公開日:2021.08.02
更新日:2025.03.24
SAP社のERP製品をパッケージ化したシステムには、非オープン的な要素が強く、開発者としての高いスキルや知識が求められます。
そのため、初心者はSAPエンジニアへの転職することが実質困難です。
SAPは全世界シェア率もトップクラスですが、その独自の専門性の高さから、対応できるエンジニアは希少価値も高いです。
本記事では、そんな難易度の高いSAPエンジニアの転職事情をピックアップして解説しています。
また、SAPエンジニアの年収や転職を実現するためのポイントについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
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<目次>
1.SAPエンジニアとは
SAPエンジニアとSAPコンサルタントの違い
2.SAPエンジニアの仕事内容
3.SAPエンジニアの年収
4.転職市場からみるSAPエンジニア需要
SAPエンジニアの現状
SAPエンジニアの将来性
5.未経験からSAPエンジニアへの転職を実現させるには
SAPモジュールに関する専門知識
ABAPスキルや知識
システム開発経験
転職理由と志望動機を一貫させる
IT専門の転職サイトや転職エージェントを活用する
6.まとめ
SAPエンジニアに転職したいと考えている方に必見です。
そもそもSAPエンジニアとは、どのような職種なのでしょうか。
また、SAPエンジニアと似た仕事にSAPコンサルタントがありますが、その違いは何なのか詳しく知りたいことでしょう。
SAPとは、ドイツの中西部に位置するヴァルドルフに本社を置いている、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社であるSAP社が提供しているERPパッケージのこと。
「Systemanalyse und Programmentwicklung」の略で、システム分析とプログラム開発を意味します。
一般的な読み方は「エスエイピー」もしくは「エスアーペー」。
SAPエンジニアとは、SAPの導入や運用・保守・サポートを行うエンジニアを指します。
そして、SAPエンジニアは、業務上ERPと深い繋がりを持ちます。
そのため、SAPエンジニアに転職したいなら、ERPに関するスキルや知識は持ち合わせておかなければなりません。
そもそもERPとは、企業の経営資源の有効活用と経営の効率化を目的に、基幹業務を統合的に管理するためのソフトウェアパッケージのことで「Enterprise Resource Planning」の略。「資源統合管理計画」という意味を持ちます。
例えば、ERPパッケージにはオラクル社の「Oracle EBS」やマイクロソフト社の「Microsoft Dynamics AX」「Dynamics NAV」などが挙げられます。
また、日本では株式会社ワークスアプリケーションズの「COMPANY」「HUE」などのERPパッケージ導入が主流ですが、世界的にトップクラスの人気を誇るERPパッケージがSAPです。
SAPエンジニアは、主にSAP社の提供するERPパッケージを取り扱いますが、標準機能だけでは実現できない要件を解消するために独自言語「ABAP」を使用。
例えば、画面上に検索結果を表示する「レポートプログラム」や動的な画像処理を実現する「Dynpro」が代表的です。
ところで、SAPエンジニアに似た仕事にSAPコンサルタントがありますが、その違いについて分からない方もいることでしょう。
SAPエンジニアとSAPコンサルタントは、業務上連携することも珍しくありません。
そのため、SAPエンジニアに転職したいなら、SAPコンサルタントとの明確な違いについて理解しておきましょう。
SAPコンサルタントとは、SAPを専門的に使うシステムコンサルタントのこと。
つまり、SAPエンジニアとSAPコンサルタントの大きな違いは、エンジニアとしてシステム開発に携わるのか、コンサルタントとして要件定義を行うかの違いです。
SAPコンサルタントについて、もう少し詳しく説明すると、SAPシステムの導入以前からコンサルティングを行ったりシステムを要件定義したりする業務を担います。
自社のSAPシステム導入に関わるすべてが、SAPエンジニアの仕事内容に含まれます。
SAPエンジニアの仕事は、下記の内容が挙げられます。
・SAPシステムの設計や開発
・SAPシステムの運用と保守
・アドオン開発
・上記に付随する報告業務
SAPシステムの設計や開発・運用・保守業務、それらに付随する報告業務は、他エンジニア職種でも業務を兼務することがありますが、SAPエンジニアの特徴的な仕事内容としては「パラメータ設定」が挙げられます。
SAPのようなERPパッケージは、システムをインストールしてもすぐに利用できず、その点が汎用タイプのシステムとは大きく違っています。
SAPシステムを運用するためには、会社の組織体をSAP上に設定(パラメータ設定)しなければなりません。
そして、これらの各種設定に関する業務を担う職種が、SAPエンジニアです。
SAPシステムは、運用するために設定しなければならない項目が莫大に存在しているため、パラメータ設定をすることが仕事のSAPエンジニアには、豊富な専門知識が必要。
また会社業務で、SAPの標準機能だけでは実現できない要件があった場合、SAPシステムに機能を追加する必要性が出てくる場合もあります。
ちなみに、SAPに企業独自の機能を追加することを「アドオン開発」と呼びますが、アドオン開発には独自のプログラミング言語「ABAP」を用います。
そのため、SAPエンジニアに転職したいなら、SAPシステムだけでなくABAPに関する知識やスキルを習得しておきましょう。
SAPエンジニアへの転職を検討する際に、年収が気になる方もいることでしょう。
求人ボックス給料ナビの「SAPの仕事の年収・時給・給料情報」によると、正社員の平均年収が620万円。
そして、派遣社員の平均時給が1,693円、アルバイト・パートの平均時給が1,102円でした。
SAPエンジニアの初任給は22万円が相場といわれており、給料分布でいえば509〜613万円の水準が高いです。
SAPエンジニアの年収は、その特性や希少価値の高さから、働き方や個人のスキルによって大きく異なるところが大きなポイントといえるでしょう。
なお、フリーランスのSAP案件の平均報酬を見てみましょう。
職種名 |
平均年収 |
中央値年収 | 最高年収 |
最低年収 |
---|---|---|---|---|
SAP |
1,317万円 |
1,320万円 |
2,460万円 |
300万円 |
(参照:SAPのフリーランス求人・案件一覧)
上記はSAP案件の月額報酬を年ベースで表した表です。
正社員とフリーランスのSAPの平均年収を比較すると商流の浅いフリーランスの方が多く貰っていることがわかります。
SAPエンジニアとして高年収を希望している方はフリーランスを検討することをおすすめします。
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SAPエンジニアへの転職を検討する際に、市場からみる需要について気になる方もいることでしょう。
ここでは、転職市場からみるSAPエンジニア需要や将来的について解説します。
SAPシステムは、独自のプログラミング言語「ABAP」を用いており、現時点においてその詳細情報はオープンになっていません。
そのため、SAPエンジニアの経験者やABAPの知識がなければ、実際転職はできません。
しかし、IT業界としては全体的に需要が伸びていることを背景に、SAPエンジニアの需要は高まっています。
また、他のエンジニアと同じくSAPエンジニアも需要に対して供給が足りていません。
IT業界全体の伸びや、SAPエンジニアの需要に対して、供給が不足していることについては前述しました。
SAPエンジニアへの転職を検討している方の多くは、その将来性についても気になることでしょう。
クラウドWatchの「中堅・中小企業向けビジネスを強化するSAPジャパンの戦略」によると、SAPジャパンの2017年度第2四半期の売上が、昨対比128%という好結果を残しています。
このことからも、SAPの需要や将来性が伸びていることが分かります。
また、SAP Global Communications (May 5, 2022)調べによると、世界のERPシェアランキングトップがSAPであることもSAPエンジニアの将来性があると言える証拠でしょう。
そして、SAPエンジニアの将来性が高いといわれている理由に、現在のSAPのメイン製品である「SAP ERP6.0」のサポート終了が2027年に予定されていることが挙げられます。
「SAP ERP6.0」は現在、日本企業だけでも2,000社以上で導入されていますが、その保守サポート期限が2025年、サポートの完全終了が2027年に予定されています。
SAPを導入している企業のすべてが、後継のSAPである「SAP S4/HANA」に切り替えることはないのかもしれませんが、「SAP S4/HANA」に切り替える可能性もあることは確かです。
もしそうなれば、SAPエンジニアへの需要は現状以上に高まることは間違いありません。
さらに、保守サポート期限が終了する2025年前後から、SAPエンジニアの需要の増加がみられることも考えられます。
将来性が高いSAPエンジニアですが、未経験から転職することは難しいのが現状です。
しかし、未経験では絶対にSAPエンジニアに転職できないということではありません。
ここでは、未経験からSAPエンジニアへの転職を実現させるコツとして、下記の5つのポイントについて解説しています。
・SAPモジュールに関する専門知識を身に付ける
・ABAPスキルや知識を学ぶ
・システム開発経験を積む
・転職理由と志望動機を一貫させる
・IT専門の転職サイトや転職エージェントを活用する
それでは、詳しくみていきましょう。
SAPエンジニアに転職するために、必須の資格はありません。
しかし、SAPモジュールに関する専門知識があれば、SAPエンジニアとして活躍しやすい傾向がみられます。
モジュールとは業務領域・機能群のことですが、SAPにおけるモジュールは、主に下表の7つに分類されます。
SAPモジュール |
概要 |
---|---|
FIモジュール |
SAPを導入している企業のほとんどが使用しているSAPの中心的な財務会計モジュール。 |
COモジュール |
企業全体の調整や最適化を目的とした管理会計モジュール。 |
SDモジュール |
受注→出荷→請求といったプロセスを実現する販売管理モジュール。 |
MMモジュール |
発注依頼→購買発注→入庫→請求書照合といったプロセスを実現する購買管理/在庫管理モジュール。 |
LEモジュール |
得意先や自社内の物流・在庫の最適化できる物流管理モジュール。 |
PPモジュール |
得意先からの受注や需要見込から生産計画(MPS/MRP)を実施する生産計画/管理モジュール。 |
QMモジュール |
品質計画→品質検査→使用決定といったプロセスを実現する品質管理モジュール。 |
SAPモジュールのなかでも、FIモジュールとCOモジュールは多くの企業が使用しているため、これらの専門知識を身に付けておけば転職の際大きな武器となるでしょう。
SAP独自のプログラミング言語「ABAP」の知識があると、転職に非常に有利です。
ABAPを学ぶ方法としては、SAP関連の参考書で学ぶという方法があります。
内容もわかりやすくなっているため、SAP関連の参考書でABAPの知識を学びましょう。
また、ABAPスキルや知識を証明する方法として、SAP社が認定する「SAP認定コンサルタント資格」の取得がおすすめです。
各SAP製品の種類によってスキルや知識を証明することができるため、詳細については「公式ホームページ」をご確認ください。
SAPエンジニア未経験でも、他エンジニア職種でシステム開発の経験があるという方は転職に有利です。
システム開発未経験者が実務経験を積む方法は「システムエンジニア」「ネットワークエンジニア」など、比較的未経験でも転職しやすいエンジニアの仕事に就くこと。
そこで経験を積み、将来的にSAPエンジニアに転職することを目標とする方法をおすすめします。
SAPエンジニアへの転職を実現させるためには、転職理由と志望動機に一貫性を持たせましょう。
転職において、採用試験での面接ではほぼ確実に面接官が聞いてきます。
その目的は、話の内容に嘘がないかどうかを確かめること。
そもそも、前の仕事を辞めた理由とSAPエンジニアへの転職を志望する動機は繋がっている必要があります。
一貫性のない返答の場合、採用されたいがために転職理由と志望動機のどちらかにウソをついていると面接官に判断されてしまうでしょう。
そのため、SAPエンジニアへの転職の際は、転職理由と志望動機は繋がるような返答を心掛けてください。
SAPエンジニアへの転職を実現させるためには、IT専門の転職サイトや転職エージェントを活用することもおすすめです。
このような場合、IT専門の転職サイトや転職エージェントを活用してスキルや知識を習得することも検討しましょう。
例えば、ABAPスキルや知識を学んだり、SAPモジュールに関する専門知識を身につけたりする場合に、転職サイトや転職エージェントを活用することはおすすめです。
どちらも転職のサポートをしてくれるサービスですが、転職サイトとは、企業必要な人材を確保するために募集している求人情報を提供しているサービスのこと。
一方で、転職エージェントは希望者の経歴・経験を踏まえながら、その人が希望する条件に合った求人の紹介や転職に関するサポートをしてくれるサービスです。
提供している転職サービス内容が異なっているため、自分に適した転職サービスを活用しましょう。
今回は、SAPエンジニアの転職実情や年収、転職実現のコツなどについて解説してきました。
後継SAPへの移行が間近に迫っている今、SAPエンジニアへの転職チャンスと言ってよいでしょう。
しかし、未経験からSAPエンジニア転職に挑戦するにはハードルが高いです。
また、運よく未経験から転職できたとしても、SAPエンジニアの年収は個人のスキルによって大きく異なってくるため、知識やスキルが乏しいと思ったほど稼げない可能性もあります。
需要が高まると予想されている2025年までにABAPスキルや知識、SAPモジュールに関する専門知識などを学んでおきたいと考えている方もいることでしょう。
転職を実現させる方法の1つとして、転職サイトや転職エージェントを活用することはおすすめです。
フリーランスエンジニア専門の求人・案件一括検索サイト「フリーランススタート」に少しでも興味がある方は是非ご登録ください。
なお、フリーランススタートはiOSアプリ版やAndroid版をリリースしています。
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