公開日:2020.09.30
更新日:2025.03.24
「フリーランス(個人事業主)として働いているが、退職金のことは考えていない」という方もいるでしょう。フリーランス(個人事業主)の人は会社員とは異なり、退職金がありません。
ただし、フリーランス(個人事業主)向けの制度を活用することで、退職金代わりのものを受け取る方法はあります。
今回は、フリーランス(個人事業主)向けの退職金の代わりになる制度について、メリットからデメリットまで、詳しく解説していきます。各制度の詳細を把握して、加入を検討しましょう。
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<目次>
1.フリーランス(個人事業主)に退職金はない!
2.退職金の代わりになる小規模企業共済制度とは?
3.小規模企業共済制度のメリットデメリット
<メリット>
小規模企業共済制度のメリット①:掛金全額が所得控除になる
小規模企業共済制度のメリット②:節税対策として活用可能
小規模企業共済制度のメリット③:資金繰り対策として活用可能
<デメリット>
小規模企業共済制度のデメリット①:6ヶ月未満の場合は掛け捨てになる
小規模企業共済制度のデメリット②:共済金受取時に課税される
4.小規模企業共済制度以外にも退職金の代わりになるフリーランス(個人事業主)向けの制度
5.まとめ
フリーランス(個人事業主)には退職金がありません。退職金を受け取れる会社員との大きな違いです。
働けなくなった場合、フリーランス(個人事業主)は会社員よりもリスクが大きいといえるでしょう。
そこで重要となるのが、退職金の代わりとなる制度の活用です。
万が一に備え、各制度への理解を深めておきましょう。
小規模企業共済制度とは、独立行政法人中小機構が運営するフリーランス(個人事業主)・経営者向けの共済制度となります。
フリーランス(個人事業主)などの小規模事業者が事業をやめる際に生活資金として積み立てておくものです。
いわば、「フリーランス(個人事業主)の退職金制度」です。掛金は1,000円から月7万円まで、500円単位で自由に選ぶことができ、加入後の増減額ができます。
掛金は月払い・半年払い・年払いから選び、万が一の際は、借り入れも可能です。
これまでの利用実績は約160万件を超えるなど、実績豊富な制度となっています。
それでは、小規模企業共済制度のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
小規模企業共済制度は、フリーランス(個人事業主)の退職金制度です。
小規模企業共済制度のメリット・デメリットを把握して、加入するべきか判断しましょう。
それでは、詳しく解説していきます。
<メリット>
フリーランス(個人事業主)が小規模企業共済制度に加入するメリットとして、「掛金金額が所得控除になる」ことが挙げられます。
フリーランス(個人事業主)の節税対策として効果的です。
所得額に応じて、節税額がアップし「お得」になります。
例えば、課税対象の所得金額が400万円だった場合、加入後の節税額は以下の通りです。
掛金月額1万円:36,500円
掛金月額3万円:109,500円
掛金月額5万円:182,500円
掛金を増やすほど、控除額が増える仕組みです。
会社員と比べると収入の安定しないフリーランス(個人事業主)にとって、所得控除はありがたいでしょう。
先ほどのメリットと関連して、フリーランス(個人事業主)は小規模企業共済制度を節税対策として活用可能です。
掛金金額が所得控除になることに加え、受け取る際も節税に効果的です。
共済金は「一括」「分割」「一括と分割の併用」の3パターンで受け取ることができ、それぞれのパターンに応じて、節税対策ができます。
例えば一括で受け取る場合、税法上「退職所得」に分類され退職所得控除の対象となります。
受け取りパターンによって節税額は異なりますが、所得税が少なくなるのは、どのパターンも同じです。
フリーランス(個人事業主)としての資金繰り対策に活用可能です。
小規模企業共済制度には、事業資金などを貸し付ける「一般貸付け」や病気やケガになった際の「傷病災害時貸付け」に低金利で借りられます。
一般貸付けでは、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)で借り入れでき、利率は年1.5%となります。随時申し込み可能です。
傷病災害時貸付けの場合は、50万円以上1,000万円以内(5万円単位)で借り入れでき、利率は年0.9%となります。
申込受付期間は、傷病の場合が入院した日から6ヶ月以内、災害の場合は災害が発生した日から6ヶ月以内です。
また、事業承継や廃業準備への借り入れも可能です。
新型コロナウイルス拡大による資金繰りの悪化への借り入れにも対応しています。
万が一に備えておくことで、安心して仕事に取り組めるでしょう。
<デメリット>
ここまでの解説では、小規模企業共済制度は、フリーランス(個人事業主)にとってメリットだらけの制度に思えるでしょう。
一方で、デメリットもあります。
最大のデメリットは加入期間が6ヶ月未満の場合は掛け捨てとなり、共済金を受け取れないことです。
加入する際は、長期計画で積み立てることになります。
先述したように、月1,000円から7万円まで、毎月の掛金を選ベるため、無理なく積み立てることが可能です。
ただし、20年(240ヶ月)未満で途中解約(任意解約)した場合、元本割れするので、注意しましょう。
掛金月額1万円の場合、掛金納付月数と解約手当金額は以下となります。
掛金月額 | 掛金納付月数 | 掛金納付合計額 | 掛金に対する支給割合 | 解約手当金 |
---|---|---|---|---|
10,000円 | 247ヶ月 | 2,470,000円 | 100.25% | 2,476,175円 |
10,000円 | 151ヶ月 | 1,510,000円 | 88.75% | 1,340,125円 |
10,000円 | 11ヶ月 | 110,000円 | 80.0% | 88,000円 |
メリットの際にも触れましたが、共済金は受け取り時に課税対象となります。
事業の引き際を事前に計画することが重要です。
とはいえ節税対策ができるので、総合的に考えるとメリットの方が大きいでしょう。
小規模共済制度以外にも、退職金の代わりを受け取る方法があります。
それが「中小企業倒産防止共済」です。
中小企業倒産防止共済とは、取引先企業が倒産した場合、積み立てた金額の10倍の範囲内(最高8,000万円)で借り入れができる共済制度となります。
掛金は5,000円から20万円まで、5,000円単位で選べ、加入後の掛金の増減額も可能です。
フリーランス(個人事業主)の場合は、事業所得の必要経費に算入できるため、節税対策にもなります。
貸付は無担保・無保証人・無利子なり、返済期間は5年〜7年です。ただし、取引先が「夜逃げ」や「内整理」などの場合、貸付けを受けることができません。
フリーランス(個人事業主)は、会社員とは異なり、退職金がありません。
とはいえ、小規模共済制度を活用すれば、フリーランス(個人事業主)も退職金代わりの共済金を退職時・廃業時に受け取れます。
小規模共済制度は、フリーランス(個人事業主)としての節税対策や資金繰りに活用できるなどのメリットがある一方、6ヶ月未満の場合は掛け捨てになることや共済金受け取り時に課税されるなどのデメリットがあるのも事実です。
また小規模企業共済制度以外にも、中小企業防止共済制度を活用するのも選択肢でしょう。
万が一に備え、フリーランス(個人事業主)にとっての「退職金制度」への加入を検討してみてください。
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