公開日:2022.10.05
更新日:2025.03.24
「計画」「設計」「実装」「テスト」というように、工程を最小化したサイクルでシステム開発を執り行う手法として挙げられるアジャイルソフトウェア開発ですが、これに関連する知識とスキルを証明する資格が存在します。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験ですが、その具体的な内容や出題範囲、難易度などについて知りたい方もいることでしょう。
資格があれば就職だけでなく転職にも有利ですが、IT業界においてさまざまな種類の資格が存在するため、目指す業種や業界に応じて何がどのように役立つのか分からないという方もいます。
本記事では、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の概要や試験内容、難易度など資格取得に向けた一連の流れについて解説しています。
また、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験を受験して資格を取得するメリットやデメリットについても考察しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
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<目次>
1.アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験とは
2.アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験試験概要
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の詳細
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の出題範囲
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験 Lv.1試験
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験 Lv.2試験
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の受験者数・合格率・難易度
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の申し込み手順
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の有効期限
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の勉強時間
3.アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格取得のメリット
アジャイル開発スキルや知識が身に付く
論理的思考力や問題解決力が身に付く
資格手当や報奨金を貰える可能性がある
4.アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格取得のデメリット
勉強時間を確保する必要がある
資格が全く活きない可能性もあり得る
5.アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験合格のためのおすすめ参考書
おすすめ参考書①:アジャイル検定公式テキスト アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験 レベル1対応
おすすめ参考書②:アジャイルサムライ−達人開発者への道
おすすめ参考書③:リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)
6.まとめ
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験とはアジャイル開発に対する正しい理解を広め、開発スキルを客観的な尺度で分析・判定する目的で執り行われる検定試験のことです。
「株式会社NTTデータ」「株式会社オージス総研」「株式会社戦略スタッフ・サービス」「株式会社テクノロジックアート」「株式会社トランスコスモス・テクノロジーズ」「日本アイ・ビー・エム株式会社」「株式会社日立製作所」の7社が共同で準備委員会を組織しています。
アジャイル開発のアジャイルは「素早い」「俊敏な」という意味を持つ英単語です。
そしてアジャイル開発は大きな単位でシステムを分けることなく、小さな単位で実装とテストを繰り返していくシステム・ソフトウェア開発の手法です。
アジャイル開発に関するスキルを身に付けることで往来より開発期間が短縮でき、顧客が実際に動く画面や機能を試すことができるようになります。
また、システム開発において修正の影響を最低限に留めることができるところは特徴といえます。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験に合格すれば、このようなアジャイル開発に関連する知識やスキルを身に付けていることの証明になります。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験がどのような資格であるか理解できたところで、取得するための取り組みとその流れについて知りたい方もいることでしょう。
ここでは、アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の出題範囲や難易度、申し込み手順など一連の流れについて解説しています。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験は、Lv.1試験とLv.2試験に分類されます。
Lv.1試験では基本的に、アジャイル開発の基礎知識と実務経験から問われる実践的な内容が含まれます。
一方、Lv.2試験はアジャイル開発におけるプロジェクトを運用するために必要な知識とスキルが問われるより実践的な内容となります。
下表にアジャイルソフトウエア開発技術者検定試験におけるLv.1試験とLv.2試験の概要についてまとめました。
<アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の概要>
レベル1 |
レベル2 |
|
---|---|---|
試験会場 |
全国の試験会場 |
全国の試験会場 |
試験日時 |
全国の試験会場 |
全国の試験会場 |
試験時間 |
60分 |
60分 |
出題形式 |
多肢選択式 (四肢択一) |
多肢選択式 (四肢択一) |
問題数 |
60問 |
40問 |
合格基準 |
80%以上 |
65%以上 |
受験料 |
11,000円(税込) |
16,500円(税込) |
受験資格 |
資格・学歴不問 |
Lv.1に合格した方 |
試験結果 |
試験終了後、試験会場から渡されるスコアレポートにより取得した点数 (スコア) が確認可能。 |
試験終了後、試験会場から渡されるスコアレポートにより取得した点数 (スコア) が確認可能。 |
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験のLv.1試験では、アジャイル開発の基礎知識と実務経験に基づいた内容が出題されます。
例えば、アジャイル開発の基本的な知識として、「アジャイル・マニフェスト」「アジャイル原則」などが挙げられます。
一方、Lv.2試験はアジャイル開発におけるプロジェクト運用に不可欠な知識とスキルが問われます。
例えば、オブジェクト指向設計を中心としたモデリングや開発チーム運営におけるコミュニケーションやルールなどです。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験ではLv.1試験とLv.2試験に分類されますが、このように出題範囲が異なるだけでなく、出題数にも違いがあることから難易度に影響します。
ここでは、Lv.1試験とLv.2試験に分類して具体的な出題範囲をまとめました。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の公式サイトに掲載されているLv.1試験の出題範囲をもとに情報をまとめました。
Lv.1試験は、前述したとおりアジャイル開発の基本的な知識と経験から得られる実践的な内容が問われます。
その具体的な内容を下表にまとめました。
・アジャイル開発に対する基礎知識 |
・アジャイル・マニフェスト |
・開発チームの運営 |
・コミュニケーション |
・アジャイル開発プロジェクト管理 |
・会議体 |
・アジャイル開発の技能 |
・ペアプログラミング |
(引用:https://agilecert.org/test/requirements/)
次に、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の公式サイトに掲載されているLv.2試験の出題範囲をもとに情報をまとめます。
Lv.2試験は、Lv.1試験に合格している方を対象とした上位資格といえます。
主に、アジャイル開発チームのメンバーがプロジェクトに入る前に必要な実践的な内容について問われます。
その具体的な内容を下表にまとめました。
・モデリング |
・オブジェクト指向設計:継承、インターフェース、ポリモーフィズム、疎結合、Dependency Injection |
・コーディング |
・コーディングルール:ツールによる確認(checkstyle) |
・構成管理 |
・チーム開発:SCM(ソースの変更管理システム)、分散型(git)、集中型(Subversion、CVS 等) |
・テスト |
・TDD:Junit(モックを使ったテスト、テスト結果レポートの見方、網羅率C0,C1,C2) |
・常時結合 |
・自動化の導入:何時動かして結果から何を読み取るか、自動化の導入効果、何を自動化するか(ビルド⇒テスト⇒デプロイ等) |
・デザインパターン |
・デザインパターンを使うことのメリット |
・リファクタリング |
・マーティン・ファウラー「リファクタリング」(コードの不吉な匂い等) |
・チームのスキル |
・スプリント計画 |
(引用:https://agilecert.org/test/requirements2/)
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の公式サイトによると、試験方法はCBT(Computer Based Testing)で四肢択一のシステムを採用しており、平均で70%の正解率となるように難易度を調整しています。
Lv.1試験では80%以上、Lv.2試験では65%以上の正解率を合格基準としています。
しかし、正確な受験者数や合格率、難易度については公式で発表されていません。
2019年5月でのIT人材ラボニュースによると2018年7月提供のアジャイルソフトウェア開発技術者検定のLv.1試験では、約1,000名が受験しました。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定は国内唯一のアジャイル系試験ですが、日本には類似した試験が存在しません。
そのため、海外のアジャイル関連試験から難易度について考察します。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定の関連試験には、主に下記の3つが挙げられます。
・認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)
・PSM(Professional Scrum Master™)
・LSM(Licensed Scrum Master)
いずれもアジャイルにおけるスクラム関連の資格ですが、合格率などが正式に公開されていません。
しかしCSMやLSMが正答率約75%でPSMの正答率が約85%以上といわれています。
CSMやLSMの正答率が約75%以上とのことから、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の難易度もこれら試験と同等ということが伺えます。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の申し込みは、Webから行います。
具体的な申し込み手順を下記にまとめました。
1.アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の公式サイトのオンライン予約ページで申し込み
※初めての場合はプロメトリックIDを取得する
2.プロメトリックIDで新規予約ページにログインする
3.下記の順で必要事項を確認・入力していく
・試験予約
・個人情報の確認
・試験会場と日時選択
・試験時間の選択
・支払方法の選択
・予約内容の確認
・クレジットカード情報の入力
・クレジットカード情報の確認
・予約完了メールおよび確認書の印刷
4.受験に必要な本人確認書類を持って予約日に試験を受験する
5.合格していた場合は認定証が発行される
※不合格だった場合、一定期間の後再受験することが可能
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験における有効期限(失効期限)はありません。
能力を認定する試験であり、何らかの権利が与えられる資格とは違うので有効期限はありません。
今後試験の仕様や変化した場合は、有効期限が変更になる場合もありますので、資格保持者は定期的に定期的に公式サイトを確認することをおすすめします。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定Lv.1試験を受けて合格した方の勉強時間を見てみると1週間程度ですので、1つの目安と考えて良いでしょう。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験は過去問が公開されていないため、どのような問題が出題されるのかの向が分かりにくいです。
そのため、参考書で学習を進める方も数多くみられます。
Lv.2試験はLv.1試験よりもさらに難易度が高くなるため、少なくとも1週間以上の勉強時間を確保する必要があるでしょう。
なお、上記勉強時間はあくまでも目安であり、すでに持っている知識量や学習効率により勉強時間が大幅に異なりますので、参考として捉えましょう。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得するメリットには、アジャイル開発における専門的な知識の証明や仕事で資格手当が付与されるなどが挙げられます。
それでは、詳しくみていきましょう。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得することで、アジャイル開発スキルや知識が身に付いた証明となります。
システムの仕様変更に対して柔軟な対応ができるアジャイル開発において、リリースまでの期間を短縮できるメリットがあるだけでなく全体的に最小化したタスクで開発を進められるため、修正が容易です。
具体的には、「計画」「設計」「実装」「テスト」というように工程を最小化したサイクルでシステム開発を執り行いますが、アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得することで、これに関連する知識とスキルを証明する資格が存在します。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得したことで論理的思考力や問題解決力が身に付いたことの証明となります。
システムの開発環境において矛盾が存在しない仕組みを構築することは、生産性があり効率的なコードを生み出すきっかけとなります。
論理的思考力や問題解決力によってアジャイル開発を効率よく執り行えるところは大きなメリットといえます。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格取得によって、仕事で資格手当や報奨金を貰えることがあります。
アジャイル開発は現在の多様性を追及した究極の開発手法の1つといえますが、ソフトウェア環境を構築する王道ともいえます。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得していることで就職や転職が有利になるだけでなく、転職先での高待遇が期待できる可能性もあります。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得するには、それなりの勉強時間を確保しなければならないなどのデメリットが生じます。
それでは、詳しくみていきましょう。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験は、前述したとおり一定の難易度がある資格のため、Lv.1試験に合格するだけでも約1週間の勉強時間を確保する必要があります。
しかし、これには個人差があり、さらに時間を要さなければならないケースもあります。
あくまでも本記事で考察した時間ですが合格するためにもLv.1試験で約1週間やそれ以上の勉強時間の確保が必要です。
仕事を行いながらであれば、貴重な休み時間や睡眠時間を削る場合もあるところはデメリットといえます。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得しても、実際の業務でその知識やスキルを活用する場面が限られるケースもあります。
IT系企業のすべてでアジャイル開発に関連する業務が存在するということはありません。
例えば、ソフトウェアシステム開発の直接的な現場ではなく間接的に携わる営業職を行う場合にテストコードやリーダビリティなどの要素は必要ないため資格が全く活きない可能性もあり得ます。
さらに、転職や就職を目的にアジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格を取得している場合、例えばCCNAなどメジャーな資格以外は評価されづらいこともあるので、資格取得の目的によってもその資格が活きない場合もあります。
アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験は、過去問が公開されていません。
また問題集もリリースされていないため、参考書を熟読して理解を深めることが最良の勉強方法といえます。
ここでは、アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の合格に向けた勉強におすすめの参考書を紹介します。
(出典:Amazon)
「アジャイル検定公式テキスト アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験 レベル1対応」は、アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験コンソーシアムが著者の参考書です。
リックテレコムから出版されていますが、その内容はアジャイル開発手法の基礎から実務の知まで体系的にまとめられています。
分野ごとの詳しい解説と用語の説明されているため、アジャイル開発手法の基礎固めをしたい人におすすめです。
また演習問題も掲載されているため、これ1冊でアジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の理解度を深めることができるでしょう。
(出典:Amazon)
「アジャイルサムライ−達人開発者への道」は、Jonathan Rasmusson氏が著者で、西村直人氏と角谷信太郎氏が監訳したアジャイルソフトウエア開発技術者検定試験対策に向けた参考書です。
オーム社が出版していますが、その内容はソフトウェアを素早く開発するためのアジャイルソフトウェア開発手法の導入するにはどうすればよいかというテーマで紹介しています。
豊富な図を使い親しみやすい言葉で解説してあるため、試験に向けてのアジャイル開発手法の理解度を深めることができます。
また、実際にソフトウェア・システム開発の現場で働くことになった際のマニュアルにもなります。
(出典:Amazon)
「リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)」は、Dustin Boswell氏とTrevor Foucherが著者で角征典氏が翻訳したアジャイルソフトウエア開発技術者検定試験対策に向けた参考書です。
オライリージャパンが出版社ですが、その内容はアジャイル、リーンなど開発手法に関心のある方向けの解説書です。
著者は、マイクロソフトやGoogleなど大企業で活躍してきたエンジニアです。
数百に及ぶ「不効率なコード」の事例を解析しながら模索し、導き出した結論から考えた「分かりやすいコード」「読みやすいコード」をコーディングするための方法を紹介しています。
Lv.2試験の合格やシステム、ソフトウェア開発の業種・業界を目指している方にはおすすめの参考書です。
今回はアジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の特徴や詳細、申し込み手順、難易度などについて解説してきました。
システムやソフトウェア開発の業種・業界への就職や転職に有利となる資格の1つですが、取得するメリットやデメリットがあるためよく検討しながら勉強するとよいでしょう。
簡単に合格できるとはいえませんが、しっかり勉強して試験に臨めばLv.2試験の合格も不可能ではありません。
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