公開日:2022.01.07
更新日:2025.03.24
IT業界にはさまざまな職種があり、求められる知識やスキルも職種によって異なります。
そして中でも近年目にする機会が増しているのが、オープンソースOSのLinuxです。
特にインフラ系のエンジニアを目指すのであれば、Linuxに関する知識は重要でしょう。
そしてLinuxに関する知識を身につけるのであれば、国際的な認定資格である「LPIC」には大注目です。
そのためこの記事では、LPICの概要や試験内容、資格を取得するメリット・デメリット、勉強におすすめのサイトなどについてお伝えします。
特に、以下の方にはこの記事をご一読していただきたいです。
・LPICを現在勉強している、もしくは今後勉強する予定の方
・インフラ系エンジニアを目指している方
・インフラ系エンジニアとしてのステップアップを考えている方
・LPICの試験について概要を知りたい方
・LPICの勉強方法について調べている方
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<目次>
1.LPIC(Linux Professional Institute Certification)とは
LPICの種類とは
LPICとLinuCの違い
2.LPIC試験の詳細
LPICの試験会場・日程・試験時間・受験料
LPIC試験の出題形式・出題内容
LPIC試験の申し込み手順
LPIC試験の難易度・勉強時間
LPICの有効期限
3.LPICの資格取得のメリット
IT系企業に就職しやすい
Linuxの知識が身に付く
Linuxスキルの証明ができる
資格手当や報奨金を貰える
4.LPICの資格取得のデメリット
勉強時間を確保する必要がある
5.LPIC資格を取得しても意味ない?
6.LPICの資格取得のための勉強サイト紹介
勉強サイト①:LinuCイージス(LPICイージス)
勉強サイト②:Ping-t
勉強サイト③:LPI(Linux Professional Institute)の公式サイト
7.まとめ
LPIC(Linux Professional Institute Certification)とは、Linuxの技術者としての実力を認定する資格のことを指します。
Linuxとは、世界的に普及しているOSの1つです。
国際的な認定試験であり、オープンソースプロフェッショナルのキャリアをサポートするNPO法人「LPI」が運営しています。
LPICには、グレード別に以下の3種類の試験があります。
・LPIC-1
・LPIC-2
・LPIC-3
1から3に向かうにつれて専門性が高まり、難しくなるステップアップ型の認定試験であり、上のレベルの試験を受けるにはその下位試験に合格していなければなりません。
つまり、はじめて受験する方はLPIC-1から始めて2、3と順番に合格していく必要があります。
LPIC-1とLPIC-2では以下のようにそれぞれ2種類の試験があり、各レベルにおいて両方の試験に合格することで、資格の認定が受けられます。
・LPIC-1……101試験・102試験両方の合格が必要
・LPIC-2……201試験・202試験両方の合格が必要
そしてLPIC-3に関しては、300試験・303試験・304試験の3種類があり、以下のようにそれぞれ独立した認定資格になっています。
・300試験……LPIC-3エンタープライズ混合環境
・303試験……LPIC-3 エンタープライズセキュリティ
・305試験……LPIC-3 エンタープライズ仮想化と高可用性
・306試験……LPIC-3 - 高可用性システムとストレージ
LPICと似ている試験に「LinuC」があります。
LinuCは日本市場に特化した知識を問う資格試験であり、以下の点でLPICとは異なります。
・運営機関
・ターゲット市場
・試験内容
LPICはLPIの日本支部が運営していますが、LinuCはLPI-Japanが運営主体です。
LPICは世界市場をターゲットとしていますが、LinuCは日本の市場をターゲットとしています。
対象としている市場が異なるため、両者は試験内容も少しですが異なります。
ただしこの違いは2021年12月時点のものであり、今後の業界やLPIの動向によっては、両者に変化が生じる可能性はあるでしょう。
現時点では、グローバルに活躍するならLPIC、日本国内に特化して活動するならLinuCと整理できます。
また、より幅広く知識を習得したいのであれば、LPICの受験がおすすめです。
この章では、LPIC試験の詳細についてお伝えします。
【試験会場】
LPICの試験会場に関しては「ピアソンVUE」のテストセンターで受験をするか「OnVUEテストプラットフォーム」を介してオンラインで受験するかを選択できます。
会場で受けるかオンラインで受けるかによって受験できる言語に違いがありますが、日本語であればどちらでも問題ありません。
LPIC-1 |
LPIC-2 |
LPIC-3 |
---|---|---|
・ピアソンVUEテストセンター |
・ピアソンVUEテストセンター |
・ピアソンVUEテストセンター |
(参照:LPI | Linux Professional Institute認定試験)
【試験時間・受験料】
試験時間は101試験・102試験・201試験など全てにおいて、90分間です。
受験料についても、LPIC-1~LPI~-3まで全て1万5,000円(税抜)で統一されています。(2022年8月時点)
なお、試験の予約をする際にはピアソンVUEのアカウントを作成する必要があるため注意しましょう。
ピアソンVUEとは、CBT(Computer Based Testing)形式のテスト業界におけるリーディングカンパニーです。
模擬試験から資格試験まで、幅広いCBT形式のテストに対応しています。
試験会場は全国に複数あり、最寄りの会場を検索して探し出せます。
試験日程に関しても、会場予約時に決定できます。
LPIC試験の出題形式は、いずれの試験においても多肢選択問題・穴埋め問題形式です。
出題内容は、以下の通りです。
レベル |
出題内容 |
|
---|---|---|
LPIC-1 |
101試験 |
・システムアーキテクチャー |
102試験 |
・シェルとシェルスクリプト |
|
LPIC-2 |
201試験 |
・キャパシティプランニング |
202試験 |
・ドメインネームサーバー |
|
LPIC-3 |
300試験 |
・Sambaの基礎 |
303試験 |
・暗号学 |
|
305試験 |
・完全仮想化 |
|
306試験 |
・高可用性クラスター管理 |
以下の通り試験によって目的が異なるため、試験で問われる内容も異なります。
・LPIC-1
コマンドラインでのメンテナンスタスク実行やLinuxを実行するコンピューターのインストール・構成、基本的なネットワークの構成能力の検証を目的としています。
・LPIC-2
中小規模の混合ネットワークを管理する能力の検証が目的です。
・LPIC-3エンタープライズ混合環境(300試験)
混合環境における企業全体のLinuxシステムの管理を対象としています。
・LPIC-3エンタープライズセキュリティ(303試験)
セキュリティに重点を置いた、企業全体のLinuxシステムの管理を対象としています。
・LPIC-3エンタープライズ仮想化とハイアベイラビリティ(304試験)
仮想化と高可用性に重点を置いた、企業全体のLinuxシステムの管理を対象としています。
・LPIC-3 - 高可用性システムとストレージ(306試験)
仮想化とコンテナ化に重点を置いた、企業全体のLinuxシステムの管理を対象としています。
LPIC試験の申し込み手順は、おおむね以下の通りです。
・受験する認定資格を決める
・LPI IDを取得する
・ピアソンVUEのアカウントを作成する
・試験の予約をする
まず、各試験の目的を確認し、どの試験を受けるべきか決定しましょう。
初めて試験を受けるのであれば、LPIC-1を受けることになります。
試験の予約にあたっては、LPI IDをまず取得する必要があるため注意しましょう。
ID取得に必要なのは氏名や住所、電話番号などであるため、事前準備は必要ありません。
次に、ピアソンVUEのアカウントを作成します。
こちらも特に事前準備が必要な情報はないため、数分程度で取得できるでしょう。
予約にあたっては、希望の試験会場と日時を選択します。
予約段階でカードにて支払いを済ませる必要があるため、ご注意ください。
使用できるカードブランドは、以下の4種類です。
・American Express
・JCB
・Mastercard
・Visa
LPIC試験の難易度は、レベルが上がるにつれてやはり上がっていきます。
LPIC-1は入門者向けの内容であり、暗記系の問題が比較的多い試験です。
全くの初心者でも、参考書や問題集を利用することで合格は可能だと言われています。
しかしそれでも1~3ヶ月程度は集中的に勉強をする必要があるでしょう。
LPIC-2は、Linuxの実務経験者向けの資格になっています。
LPIC-1の2倍程度の試験範囲であり、専門性も高くなっているとイメージすべきでしょう。
数ヶ月~半年程度は勉強する必要があります。
LPIC-3は、3つの分野それぞれで高度なスキル・実務経験があるエンジニア向けの資格試験です。
半年~1年程度の勉強を覚悟すべきであり、加えて実務経験がない方には非常に厳しい内容になっています。
上記の通りハイレベルな試験は一筋縄ではいきません。
エンジニアとしてのステップアップとともに、試験を攻略していくと良いでしょう。
LPICの有効期限は、再受験もしくはより高いレベルの試験を受験しない限り5年とされています。
この章では、LPIC資格取得におけるメリットについてお伝えします。
LPIC資格を取るメリットとしてまず挙げられるのが、IT系企業への就職がしやすくなることです。
求人要件にLPICを記載している企業もあり、就職先の幅は確実に広がります。
特にLinuxやOSのスキルを必要としている・重宝している企業の場合は、大きなアピールポイントとなるでしょう。
また、インフラやサーバー系の業務経験がない方であっても、LPIC-1の資格を取得しておくことで面接時に大きなアピールポイントとなります。
たとえ未経験でもサーバー知識を持っていることをアピールできる上に、エンジニアとして学習していくモチベーションを持っていることを示せます。
インフラエンジニアやネットワークエンジニア、クラウドエンジニアなどになりたいと考えている場合、LPIC資格取得は非常に有意義でしょう。
Linuxに関する知識が身につくことも、もちろん大きなメリットの1つです。
Linuxは世界的に使用されているOSであり、サーバー設計・構築における使用頻度が高いと考えられます。
システム開発においてLinuxの知識が役立つことは多く、知識を増やすことで仕事の可能性は広がっていくでしょう。
また、サーバーやネットワークにLinuxが使用されるケースも多く、Linuxに関する知識を持っているだけでもエンジニアとしての価値が上げられます。
就職時だけでなく、現在エンジニアとして稼働している方にとっても、LPIC資格取得の勉強をすることでスキルアップにつながるでしょう。
LPICは実践的な内容を扱っている資格試験であるため、試験勉強をすることはそのまま実務で使える知識を増やすことにつながります。
LPIC資格を持っていれば、レベルに応じたLinuxスキルを持っていることを証明できます。
Linux関連のエンジニアは特に資格がなくても活動できますが、自分の実力を客観的に相手に示すことはなかなか困難です。
しかしLPIC資格を持っていれば、実力を客観的に相手に伝えることができるでしょう。
先ほどお話しした就職・転職においてだけでなく、社内でのキャリアップやフリーランスが仕事を取りに行く際にも非常に効果的です。
近年では、LPIC-1を持っていないと運用保守オペレーター以外の仕事を任せてもらえないケースもあります。
また、LPICの資格取得者が優遇されるプロジェクトは少なくありません。
エンジニアとしての可能性を広げてステップアップしていくうえで、LPIC資格の獲得は有効な手段になるでしょう。
LPICの資格取得が、資格手当や報奨金の対象となっている会社もあります。
報奨金の金額は、LPIC-1資格取得でも数万円~10万円近くになることもあります。
エンジニアとしての知識・スキルを身につけられるうえにまとまったお金がもらえることは、大きなメリットだと言えるでしょう。
また、試験料金も支払い対象となるケースが多いため、確認しておくことをおすすめします。
この章では、LPIC資格を取得するデメリットについてお伝えします。
デメリットとして考えられるのは、次に紹介する1点のみです。
LPIC資格取得のデメリットとして唯一挙げられるのが、勉強時間確保の問題です。
LPIC試験に合格するためには、LPIC-1で数ヶ月、LPIC-2で数ヶ月~半年、LPIC-3で半年~1年程度の勉強期間が求められます。
特にレベルが高くなると未経験者には太刀打ちできないため、ほとんどの人が働きながら勉強することになるでしょう。
働きながら半年や1年など一定期間勉強を続けるのは、高いモチベーションがなければ難しいでしょう。
また、毎日の勉強時間があまり確保できなければ、それだけ勉強期間は伸びます。
ただし、先ほどお話しした通りLPICの試験勉強は実務にも直結しているため、学んだことはエンジニアとして決して無駄になりません。
そういった意味では「勉強も仕事やキャリアアップの一環」として割り切って考えられる試験ではあるでしょう。
LPIC資格に関しては「取得しても意味がない」との話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
確かに資格を取得すればすぐにスキルが身につくことはなく、あくまでも手を動かして実務経験を積まなくては、エンジニアとしての実力はなかなかアップしないでしょう。
しかし、それでもLPICの資格取得には、意味があるとは考えられるでしょう。
LPIC試験突破のための勉強をすることで、Linuxに関する知識は確実に身につくためです。
資格を保有することで、仕事に関する知識やモチベーションを客観的に示すこともできます。
さらに報奨金や手当制度がある会社に勤めていれば、金銭で直接的に利益を得ることにもつながるでしょう。
特に初級者から中級者の段階では資格を持つ意義は大きいと考えられます。
インフラやサーバーなどのバックエンドエンジニアとしてのステップアップを考えるのであれば、積極的な受験がおすすめです。
この章では、LPIC資格取得にや役立つ勉強勉強サイトを3つご紹介します。
LinuCイージス(LPICイージス)は、LPICやLinuCの試験勉強をするためのWeb教科書サービスです。
LPIC-1の試験内容に関して、トピックスごとに簡潔にまとめてくれています。
無料で利用できる上に内容も体系的にまとめられて充実しています。どの参考書を使用するか決まっていない方や今の参考書がしっくり来ていない方にはおすすめでしょう。
また、試験と同様にLinuxのコマンドを入力しながら勉強したい方にも、疑似的にLinuxを動かせる仮想化ソフトを提供してくれています。
なお、LPICイージスは元々LinuC向けの内容になっていますが、試験内容や難易度はLPICと非常に似ているため、充分に有効なサービスだと考えられるでしょう。
Ping-tは、有名なLPICの学習サイトです。
LPICの他にもさまざまな資格試験の勉強に役立てられます。
問題集が充実している点が、大きな特徴です。
「最強Web問題集」というツールが用意されており、勉強が進んできた最終段階で、見直しのため使用するのもおすすめです。
無料で試用できるのは、101試験対応分だけです。
しかし問題数は非常に多く内容の充実度は高いため、勉強を始めたばかりの方にはおすすめでしょう。
102試験やその他難関資格については、有料コンテンツとしてであれば利用可能です。
LPI(Linux Professional Institute)の公式サイトでも、資格試験の学習用コンテンツを提供しています。
各試験の試験内容を項目1つずつ学習できるため、勉強の基本ツールとして使用できるでしょう。
試験の運営団体が提供している内容であるため、正確性の上では最も信頼できるとは考えられます。
また、公式サイトでもLPI学習教材として役立つ参考書の情報が見れますのでそちらも合わせてご確認ください。
LPICとは、世界的なOSであるLinuxに関する知識を証明するための資格です。
資格取得により、就職やキャリアップに有利に働くでしょう。
LPICには3段階のレベルがあるため、ご自身のステップアップと並行して受験していくことをおすすめします。
最初の試験であるLPIC-1には受験資格がないため、インフラなどバックエンドエンジニアを志すのであればトライしてみる意義は大いにあるでしょう。
フリーランスエンジニア専門の求人・案件一括検索サイト「フリーランススタート」に少しでも興味がある方は是非ご登録ください。
なお、フリーランススタートはiOSアプリ版やAndroid版をリリースしています。
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