公開日:2021.05.20
更新日:2025.03.24
プリセールスの仕事は、営業スキルやエンジニア等の技術系の経験を用いて、ITシステムの導入を検討する企業への営業をサポートする仕事です。
営業職と技術職の両面での能力が必要であるため、求められる能力水準と得られる年収が高い傾向があります。
当記事ではプリセールスの仕事内容や年収、転職事情、転職実現のコツを解説します。
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<目次>
1.プリセールスとは
プリセールスとエンジニアとの違い
プリセールスとコンサルタントとの違い
2.プリセールスの仕事内容
技術面からの営業サポート
技術的な側面から、顧客の課題ヒアリングと解決策提示
導入フェーズにおける技術的サポート
3.プリセールスの年収
4.転職市場からみるプリセールス需要
プリセールスの現状
プリセールスの将来性
5.未経験からプリセールスへの転職を実現させるには
ITスキル
プレゼンスキル
コミュニケーションスキル
転職サイトや転職エージェントを活用する
6.まとめ
まずプリセールス(Presales)という言葉は、前の・あらかじめなどを意味する「プリ(Pre)」と、販売を意味する「セールス(sales)」合わせたものです。
そしてビジネスや転職市場におけるプリセールスは、システム構築やソフトウェア導入に関する営業を行う担当者に同行し、さまざまなサポートを実施する仕事です。
IT関係の経験や導入システムに関する知識を持つプリセールスは、営業担当の代わりにクライアントからの質問に答えたり、技術面のヒアリングを行ったりします。
エンジニアとの違いを挙げるとすれば、「クライアントが実際に発注するまでの仕事」がプリセールスで、「クライアントが発注した後に具体的な設計や構築を行う仕事」がエンジニアになります。
両者に違いがあるとはいえ、どちらもIT関係の現場経験や専門的知識が必要です。
そうした背景もあり、プリセールスは現場でシステム開発に携わったエンジニアが転身するケースも多くなっています。そのため「プリセールスエンジニア」や「セールスエンジニア」とも呼ばれることがあります。
プリセールスとエンジニアの業務を両方とも一貫して請け負うプリセールスも企業によっては存在します。
プリセールスとコンサルタントの業務で大きく異なるのは目的の違いです。
「自社製品を売り込んで利益を得る」がプリセールス、「自分の知識やノウハウを提供して報酬を得る」がコンサルタントになります。
プリセールスにとっては自社製品が商品であり、自社製品が売れてこそ初めて利益につながります。
そのためプリセールスが行う知識やノウハウの共有は、自社製品の売り込むための1つの手段として無料で行うケースがほとんどです。
一方コンサルタントは、知識やノウハウの提供や問題の分析によってクライアントの課題を解決することこそが商品です。
自身の問題解決能力や知識量が商品になるため、知識やノウハウの共有は有料になります。
プリセールスの仕事内容は主に次の3つです。
・技術面からの営業サポート
・技術的側面から、顧客の課題のヒアリングと解決策掲示
・導入フェーズにおける技術的サポート
プリセールスを一言で表すなら、クライアントと営業担当との橋渡し役です。
本来、クライアントとの商談は営業担当者の仕事です。
しかし営業担当は必ずしも技術面の経験や知識を持っているわけではありません。
クライアントからの専門分野に関する質問やシステムの技術的な解説について、適切な返答ができないケースがあります。
そこでプリセールスは自身が持つIT関係やシステム構築の知識・ノウハウを用いて営業担当をサポートします。
具体的な業務は次のとおりです。
・クライアントからの技術面やシステム構築関係の質疑応答の対応
・自社製品やサービスの技術的な面の具体的な解説やプレゼンテーションの実施
クライアント目線で見ても、技術的な部分が疎い営業担当からの返答が曖昧のまま契約に進むのは不安が残ります。
また仕事の受注をコンペ形式で行っている企業の立場でも、具体的な内容を提案できない営業担当へ発注は控えるはずです。
プリセールスの業務は、自社製品の契約をクローズさせる上で重要な役割といえるでしょう。
クライアントが持つ課題をヒアリングしたり、課題に対する適切な解決策を掲示したりするのもプリセールスの仕事です。
プリセールスは専門的かつ技術的な目線で、営業担当では拾えないクライアントの隠れたニーズや細かいこだわりの箇所までヒアリングします。
その後は抽出したクライアントの課題や希望に対して、専門的かつ技術的な知識・ノウハウを用い解決策を立案します。
「なぜ自社製品・サービスがクライアントの課題を解決できるのか」や「システムが実際にどう動くのか」、「クライアントの課題は技術的に対応できるのか」などについて具体的な解を示すことで、クライアントが納得した上で意思決定をしてもらうようことが可能です。
また技術面以外にも、システムの開発にかかる工数や導入システムの規模などを考慮し、適切なコストや導入までのスケジュールを提案するのもプリセールスの仕事です。
プリセールスは基本的に、構築や開発が始まる前段階でのプロジェクト進行が業務範囲です。
導入が決定して実際に開発や構築に進む場合は、プロジェクトマネージャー(システム開発チームの責任者)へ依頼を行います。
しかし企業によっては、システムを導入したときに行う各種設定やクライアントへのトレーニング、技術面に関する問い合わせ対応をプリセールスが行うところも存在します。
チームの人数次第では、そのままエンジニアとして開発チームに入るケースも考えられるでしょう。
大手転職サイト「doda」の調査によると、プリセールスの平均年収は630万円となっていました。
この数値はIT/通信系エンジニアの中でもプロジェクトマネジャーの671万円に次いで2番目です。
また同じく大手転職エージェント「マイナビエージェント」の職種別平均ランキング2021年度版では、プリセールスの平均年収は633万円となっていました。
プリセールスは営業+コンサルタントと仕事が数値が直結しやすい仕事であることに加えて、エンジニア関係の専門知識が求められるハイスキルな職種です。
そうした背景から募集求人の中には年収800万~1,000万円以上クラスも存在するなど、全体的に高めの傾向が見られました。
以下のスキルが求められる求人は、高年収のものが多かった印象です。
・ITコンサルタントの経験
・コンサルティングファームやシンクタンクでの業務経験
・プロジェクトマネジメント経験
・IT業界での営業経験5年以上
・企業ごとの開発現場にて使うプログラミングスキルやサーバ運用経験 など
また国内大手に加えて、外資系企業の求人は1,500〜2,000万円など非常に高年収かつ基本給とストックオプションの比率が80/20などと好条件である傾向が強いです。
プリセールス案件を覗いてみる↓
プリセールスはIT業界の現状や人材の関係を見るに、今後も需要は増える仕事と予想されます。
「現状」と「将来性」の2面から、転職市場におけるプリセールスの需要を考察しました。
前述のとおりプリセールスの平均年収は約630万円と高額であること、また日本では「実務経験とスキルを兼ね備えたIT人材が不足している背景」があることを考えると、2022年時点でもプリセールスを任せられる人材の需要は大きいといえます。
しかし営業スキルと技術スキルの2つが高いレベルで要求されるプリセールス転職は、どちらのスキルも中途半端では成功させるのが難しいでしょう。
とくに難しいのが業界未経験者です。
dodaの2022年5月時点での公開求人では、プリセールスの募集求人835件のうち「業務未経験者歓迎」が5件、「職種未経験歓迎」が4件とほとんどありませんでした。年収も大体が500万円程度と平均より落ちます。
国内最大規模の転職エージェント「リクルートエージェント」においても、求人数4,346件のうち、「未経験でも可」になると144件まで減少しました。
以上のことから転職市場におけるプリセールスは、経験がスキルが重要になると考えられます。
逆に現在プリセールスとして働いている場合は、転職価値が高い人材として評価されるのではないでしょうか。
プリセールスは技術面が評価されるIT業界の仕事であっても、対人スキルが重要視される仕事です。
そのためAIによる代替のリスクが少なく、今後も消滅しないITの仕事と一般的に考えられています。
また世界情勢としてテレワークの普及やWeb会議システム・情報セキュリティシステムの需要増から、BtoBのシーンでのプリセールスの役割は大きくなりました。
さらに募集求人を見ると、クライアントから要求される仕事が複雑化していく中で対応を迫られた企業が、専門職であるプリセールスの募集を増やしつつあります。
もともとは外資系企業でプリセールスとして活躍することが多かったですが国内企業での需要も増えてきました。
今後もプリセールスの転職市場での価値は高まっていくのではないかと考えられます。
プリセールスの現状や将来性から考察するに、未経験からプリセールスへの転職を果たすのは非常に厳しいです。
原則としてプリセールスは「IT業界の業務に携わる人が次のキャリアパスとして考える仕事」と理解しておきましょう。
完全な未経験である場合は、まずIT系エンジニア職に就いて経験を積むところから始める必要があります。
一方の経験やスキルを身につけた後も、もう片方の仕事に就いたほうが無難です。
そうした土台を積み上げてから初めてプリセールスへの挑戦が視野に入ります。
以下ではプリセールスへの転職で有利になるスキルを解説します。
IT関係のシステムや技術について解説するプリセールスという業務の関係上、IT関係の知識やスキルを十分に身に付けなければなりません。
最低限でも自社製品やサービスの内容を理解し、クライアントへ噛み砕いて説明することに苦慮しないレベルが必要になるでしょう。
なお未経験からプリセールスを目指す場合、先に高レベルの経験・スキルに昇華すべきは、IT関係の営業・コンサルティングよりもエンジニアやプログラマーなどの技術系です。
プリセールスとして、営業の方と同行営業を行うと、クライアントはシステム開発や導入など技術的なことを細部まで聞くことが非常に多いです。
プリセールスへの転職を考える場合は、クライアントや消費者への営業やコンサルティングも重要ですが、まずはテクニカルサポートなどを経験したり、開発・設計やプログラミングの実務経験を磨いたほうが近道になるでしょう。
プリセールスの業務目標は「クライアントから仕事を受注すること(発注してもらうこと)」です。
そのため自社製品やサービスの魅力や詳細をクライアントへ伝えるためのプレゼンスキルは重要になります。
とはいえ営業担当が行うようなセールストークだけでは足りません。
プリセールスならではの技術的観点や専門知識を入れた解説や、実際に製品やサービスをクライアントの目の前で動かせるスキルなどを交えた、専門的なプレゼン力が必要です。
プリセールスはクライアントだけでなく、営業担当や製品開発部門、経営層など幅広い範囲で連絡を取り合う必要があります。
そのためのコミュニケーション能力が必須です。
具体的には次のとおりです。
・相手を不快にさせず好意的に接することができる基礎的な能力
・クライアントの技術的な問題点や疑問点を洗い出し解決できる分析力や課題解決力
・クライアントを納得させる説得力
・クライアントとの契約をクローズさせるセールストーク力
・各部署とのスムーズな連携体制を整える全体把握能力やバランス力 など
プリセールスへの転職を目指す場合は、転職サイトや転職エージェントを利用することをおすすめします。
理由は次のとおりです。
・転職サイトは各種便利なツールの利用、転職エージェントは担当者による転職サポートによって自己分析や書類添削が効率よくできる
・転職サイトは新着求人や気になる求人を自分都合でチェックできる
・転職エージェントは面接対策やスケジュール調整についてもサポートしてくれる
・転職エージェントは高年収やハイクラスなど質のよい非公開求人や独占求人を見つけられる など
とくにこれまで転職未経験だった場合は、1人で進めて失敗するよりも転職サービスのサポートを利用したほうが成功率も上がるはずです。
利用するときはIT系に強いサービスの利用をおすすめします。
例えば次のとおりです。
・ワークポート
・レバテックキャリア
・リクルートエージェント
プリセールスは営業職の提案力やコミュニケーションスキル、エンジニア等の技術職のIT関係の知識や経験を求められる高度な仕事です。
しかしその分だけ高年収が期待できるため、IT業界出身の求職者の場合は、次のキャリアパスの選択肢としておすすめです。
自身のITスキルやプレゼンスキル、コミュニケーションスキルに自信がある場合は、ぜひ転職を狙ってみてはいかがでしょうか。
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