公開日:2023.11.07
更新日:2025.03.24
SEが業務に従事する場所はさまざまですが、その一つとして病院内での勤務が挙げらます。院内SEは病院の運営を支える縁の下の力持ちといった存在であり、院内システムの導入や運用保守、ヘルプデスクなどといった業務に携わります。これらの業務を円滑にこなすためには、SEとしての基本的な知識やスキルだけではなく、病院内の業務をきちんと理解しておくことなども求められます。
そこで本記事では病院内にはどのようなシステムが導入されているか確認した上で、院内SEについて仕事内容、求められる知識・スキル、年収、資格などについて解説していきます。
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<目次>
1.病院内に導入されるシステム
患者の予約システム
電子カルテ
オンライン診療システム
2.院内SEの仕事内容とは
院内システムの導入
院内システムの運用保守
ヘルプデスク
トラブルシューティング
3.院内SEに求められる知識・スキル
院内の業務理解
システム開発に関する知識・経験
コミュニケーションスキル
4.院内SEの年収
5.院内SEに求められる資格
基本情報技術者試験
情報処理安全確保支援士試験
医療情報技師能力検定試験
6.まとめ
病院内にはさまざまなシステムが導入されています。
また、近年では医療業界におけるDXが進んでいるため、将来的にはさらに導入されるシステムの種類が増えることも予想できるでしょう。
病院内で主に導入されているシステムとして以下が挙げられます。
・患者の予約システム
・電子カルテ
・オンライン診療システム
患者の予約システムには以下2つの役割があります。
・患者が病院に診察の予約を入れる
・病院が患者の予約を管理する
患者は予約システムを通じて予約を行う場合、スマートフォンやパソコンなどのデバイスから都合のよい時間に予約できます。
患者は病院の受付可能時間を気にして電話せずとも予約することができるため、予約にかかる手間や負担を最小限に抑えられます。
また、予約システムには患者に予約日時が近いことを通知するリマインダー機能が搭載されたものもあります。
こうした機能を活用することで、患者が来院を忘れることを回避しやすくなります。
病院側は患者からの予約をパソコンなどで確認できるため、予約確認の手間が省ける他、確認ミスなども減らせます。
その他にも、患者は予約変更やキャンセルなどをシステム上で行えるため、病院側はそれらの対応に追われることもありません。
紙のカルテは検査結果や会計などをそれぞれ個別のシステムで行うため、管理に手間や時間がかかります。
一方で、電子カルテであればデータで一括管理できるため、管理における手間や時間はほとんどかかりません。
また、患者の情報を一元管理できるため、情報の検索や分析も容易に行えます。
その他にも、医療従事者はデータの閲覧や検索などを場所を問わずに行えるだけでなく、該当の患者に関する情報共有を担当メンバーで容易に行えます。
オンライン診療システムは医療DXの発展や新型コロナウイルスの感染対策などにより、近年において広く普及しています。
患者はオンラインシステムを利用することで自宅に居ながらにして診察を受けられるため、受診を迷われている方や近くに病院がない方も医師に気軽に相談できます。
また、院内感染を防げることからも、身体の弱いお年寄りの利用や感染症が流行している時期に利用される方も多いです。
オンライン診療はZoomなどのWeb会議ツールで実施することもできますが、専用のシステムを利用することでWebサイトからの診察予約や診察前の問診の入力、クレジットカード決済なども可能になります。
その他にもシステムごとにオンライン診療の利便性を高めるための特有の機能が搭載されています。
前述のように病院内には多くのシステムが導入されています。
これらのシステムの導入や運用・保守には院内SEの力が必要となります。
院内SEの仕事内容として以下の4つが挙げられます。
・院内システムの導入
・院内システムの運用保守
・ヘルプデスク
・トラブルシューティング
院内におけるシステムの導入には院内SEが携わることがほとんどです。
また、新規に導入したシステムの設定の他、電子メールや不正アクセスのブロックなども行います。
システムを導入するだけでなく、院内で働く人たちがシステムをスムーズに利用できるよう各種設定を完了させるのが院内SEの役割です。
院内システムは患者の診療データや臨床上のエビデンスを創出する上で重要なものです。
また、患者数の多い病院の中には入院している患者に提供する食事のデータを管理するため、治療経過やアレルギーなどをデータとして保存している病院もあります。
院内システムにトラブルが起きた場合には患者の治療にも影響が出るため、院内SEには院内システムの運用保守をしっかりと行い、トラブルが起こらないように徹底して整備することが求められます。
院内では多くの人たちがパソコンをはじめとする電子機器を用いて作業をしています。
例えば、医師はカルテを作成していますし、臨床工学技士は透析データを管理しています。
また、院内で業務に携わる多くの人たちがプリンターを使って必要な書類などを印刷します。
院内で働く人たちがこれらの業務を行う中で、パソコンやネットワークにトラブルが生じた場合、院内SEは対応することになります。
大きな病院だとヘルプデスクが設置されており、院内SEはそこに常駐して問い合わせを受け、対応に出向きます。
問い合わせ内容は「システムの調子が悪い」といったものから「トナーを変えてほしい」「うまくコピーができない」といったものまでさまざまです。
システムはトラブルの発生と切っても切り離せないため、きちんと運用していた場合でもトラブルが生じます。
システムにトラブルが生じた際にはシステムに関する深い知識を有するSEが原因を明らかにした上で復旧作業を行います。
病院内でのシステムトラブルで多いのはパソコンが固まってしまうことです。
また、ネットワークが作業中に途切れてしまうといったトラブルも多くあります。
院内SEとして働くためには一般的なSEとしての知識・スキルはもちろんのこと、院内SE特有の知識・スキルも求められます。
院内SEに求められる知識・スキルとして以下が挙げられます。
・院内の業務理解
・システム開発に関する知識・経験
・コミュニケーションスキル
院内SEは病院内で働くエンジニアですので、院内の業務について理解しておく必要があります。
医師や看護師、医療事務の業務を把握しておくことで、医療従事者をシステムの保守・運用などの観点から手厚くサポートできます。
また、院内の業務体制を理解しておくと、患者から院内の体制などについて質問された際に答えることができます。
病院で利用されているシステムは一般企業に導入されているシステムとは異なるものがほとんどです。
そのため、一般企業においてSEとしての経験がある方であっても、院内SEとして働く上でさらなる知識の取得が必要となります。
院内SEのほとんどがシステム開発に携わる機会はあまりなく、保守作業が業務の軸となります。
加えて、医療従事者が使用しているシステムやパソコンなどにトラブルがあった際には対応しなければならないため、それらに関する深い知識も必要です。
前述のように院内SEは開発業務というよりも保守作業やトラブル対応が業務の中心となります。
そのため、一人で黙々と作業するというよりも、他者と円滑にコミュニケーションを取りながら進めていく作業が多いです。
例えば、医師から院内システムの不具合について伝えられた場合、使用状況などについてヒアリングし、現状について適切に回答しなければなりません。
また、看護師から電子カルテの使い方を聞かれた場合には相手が理解できるように、使い方を分かりやすく説明する必要があります。
院内SEには日常的な会話を問題なくできるくらいのコミュニケーションスキルはもちろんのこと、他者に対して分かりやすく説明するスキルも求められます。
院内SEの年収は一般企業で働くSEと同程度であることが多く、500万円前後と一般的にいわれています。
通常のSEに求められる知識の他にも医療に関する知識も必要となるため、他のSEと比べて年収が割高になるといったイメージもありますが必ずしもそういうわけではないようです。
ただし、職場環境は安定しているため大きな昇給の見込みがなくても、収入を安定的に得ることができるでしょう。
また、医療に携わるエンジニアとしてフリーランスという働き方を選ぶことも可能です。
院内SEとは少々異なる業務になりますが、病院向けの管理システムの構築業務などといった案件もあります。
フリーランスのエンジニアを対象にした転職サイト「フリーランススタート」に掲載されている求人を概観したところ、病院向けのシステム構築に携わるSEの平均年収は800万円前後となっています。
院内SEとして働くにあたって必須となる資格はありません。
しかし、資格を取得しておくことで選考時に有利になったり、業務をスムーズに進められたりといったメリットを得られます。
院内SEに求められる資格として以下が挙げられます。
・基本情報技術者試験
・情報処理安全確保支援士試験
・医療情報技師能力検定試験
基本情報技術者試験はIPA独立行政法人情報処理推進機構が実施している試験です。
この資格は院内SEに特化した試験ではなく、SEとしてどの業界で働くにあたっても役立つものです。
試験ではIT人材として求められる基本的知識が問われます。
試験で問われる範囲はシステムやコンピュータ、ネットワークなど幅広いです。
この資格を保有していることでIT全般に関する基本的な知識があることや、システムの設計、開発、運用を行えることを証明できます。
情報処理安全確保支援士試験もまたIPA独立行政法人情報処理推進機構が実施している試験です。
この資格を有していることでサイバーセキュリティに関する深い知識や技能があり、企業、もしくは組織における安全な情報システムの支援などを行えることを証明できます。
試験では情報セキュリティに関する内容はもちろんのこと、ネットワーク、データベース、暗号、認証、フィルタリング、ロギングなどといった幅広い知識が問われます。
医療情報技師能力検定試験は一般社団法人医療情報技師育成部会が実施する試験です。
この試験は医療情報技師として勤務する人を主な対象としています。
院内SEは医療情報技師と同じように医療現場で働く仕事ですので、両者において重なる部分も少なくないと見受けられるでしょう。
試験では医療や情報処理技術、医療情報システム、医療関連技術、医療現場で使われる用語や技術の解釈など幅広く問われます。
この資格を取得していることで医療情報技師にキャリアチェンジすることも期待できます。
院内SEは病院内のシステムを支えるための重要な職業です。
院内SEがいなければ病院内のシステムを円滑に運用できないだけでなく、トラブルなどが発生した際には対応できる人がいなくなってしまいます。
院内SEとして働くためにはSEとしての基本的な知識やスキルに加えて、病院で働く上で必要となる知識も必要です。
また、院内で働いていると患者さんと顔を合わせる機会もあるため、ある程度の人当りのよさも求められるでしょう。
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