈が形成しづらくなる
失敗した際のリスクが大きい
8.まとめ

 

 

 

1.受託開発とは


受託開発関連画像
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システム開発やソフトウェア開発の分野における受託開発とは、依頼者・発注者が外部の業者もしくは個人事業主に対し、外部委託(アウトソーシング)することを指します

委託および依頼された外部の業者もしくは個人事業主は求められた成果物を契約時に定めた納期までに完成させるのが義務であり、成果物を完成させることで報酬が支払われます。

 

言い換えれば、契約通りの納期までに納品できなかったり、依頼者・発注者が求めるクオリティや機能要件を満たさなければ報酬は支払われないということです。

フリーランスエンジニアとして受託開発を行う場合、自分のスキルや経験に即した案件を受注できれば、短期間で稼げる可能性も高く、スキルアップとキャリアアップにもつながります。

 

 

 

2.受託開発(請負契約)とその他の契約形態の違い


受託開発関連画像
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エンジニアとして案件を受注、もしくは仕事をする場合、主に3つの契約形態に分かれます。

 

受託開発(請負契約)
準委任契約
労働者派遣契約

 

上記はそれぞれ異なる法律が定められており、なおかつ現場および実務での働き方にも違いが出てきます。

実際に受託開発(請負契約)とその他の契約形態がどのように違うのか4つの視点から簡単に説明します。

 

契約不適合責任があるか

契約不適合責任(瑕疵担保責任)とは契約した内容が守られていない、もしくは成果物による不具合やバグで何らかの被害があった場合に請け負った側が責任を取る義務を指します。

発注者が気が付いた時点から1年以内であれば受注した側として改善のために修正や調整を行うか、最悪の場合は金銭的な損害賠償を支払わなくてはなりません。

 

大切なのは受託開発(請負契約)は契約不適合責任が課せられますが、準委任契約と労働者派遣契約では契約不適合責任は課せらないという点です。

エンジニアとして受託開発で受注する場合、明らかに自分のスキルや経験では対応し切れないボリュームや技術レベル、もしくはセキュリティ性の高い案件を受注する場合は注意する必要があります。

 

 

完成責任があるか

完成責任とは契約時に定められた要件や内容に沿って成果物を完成させる責任を指します。

準委任契約と労働者派遣契約には完成責任はありません。受託開発(請負契約)にのみ完成責任があるという点を覚えておきましょう。

 

働いた時間や工数に対して給与や報酬が一定期間・定期的に支払われる方が良いなら準委任契約や労働者派遣契約の方が向いていると言えます。

逆に、自身のスキルや経験を武器に短期間でどんどん受注し、稼ぎたいのであれば受託開発(請負契約)の方が自由度は高いと言えるでしょう。

 

ただし、完成責任とともに契約不適合手責任があることも忘れてはいけません。

スキルや経験を積みたい場合はあえて準委任契約や労働者派遣契約で働いた方が責任区分としては安心だからです。

 

 

指揮命令権

指揮命令権とは直接的に作業者に指示や命令できるのは誰か?を指します。

 

受託開発(請負契約)と準委任契約の場合は受注者に指揮命令権があります。

労働者派遣契約のみ発注者側に指揮命令権があると覚えておきましょう。

 

受託開発(請負契約)の場合は求められた成果物を完成させるまでの流れを受注した側がコントロールできるということでもあり、成果物させ完成できるならば作業するペースや手順は細かく指示や命令されることはありません。

もし、受託開発(請負契約)なのに細かく進捗の確認や指示、命令が発注者から行われる場合、偽装請負という形で法律に違反してしまうことになるので注意してください。

 

 

支払い方法について

準委任契約や労働者派遣契約の場合は成果物が完成しなくても、携わった時間や工数に応じて賃金や報酬が通常の給与と同じようなタイミングで定期的に支払われます。

しかし受託開発(請負契約)の場合は契約で定めた納期までに、求められた品質の成果物を完成させた後でなければ報酬は受け取れません。

 

もし、受託開発(請負契約)として受注時はスケジュール的にも技術レベル的にも成果物の完成できると思っており、実際に間に合わなかった、もしくは求められたクオリティの成果物にならなかった場合はタダ働きになってしまうということです。

また、受託開発(請負契約)の支払方法は基本的には納品、検収完了後に一括で支払われることも覚えておきましょう。

 

 

 

 

3.受託開発のメリット


受託開発関連画像
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次に受託開発のメリットを説明します。

 

開発工数を抑えられる

発注する側のメリットとして、受託開発で委託することで開発工数を抑えられることが挙げられます。

開発のための人員や技術的リソースの確保、作業場所や機材の設置や配置などを社内や組織内で行わなくて済むからです。

 

開発会社に任せる工程が増えれば増えるほど、自社で対応しなければならない範囲は少なくなり、総合的なコストを抑えながら求めるソフトウェアやシステムを手に入れることができます。

受注する側としても受託開発であれば決まった範囲の工数、もしくは成果物に対して自らのスキルと経験で納期までの完成させれば良いため、ゴールがわかりやすいというメリットがあります。

 

 

再現性のある予算計画が立てられる

発注する側のメリットとして、再現性のある予選計画が立てられるというものも挙げられます。

同じようなソフトウェアやシステムであれば、工数・予算・時間が把握しやすいからです。

 

言い換えれば、明らかに相場を逸脱した価格を支払ったり、逆に安すぎてクオリティの低いものが納品されたりする可能性を避けられたりするということでもあります。

受注する側としても大幅に報酬を下げられたり、報酬以上のクオリティを求められたりする可能性が低くなったりするのもメリットです。

 

相場よりも安すぎる場合は受注しない、もしくは割に合わないと判断すれば報酬を相場に近づけたりする交渉もしやすくなります。

 

 

 

4.受託開発のデメリット


受託開発関連画像
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次に受託開発のデメリットを説明します。

 

自社内のエンジニアの育成に繋がらない

発注する側のデメリットとして、受託開発に依存してしまうと自社内のエンジニア育成につながらないことが挙げられます。

何らかの理由で外部委託先や受託開発先が受注してもらえなくなった時、システムやソフトウェアを維持管理できなくなったり、アップデートしたりすることができないということです。

 

逆に受注する側としてはコストさえ合えばデメリットは少なく、むしろ発注する側のニーズに応えることで取引先や実績の積み上げになるとともに、自身や自社の技術的な財産を蓄積できるというメリットになるとも言えるでしょう。

 

 

社内情報を外部に渡すことでセキュリティリスクがある

発注する側のデメリットとして、社内情報を外部に渡すことでセキュリティリスクがあることが挙げられます。

実際に発注元としては1社に依頼していたつもりが、受注先が他に発注していた、下請けに出していたなどの条件が重なり、セキュリティリスクがさらに高まってしまうという事案も散見されます。

 

受注する側のデメリットとしても社内情報・機密情報・個人情報を預かるということ自体がセキュリティリスクと損害賠償に発展するリスクが発生すると言えます。

もし、継続的にサポートやアップデートにも携わるとすれば、何らかのセキュリティインシデントが発生すれば金銭的な損害賠償だけでなく、何らかの法的な責任も取らなくてはならないということです。

 

 

 

5.受託開発とよく比較される自社開発とは


受託開発関連画像
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自社開発とはその名の通りに自社で開発することを意味します。

受託開発のように外部に委託や依頼することなく、開発のすべての工程、もしくは工程の一部を自社で行うということです。

 

技術的リソースがあり、人材も確保できるのであれば自社開発の方が良い可能性が高いです。

ただし、自社開発にもメリットとデメリットがありますので、受託開発と比べてどちらの方が現状に合っているかをしっかりと比較し、自社開発にするか受託開発にするかを検討する必要があります。

 

 

 

6.自社開発のメリット


受託開発関連画像
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次に自社開発のメリットを説明します。

 

自社内のエンジニアの育成に繋がる

自社開発であればシステムやソフトウェアの開発のノウハウが蓄積され、自然と自社内のエンジニアの育成、技術的リソースの確保につながります。

現実問題として依頼する側・発注する側の技術的なレベルの低下やIT人材の不足し過ぎてしまうことで「生産性そのものの低下」や「新しい何かを生み出すこと」が難しくなる恐れがあります。

 

技術的な知見がなければ新しい技術の受け皿は維持できませんし、自社の理念やブランドイメージに合わせた開発もしにくくなります。

自社内でエンジニアの雇用から育成ができるカリキュラムや流れが整備されることで、技術的知見やリソースを蓄積され、新しい技術を用いた開発、新しい事業の創出、新しいサービスの展開がしやすくなります。

 

 

エンジニアとのコミュニケーションが取りやすい

自社開発のメリットとして、直接的に指揮命令権があるため、エンジニアとコミュニケーションが取りやすいことも挙げられます。

社内の人間であれば直接的な距離も近いか、リモートワークやテレワークであっても話しかけやすく、指示しやすいということです。

 

根本から変更しなければならないような指示や難しくても、ある程度は臨機応変に細かく指示や命令できるのは強みと言えます。

もちろん、受託開発だからといって完成するまでは連絡できない、絶対に指示できないということはありませんが、法的な要素から見ても指揮命令権がないことを考えると無理に指示や後から細かい注文をすることは難しいのも事実と言えるでしょう。

 

 

納期を柔軟に変更できる

自社開発のメリットとして、納期を柔軟に変更できることも挙げられます。

例えば、後から機能を追加したために納期を伸ばしたい、または納期を早めたい場合でも自社開発であれば対応できるということです。

 

受託開発の場合はあくまでも契約に縛られるため、納期の変更や機能の追加が難しいことがあります。

別料金になる可能性もありますし、受注先の都合によっては最初に契約した条件以上のことは請け負ってもらえない可能性があるためです。

 

注意点として納期を縮めることはクオリティの低下につながる可能性が高いこと、社内や組織内の人材に無理をさせることで離職や退職される可能性があることを留意しておきましょう。

 

 

 

7.自社開発のデメリット


受託開発関連画像
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次に自社開発のデメリットを説明します。

 

技術選定が自社内のエンジニアに依存する

自社開発のデメリットとして、技術者の雇用や育成は進むものの、技術選定が自社内のエンジニアに依存することが挙げられます。

業界や業種による部分でもありますが、何らかの技術や市場・顧客層をターゲットとしている場合、技術が特定の分野や方向に偏ってしまいます。

 

もちろん、必ずしも悪いことではないですが、業界や業種特有の固定観念にとらわれてしまい、結果的に同じようなもの、または決して新しいとはいえないものばかり生み出されてしまうということです。

受託開発に委託や依頼する場合、幅広い業界や業種を対象に受注している会社や個人であれば、自社にはない発想や技術的知見があるため、第三者目線からの新しい提案、新しい機能の実装など広がりのある開発が期待できる側面も忘れてはいけません。

 

 

人脈が形成しづらくなる

自社開発のデメリットとして、外部技術者や開発会社との人脈が形成しづらくなることも挙げられます。

前項の技術選定が自社内のエンジニアに依存するというデメリットと重なることで、さらに「新しい何か」を生み出しにくくなります。

 

また、技術的に新しい風を入れたくて雇用を増やしたとしても、維持するための人件費が見合うかは難しいですし、面接や雇用の段階で新しい技術を持つ人、自社にはない技術的知見や経験、スキルを持つ人ばかりが応募してくるとは限りません。

可能であればフリーランスエンジニアの協力やプロジェクトの参加を促したり、すべての工程を自社開発にするのではなく、何らかの工程を外部委託することも前向きに検討すべきと言えます。

 

 

失敗した際のリスクが大きい

自社開発のデメリットとして、失敗した際のリスクが大きいことも挙げられます。

受託開発や外部委託であれば一定のクオリティの成果物が得られる可能性は高いですが、自社開発の場合は金額や報酬による担保はほとんどないためです。

 

IT人材の雇用と育成、機材や資材の購入、場所の確保や成果物が完成するまでのランニングコストなど多額な投資をしたのに、結果的に成果物が完成されないのは大きなリスクになります。

場合によっては、受託開発にそれなりのコストを投じた方が納期も短く、しっかりとしたクオリティの成果物が納品されるということです。

 

 

 

8.まとめ


今回は受託開発に関する基礎知識やメリット・デメリット、そして自社開発に関する基礎知識とメリット・デメリットについてお話しました。

 

エンジニアとして受託開発を行いたい場合、もしくは企業や組織として受託開発および自社開発のどちらを選ぶべきか参考になったのではないでしょうか。

受託開発も自社開発もそれぞれにメリット・デメリットがあることを前提として、技術的リソースの確保や蓄積・開発コスト・将来的な意味での拡張性の視点からどの開発方法を選ぶか検討してみてください

 

どちらの場合においても、発注する側は技術的なリソースがなくても、求める成果物を得られる可能性があること、受注する側は技術的リソースさえあれば案件の受注ができること=利益が得られるということを理解しておくことが大切です。

 

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