フリーランス(個人事業主)の赤字の処理方法とは?損失申告の計算方法や必要書類を解説!

税金フリーランス常識

公開日:2020.10.09

更新日:2025.03.24

フリーランス(個人事業主)として活動していると毎年必ずと言っていいほどやってくるイベント。それが確定申告です。皆さんの中にも、この確定申告が憂鬱だと感じる方は少なくないと思います。
確定申告をスムーズに切り抜けるためにも、ある程度会計や経理の知識をつけておく必要が大切になってきます。


今回は、フリーランス(個人事業主)として活動している方に向けて、仮に収益が赤字になった場合、ど対処や対処方法に焦点を当てて解説していきたいと思います。


この記事を最後まで読むと、フリーランス(個人事業主)の方が、収益的に赤字になった際の対処方法や赤字にならないための施策、損失申告やその具体的な計算方法まで詳しく理解することができますので、是非、参考にしてみてください。

 

 

 

1.フリーランス(個人事業主)として赤字が出る所得と出ない所得を知ろう


フリーランス(個人事業主)赤字関連画像
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実は、一括りに赤字と言っても、赤字が出る所得と出ない所得があることを皆さんはご存知でしたか?

ここでは、それらについて具体的に解説していこうと思います。

 

赤字が出る所得①:不動産所得

不動産所得とは、個人がマンションや土地、駐車場などを賃貸し、不動産の貸付によって得られた所得を言います。

不動産所得は以下の計算式で算出することができます。

 

「不動産所得=不動産収入-不動産所得の必要経費」

 

計算した結果、赤字がある場合は、他の所得の黒字と損益通算を行う必要があります。

損益通算とは、数種類の所得がある場合に特定の所得の赤字を、一定順序に従い他の黒字から差し引けることを言います。

 

ただし、不動産所得の金額の赤字のうち、以下のような損失金額は、損益通算の対象とならないため、注意が必要です。

1.別荘等のように主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けから生じた赤字

2.借入金利子のうち、 土地の取得に対応する部分
※借入金利子とは、賃貸する不動産を取得するために、金融機関などから資金を借り入れた場合の利子

 

 

赤字が出る所得②:事業所得

事業所得とは、漁業、卸売業、小売業、製造業、農業、サービス業などを、事業として営んだ結果、得られた所得です。

事業所得は以下の計算式で算出することができます。

 

「事業所得の金額=総収入金額-必要経費」

 

確定申告の際、事業所得として認められるためには、以下のような条件が認められる必要があります。

営利性・有償性の有無
継続性・反復性の有無
自己の危険と計算における事業遂行性の有無
その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度
人的・物的設備の有無

 

 

赤字が出る所得③:山林所得

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生じる所得です。

山林所得は以下の計算式で算出することができます。

 

「山林所得の金額=総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)」

 

ただし、山林を取得し保有期間が5年を超えれば山林所得となるのですが5年以内に譲渡したり、伐採してしまうと事業所得か雑所得に分類されてしまう点に注意が必要です。

また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になる点も把握しておきましょう。

 

 

赤字が出る所得④:譲渡所得

譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することで生じた所得です。

譲渡所得は以下の計算式で算出することができます。

 

「 課税譲渡所得金額=収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額 」

 

※課税譲渡所得金額とは、売却した土地や建物を買い入れた際の購入代金や仲介手数料などの合計額を指します。

譲渡所得は他の所得と合算して課税されるのが原則ですが、土地や建物の譲渡所得については、他の所得と分離して課税されることに注意が必要です。

 

その他、事業用商品などの棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、譲渡所得にはならない点に注意が必要です。

 

 

 

2.損失申告とは?


フリーランス(個人事業主)赤字関連画像
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損失申告とは、事業で赤字が出た際その赤字を翌年以降、最長3年間繰り越せるという申告方法です。

繰り越すとは、翌年以降事業が黒字化し所得ができた際に、その所得から赤字分を相殺できるいうことを指します。

 

つまり、赤字になった年の翌年は、仮に黒字化しても赤字分だけ節税ができるということです。

 

損失申告の計算方法

では、ここからは先ほど解説した損失申告の具体的な計算方法について解説していきます。

例えば、令和元年度の確定申告で150万円の損失が発生し、令和2年度には300万円の所得が出たとします。

 

その場合、令和2年度の課税対象金額は300万円 – 150万円 = 150万円となります。

令和3年の税率が令和2年現在と同じと考えた場合、195万円以下の課税対象金額に対する税率は5%、196万以上330万円以下の税率は10%となります。

 

損失を差し引いた場合と差し引かなかった場合では、令和2年度の税額は以下のようになります。

《損失を差し引いた場合》
150万円 × 5% = 75,000円
《損失を差し引かなかった場合》
300万円 × 10% - 97500円(控除額)= 202,500円

 

損失申告をするかしないかでは、その年にかかる税金額が大きく違いますので、フリーランス(個人事業主)の方はしっかりと理解しておきましょう。

 

参考補足:
また、場合分けとしていくつか別の計算方法についても紹介しておきます。

 

①損失は累積して計算できる

損失が2年以上続いた場合、累積して計算することができる方法。

例えば令和元年に50万円、令和2年に20万円の損失が出たとします。この場合、損失額は以下のようになります。

 

50万円 + 20万円 = 70万円

 

仮に令和3年度に黒字化し、確定申告で100万円の所得が出たとします。

令和3年度の確定申告では損失分を所得から差し引くことができるので、実際に課税対象となるのは以下金額となります。

 

100万円 - 70万円 = 30万円

 

※ただし、繰り越しは最長3年の期限があるため注意が必要です。

 

 

②同じ年で異なる所得で損失が発生した場合は相殺できる

例えば令和2年度の確定申告で100万円の事業所得損失があっても、山林所得で100万円の所得が出た場合は相殺されます。

このように黒字を差し引ける所得には、一定の順番があるので下記の表を参考にしみてください。

 

フリーランス赤字
フリーランス赤字

出典:青色申告者は赤字を3年間繰り越せるって本当?注意点とその方法

 

白色申告では一部しか繰り越せない

基本的に損失申告は青色申告者のみに適用される措置で、白色申告者は一部の赤字しか繰り越すことができないという点も理解しておきましょう。

 

白色申告で可能な赤字

損益通算
被災事業用資産の損失
(事業用の資産が、自然災害的被害によって崩壊した場合に、生じた損失)
変動所得の損失
(事業所得や雑所得のうち、漁獲による所得や原稿料、作曲など印税、著作権の使用料などの所得から生じた損失)

 

 

 

3.損失申告のための条件


フリーランス(個人事業主)赤字関連画像
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ここまで、損失申告について具体的に見てきましたが、業務上の赤字を翌年以降に繰り越すためにはある一定の条件を満たす必要があります。

繰り越したい赤字が「事業所得」「譲渡所得」「不動産所得」「山林所得」の計算上で生じた損失の金額であること。

雑損控除で控除不足額が生じた場合

 

ただし仮に不動産所得や譲渡所得について、ある一定の条件に当てはまる場合、損失申告できないことがあるため、注意が必要です。

また利子所得、給与所得、退職所得、配当所得、一時所得、雑所得は、損失申告できない所得ですので、把握しておきましょう。

 

特に、FXや株など投資関係で生計を立てている方は直接的に関係してくる可能性があるため注意が必要です

 

 

 

4.フリーランス(個人事業主)として損失申告していない場合どうなる?


フリーランス(個人事業主)赤字関連画像
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何らかの事情により、その年の損失申告をし忘れてしまった際、どうすればいいのでしょうか?

確定申告の手続きを行っていなければ、更正請求することで、後から損失申告することが可能です。

 

例えば令和元年度に繰り越せる損失の申告を行わず、令和3年9月にその事実に気づいたとします。

令和3年9月時点で更正請求を行うことは可能ですが、令和2年度の納税金額はすでに確定しているため、そこから損失を差し引くことはできなくということです。

 

 

 

5.フリーランス(個人事業主)として確定申告時の損失申告に必要なもの


フリーランス(個人事業主)赤字関連画像
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損失申告をする際、確定申告時に必要な書類が多数ありますので、ここで予め確認しておきましょう。

必要書類
確定申告書B第一表
②確定申告書B第二表
③確定申告書B第四表
青色申告決算書(青色申告者のみ)
収支内訳書(白色申告者のみ)
⑥所得控除を受ける際に必要となる書類

 

また損失の種類によって別途、損失を証明する書類が必要となる場合があります。

以下の表を参考に、自分がどれに当てはまるのか予め確認しておきましょう。

損失の種類 損失申告時の添付書類
被災者事業用資産の損失 申告書付表(東日本大震災の被災者の方用)
上場株式等にかかる譲渡損失 確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)
特定投資株式に係る譲渡損失 確定申告書付表(特定投資株式に係る譲渡損失の繰越控除用)
先物取引やFXに係る損失 申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)

 

 

 

6.まとめ


今回はフリーランス(個人事業主)の方に向けて、収益が赤字になったら、どのように対処/対応すれば良いのかや赤字にならないための施策、損失申告やその具体的な計算方法まで具体的に記載してきました。

フリーランス(個人事業主)で赤字が出た際、青色申告であれば翌年以後に損失を繰り越すことはできますが、白色申告では一部の赤字しか繰り越すことができません。

 

また、損失申告で損失を繰り越すためには、確定申告表Bの第四表の提出が必須です。

損失申告をするための条件や損失申告の計算方法も、予め各自で把握しておくと、確定申告をスムーズに進めることができます。

 

是非、今回の記事を参考にしてみてください。

 

フリーランスとして、確定申告を間違えると、更生請求書や修正申告書などを提出したり別途、過少申告加算税など本来必要のない税金を追納しなければいけない場合がありますので、注意が必要です。

 

フリーランスとして脱税をしないための知識を学んでおきたい方は下記記事をご一読ください↓

 

もし、少しでもわからないことや曖昧なことがある場合は、1人で悩まず税理士に相談することをオススメ致します。

税理士への相談は税務署、市町村役場、インターネット上のサイト、青色申告会、会計事務所など、様々な場所で出来ますので、自分に一番合った方法で気軽に相談してみましょう。

 

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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

執筆者:フリーランススタート編集部

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