公開日:2020.10.27
更新日:2025.03.24
ニアショア開発は、大きな都市にある企業が地方都市にあるの企業や事業所と業務委託契約を結び、仕事(開発)を委託することです。
オフショア開発と似た言葉ですが、オフショア開発は海外に仕事(開発)を依頼するという意味であるため、ニアショア開発と正反対です。
ただ、中には「そもそもニアショア開発がよくわからない」「内容は普通の契約じゃないの?」と疑問に持つ人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では「オフショア開発」「オフショア開発」のメリット・デメリット、そして2つの委託契約の将来性を解説しました。
ぜひ当記事で、「ニアショア開発とは何か」の疑問を解消しましょう。
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<目次>
1.ニアショア開発とオフショア開発とは?
ニアショア開発
オフショア開発
2.ニアショア開発のメリットデメリット
ニアショア開発のメリット①:コスト削減ができる
ニアショア開発のメリット②:慣習や言葉の差異がない
ニアショア開発のデメリット①:想定よりもコスト削減にならない場合もある
ニアショア開発のデメリット②:再委託の可能性がある
3.オフショア開発のメリットデメリット
オフショア開発のメリット①:コスト削減ができる
オフショア開発のメリット②:日本より人材確保が簡単
オフショア開発のデメリット①:開発チームと遠距離になる
オフショア開発のデメリット②:慣習や言葉の違いがある
4.今後のニアショア開発とオフショア開発について
5.まとめ
まずはニアショア開発とオフショア開発、それぞれの意味を見ていきます。
どのような違いがあるのでしょうか。
ニアショア開発とは、首都圏・大都市圏の企業がシステム開発や保守運用を、国内の地方都市の企業や事業所に業務委託することです。
例えば、東京にある企業が九州や仙台にある開発会社に、プロジェクトまたはその一部をアウトソーシングするイメージです。
near(近く)とshore(岸)を合わせた英単語nearshore(外浜、沿岸)が由来です。
「沖合に向かって⇒海外へ」を意味するoffshoreとは反対の意味になっています。
オフショア開発とは、海外のエンジニアにシステム開発などを業務委託することです。
日本では中国、ベトナム、フィリピンなどのアジア圏やインドなどが、オフショア開発先として人気です。
IT業界の発展に伴い、日本でも積極的に取り入れるようになりました。
たとえば少し古いデータになりますが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2013」によると、海外法人への直接発注を実施する法人が31.9%、間接発注が24.9%と全体で約20~30%です。
しかし、1,001人以上の大企業に絞ると直接発注が66%、間接発注が63.8%と2~3倍に跳ね上がっています。
このように、オフショア開発は数年前から盛んに行われていたとわかります。
ここではニアショア開発のメリット・デメリットを順番に解説します。
ニアショア開発がコスト削減につながる要因として、各都道府県の最低賃金の違いが挙げられます。
具体的には、最低賃金の安いところに委託することで、人的コストを抑えるということです。
たとえば東京の1時間あたりの最低賃金は1,013円ですが、兵庫だと890円、秋田だと792円です。
これが1日、1ヶ月、1年と続くと大きな差になります。
また、転職サイトdodaを運営するパーソルキャリアが調査した「47都道府県別/地方別平均年収情報【最新版(2020年)】」でも、都道府県によって全体、職種、業種別年収額に変化が見られました。
地域 | 職種別の平均 技術系(IT/通信) |
業種別の平均 IT/通信 |
関東 | 465万円 | 462万円 |
東海 | 438万円 | 420万円 |
関西 | 436万円 | 414万円 |
中国・四国 | 407万円 | 395万円 |
北信越 | 405万円 | 388万円 |
北海道・東北 | 404万円 | 394万円 |
九州・沖縄 | 389万円 | 375万円 |
東日本(関東・東海)がもっとも高く、その後は関西、中国・四国、北信越と続きます。
関東から離れている北海道や東北、九州は低めの年収となっています。
昨年の平均年収と比較して、北海道・東北の平均年収は15万円ほど、中国・四国は8万円ほど高くなっています。
北信越の平均年収が15万円ほど下がっています。
上記の結果からは、日本の大都市(東京・神奈川・大阪)から離れている地域の事業所ほど、人件費(コスト)がかからないと推測可能です。
また、コロナの影響によりリモート(在宅)ワークを行う企業が増加したことにより関東や東海、関西以外の地域の年収増加につながったと予想できます。
地方都市にアウトソーシングを行うことは、コスト削減につなげることができます。
地方で働くフリーランスについては、以下の記事をぜひご一読ください。
海外のエンジニアとやり取りするオフショア開発と違い、ニアショア開発は日本に住む人が相手なのでコミュニケーションの面では相手との差異が出ません。
慣習や労働時間の差も生まれにくく、常に円滑なコミュニケーションをとることが可能です。
とくに2020年現在は、テレワークやリモートワーク(在宅ワーク)の普及によるWeb会議システムの流通によって、遠方の事業所とも連携が取りやすくなりました。
もちろん委託先が近ければ、顔を合わせての打ち合わせも視野に入ります。
また、言葉の差異がないということは、以下のメリットも発生します。
・発注側の採用活動が行いやすく優秀なIT人材を見つけやすい
・責任者を育成しやすい
・プロジェクトの進行管理が行いやすい
現場を安定的に指揮するには、ニアショア開発は向いています。
コスト削減効果があるニアショア開発といえど、人件費に関してはオフショア開発にしたほうが安くつきます。
前述したベトナムやインドの人件費が、日本より低いためです。
日本は「IT人材需給に関する調査」にもあるように、2030年には最大79万人のIT人材不足になると言われています。
つまり相対的にエンジニアの希少性が上がり、将来的に今以上に単価が上がる可能性があります。
多少であれば人件費のコストカットは大いに可能かと思いますが、大幅な人件費のコストカットを検討しているのであれば、オフショア開発のほうが効果が出やすくなります。
再委託とは、委託した会社がさらに別の会社に仕事を委託することです。
再委託されるデメリットは以下のとおりです。
・要件の認識、完成イメージにズレが出て納品物にクオリティに影響する
・修正指示、修正後の納品が遅れる可能性がある
指示系統に余計なところが1つ増えるだけでも、プロジェクト単位で動くシステム開発にとっては大きな影響です。
しかし、実はあらかじめ契約書にて再委託について決めておかないと、再委託をした企業を罰することができません。
この状況を防ぐには事前契約のときに再委託の制限を行う、準委任契約にするなどの対策が必要です。
業務委託契約について詳しく知りたい/理解したい方は下記記事をご一読ください↓
続いて、オフショア開発のメリット・デメリットを見ていきましょう。
オフショア開発は、ニアショア開発よりさらにコストが削減できます。
前述のとおり、オフショア開発が盛んなベトナムやインドは日本国内と比較するとエンジニアの単価が安いためです。
「IT人材白書2012」の調査結果では、オフショア開発を行った企業の2/3が「コスト削減の効果があった」と答え、削減額は平均で2~3割程度になりました。
前述の「IT人材需給に関する調査」のとおり、日本ではIT人材が大きく不足しています。
よく「日本はIT後進国だ!」を言われるとおり、優秀なエンジニアがなかなか見つからないのが現状です。
しかしオフショア開発の場合は、日本で探すより優秀なエンジニアに出会える可能性が高くなっています。
オフショア開発先として人気のアジア圏やインドのエンジニアレベルが上がっているためです。
また、新興国における教育の違いや労働力やIT知識への興味の違いから、海外には若くて意欲あるIT人材が多いのも特徴です。
日本国内と海外ということもあり、開発チームとは遠距離でのやり取りになることがデメリットです。
対面での打ち合わせや、交流によるノウハウの共有が難しくなります。
2020年ではテレワークやリモートワーク(在宅ワーク)、Web会議(Zoom、Microsoft Teams、Google Hangouts(ハングアウト)、Skypeなど)によって気軽につながりやすいものの、現場を直接確認したり、身振り手振りで細かく指示したりができなかったりする点は大きな痛手です。
オフショア開発の場合、相手とは英語やその他の母国語でしかコミュニケーションができなくなる可能性が高いです。
要するに、仕事の指示出しや進捗確認などが難しくなります。
また、日本と海外では時差や労働への意識に違いがあるので、レスポンスや仕事の
進みが遅くなる可能性があります。計画通りに進まないことも考えられます。
プロジェクトチームとして1つのシステムを作り上げる上で、ビジョンや仕事の進め方、その他の注意点が伝えづらいことは非常に不便です。
オフショア開発を頼みたいときは、事前にコミュニケーション方法や社員を現地に派遣する、英語などが堪能な社員を準備するなどを決めておくことが大切になります。
IT業界も大きく成長しているため、今後はニアショア開発、オフショア開発ともにまだまだ需要が伸びるのではと推測されます。
とくにオフショア開発は、確保できるエンジニアのコスト面とスキル面の両方が優れていることから、ますます盛んになるでしょう。
地震や台風などの自然災害に備えて、海外にサテライトオフィスなどを構え、リスク管理したいという企業も増えていくのではないでしょうか。
株式会社「矢野経済研究所」がまとめた「グローバルアウトソーシング市場に関する調査結果 2016」によると、グローバルアウトソーシング市場は2014年から2019年にかけて年平均成長率5.1%で1兆2,383億4,400万ドル(約129兆円)と予想されていました。
日本国内向けオフショアサービス市場も年平均成長率3.6%で16億7,800ドル(1,676億円)と出ています。すでに2019年のアウトソーシング市場が拡大していくと予想されています。
また、もし大企業からのニアショア開発が活発になれば、フリーランスエンジニア案件も増えるはずです。
大企業やその子会社が自社で完結させていたプロジェクトや案件がSlerや中小企業、そしてフリーランスへの外注と流れると予想できるためです。
ただし会社員エンジニア、フリーランスエンジニア問わず国内の技術者たちは、日本だけでなく海外の技術者との競争にも勝たなければなりません。
流行り廃れが早いIT業界においてAI(人工知能)分野、xR分野、ブロックチェーン分野など最先端技術を積極的に学習/習得していくことや、常に市場動向を確認し学習し続けることが企業に必要とされるエンジニアの条件となっていくでしょう。
コロナ禍の影響によるニューノーマル時代の2020年、AI(人工知能)による自動化システムやテレワークやリモートワーク(在宅ワーク)用のツールやそれに伴うセキュリティシステムなどのITツール、ITシステムの需要が高まっています。
今後もIT業界でのニアショア開発、オフショア開発の重要性が注目されていくでしょう。
ニアショア開発やオフショア開発の概要やメリットデメリットについて解説してきました。
ニアショア開発はオフショア開発とは逆で、国内の地方都市にアウトソーシングすることです。
特徴は次のとおりです。
・都市部から地方都市への委託でコストが削減できる
・コミュニケーションや慣習などの面で差異がなくなる
・エンジニア人材の確保が課題にある
・オフショア開発のほうがコストは安い
今後も需要が増えるであろうシステム開発のアウトソーシングですが、逆にいえば海外の優秀なエンジニアと比べられる機会が増えたということです。
オフショア開発のチームに実力差を見せつけられるくらい、スキルと実践実績を重ねていきましょう。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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