フリーランスが知るべき知識「精算幅」| 各精算方法や算出方法を解説

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2022.05.13

「精算幅」という言葉をご存じでしょうか。
フリーランス(個人事業主)やSESの方、もしくは何らかの形でクライアントワークをメインにしているのであれば、「聞いたことや見たことはあるけど、どういう意味かは詳しくはわからない」と思っている方も多いのではないかと思います。

精算幅とは、報酬を計算する際に用いられるものです。
精算幅の意味をわかっていないと、万が一報酬の計算に相違があった際に、損をしてしまうことにつながります。
正確かつ正当な報酬を手にするためにも、フリーランス(個人事業主)の方であればぜひ知っておきたいのが、「精算幅」です。

本記事では精算幅の概要や算出方法、精算幅が設けられている理由などについて詳しく紹介しています。
本記事を読むことで精算幅の知識が深まり、報酬を受け取る際に発生し得る損を未然に防ぐことにつながります。

ぜひ最後までお読みいただき、精算幅について理解するひとつのきっかけにして頂ければと思います。

 

 

 

1.フリーランス(個人事業主)として知るべき「精算幅」とは


フリーランス精算幅とは関連画像
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精算幅とは、「提示された報酬を支払うための基準となる時間」を指す言葉です

わかりやすく言い変えると、「◯◯円の報酬をお支払いしますので、だいたい◯◯くらいの時間は働くようお願いします」ということです。

 

つまり精算幅とは、「労働に対しての上限時間と下限時間をあらかじめ設けておくこと」を目的として使用されるものです。

フリーランス(個人事業主)やSESの方は、クライアントと業務委託契約を結ぶときに、精算幅を決定します。

 

精算幅を確認することで、フリーランス(個人事業主)などで仕事を受注する方は報酬額に必要となるおおよその労働時間を把握できます。

 

精算時間単位

精算幅の時間単位ですが、「月」単位で提示されることが一般的です。

例えば1日7〜9時間の稼働という条件だった場合、精算幅は1月分(20日間)に換算して、以下のようになります。

 

7~9時間×20日間 = 精算幅:140~180時間

 

上記は週5日の場合の精算幅となります。

週2〜5日の場合、精算幅は以下のようになります。

 

ぜひ覚えておくことをおすすめします。
 

1週間の労働日数

1ヶ月で計算

精算幅

週5日の場合

7~9時間×20日間

140~180時間

週4日の場合

7~9時間×16日間

112~144時間

週3日の場合

7~9時間×12日間

84~108時間

週2日の場合

7~9時間×8日間

56~72時間

 

精算幅が140〜180時間の場合、140時間が「下限」、一方の180時間が「上限」と呼ばれます。

精算幅はクライアントやプロジェクトの内容によって異なり、下限が150時間だったり、上限が200時間に設定されているものなど多岐にわたります。

 

中には「月の労働時間×8時間±20時間」など、月によって精算幅が変動するように設定しているプロジェクトやクライアントも存在します。

ここで気になるのは、「もし下限の140時間に満たなかった場合、もしくは上限の180時間を超えた場合、どのような処理になるのか」という点だと思います。

 

当然ながら精算幅の基準を上回った場合は「超過」で処理され、いわゆる「残業代」が追加されます。

一方で基準を下回った場合には、「控除」で処理され、報酬は減ります。

 

精算幅の上限や下限によって発生する差額は「超過単価」や「控除単価」などと呼ばれています。

その超過単価や控除単価の計算方法には、「上下割」や「中間割」という計算方法が用いられます。

 

詳細については、次章にて後述しています。

 

 

 

2.様々な精算方法と算出方法


フリーランス精算幅とは関連画像
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精算幅といっても、様々な精算方法、算出方法があります。

この章では、精算幅の精算方法と計算方法について解説します。

 

超過単価・控除単価

算出方法の前に、まずは「超過単価・控除単価」についてそれぞれ解説します。

「超過単価」とは、「精算幅で設定された上限の時間を上回った場合に適用される単価」のことです

 

一方で「控除単価」とは、「精算幅で設定された下限の時間を下回った場合に適用される単価」のことです

例えば、精算幅が140〜180時間と設定されていると仮定します。

 

実際に働いた時間が190時間だった場合、10時間分の「超過単価」が適用され、実際に働いた時間が130時間だった場合、10時間分の「控除単価」が適用されます。

「超過単価」と「控除単価」を算出する方法として、以下の2つがあります。

 

上下割・中間割(中割)
固定(固定精算)

 

具体的な計算方法およびメリット、デメリットについては後述します。

 

 

上下割・中間割(中割)

「上下割」と「中間割(中割)」ともに、超過単価および控除単価を計算する方法のひとつです

まずはそのうちの「上下割」について解説します。

 

上下割は、月額単価を、精算幅の上限および下限の時間で割る計算方法です。

例えば「月額単価(報酬)が60万円で、精算幅が140〜180時間」だった場合、上下割で計算すると、超過単価と控除単価はそれぞれ以下のようになります。

 

超過単価

控除単価

600,000円÷180時間(上限)=3,333円(小数点切り捨て)

600,000円÷140時間(下限)=4,285円(小数点切り捨て)

 

このように、月額単価(報酬)を精算幅の上限時間および下限時間で割る算出方法が「上下割」です。

月の精算時間が180時間を超過した場合、超過時間×3,333円が加算され、140時間未満の場合、下回った時間×4,285円が控除されます。

 

なお上記の例では小数点以下は切り捨てていますが、別に詳細なルールを適用している会社や案件も存在するため、契約締結時にしっかりと確認することが大切です。

上下割には、超過単価と控除単価の計算がシンプルになるメリットがあります。

 

しかし一方で、報酬額を下限で割った「控除単価」の方が高額になるため、フリーランス(個人事業主)やSESなど、仕事を受注する側にとってはデメリットとなります。

 

続いて「中間割(中割)」について解説します。

中間割(中割)は、月額単価を、「精算幅の上限時間と下限時間の間の数字」で割る計算方法です。

 

案件や企業によっては「中央値割」と呼ばれることもありますが、意味は同じです。

例えば「月額単価(報酬)が60万円で、精算幅が140〜180時間」だった場合、中間割で計算すると、超過単価と控除単価ともに以下のようになります。

 

超過/控除単価

600,000円÷160時間(上限時間と下限時間の間)=3750円

 

上記のとおり、超過単価と控除単価どちらであっても同じ金額となるのが、中間割の最大の特徴です。

そのため前述の「上下割」と比較したときに、以下のようなメリットがあります。

 

超過分と控除分、それぞれ異なる計算をしなくて済む
仕事を受注する側にとっても、超過で得られる金額が増え、控除で失う金額は減る

 

一見メリットだらけにも見えますが、効率よく仕事をこなして残業せずに済む場合、後述する「固定(固定精算)」の方がお得になるケースもあります。

 

 

固定(固定精算)

続いて、固定(固定精算)について解説します。

固定(固定精算)とは、上下割や中間割のような計算方法のことではありません。

 

そもそも「精算幅」を設けず、労働時間に関係なく決まった月額単価(報酬)を支払うことを約束する契約のことをいいます

極端ですが、例えばフリーランス(個人事業主)として固定(固定精算)での案件を受注した際、与えられた仕事をほんの数時間で納品しても、逆に何日もかけて納品しても、与えられる報酬金額は同じということです。

 

そのため仕事を受注する側にとっては、仕事を効率よく終わらせることでクライアントにも喜んでもらえる上、結果的に自身の時給を上げることにつながるのが大きなメリットとなります。

しかし仕事に想像以上の時間がかかってしまった場合、「残業代が出ない」ことと同様の扱いになることがデメリットです。

 

そのため案件を受注する前に、内容をしっかり確認したうえで、「自身の現状のレベルで報酬に見合った時間内で納品できるか」を見極めることが大切です。

 

 

 

 

3.精算幅を設けている理由


フリーランス精算幅とは関連画像
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ここまで記事を読んだ方の中には、「そもそもなんで精算幅を設ける必要があるの?」という疑問をお持ちの方も多いかと思います。

精算幅を設ける理由は、「月々で異なる営業日数に応じた、適切な報酬を支払うため」です。

 

例えば2022年の場合、2月の日数は28日間、3月の日数は31日間です。

そのうち祝日を除いた営業日を数えると、2月は18日、3月は22日です。

 

つまり2月と3月では、営業日に4日間も差があります。

もし精算幅を設けずに、常に決まった月額単価を定めていた場合、GWやお盆休みなどで営業日が少ない月であっても同じ金額を支払う必要があります。

 

したがってクライアントや企業など、仕事を発注する側に少なからず損失が生じてしまいます。

それを防ぐために働いた日数に応じて報酬の増減を調整し、毎月正当な金額を支払うために考えた仕組みが精算幅なのです。

 

 

 

4.精算幅は認識ズレがないように必ず確認しよう!


フリーランス精算幅とは関連画像
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精算幅はフリーランス(個人事業主)やSESなど受注側が、企業などの発注側と業務委託契約を交わす際、お互いに確認し合ったうえで決定する必要があります。

時に精算幅の確認をおろそかにすると、お互いの認識にズレが生じ、後になってトラブルの原因となってしまいます。

 

また案件によっては精算幅のみならず、固定(固定精算)のものもあります。

その場合は提示された金額を確認し、自身のスキルなどを考慮し、時給換算する必要があります。

 

何も考えず受注し、想像以上に時間がかかっても、自己責任となってしまいます。

いずれにせよ後々の金銭などを含む契約周りのトラブルを未然に防ぐためにも、クライアント側から提示された精算幅などの条件の内容には、必ず目をとおしましょう

 

 

 

 

5.まとめ


以上、フリーランス(個人事業主)が知るべき知識として「精算幅」の計算方法や算出方法、および精算幅が設けられている理由などについて解説しました。

精算幅は一見すると難しそうな知識に感じますが、複雑な計算や知識は全く必要ありません。

 

一度計算や算出の方法を覚えれば、フリーランス(個人事業主)として案件に参画する際重宝する知識となります。

精算幅の知識を身につけることで、月々のおおよその労働時間を把握でき、より自身の条件に沿った案件の受注が可能になります。

 

また、万が一クライアント側で報酬の計算に間違いがあった際に気づくことができ、損を防ぐことにもつながります。

ぜひ精算幅について正しく理解したうえで、クライアントとお互いに円滑に仕事を行えるようにしましょう。

 

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