公開日:2022.01.11
更新日:2025.03.24
データベーススペシャリストとは、IT業界におけるデータベースに関連する専門知識を用いて、システムの運営管理を担う職種のこと。
データベーススペシャリストとして名乗るためには、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が実施する情報処理技術者試験をクリアしなければなりません。
IT関連の専門的な知識をマスターする必要があり、長期的な学習時間の確保だけでなく、プログラミング要素を含む知識の習得が不可欠です。
本記事では、データベーススペシャリスト試験について解説しています。
また、データベーススペシャリスト試験の詳細や試験内容などについても紹介しています。
キャリアアップを目的としてデータベーススペシャリスト試験の資格を取得したり、フリーランスとしてスキルを証明するために取得したりする方もいることでしょう。
実際、データベーススペシャリスト試験として、フリーランスで活動している方もいます。
それでは、ぜひ最後までご覧ください。
あなたの経験職種のフリーランス案件相場を確認しませんか?
<目次>
1.データベーススペシャリストとは
データベーススペシャリスト資格の難易度
2.データベーススペシャリスト試験の詳細
データベーススペシャリスト試験の試験会場・日程・受験料
データベーススペシャリスト試験の試験時間・出題形式・出題数
データベーススペシャリスト試験の出題内容
データベーススペシャリストの受験者数・合格率
データベーススペシャリスト試験の申し込み手順
データベーススペシャリスト試験の有効期限
データベーススペシャリスト試験の勉強時間
3.データベーススペシャリスト試験の資格取得のメリット
IT系企業に就職しやすい
データベースの知識が身に付く
データベーススキルの証明ができる
資格手当や報奨金を貰える
4.データベーススペシャリスト試験の資格取得のデメリット
勉強時間を確保する必要がある
5.データベーススペシャリスト試験は独学で資格取得できる?
6.データベーススペシャリスト試験合格のためのおすすめ本(参考書)3選
おすすめの本①:情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2021年版
おすすめの本②:令和02年データベーススペシャリスト合格教本
おすすめの本③:[過去問 問題集]データベーススペシャリスト試験 午前Ⅰ・Ⅱ 実戦模試550問
7.まとめ
データベーススペシャリストは、IT業界で活躍する情報処理技術者に含まれる職種で、主にデータベース上の運用・管理業務を担います。
例えば、システム情報をデータベース上で管理するための計画立案から要件定義、開発まで一通りの工程を行います。
IT関連業務のなかでも、情報運用と保守管理をデータベース上で行うための開発を手掛ける職種であることから、JavaやC++のような基本プログラムだけでなく、データベース言語の代表格でもあるSQLなどの知識を兼ね備えていなければなりません。
そのため、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が実施する情報処理技術者試験「データベーススペシャリスト試験」では、IT関連の基礎知識だけでなく、論理的思考を読み解くために記述式で問われたり、プログラミング解析などの知識が問われたりします。
それでは、データベーススペシャリスト試験は、どのくらいの難易度なのでしょうか。
データベーススペシャリスト資格の難易度は、応用情報技術者に次ぐ「高度な知識・技能」レベルです。
これだけでは分かりにくいので、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が公開している下図の仕組みを考察していきます。
(引用:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html)
データベーススペシャリスト資格を取得するためには、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が実施するデータベーススペシャリスト試験に合格しなければなりません。
データベーススペシャリストは、総括して情報処理技術者試験と称されますが、その仕組みは複雑でいくつかの種類に分類されています。
上画像のうち、左側に進むほど試験の難易度が上がります。
なお、令和3年度秋期のデータベーススペシャリスト試験の合格率は17.1%。
受験者数7,409名中、合格者が1,268名でした。
データベーススペシャリスト試験の詳細は、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が公開しています。
データベーススペシャリスト試験は、情報処理技術者試験に区分されており、英語名称は「Database Specialist Examination(DB)」。
年間を通して、秋期のみ実施されます。
ここでは、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が公式発表しているデータベーススペシャリスト試験の詳細について解説しています。
データベーススペシャリストの試験会場は、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が公開している下図を参考にしてください。
【試験会場】
(引用:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_01mosikomi/03a_annaisho/03a_02.pdf)
コロナ禍における感染拡大防止対策により、試験会場によっては実施できないことや定員過多によって、希望する試験会場で受験することができないもあるため知っておきましょう。
【試験日程】
次に、データベーススペシャリスト試験の日程は、秋期のみ年1回実施されます。
令和4年(2022年)度の試験実施時期に関してはこちらからご確認ください。
【受験料】
データベーススペシャリスト試験の受験料は7,500円(税込)です。
支払い済みの受験料は、原則返還できないため注意が必要です。
しかし、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」もしくは経済産業省の判断で、やむなく試験を中止せざるを得ない場合は返還手続きをすることもあります。
データベーススペシャリスト試験の試験時間は「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」と分かれています。
独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が公開している下図を参考にすると、午前Ⅰが50分で午前Ⅱが40分。
そして、午後Ⅰが90分、午後Ⅱが120分です。
時間/区分 |
午前Ⅰ |
午前Ⅱ |
午後Ⅰ |
午後Ⅱ |
---|---|---|---|---|
注意事項の説明開始時間 |
9:15 |
10:35 |
12:15 |
14:15 |
試験時間 |
9:30~10:20(50分) | 10:50~11:30(40分) | 12:30~14:00(90分) |
14:30~16:20(120分) |
データベーススペシャリスト試験 |
多肢選択式 (四肢択一) 全30問出題 |
多肢選択式 (四肢択一) 全25問出題 |
記述式 全3問出題 |
記述式 |
データベーススペシャリスト試験の出題内容は、「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」で異なります。
【午前Ⅰ】
午前ⅠはIT関連の共通知識が問われます。
具体的には、テクノロジ系やマネジメント系、ストラテジ系の問題が出題されます。
テクノロジ系で出題される内容は、応用数学や情報理論などの基礎理論やデータ構造やプログラミング、アルゴリズム。
他にも、入出力装置などのコンピュータ構成要素やシステム構成要素の内容が出題されます。
ITにおけるソフトウェアやハードウェアに関連する問題やインターフェイス、トランザクション処理などのデータベースなどの基本的問題も出題されます。
このように、午前ⅠではIT全体の基礎知識が問われる問題が出題され、ネットワークやセキュリティ・マルチメディア・開発技術などのカテゴリーでは、基本だけでなく現代における流行も意識しておかなければなりません。
午前Ⅰのマネジメント系では、プロジェクトマネジメントやサービスマネジメント、内部統制などのシステム監査に関連する問題が出題されます。
さらにストラテジ系では、システム戦略・企画だけでなく、経営・技術戦略マネジメントや経営組織論などの時事要素を含む問題が出題されます。
【午前Ⅱ】
データベーススペシャリスト試験の午前Ⅱでは、コンピュータ構成要素とシステム構成要素、データベース・セキュリティ・システム開発技術・ソフトウェア開発技術の6カテゴリーから出題されます。
午前Ⅰと内容が重複しますが、難易度が上がります。
特にデータベースやセキュリティ要素の出題範囲が重点的に出題されます。
【午後Ⅰ・午後Ⅱ】
そして、データベーススペシャリスト試験の午後Ⅰと午後Ⅱでは、午前試験と比較して難易度が上がり、より深いデータベース知識が必要になります。
出題内容は、データベースシステムの企画と要件定義・開発・運用保守などです。
他にも、新技術や時事トレンドを意識した問題が出題されることもあり、データベース技術に関連する応用知識の習得が不可欠です。
情報処理技術者機構(IPA)によると、令和3年度秋期のデータベーススペシャリスト試験の合格率は17.1%。
受験者数7,409名中、合格者が1,268名でした。
では、もう少しわかりやすいように過去のデータベーススペシャリスト試験の受験者数と合格率の推移を見てみましょう。
(引用:https://www.db-siken.com/dbtoukei.html)
受験者数は毎年下降傾向にありますが、合格率は上昇傾向にあることから、平成16年頃と比較すると合格しやすいといえます。
データベーススペシャリスト試験の過去5年間における受験者数と受験者数、合格率の指標を下表にまとめました。
開催時期 |
受験者数(名) |
合格者数(名) |
合格率(%) |
---|---|---|---|
平成29年春期 |
11,775 |
1,709 |
14.5 |
平成30年春期 |
11,116 | 1,548 |
13.9 |
平成31年春期 |
11,066 | 1,591 |
14.4 |
令和2年秋期 |
6,536 | 1,031 |
15.8 |
令和3年秋期 |
7,409 | 1,268 |
17.1 |
(参照:令和3年度情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表)
上表からも分かるとおり、年々データベーススペシャリスト試験の受験者数が減少傾向にあります。
IT産業の供給が低下していることが一因として挙げられますが、そもそも近年でIT業界における日本国内のデータベース産業に大きな変化がみられたということはありません。
しかし、付随するIT産業のなかでも、IoTやAI技術の革新がみられたことは事実です。
そのような環境下で、データベーススペシャリスト試験の受験者数が減少している根源となる理由の1つに、日本国内における総人口の減少があります。
総務省統計局によると、日本の総人口は平成20年(12,808万人)をピークに年々減少傾しており、令和3年12月1日時点で12,547万人まで低迷しています。
その他、内閣府が発表している「平成30年度少子化社会対策白書」でも少子化について言及されていることから、将来的にもデータベーススペシャリスト試験の受験者数が減少していくことが見込まれます。
データベーススペシャリスト試験の申し込み方法は、以下の流れです。
1. 情報処理推進機構(IPA)よりのインターネット申込み
2. 申込画面から指示される手順に沿って必要事項を入力
3. 受験料の支払い(クレジットカード決済、ペイジー(Pay-easy)による払込み、コンビニでの払込み)
4. 受験票到着
定められた申し込み方法以外で手順を進めても、受理してもらえないことがあるため、注意してください。
データベーススペシャリスト試験における有効期限(失効期限)はありません。
能力を認定する試験であり、何らかの権利が与えられる資格とは違うので有効期限はありません。
データベーススペシャリスト試験の勉強時間は個人差はあるものの、筆者が実際に本試験を受験して無事合格できた経験をもとに考察すると、約2,000時間が必要です。
具体的にいえば、筆者がデータベーススペシャリスト試験に合格する前に、基本情報技術者と応用情報技術者試験を合格するために約1,800時間(5時間/日、12ヶ月間)かかっています。
それからさらに6ヶ月後、約200時間を費やしてデータベーススペシャリスト試験を受験し、無事合格しています。
データベーススペシャリスト試験の資格を取得するメリットは、IT関連知識の習得だけでなく、アピールとしても活用できます。
それでは、データベーススペシャリスト試験の資格を取得するメリットについて、詳しくみていきましょう。
データベーススペシャリスト試験の資格を取得していると、IT系企業に就職しやすいです。
また、システム運用におけるデータベース運用、管理業務の専門的な立場から業務を行うため、他エンジニアとの連携やキャリアアップも期待できます。
データベーススペシャリスト試験の資格を取得することで、データベースの基礎知識が身につきます。
運用上必要なSQLなどのデータベース言語によるプログラミングが例として挙げられますが、情報を技術的に処理できる知識やスキル向上できるところは大きなメリットといえます。
データベーススペシャリスト試験の資格は、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が運用する国家資格です。
そのため、取得していると、データベーススキルを証明することができます。
企業内でのステータスにも繋がるだけでなく、就職・転職の際にもアピールできることから、メリットが感じられます。
データベーススペシャリスト試験の資格を取得していると、企業に勤めている期間、資格手当や報奨金が充当されるなど好待遇が期待できます。
処遇内容については、勤める企業によって異なりますが、基本的には手当という形で基本給に上乗せされるケースが多くみられます。
全体的に給与が上がるところは、大きなメリットといえるでしょう。
データベーススペシャリスト試験の資格の取得に関して、デメリットもあります。
例えば、比較的難易度が高い資格のため、それなりに勉強時間が必要なことです。
それでは、詳しくみていきましょう。
データベーススペシャリスト試験の資格を取得するためには、段階的に上位資格を目指していくほうが効率的です。
情報処理技術者試験には、それぞれにレベルが存在し、難易度が異なることは前述したとおりです。
その中でデータベーススペシャリスト試験の資格は「高度な知識・技術」が問われるレベルの試験に値します。
そのためには、個人差はありますが、約2,000時間もの勉強時間を確保する必要があります。
約2,000時間という勉強時間は、例えば、5時間/日を14ヶ月続けなければ達成できないボリュームです。
社会人として仕事をしながら、このような勉強時間を一定期間確保しなければならないことはデメリットといえます。
データベーススペシャリスト試験の資格は、独学で取得可能です。
筆者の実体験がもとですが、約2,000時間もの勉強時間を確保し、独学で取得しています。
独学のコツは、午後試験に対応できるよう、参考書以外にインターネット上の情報やIT技術のトレンドを意識した情報は知識として持っておくことが必須です。
過去問題をひたすら解くだけだと「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」には対応できても「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」で対応できず、独学だけでは結果としてデータベーススペシャリスト試験の資格は取得できません。
つまり、独学でデータベーススペシャリスト試験に合格するためには、参考書だけでなくIT技術のトレンド情報を理解することが重要です。
データベーススペシャリスト試験に合格するためには、参考書が必要です。
ここでは、データベーススペシャリスト試験を効率よく対策できるおすすめの参考書を紹介しています。
・情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2021年版
・令和02年データベーススペシャリスト合格教本
・[過去問 問題集]データベーススペシャリスト試験 午前Ⅰ・Ⅱ
それでは、各参考書の概要やおすすめするポイントについて、詳しくみていきましょう。
「情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2021年版」は、EXAMPRESSレーベル出版の参考書です。
ITのプロ46氏と三好康之氏の共著で、データベーススペシャリスト試験の学習方法とテクニックが100ページというボリュームで解説されています。
出題傾向に沿って、初めてでも見やすく覚えやすいレイアウトが特徴的。論理的思考を鍛えて、午後試験の対策もできるおすすめの参考書です。
「令和02年データベーススペシャリスト合格教本」は、金子則彦氏著の参考書です。
論理的思考が問われる午後試験の実践的な解法テクニックを分かりやすく解説しており、試験独特の分かりにくい言い回しを読み解くスキルが身につきます。
また、特典としてWebアプリをリリースしており、午前Ⅰ試験が21回。そして、午前Ⅱ試験11回分の模擬演習がリアルタイムで行えるところは特徴的です。
自分の苦手としている項目が明確に分かり、試験対策ができることからおすすめの参考書といえます。
「[過去問 問題集]データベーススペシャリスト試験 午前Ⅰ・Ⅱ 実戦模試550問」は、佐藤東著の参考書です。
最大の特徴は、実践的な模擬試験が過去10回分(合計550問)も掲載されていること。
もちろん、丁寧な解説により、効率よく苦手な分野の基礎知識を固めることができます。
すべて実戦形式にてまとめられているため、多忙な方にとって即実力に繋げられる参考書でしょう。
今回は、データベーススペシャリストやデータベーススペシャリスト試験とは何なのか、また試験内容や合格するための手順などについて解説してきました。
データベーススペシャリスト試験は、情報処理技術者試験のなかでも、高度な知識・技能が問われます。
資格を取得していれば、スキルの証明にも繋がり、企業でも好待遇が受けられるかもしれません。
また処遇改善だけでなく、キャリアアップにも繋がる資格のため、取得に向けて取り組みたい方もいることでしょう。
本記事では、データベーススペシャリスト試験に合格するためのおすすめ参考書も紹介しています。
また、データベーススペシャリスト試験に関する問い合わせ先は、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が一覧で公開していますので、こちらをご覧ください。
フリーランスエンジニア専門の求人・案件一括検索サイト「フリーランススタート」に少しでも興味がある方は是非ご登録ください。
なお、フリーランススタートはiOSアプリ版やAndroid版をリリースしています。
通勤しているエンジニア・デザイナーでちょっとしたスキマ時間で手軽にフリーランス求人・案件を検索したい、開発言語の単価が知りたい、フリーランスを将来的に検討している方などは是非インストールしてみてください。
フリーランススタートのアプリを有効活用して、フリーランスとして第一線で活躍しましょう!
フリーランススタート iOSアプリのインストールはこちらから→
フリーランススタート Androidアプリのインストールはこちらから→
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
フリーランスお役立ち記事を検索
あなたの経験職種のフリーランス案件を見てみませんか?
SNSアカウントでログイン