源泉徴収とは?源泉徴収の仕組みを徹底理解!

税金フリーランス常識

2020.03.23

フリーランスとして活動をするに当たって、源泉徴収や確定申告などの税金関連の知識が必要です。
源泉徴収の知識があると、節税ができたり、確定申告時期に慌てずに対応できる、案件紹介時の面談で理解力が上るなど、メリットが多いです。

そんな今回は源泉徴収とはについての基礎部分から計算方法、納付方法などについて詳しくお話していこうと思います。

<目次>
1.源泉徴収とは?
2.フリーランスにおける源泉徴収
3.源泉徴収の対象範囲
4.フリーランスにおける源泉徴収の計算方法
5.フリーランスにおける源泉徴収の納付方法
6.確定申告時の源泉徴収について
7.まとめ

 

 

 

1.源泉徴収とは?


源泉徴収は、会社や個人が人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことを指します。
従業員の給与を支払う事業者であれば、必ず行わなければなりません。

源泉徴収の歴史についても少し紹介します。
イギリスが1799年にナポレオン戦争の戦費調達のために、貴族階級を課税対象に創設した所得税の徴収が源泉徴収の起源になります。その後、広く国民大衆を相手にする源泉徴収を制度として機能させたのはヒトラーによるナチス・ドイツであり、第二次世界大戦後多くの先進諸国の税制に影響を与えました。
日本では1899年(明治32年)に公債・社債の利子に対する源泉徴収制度が始まりです。その後、戦費を効率的に集める目的でナチス・ドイツの制度を参考にし、1940年(昭和15年)、給与への源泉徴収が開始されました。
源泉徴収義務者は国から徴税事務を委託された代行人と位置付けられ、納税者一人当たり当初10銭の徴税代行手数料の交付を受けることができました。その後20銭になり、最終的には50銭になっています。
なお、この交付金制度は1947年(昭和22年)、GHQ軍政下が税制改正をするため、申告納税制度と年末調整制度の導入をしたことにより、廃止されました。

 

 

2.フリーランスにおける源泉徴収


フリーランスとして働く場合、基本的には自分で確定申告を行って納税をすることになります。案件ごとに契約を結んで報酬を受け取るフリーランスは、どの案件の報酬が源泉徴収されているかをしっかりおさえておく必要があります。
また、案件によってはクライアントが源泉徴収をしており、すでに納税済みの報酬もあります。つまり、受け取る報酬の中に納税済みのものと未納税のものが混在する可能性があります。
源泉徴収されているかどうかの判断は、受け取った金額が報酬の満額ではなく特定の金額分控除されているようであれば、依頼主(クライアント)が源泉徴収した可能性あります。しかし、依頼主(クライアント)に確認を取ることをオススメします。

 

 

 

3.源泉徴収の対象範囲


源泉徴収は給与や賞与の他に、報酬も対象です。それぞれ個人/フリーランスと法人の対象があります。これらの仕事や業務を受注する可能性があるフリーランスは、源泉徴収の対象範囲を理解しておきましょう。

 

<個人/フリーランス>
--------------------------------------------------------------
・原稿料や講演料、デザイン料など
・弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬や料金
・芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
・ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とする
 いわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬や料金
・プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

--------------------------------------------------------------

 

<法人>
・馬主である法人に支払う競馬の賞金

出典:国税庁

 

フリーランスで一番当てはまりやすいのが、デザイン料でしょう。
デザイン料は、工業デザイン、パッケージデザイン、グラフィックデザイン、広告デザイン、庭のデザインなど様々なものがあります。
Webデザインはデザイン料として含まれるため、それらを専門としているフリーランスのWebデザイナーやWebディレクターなどは源泉徴収の対象に入ります。
Webサイト制作はデザイン料の対象として含まれないため、源泉徴収の対象ではありません。しかし、WebデザインとWeb制作を同時に行う仕事も中にはあるかと思いますので、対象範囲かどうかの判断がつかない場合は税務署に確認しましょう。

 

一方、フリーランスエンジニアの場合、源泉徴収の対象にならないでしょう。
その理由として、フリーランスエンジニアが一般的に行う開発は要件定義・基本設計・プログラミング・ディレクション・コーディング・テスト・運用/保守等があり、これらの報酬は上記対象範囲外であるためです。

 

 

 

4.フリーランスにおける源泉徴収の計算方法


源泉徴収税額の計算は所得金額により異なります。支払い金額と手取り金額の例を交えて説明していきます。

 

<100万円以下の場合の計算方法>
源泉徴収税額 = 支払金額 × 10.21%

 

・例:支払金額が70万円の場合
70万円 × 10.21% = 71.470円(源泉徴収税額)
手取り金額 = 70万円 - 71.470円 = 62万8530円

 

 

<100万円を超える場合の計算方法>
源泉徴収税額 =(支払金額 - 100万円)× 20.42% + 102,100円

 

・例:支払金額が300万円の場合
(300万 - 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 510,500円(源泉徴収税額)
手取り金額 = 300万円 - 510.500円 = 248万9,500円


10.21%の内訳:10%(所得税)+ 0.21%(東日本大震災復興特別所得税額)
※東日本大震災復興特別所得税額は2037年(令和19年)12月31日まで続きます。

なお、受け取った報酬は税込と税抜金額のどちらかを必ず確認しましょう。
受け取った報酬が「業務の報酬」 と「消費税」に分けられていれば、業務の報酬のみ、源泉徴収の対象です。
受け取った報酬が、業務の報酬 + 消費税の合算された金額であれば、合算金額が源泉徴収の対象です。

 

 

 

5.フリーランスにおける源泉徴収の納付方法


この章では、どのような方法で実際に納付するのか説明していきます。

前提として、報酬をもらったフリーランスは、源泉徴収について税務署へ行き何かをする訳ではありません。
源泉徴収は報酬を支払った依頼主(クライアント)が行うものです。
しかし、源泉徴収を理解するという意味で納付方法や納付期限を知っておきましょう。

 

<納付方法>

税務署にある報酬・料金等の所得税徴収高計算書という用紙を使用して納付します。
記入の方法は、国税庁のホームページでご覧になれます。

報酬・料金等の所得税徴収高計算書のダウンロードはこちらから→

 

<納付期限>

源泉徴収が必要な場合は支払のあった月の翌月10日までに税務署へ納付しましょう。
納付期限を過ぎると、期限翌日から納付される日までの日数に応じ、延滞税や不納付加算税などを負担しなければいけないことがあります。

ただし毎月納付する時間が取れない方に対し、年2回にまとめて納付できる特例措置があります。
特例措置対象者は、給与を支払う従業員が10人未満である源泉徴収義務者(依頼主)です。対象者は源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を税務署に提出することで、特例を受けることができます。
原則として申請書を提出した月の翌月末日に、承認があったものとみなされ、承認を受けた月の源泉所得税から納期の特例の適用を受けることができます。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書のダウンロードはこちらから→

 

 

 

6.確定申告時の源泉徴収について


確定申告時における給与所得や退職所得及び公的年金等の源泉徴収票の提出は不要ですが、源泉徴収額などの内容を記載する必要があります。
税務署等で確定申告書を作成する場合には、源泉徴収票等が必要になりますので、ご注意ください。

フリーランスは請求書を依頼主(クライアント)に送る段階で金額を明記しておくと、確定申告の時に非常に楽になります。
なお、源泉徴収額の合計が分からない場合は税金が還付出来ない場合があります。
フリーランスは源泉徴収の管理をしっかり行い、確定申告を正確に行いましょう。

 

フリーランスエンジニアの場合、多くがフリーランスエージェントを活用して求人・案件に参画するでしょう。その場合フリーランスエンジニアはフリーランスエージェントを介しているため、源泉徴収された報酬を受け取ることがほとんどです。あまり気にしなくて良いでしょう。
しかし稀に、業務上急な出張や必要なものを経費として購入する場合があります。その際は、フリーランスエージェントに対して請求書を発行することも有り得ます。

 

源泉徴収や確定申告は少し苦手という方に向けてフリーランス向け求人・案件一括検索「フリーランススタート」は、税金などにサポートが手厚いフリーランスエージェントを多く取り扱っています。

 

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7.まとめ


今回はフリーランスでの源泉徴収をどのように扱うのが良いのかについてお話してきました。
源泉徴収はフリーランスとして活躍をする上で、知らなければいけない知識です。
しっかりと理解をして、確定申告の時期を楽に乗り切りましょう。また、一度知識として身につければ、翌年からすることが明確になるため、効率よく行えるようになるでしょう。
そのために案件ごとに請求書を管理し、どの案件が源泉徴収されているのかを、まず正確に把握しましょう。もし源泉徴収をされている案件かどうかわからない場合は、迷わず依頼主(クライアント)に連絡することをオススメします。
フリーランスエンジニアの場合も同様、しっかり理解をし知識として知っておくとクライアントとの面談時に会話の理解力が向上したり、メリットが多いです。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
 

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