公開日:2020.11.05
更新日:2025.03.24
今フリーランスにとってひとつの問題となっているのが、「産休」の実態です。
女性が安心して出産や育児に携わっていくための制度が、会社員時代と変わってしまうため、戸惑う人も多いことでしょう。
しかし、産休に関する情報を把握できれば、フリーランスでも安心の上で出産や育児の準備を進めることができます。
むしろフリーランスならではの働き方が、会社員の産休に代わるメリットになるかもしれません。
こちらではフリーランスの産休についての情報をまとめ、会社員時代との比較を行います。
妊娠、出産、育児に関する悩みを抱えているフリーランスは、こちらを参考に人生設計を考えてみてください。
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<目次>
1.フリーランスは産休・育休の概念がない?
2.フリーランスとして妊娠・出産にかかる費用を知ろう
3.フリーランスと会社員の産休
フリーランスの産休の場合
会社員の産休の場合
4.フリーランスが妊娠・出産でもらえる補助金や社会保障制度
健診助成制度(妊婦健康診査受診票)
出産育児一時金
児童手当
子ども向けの医療費助成
5.出産や妊娠、産休の際フリーランスであることもメリット
仕事量を調整しやすい
在宅の場合、自宅で仕事が出来る
6.まとめ
フリーランスという労働形態には、産休や育休という概念が基本的にはありません。
その理由としては、以下のような産休・育休の定義が関係しています。
産休(産前休業・産後休業):出産予定日の6週間前と、産後の8週間の期間に休業ができる制度(産後6週間を過ぎてから医師が認めた場合は就業可能)
育休(育児休業):出産後、子どもが1歳になるまで希望する期間を育児のために休業できる制度
このように産休や育休は「仕事の雇用を維持したまま休む制度」であると言えるため、利用するには基本的に企業に雇用されている必要があります。
契約ごとに委託されて働くフリーランスは、会社員のような産休や育休の恩恵を受けることができないのです。
そのため出産ギリギリまで仕事をしてしまう人や、産後にまた以前のような仕事量を確保できるのかを不安に感じる人も多いでしょう。
「雇⽤関係によらない働き⽅と⼦育て研究会 緊急アンケート調査 2017年版」では、産前産後の所得補償を求める声が95.5%、育休中の所得補償を求める声が92.4%(どちらも「雇用形態を問わず必要である」「できればあった方が良い」の合計)と、高い数値になりました。
このように多くのフリーランスが、出産や育児に関するセーフティ制度を求めているのです。
実態として産休や育休の概念がないことは、フリーランスにとってのひとつの課題になっています。
フリーランスとしての将来を考える際には、まず妊娠や出産にかかる費用を確認することが重要です。
一般的に妊娠と出産にかかる費用は、30〜100万円程度だと言われています。
内訳は以下のようになり、妊娠や出産ではさまざまなシーンで費用がかかるのです。
・医療機関で妊婦健診:平均14回 × 4,000〜10,000円
・分娩費用:40〜100万
出産する病院の環境や出産方法(自然分娩・帝王切開)の違いなどによって、費用は大きく変わります。
また、出産後にはマタニティ用品やベビー服の準備も必要になるため、総合的な出費はさらにかさみます。
万が一の事態を考慮して、なるべく余裕のある予算を用意しておくことが必要になるでしょう。
一方で、2019年4月からはフリーランスも出産の前後期間に国民年金保険料が免除されるようになりました。
出産予定日が属する月の前から4ヶ月の期間が対象となるため、その分の費用を出産や育児に充てることができます。
少しずつ妊娠や出産に関する費用の事情は変わりつつあるので、最新の情報をチェックしておくことがおすすめです。
双子など『多胎妊娠』の場合、出産予定日(出産日)が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間の国民年金保険料が免除されます。
この章では、フリーランスと会社員の産休の違いを比較します。
どのような差が生まれているのか、以下を参考に確認してみましょう。
先にもお伝えした通り、フリーランスには産休制度がありません。
そのため産前と産後には自分でスケジュールを調整し、仕事への復帰を進めなければならないのです。
「雇⽤関係によらない働き⽅と⼦育て研究会 緊急アンケート調査 2017年版」では、経営者やフリーランスとして働く女性のうちの44.8%が、産後1ヶ月以内で仕事への復帰を行なっています。
産後2ヶ月以内では59%の方が復帰しているため、出産や育児に多くの時間を使えていないことがわかるでしょう。
出産前と同程度の仕事をすぐに見つけられるとも限らないので、出産後は早めに仕事復帰のための行動を起こすことがフリーランスの基本になっているのです。
一方で会社員は、出産予定日までの6週間と、出産後の8週間は休業することができます。
会社に手続きを取ることで誰でも取得できるため、休業を前提とした生活プランを立てることが可能です。
また、会社員の場合には「出産手当金」「育児休業給付金」なども取得できます。
出産手当金:産前42日〜出産の翌日以後56日の範囲で、会社を休んだ日数を計算して手当金が給付される制度
育児休業給付金:雇用保険の加入者を対象に、「休業開始時賃金日額*1×支給日数*2×67%(育休開始から6ヶ月経過した後は50%)」が給付される制度
出産手当金と育児休業給付金は会社に雇用されている人が受けられる制度であるため、フリーランスは利用することができません。
所得の補償も充実している点が、会社員における産休の特徴です。
*1休業開始時賃金日額は、育児休業開始前6ヶ月間の総支給額(賞与を除いた保険料等が控除される前の額)を180で除した額です。
*2支給日数は、30日(育児休業終了日を含む支給単位期間については、その育児休業終了日までの期間)です。
フリーランスにも、妊娠・出産時にもらえる補助金や社会保障制度はあります。
そのため上記で紹介した妊娠・出産にかかる費用の一部を、カバーすることができます。
妊娠や出産にかかる負担を少しでも減らせるように、フリーランスでも使える制度をチェックしてみましょう。
健診助成制度(妊婦健康診査受診票)とは、妊婦健診時に使える補助券を配布する制度です。
妊娠の届出を自治体に提出した際に母子手帳とともに配布されるもので、平均して健診14回分の補助を受けられます。
基本的に異常がなければ妊婦健診には健康保険が適用されませんが、この補助券を使うことで出費をまかなうことが可能です。
内容は自治体によって異なるため、お住まいの地域の健診助成制度を細かく確認しておきましょう。こちらからも確認出来ます。
出産育児一時金とは、出産時の際に一児につき42万円が支給される制度です。
妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した人が対象となり、双子が生まれた場合には人数 × 42万円が支給されます。
健康組合が出産を行った医療機関に直接出産育児一時金を支払う「直接支払制度」を利用すると、事前に用意すべき出産費用は42万円を上回った分だけとなります。
出産費用が不安な場合にも、この直接支払制度を使うことで心理的な負担を軽減することができるでしょう。
児童手当は、出産後に子どもが中学校を卒業するまでの間に継続して給付を受けられる制度です。
3歳未満は一律15,000円、3歳以上小学校修了前は10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は一律10,000円の支給額になります。
支給のタイミングは原則6月、10月、2月の年3回でそれぞれ前月分までの手当てがまとめて支給されます。
※児童を養育している方の所得が所得制限限度額以上の場合、月額一律5,000円が支給されます。
子ども向けの医療費助成も、フリーランスの出産後の負担を減らす制度のひとつです。
医療機関で受診した際に支払われる保険診療料(医療費)の自己負担分を助成する制度で、各自治体ごとに詳細を載せたホームページが作成されています。
子どもの年齢や家庭の所得によって受けられる助成金額は変わり、基本的に事前の手続きが必要になります。
詳しく知りたいフリーランスの方は自分の住んでいる自治体を確認してみましょう。
出産や妊娠に関する補償制度は会社員の方が充実していると言わざるを得ませんが、フリーランスであることが出産・妊娠時にメリットを生み出すことも多いです。
そんなフリーランスならではのメリットを、以下で確認します。
産前産後に仕事量を調整しやすい点は、フリーランスならではのメリットになります。
出産予定日に合わせて少しずつ仕事をセーブしたり、自分の体調と相談して臨機応変に仕事の継続・中断が可能です。
生活資金に余裕があるフリーランスの場合産前産後に多めの休暇を取ることもできるため、産休の範囲内でしか休めない会社員よりもメリットが大きくなることもあるでしょう。
自分の意思で自由に仕事量を調整できるというフリーランスの特徴を活かして、妊娠・出産の時期を柔軟に乗り越えるスケジュールを考えてみることがおすすめです。
在宅での仕事をメインにしているフリーランスの場合、妊娠・出産の時期も自宅での仕事を継続しやすいです。
そのため産休を取らずに働きたい場合にも、自分の体や子どもにかける負担を最小限にすることができるでしょう。
出産予定日が決まったら、それに合わせて仕事の種類を在宅の案件に切り替えていくことも考えられます。
「出産や育児の期間は在宅の仕事にシフトして、落ち着いてきたら再び以前のような仕事に戻す」という人生設計も、フリーランスであれば可能です。
妊娠・出産の時期はできるだけ在宅で働くことを意識して、フリーランスとしての仕事のプランを立ててみるといいでしょう。
フリーランスに対する社会の現状を考えると、産休や育休の制度が十分に整っているとは言えません。
しかし、その中でも頼りにできる制度はたくさんあるので、この機会に出産や育児に関係する助成制度を確認し、利用するための準備を進めてみてはいかがでしょうか。
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