公開日:2023.04.26
更新日:2025.03.24
PHPはWebサービスの開発に便利なプログラミング言語です。
構文がシンプルで分かりやすいため、プログラミング初心者が初めて学ぶ言語に向いています。
そんなPHPでプログラムを開発するときに便利なのが、さまざまな機能をまとめた「ライブラリ」です。
ライブラリを活用することで、効率的なプログラミングが可能となります。
しかし、PHPのライブラリには300種類以上あるといわれているため、「どれを選ぶべきか悩んでしまう…」という人もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、PHPライブラリの基礎知識やおすすめライブラリについて解説します。この記事を読むことで、PHPのライブラリに関する知識が深まります。
あなたの経験職種のフリーランス案件相場を確認しませんか?
<目次>
1.PHPの「ライブラリ」とは
2.PHPのライブラリの種類
標準ライブラリ
拡張モジュール
外部ライブラリ
3.PHPのおすすめ外部ライブラリ10選
【HTTPリクエスト】Request for PHP
【コード実行】PsySH
【デバッグ】PHP Debug Bar
【ログ】Monolog
【ダミーデータ】Faker
【メール送受信】PHPMailer
【グラフ描画】pChart
【バリデーションチェック】Validation
【画像アップロード】class.upload.php
【ユーザー管理】Sentinel
4.PHPライブラリを検索する方法
検索エンジンで調べる
「GitHub」で調べる
「Qiita」を利用して調べる
5.PHPライブラリをインストールする方法
Composerの活用がおすすめ
ComposerによるPHPライブラリのインストール手順
6.まとめ
PHPの「ライブラリ」とは、コーディングにおいて使用頻度が高い機能をまとめたものです。
ライブラリの内部は、いわばプログラムの集合体になっていて、クラスやメソッドを呼び出すだけでさまざまな機能が使えます。
複雑な処理を簡潔なソースコードで行えるので、積極的に活用したいところです。
例えば、PHPの拡張モジュールの一つである「String」というライブラリでは、文字列の変換・デコード・ハッシュ化など、標準関数だけでは難しい処理を簡単に行えます。
ライブラリがなければ、こうした機能が必要になるたびに、自分でゼロからプログラムを作らないといけません。
目的に合うライブラリを使うことで、効率的にアプリやWebサイトの開発を進めることができます。
PHPのライブラリには、大きく分けて以下の3種類があります。
それぞれのライブラリの特徴や、代表的なライブラリについてご紹介します。
・標準ライブラリ
・拡張モジュール
・外部ライブラリ
PHPの「標準ライブラリ」は、一般的に「SPL(Standard PHP Library)」と呼ばれており、PHPに最初から組み込まれているライブラリのことです。
ほかのタイプのライブラリとは異なり、インストールすることなく使えます。
PHPにはさまざまな機能が標準搭載されていますが、SPLを活用することで、より便利なプログラミングが可能となります。
SPLの中心的な存在が「イテレーション」の拡張機能です。
PHPでは、foreachループでオブジェクト内のコレクションに順次アクセスし、一定の処理を繰り返すことができます。
SPLの「Iteratorインターフェイス」を利用すると、繰り返し処理のロジックをオブジェクト側に実装できるようになるので、ループ処理がより便利に行えるようになります。
そのほかにも、SPLにはデータ構造・例外・ファイル操作などの機能を拡張するための便利なクラス・関数が搭載されているので、必要に応じて活用してみましょう。
PHPの「拡張モジュール」は、前述した標準ライブラリに後から追加できるライブラリです。
PHPには、多様なライブラリやモジュールが標準機能として組み込まれています。
その中でも、利用頻度が比較的低いものは、手動で追加できる拡張モジュールとして提供されています。
ただし、拡張モジュールは個別にインストールする必要があるのでご注意ください。
拡張モジュールの代表例が「Stringライブラリ(文字列ライブラリ)」です。
Stringライブラリには、複雑な文字列操作を簡単に扱えるクラスや関数が含まれています。
そのほかにも、ネットワーク・ファイル・データベースなどを便利に操作できるので、必要に応じてインストールするといいでしょう。
PHPの「外部ライブラリ」は、公式に提供されている標準ライブラリや拡張モジュールとは異なり、外部のサードパーティー製のライブラリを指します。
PHPは便利で機能性が高いプログラミング言語ではありますが、標準機能だけでは実装できないことや、ソースコードが冗長になってしまうことがあります。
そこで、外部ライブラリを活用すると、より簡潔なソースコードで高度な機能を実現することが可能です。
ここからは、PHPでおすすめの外部ライブラリを用途別にご紹介します。
ぜひプログラミング開発時の参考にしてみてください。
・【HTTPリクエスト】Request for PHP
・【コード実行】PsySH
・【デバッグ】PHP Debug Bar
・【ログ】Monolog
・【ダミーデータ】Faker
・【メール送受信】PHPMailer
・【グラフ描画】pChart
・【バリデーションチェック】Validation
・【画像アップロード】class.upload.php
・【ユーザー管理】Sentinel
「Requests for PHP」は、HTTPリクエストに関するさまざまな機能を提供するライブラリです。
PHPはWeb向きのプログラミング言語ですが、標準機能ではサーバーにデータを要求する「HTTPリクエスト」の機能が限定的になります。
そこで、HTTPリクエスト関連の機能を拡張できる「Requests for PHP」がおすすめです。
Requests for PHPでは、「DELETE」「GET」「PATCH」「POST」「PUT」などの基本的なリクエストに加えて、ヘッダ・フォーム・ファイル・パラメータなどに対応したリクエストを送信できます。
さらに、リクエスト送信だけでなくレスポンスも取得できるので便利です。
「PsySH」は、PHPのコードをすぐに実行できるライブラリです。
PHPで新しく覚えたクラスや関数などを試したいとき、通常はソースコードを記載したファイルをブラウザ上で実行しないといけません。
PsySHを活用すると、RubyやPythonなどのプログラミング言語と同じように、コンソール画面で対話式でコードを実行できるようになります。
関数の動作・挙動を確認したいときや、ソースコードの断片を試してみたいときなどに役立ちます。
PHPの学習に役立つので、初心者にもおすすめです。
「PHP Debug Bar」は、プログラムのデバッグを強力にサポートしてくれるライブラリです。
PHPはシンプルで扱いやすいプログラミング言語ですが、デバッグ時にバグやエラーの原因を特定しにくいことがあります。
PHP Debug Barを活用すれば、今まで把握しづらかった変数の状態を、プログラムのステップごとに確認できるようになります。
PHP Debug Barでは、ブラウザ下部にデバッグ情報を表示することが可能です。
変数・配列・SQLクエリなどの詳細内容を、画面が崩れることなく表示されるので、プログラムに問題があるときに「どこが原因か」把握しやすくなります。
PHPのデバッグにやりづらさを感じている方や、「もっと詳しくデバッグしたい」という方は、PHP Debug Barを活用してみるといいでしょう。
「monolog」は、プログラム実行時にさまざまなログを残せるライブラリです。
Webサービスやシステムの開発では、エラーの解消やバグの発見は欠かせません。
変数やプロセスなどを記録するログを出力できれば、問題点の発見と改善に役立ちます。
詳細なログを出力すれば、再発防止策を練るためのバグの再現にも役立つでしょう。
monologには、ログファイルの出力はもちろん、データベースへの書き込みやメール送信などの機能もあります。
さらに、各ログメッセージに出力レベルを設定することで、メッセージの表示・非表示を切り替えられるので便利です。
monologで設定できるログレベルは以下の通りです。
・DEBUG
・INFO
・NOTICE
・WARNING
・ERROR
・CRITICAL
・ALERT
・EMERGENCY
例えば、通常のログメッセージを「INFO」、プログラム続行ができない深刻なエラーメッセージを「CRITICAL」で設定しておくとします。
そのうえで、プログラムのデバッグ時はすべてのログレベルを表示し、リリース時はCRITICAL以上のみ表示するなど臨機応変に設定できます。
「Faker」は、プログラムのテスト時に役立つ「ダミーデータ」を手軽に作成できるライブラリです。
例えば、膨大な顧客情報を扱うプログラムをテストするときは、ランダムな顧客情報が必要になります。
Fakerライブラリを使うと、住所氏名・電話番号・生年月日などのデータを必要な数だけランダムに生成できます。
さらに、生成したダミーデータを「JSON形式」に変換したり、「CSV形式」で出力したりする機能もあるので便利です。
なお、サンプルコードで生成されるのは基本的にアメリカ基準ですが、日本基準のデータも出力できるので、国内向けプロジェクトの開発時も役立ちます。
実在するようなリアルなダミーデータを生成したいのであれば、Fakerを試してみてください。
「PHPMailer」は、PHPでメールを送信できるライブラリです。
Webサイトの開発時は、メール送信の機能が必要になるケースが多いでしょう。
例えば、資料請求やお問い合わせなどの入力フォームを設置した際に、確認メールを送信するときです。
PHPMailerにはメール送信の基本的な機能が網羅されているので、押さえておきたいライブラリの一つといえます。
「pChart」は、さまざまなグラフを高品質に描画できるライブラリです。
PHPのグラフ描画ライブラリとしては「JpGraph」というライブラリも有名ですが、pChartのほうがよりデザイン性が高く分かりやすいグラフを描画できます。
なお、pChartの公式サイトには、さまざまな形式のグラフを作成・出力するためのサンプルコードが掲載されているので、使い方を学びやすいことも魅力です。
「Validation」は、ユーザーが入力した値の整合性をチェックする「バリデーション処理」を行うためのライブラリです。
PHPの標準機能としてバリデーション機能は搭載されていますが、条件を正確に指定しきれないケースがあります。
Validationを利用すると、細かなバリデーション処理を行うことが可能です。
ただし、Validationでは設定できる条件があまりに細かいため、初心者には扱いづらさを感じてしまうかもしれません。
そのため、公式マニュアルなどを確認して、記載方法を詳しく確認する必要があるでしょう。
PHPでのプログラミングに慣れて、バリデーションが必要になった段階で活用してみるのがおすすめです。
「class.upload.php」は、ファイルのアップロードや画像操作などを行うためのライブラリです。
画像の拡張子やサイズの変更・変換に加えて、画像編集やサムネイルの作成などの機能も利用できます。
WebサイトやWebサービスでは、写真やイラストなどを使用するケースが多くあります。
「class.upload.php」を使えば、PHPの標準機能よりも便利なファイル・画像操作が行えるようになるので、ぜひ活用したいPHPライブラリです。
「sentinel」は、ユーザー管理を実装するために便利なライブラリです。
PHPでWebサイトやWebサービスを開発するときは、ユーザー情報の管理が必要なケースがあります。
例えば、 ECサイトの会員情報を管理するために、ユーザー登録画面や認証画面を作成するなどです。
sentinelライブラリを活用すると、ログイン認証を含めたユーザー管理システムを実装できます。
なお、ユーザー管理のライブラリとして「cartalyst/sentry」が有名ですが、sentinelは追加データを永続的に保存できることや、複数のログイン情報を登録できるなどの点で便利です。
PHPのライブラリは、先ほどご紹介したもの以外にも豊富にあります。
そのため、PHPのライブラリが必要になったときは、以下の3つの方法で探してみましょう。
・検索エンジンで調べる
・「GitHub」で調べる
・「Qiita」で調べる
PHPのライブラリは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索すると簡単に探せます。
例えば、デバッグに関するライブラリが必要な場合は、「PHP ライブラリ デバッグ」と検索すればライブラリの紹介ページが見つかります。
そのほかの機能に関するライブラリでも、「PHP ライブラリ」の後に機能名を指定すれば、ほとんどの場合で目的のライブラリを発見することが可能です。
なお、ライブラリの使い方については、ライブラリを提供している公式サイトでサンプルコードやドキュメントなどが掲載されているはずです。
どのクラスやメソッドが必要か調べれば、必要な機能を実装できるでしょう。
「GitHub(ギットハブ)」でのライブラリ検索も効果的です。
GitHubはソフトウェア開発のプラットフォームで、多くのプログラマーがソースコードを公開・共有するために利用しています。
先ほどご紹介したライブラリの多くが、このGitHubで公開されています。
そのため、GitHubでキーワードを指定して検索すれば、ハイレベルなPHPライブラリを探し出すことができるでしょう。
PHPライブラリの検索時は「Qiita(キータ)」も有力な選択肢の一つです。
Qiitaは、プログラミングに関する情報や知識を記録・共有できるサービスです。
無料で使えるうえに検索エンジンで上位表示されやすいため、ハイレベルな情報が多く掲載されています。
そのため、QiitaでPHPライブラリに関するキーワードを検索すれば、高機能なライブラリを検索できるでしょう。
PHPの外部ライブラリは、ライブラリの公式サイトからzipファイルをダウンロードして、インストールする必要があります。
必要なライブラリをインストールする場合、利用するライブラリの数が多いとそれだけ手間がかかってしまうことが難点です。
そのため、PHPライブラリのインストールには「Composer(コンポーザー)」というツールを使うのが一般的です。
Composerは、PHPのパッケージ管理システム。Composerを利用すると、必要なライブラリの自動インストールをコマンド入力で行えるようになります。
ComposerによるPHPライブラリのインストールは、以下の手順で行います。
1.公式サイトからComposerをダウンロードし、インストールする
2.「composer.json」ファイルを用意する
3.作成したファイルに必要なライブラリを列挙する
4.「composer install」コマンドでライブラリをインストールする
以上の手順で、PHPライブラリを手軽にインストールできるようになります。
なお、composer.jsonファイルはComposerを使用するために必要なファイルで、インストールしたいライブラリを列挙するためのファイルです。
PHPのライブラリを活用すると、高度な処理をシンプルなソースコードで実装できるようになります。
今回ご紹介したライブラリも、用途に応じて活用できる便利なものばかりです。
必要な機能をゼロから作る必要がなくスピーディーに実装できます。
Webサイトやシステム開発時には、豊富なライブラリから最適なものを見つけて、効率的に作業を進められるようにしましょう。
フリーランスエンジニア専門の求人・案件一括検索サイト「フリーランススタート」に少しでも興味がある方は是非ご登録ください。
なお、フリーランススタートはiOSアプリ版やAndroid版をリリースしています。
通勤しているエンジニア・デザイナーでちょっとしたスキマ時間で手軽にフリーランス求人・案件を検索したい、開発言語の単価が知りたい、フリーランスを将来的に検討している方などは是非インストールしてみてください。
フリーランススタートのアプリを有効活用して、フリーランスとして第一線で活躍しましょう!
フリーランススタート iOSアプリのインストールはこちらから→
フリーランススタート Androidアプリのインストールはこちらから→
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
フリーランスお役立ち記事を検索
あなたの経験職種のフリーランス案件を見てみませんか?
SNSアカウントでログイン