公開日:2023.01.06
更新日:2025.03.24
エンジニアが自己成長やキャリアアップについて考えるとき、マネジメント能力の存在は重要です。
近年はあらゆる産業分野や公共サービスの他、エンジニアが属するIT業界でもプロジェクトマネジメントの活用が進められています。
一方で、プロジェクトマネジメントに関する本格的な知識を持つ人材はそれほど多くなく、企業にとって確保が難しい現状があります。
そこでエンジニアとして関連資格を取得し、プロジェクトマネジメントの能力があることを証明できれば、転職・就職・フリーランスとしての独立などに役立つでしょう。
本記事ではエンジニアが取得を目指したい資格の1つとして、「P2M資格」について解説します。
これから転職やフリーランスへの独立を考えているのなら、キャリアアップの一環としてぜひP2M資格の詳細を確認してみてください。
あなたの経験職種のフリーランス案件相場を確認しませんか?
<目次>
1.P2M資格とは
P2M資格の種類
2.P2M資格試験の概要
P2M資格の詳細
P2M資格の出題範囲
P2M資格の受験者数・合格率・難易度
P2M資格の申し込み手順
P2M資格の有効期限
P2M資格の勉強時間
3.P2M資格を取得するメリット
プログラムマネジャー・プロジェクトマネジャーに関する知識を証明できる
自己成長のきっかけになる
4.P2M資格を取得するデメリット
ある程度の勉強時間が求められる
5.P2M資格に合格するためのおすすめ参考書や学習方法
改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブックを読み込む
P2M資格試験対策講座を受講する
6.まとめ
P2M資格とは、「日本プロジェクトマネジメント協会」が認定する資格です。
プロジェクトマネジメントに関する能力を試す資格の性質から、主に企業の管理職などが受験する傾向が強い資格です。
一方で、近年はIT業界の発展および人手不足の影響で、エンジニア個人がプロジェクトマネジメントに関する知識や能力を求められる機会が増えています。
結果的にエンジニアもP2M資格を取得して、自身のキャリアアップに活かすケースも増加しているのです。
もともとプロジェクトマネジメントは、1960年代でアメリカの軍事産業や宇宙開発の分野で活用・研究されていた経緯があります。
その後、時が経つにつれて民間企業でもプロジェクトマネジメントの重要性が広まり、専門知識を持つ人材が重宝されるようになりました。
特に製造業やIT業界のエンジニアにプロジェクトマネジメントの能力が求められる傾向にあり、資格取得者などを優遇する企業も多いです。
アメリカをはじめとした海外では、既に歴史のあるプロジェクトマネジメントの重要性は広く浸透しています。
その一方、日本ではまだプロジェクトマネジメントの能力を持つ人材が活躍し始めたばかりであるため、需要に対して供給が追いついていないケースが珍しくありません。
そのためP2M資格のような専門資格に注目が集まり、取得を目指すエンジニアと取得者を採用したいと考える企業が増え始めているのです。
今後もP2M資格を取得するエンジニアと、その採用を積極的に進める企業は増えると予想されます。
P2M資格には、4種類の資格試験に分けられています。
それぞれの概要は、以下のようになっています。
・PMC(プロジェクトマネジメント・コーディネーター)資格試験
・PMSプログラム試験
・PMS(プロジェクトマネジメント・スペシャリスト)資格試験
・PMR(プログラムマネジャー・レジスタード)資格試験
P2M資格を認定する日本プロジェクトマネジメント協会は、思考能力・体系的知識・マネジメント行動スキル・基本姿勢といった要素を総合的な能力と定義し、プロジェクトマネジャーに必要な実践力として試験認定の判断材料としています。
そこで上記4種類の資格を認定し、「P2M標準ガイドブック」(日本プロジェクトマネジメント協会公式の書籍)で習得できる体系的な知識を元に「PMC(プロジェクトマネジメント・コーディネーター)」と「PMS(プロジェクトマネジメント・スペシャリスト)」に関する能力を評価しています。
PMA(プログラムマネジメント・アーキテクト)資格試験と呼ばれる高度なP2Mの実践力を試す試験も設定されていますが、2022年時点では未実施となっています。
以下では、P2M試験に該当する4つの試験の概要を解説します。
P2M資格を受験する際には、以下の詳細を確認するのがポイントです。
P2M資格 |
|
---|---|
試験会場 |
受験予約時に確認 |
試験日程 |
試験の種類によって異なる(詳細は公式ホームページで確認) |
試験時間 |
・PMC資格試験、PMSプログラム試験: ・PMS資格試験: ・PMR資格試験: |
試験方法 |
・CBT方式による試験 |
出題形式 |
四肢択一方式 |
問題数 |
・PMC資格試験: ・PMSプログラム試験、PMS資格試験: |
合格基準 |
非公開 |
受験料 |
・PMC資格試験: ・PMSプログラム試験: ・PMS資格試験: ・PMR資格試験: |
受験言語 |
日本語 |
受験資格 |
・PMC資格試験: ・PMSプログラム試験: ・PMS資格試験: ・PMR資格試験: |
試験結果 |
・試験終了後、その場にて合否発表が行われる |
P2M試験は、PMC資格試験、PMSプログラム試験、PMS資格試験、PMR資格試験ごとに詳細が別れています。自分の受験する試験の内容をよく確認した上で、準備を進める必要があるでしょう。
P2M試験の出題範囲は、各試験ごとに以下のようになっています。
いずれも「改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」に記載されている、範囲から出題されます。
P2M標準ガイドブック以外から出題されるケースもありますが、同書を読み込んで理解できていれば問題なく解答できる内容とされています。
<PMC資格試験>
第1部 |
概要 |
第3部 |
プロジェクトマネジメント |
第4部3章 |
プロジェクト組織マネジメント |
第4部5章 |
情報マネジメントと情報インフラストラクチャー |
第6部 |
人材能力基盤 |
上記の範囲を基準とし、第1部と第3部から70%、第4部3章から12%、第4部5章から6%、第6部から12%の割合で出題されます。
<PMSプログラム試験・PMS資格試験>
第1部 |
概要 |
第2部 |
プロジェクトマネジメント |
第3部 |
プロジェクトマネジメント |
第4部 |
プ事業経営基盤 |
第5部 |
知識基盤 |
第6部 |
人材能力基盤 |
上記の範囲を基準とし、第1部と第2部から23%、第3部から34%、第4部から22%、第5部から15%、第6部から6%の割合で出題されます。
<PMR資格試験>
PMR資格の出題範囲および試験の詳細は、「PMR試験紹介セミナー」で解説されています。試験は一次試験・二次試験に分かれていて、 一次試験では論述と面談が実施されます。
一次試験に合格することで、 二次試験のモジュール試験と面談審査に臨めます。
P2M試験の受験者数と合格率は、公式ホームページで公開されています。
以下では、それぞれの試験の近年の合格者推移を紹介します。
<PMC資格試験の合格者推移>
年度 |
受験者数 |
合格率 |
2021年度 |
368人 |
66.6% |
2020年度 |
296人 |
59.8% |
2019年度 |
377人 |
64.2% |
<PMSプログラム試験の合格者推移>
年度 |
受験者数 |
合格率 |
2022年10月実施 |
33人 |
75.8% |
2022年6月実施 |
19人 |
73.7% |
2022年2月実施 |
37人 |
62.2% |
<PMS資格試験の合格者推移>
年度 |
受験者数 |
合格率 |
2022年10月実施 |
49人 |
53.1% |
2022年6月実施 |
30人 |
33.3% |
2022年2月実施 |
63人 |
49.2% |
<PMR資格試験の合格者推移>
年度 |
受験者数 |
合格率 |
2021年度 |
5人 |
80.0% |
2020年度 |
6人 |
100.0% |
2019年度 |
8人 |
87.5% |
上記のように、P2M試験は種類ごとに受験者数と合格率にばらつきがあります。
最も受験者数が多い「PMC資格試験」は、合格率が60%前後となっています。
簡単な試験とは言えませんが、しっかりと対策を取れば合格は難しくないでしょう。
PMSプログラム試験に関しては、合格率が70%以上の年が多くより難易度は低めとなっています。
しかし、受験者数が十桁と少ないため、その年によって合格率が大きく変化する可能性はあります。
その点を踏まえて、しっかりと受験対策に臨む必要があるでしょう。
PMS資格試験に関しては、他のP2M試験よりも合格率が低く難易度の高さが伺えます。
合格率が50%を切る試験も多いため、より多くの勉強時間が必要になるでしょう。
P2M資格試験の申し込み手順は、公式サイトの情報を参考にすることで簡単に把握できます。
具体的には、以下の流れで受験申し込みが可能です。
1.CBT-SolutionsのユーザIDとパスワードを取得する
※初めて試験で利用する場合はこちら
2.ログイン後「受験予約」メニューから支払い方法を選択
3.支払い方法が確定するとメールアドレス宛に予約完了のメールが届くので確認
上記がP2M資格試験の申し込み手順です。
支払い方法にはクレジットカード決済、コンビニエンスストア決済、Pay-easy(ペイジー)決済が選択可能です。
予約した試験を変更・キャンセルする場合には、受験予約画面から実行可能です。
P2M資格には、試験の種類ごとに有効期限が設定されています。
有効期限ごとに更新手続きが必要になるため、事前に詳細を確認しておきましょう。
P2M資格の種類 |
有効期限 |
更新手数料 |
PMC資格試験 |
5年 |
9,438円(税込) |
PMSプログラム試験 |
3年(2015/10実施の試験合格者から) |
6,160円(税込) |
PMS資格試験 |
3年(2015/10実施の試験合格者から) |
6,160円(税込) |
P2M資格は、取得後もその能力を発揮していく姿勢を示すためにも有効期限ごとの更新が必要です。
また、PMSプログラム試験とPMS資格試験に関しては、原則CPU(Continuing Professional Development Unit = 継続学習基準)ポイントの申請を毎年実施しなければなりません。
P2M資格の合格に必要な勉強時間は、資格の種類にもよりますが3か月程度はしっかりと対策を取る必要があると考えられます。
試験範囲が公式が出版しているガイドブックのみとなるため、時間をかければ必要な知識を蓄積することは難しくありません。
一方で、数十時間の勉強で合格した例もあるため、効率良くガイドブックの内容を把握できれば短期集中でも結果を残せる可能性があります。
P2M資格を取得することには、以下のメリットがあります。
・プログラムマネジャー・プロジェクトマネジャーに関する知識を証明できる
・自己成長のきっかけになる
それぞれの詳細について、以下で解説します。
P2M資格の取得によって、プログラムマネジャーやプロジェクトマネジャーの知識を持つ人材であることを証明できます。
客観的にプロジェクトマネジメントのスキルを証明することは難しいため、資格取得によってスムーズに自身の能力を伝えられるようになる点はメリットです。
P2M資格を取得したという実績は、積極的にプロジェクトマネジメントのスキルを学ぼうとする意欲の表れとも取れます。
企業からすれば仕事に対するモチベーションが高い、今後の活躍にも期待できる人材と判断する材料にもなるでしょう。
結果的にP2M資格の取得が、就職・転職のほか、フリーランスエンジニアに独立するきっかけになる可能性もあります。
P2M資格の取得は、自己成長のきっかけにもつながります。
資格を取得することで自分の保有するスキルが1つ増えるため、仕事中に成長を実感する機会も増加します。
自己成長を実感できればやる気も上がり、仕事で高い成果を出せるようにもなるでしょう。
エンジニアにとって自己成長は、将来を決める重要なポイントになり得るため、P2M資格の取得を1つのきっかけにすることも検討されます。
P2M資格の取得時には、「ある程度の勉強時間が求められる」というデメリットもあります。
以下では、勉強時間に関するデメリットについて解説します。
P2M資格の取得には、ある程度勉強時間が必要です。
合格率は試験の種類によっても変わりますが、高くても70%程度にとどまっています。
そのためしっかりと継続した勉強を実施し、P2M資格に関する知識を身につける必要があるでしょう。
一方で、P2M資格の試験勉強は「改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」が中心となるため、幅広い試験範囲に対応しなくても良い点はメリットです。
試験勉強に時間をかけづらい人も、効率良くガイドブックを読み込んでいけば合格に近づけるでしょう。
P2M資格に合格するためには、以下の参考書および学習方法の実践がおすすめです。
それぞれの詳細を確認し、ぜひP2M資格の受験に活かしてみてください。
(引用:Amazon)
P2M資格の出題範囲は、基本的に公式が提供する「改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」に限定されています。
そのためこちらのガイドブックを読み込んで覚えることが、合格するための1番の近道となるでしょう。
改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブックは全国の書店および、Amazonなどのネットショップでも購入可能です。
受験を決めたならまずは本書を手にし、内容をチェックすることから始めてみましょう。
P2M資格向けの対策講座を開講しているサービスも多いため、上手に活用することでスムーズに合格に必要な知識を習得できます。
例えばパナソニックはP2M資格試験対策講座として、eラーニングでの学習機会を提供しています。
ネット環境を使って学習が行えるため、自宅にいながら本格的な試験対策に臨めます。
P2M資格を取得してプロジェクトマネジメントのスキルを身につけることは、エンジニアとして働く際にも多くのメリットがあります。
特に今後フリーランスエンジニアとして活躍することを目指す人は、この機会にP2M資格の特徴を確認して合格を目指すのもおすすめです。
エンジニアとしてのスキルアップを実践する一環として、ぜひP2M資格に注目してみてください。
フリーランスエンジニア専門の求人・案件一括検索サイト「フリーランススタート」に少しでも興味がある方は是非ご登録ください。
なお、フリーランススタートはiOSアプリ版やAndroid版をリリースしています。
通勤しているエンジニア・デザイナーでちょっとしたスキマ時間で手軽にフリーランス求人・案件を検索したい、開発言語の単価が知りたい、フリーランスを将来的に検討している方などは是非インストールしてみてください。
フリーランススタートのアプリを有効活用して、フリーランスとして第一線で活躍しましょう!
フリーランススタート iOSアプリのインストールはこちらから→
フリーランススタート Androidアプリのインストールはこちらから→
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
フリーランスお役立ち記事を検索
あなたの経験職種のフリーランス案件を見てみませんか?
SNSアカウントでログイン