公開日:2021.03.30
更新日:2025.03.24
ITに関連した仕事は幅広くありますが、中には正社員としてではなく、派遣社員や業務委託などの雇用形態で仕事が依頼されることがあります。
「SES」はIT業界における雇用形態のひとつで、その働き方は一般的な会社員の方とは異なっています。
SESはどのような働き方なのかをはじめ、SES契約で仕事をしている方が他の仕事に転職を考えている際、どのような流れで転職活動を進めていけば良いのかなど、詳しくご紹介します。
現在SESで働いている方、今後SESからの転職を考えている方に向けて、フリーランスエンジニアへの転向やその他の仕事に就くために何をすれば良いか、具体的に見てみましょう。
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<目次>
1.SESとは
2.SESをおすすめしない理由
偽装請負があり長時間勤務になりやすい
炎上しやすい仕事に派遣される可能性もある
スキルが向上せず転職しづらくなる可能性もある
多重下請け構造のため給料が上がりづらい
3.SESからの転職先とは?
転職先①:自社開発企業
転職先②:受託開発企業
転職先③:フリーランスエンジニアへの転向
4.SESからの転職を成功させるコツ
明確なキャリアパスを考える
自己分析や企業分析を行う
転職サイトや転職エージェントを活用する
5.まとめ
まず、「SES」はSystem Engineering Service(システム・エンジニアリング・サービス)のことで、IT業界の契約スタイルのひとつである「準委任契約」を指します。
特殊なIT業界では、仕事をするにあたってさまざまな働き方があり、SES(準委任契約)の他にも「請負契約」や「労働者派遣契約」という契約スタイルが存在します。
SESは、「エンジニアとして自身がもつ労働力を提供する」ことを前提とした契約形態で、直接開発を依頼する企業と契約するのではなく、ベンダーと呼ばれるSES企業と契約を行います。
つまり、エンジニアはベンダー(SES企業)と契約し、ベンダー(SES企業)は企業(クライアント)となる企業から仕事を請け、SESのエンジニアに仕事を依頼するという流れです。
SESの特徴は3つです。
1つ目の特徴は、依頼された成果物の完成義務はない点です。
成果物の完成や未完成に関わらず、働いた時間(労働時間)に対して報酬が発生します。
報酬については「作業時間あたり○○円」などの条件が提示されます。
2つ目の特徴は、責任がない点です。
自身が携わった製品・成果物に何らかの不具合が発生したとしても責任を負う義務となる「瑕疵(かし)担保責任」がありません。
3つ目の特徴は、発注元企業である顧客(クライアント)には、SESのエンジニアに対して業務指揮命令権がない点です。
SESとして契約した仕事について指示を行うのはエンジニアと契約をしているベンダー(SES企業)であり、その先の依頼主である企業(クライアント)ではありません。
そのため、企業(クライアント)が作業内容について口出しをしたり、文書などで指示を出すのは法律違反となります。
また、上述した請負契約と労働者派遣契約のふたつの契約スタイルの特徴についてもご消化します。
●請負契約
完成した成果物に対して報酬が発生する契約形態です。
もし製品に不備があった場合には、SESと違い瑕疵担保責任が発生します。
●労働者派遣契約
SESと同じく、働いた時間に対して報酬が発生します。
SESと違う点は、業務指揮命令権が企業(クライアント)にあることです。
SESという働き方は、そのデメリットゆえにあまり勧められない働き方だと言われています。
どのような理由があるのか、ひとつずつ詳しく見てみましょう。
SESの特徴として、企業(クライアント)はSESのエンジニアに直接仕事の指示をすることはできないことを挙げました。
依頼を受けたSESのエンジニアが実際に仕事をするのは依頼をした企業(クライアント)のオフィスです。
しかし目の前にSESのエンジニアがいたとしても企業(クライアント)はその仕事に関する指示ができません。
そのため、もしSES契約で働くエンジニアに対して企業(クライアント)から何らかの指示があると、法律違反である「偽装請負」になります。
エンジニアに対して企業側が指示を出すためには、SESではなく「労働者派遣契約」を結ぶ必要があります。
ただ、労働者派遣契約を結ぶには、労働者派遣事業法という法律で定められた規定を守った上で、行政から許可を得る必要があります。
ベンダー(SES企業)によっては、偽装請負ということ自体知らなかったり、法律違反なのに偽装請負をさせる可能性もあり得るでしょう。
さらにSES契約の場合、労働時間の幅が決められていることもあり、上限いっぱいまで稼働させたり、上限を超えても稼働させようとする企業(クライアント)などもいるでしょう。
そのためSESは依然として偽装請負があったり長時間勤務になりやすいというデメリットがあります。
企業(クライアント)がベンダー(SES企業)に対して人材を募集するというのは、自社のエンジニアが足りていないとも言い換えられます。
そのため、SES契約の中には非常にハードで工期設定も適切でない、いわゆる「炎上案件」と呼ばれる仕事があります。
こうした仕事に就くと、法外な労働時間を求められたり、体調を崩すほどハードな仕事を求められたりする可能性もあるでしょう。
炎上しやすい仕事に派遣される可能性があることも、SES契約の大きなデメリットです。
SES契約のメリットとして、仕事を請け負うたびにさまざまな企業(クライアント)で働けることが挙げられます。
しかし、その一方で仕事内容が適切ではないもの、特にエンジニアのスキルを必要としないものもあり、スキルが一向に高まらない可能性もあります。
たとえば、エンジニアとしてSES契約したのに、テストばかり任されている、コールセンターのような役目を任される、エクセル入力などの事務作業ばかり任されるなどの仕事を担当することも有り得るでしょう。
この場合、エンジニアとしてのスキルがなかなか向上せず、今後を考えたときに転職しづらくなる可能性も考えられるでしょう。
ただ、SES=スキルがつかないという図式は適切ではありません。
本人の努力次第で、大きく成長できる企業(クライアント)に配置されたり、よりスキルアップが望める企業(クライアント)に配置されたりすることもあります。
SESだからスキルがつかないと一概に言うのではなく、仕事をする会社環境やスキルアップを望む自分の気持ち・やる気でも大きく変わると理解しておきましょう。
SES契約が起こる形として、まず仕事を依頼したい企業(クライアント)、エンジニアを派遣するベンダー(SES企業)、そして実際に作業を行うSESのエンジニアという、最低3つのつながりがあります。
さらに、SESではその間に数社が挟まれることもあるため、企業(クライアント)が依頼した報酬から少しずつ仲介手数料や報酬として中間マージンが差し引かれていきます。
SES契約はこうした多重下請け構造のため、下の位置にいる3次請けや4次請けのベンダー(SES企業)とSES契約しているエンジニアの給料がなかなか上がりづらいというデメリットがあります。
ここまでを踏まえて、現在SESで働いている方は今後どのような転職先があるのでしょうか。
SESではない他の働き方についてひとつずつご紹介します。
まず挙げられるのは、自社内でサービスやサイト開発を行う「自社開発企業」への転職です。
アプリ開発、サイト制作などすべて自分たちで行う企業なら、SESという働き方を必要としません。
大手の例では、Google(グーグル)、サイバーエージェントなどが当てはまります。
自社開発企業で働けば、自身の実力を存分に活かすことができ、スキルアップも望めるでしょう。
次に挙げられるのが「受託開発企業」です。
元請け企業から依頼を受け、開発を行う企業のことを指します。
受託開発企業では、仕事を請けた納品物(成果物)に対して報酬が得られる仕組みになっており、SESのような中抜きもないため高報酬が期待できるメリットがあります。
最後は、「フリーランスエンジニア」です。
SESと違い、企業に雇用されて派遣される形ではなく、完全に独立し仕事をする働き方です。
そのため、仕事を請ける判断をするのは自分自身で、業務量の調整や単価交渉などもすべて自分で行います。
ベンダー(SES企業)を介して依頼を受けるSESとは違って商流の浅い案件に参画しやすいため収入が上がりやすいです。
また、自分で働く場所や仕事内容を確認してから働けるため、スキルアップもしやすいと言えるでしょう。
もちろん、その業務内容によってはさらに単価を上げてほしいなどの交渉もでき、自分にとってベストな働き方を実現できるのが大きなメリットです。
個人で仕事を請け負うため、保険料を自分で支払う必要があるなどのデメリットもあります。
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それでは、SESから転職をするためにどのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。
現在SESとして働いている方、ハードな仕事が多く転職を考えているけどどのように転職活動を進めれば良いか悩んでいる方、SESから転職を成功させるコツをご紹介します。
まずは、エンジニアとしての「キャリアパス」を明確にしましょう。
キャリアパスとは「キャリアを積む道」という意味で、職務に就くために、どのような経路をたどっていけば良いかを示すものをいいます。
つまり、仕事における目標を達成するための道筋です。
自身がエンジニアとしてどのような仕事をしていきたいのか、どのような資格を取得したいのかなどの目標を立て、その目標を達成するためにはどのような仕事をこなすと良いのかを考えましょう。
自分の目標を達成するために、どの雇用形態・賃金・スキルを得ていけば良いのか、そのためのルートを考えてから転職活動を行うと、選ぶべき会社や転職先がわかりやすくなります。
自分が持つスキルのほか、自分がどのような働き方・生き方を望んでいるのかを一度可視化してみましょう。
たとえば、現在結婚して子どもがいる方の場合は、子どもや家族と過ごす時間を確保するために、残業が少ない、時短制度や育休制度などを取り入れており子どもや家族がいる社員に対して理解があるなどの条件に当てはまる企業へ転職をすることが考えられます。
働く先の企業についても、自分のスキルを高められるような仕事内容なのか、自分の目標が達成できるのか、福利厚生など納得して働き続けることができるのかなどを徹底して調べておきましょう。
自己分析やキャリアパスを考えた後は、実際に転職先を探します。
転職活動で働きながらハローワークへ行くのが難しいという場合には、自宅から・通勤中でも利用できる転職サイトや転職エージェントを利用すると良いでしょう。
転職サイトは、自分の転職に関する希望がはっきりしている場合に利用することをおすすめします。
自身で転職に関する条件を掲げ、細かな条件検索で転職希望先を見つけられます。
また、転職先の希望が見当たらない場合や、自身がどのような場所で仕事をすべきなのかわからない、専門分野のプロのアドバイスを聞きたい場合には、「転職エージェント」の利用をおすすめします。
転職エージェントは、自身で仕事を探す転職サイトとは違い、専任のエージェントと呼ばれるスタッフが仕事探しのためのサポートを行ってくれます。
自身が持つスキルや希望などを伝えると、自分では見落としていたような案件を持ってきてくれることもあるでしょう。
現在SESで働く人の中には、拘束時間が長かったり給与が低かったりという理由で、転職に向けてどのように行動すれば良いかを考えている人もいるでしょう。
SESという働き方にはメリットもありますが、デメリットも挙げられます。
エンジニアとしてどのような仕事をしていきたいか、その希望を明確にさせ、後悔のない仕事選びをしましょう。
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