公開日:2020.11.03
更新日:2025.03.24
フリーランスとして活動されている皆様は、既に事業税という税金を聞いたことがあるかと思います。
事業税は、法人だけでなく、条件を満たすフリーランス(個人事業主)も納めなければいけない税金ですが、どういったフリーランス(個人事業主)が納めるべき税金なのでしょうか。
また、事業税以外にフリーランスが支払わなければならない税金や社会保険料にはどういったものがあるでしょうか。
今回は個人事業税を中心に、フリーランス(個人事業主)が納めなければならない税金や社会保険料について解説していきます。
是非、ご参考にして下さい。
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<目次>
1.フリーランス(個人事業主)が納める個人事業税とは?
個人事業税
個人事業税がかかる業種とかからない業種
フリーランスとして個人事業税の申告方法
フリーランスとして個人事業税の計算方法と納付方法
フリーランスとして個人事業税の納付期限
フリーランスとして個人事業税の勘定科目と仕訳例
フリーランスとして個人事業税の経費算入時期
住所と事業所の場所が異なると個人事業税の納付書が届かないこともある
2.個人事業税が掛からない場合
前3年の赤字の繰り越しがある場合(青色申告)
事業所得が290万円以下の場合
3.フリーランス(個人事業主)が納める税金
所得税
住民税
国民健康保険料
国民年金
個人事業税
消費税
復興特別所得税
4.まとめ
ここではフリーランス(個人事業主)が納める個人事業税について、概要・業種・計算方法などを説明します。
事業税には法人事業税と個人事業税があります。
個人事業税はフリーランス(個人事業主)が納める、事業を行っていることに対して課される税金です。
個人事業税は都道府県税であるため、都道府県税事務所から納税通知が届きます。
個人事業税は個人事業主が営む事業のうち、法定業種70種についてのみかかり、それら以外の業種にはかかりません。
具体的な業種と税率は以下の通りです。
区分 | 税率 | 事業の種類 |
---|---|---|
第1種事業 | 5% | 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、 保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業 金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、 物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、 不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、 製造業、印刷業、問屋業、案内業、 電気供給業、出版業両替業 冠婚葬祭業、 土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、 電気通信事業、席貸業、演劇興行業、 運送業、旅館業、遊技場業 |
第2種事業 | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
第3種事業 | 5% | 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯) 歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、 薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、 獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、 弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、 司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、 行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業 |
第3種事業 | 3% | あんま、マッサージ又は指圧、はり、きゅう、柔道整復、その他の医業に類する事業装蹄師業 |
ただし、例えばシステムエンジニアが他のエンジニアへの技術指導などコンサルティング業務を行った場合は、コンサルタント業として、個人事業税の課税対象です。
上記にあてはまらない業種としては、システムエンジニア、ライターなどがあります。
フリーランス(個人事業主)は毎年3月15日までに、前年中の事業の所得などを申告することになっています。
しかし、所得税の確定申告や住民税の申告をした方は別途、個人事業税の申告をする必要はありません。
この場合には、それぞれの申告書の「事業税に関する事項」欄に必要事項を記入することになります。
個人事業税の計算方法は以下の通りです。
(事業所得及び不動産所得*1 + 所得税の事業専従者給与(控除)額*2 - 個人の事業税の事業専従者給与(控除)額*3 + 青色申告特別控除額*4 - 各種控除額*5) × 税率 = 税額
所得や各控除額の詳細説明は以下を参考にしてください。
◆*1事業所得及び不動産所得
事業所得と不動産所得の金額を合計した金額です。
前年の1月1日から12月31日までの1年間の事業から生じた事業所得と不動産所得の金額の合計金額のことで、事業の総収入金額から必要経費と青色申告特別控除額等を控除して計算します。
◆*4青色申告特別控除額
青色申告特別控除は一定の要件を満たした青色申告者に対する所得控除のことです。
65万円のものと55万円のものと10万円のものとがあります。青色申告書でない人は白色申告者になります。
◆*2所得税の事業専従者給与(控除)額
同じ生計にて暮らしている配偶者その他の親族が、所得税の納税者の経営する事業に従事している場合に、納税者がこれらの人に給与を支払うことがあります。
これらの給与は、原則として、必要経費にはなりません。しかし、次のような特別の取扱いが認められています。
・青色申告者の場合
一定の要件の下に、実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例
<青色事業専従者給与として認められる要件>
(1) 青色事業専従者に支払われた給与であること。
青色事業専従者とは、次の要件の全てに該当する人をいいます。
✔ 青色申告者と同じ生計にて暮らしている配偶者その他の親族であること。
✔ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
✔ 原則として、その年を通じて6月を超える期間その青色申告者の営む事業を主に従事していること。
(2) 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
提出期限は、原則として、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日までです。
専従者が増える場合や、給与を増額する場合など、既に提出した届出書の内容を変更する場合「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署長に提出している必要があります。
(3) 届出書に記載されている方法により支払われ、かつその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
(4) 青色事業専従者給与の額は、職に対して適当であると認められる金額であること。過大とされる部分(額)は必要経費となりません。
・白色申告者の場合
事業に専ら従事する家族従業員の数、配偶者かその他の親族かの別、所得金額に応じて計算される金額を必要経費とみなす事業専従者控除の特例
事業専従者控除額は、次のイ又はロの金額のどちらか低い金額です。
イ:事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
ロ:この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額
<白色事業専従者控除を受けるための要件>
(1) 白色申告者の営む事業に事業専従者がいること。
事業専従者とは、次の要件の全てに該当する人をいいます。
✔ 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
✔ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
✔ その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業を主に従事していること。
(2) 確定申告書に白色事業専従者控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること。
これらの控除の金額が所得税の事業専従者給与(控除)額です。
◆*3個人の事業税の事業専従者給与(控除)額
事業税の計算上、事業主と同じ生計で暮らしている親族の方が主にその事業に従事するときは、一定額を必要経費として控除できます。
青色申告の場合・・・・・給与支払全額(所得税の事業専従者給与額と同額)
白色申告の場合・・・・・配偶者の場合は86万円、その他の方の場合は1人50万円が限度
◆*4青色申告特別控除額
所得税の計算上は青色申告特別控除を受けられますが、個人の事業税には青色申告特別控除の適用はありません。
所得金額に加算する必要があります。
◆*5各種控除額
繰越控除と事業主控除があります。
①繰越控除
(ア)損失の繰越控除
青色申告者で、事業の所得が損失となったときは、翌年以降3年間繰越控除ができます。
(イ)被災事業用資産の損失の繰越控除
白色申告者で、震災、風水害、火災などで生じた事業用資産の損失の金額がある場合、翌年以降3年間繰越控除ができます。
(ウ)譲渡損失の控除と繰越控除
直接事業の用に供する資産(ただし、土地、家屋等を除く。)を譲渡したために生じた損失額については控除可能です。青色申告者は、翌年以降3年間繰越控除ができます。
②事業主控除
控除額は、年間290万円(営業期間が1年未満の場合は月割額)です。
①繰越控除を受けるには、所得税、住民税、事業税のどれか1つの申告を一定の期限内に毎年行っている必要があります。
コンサルタント業での計算例
ここでコンサルタント業の方の個人事業税の金額の計算を例として行います。
事業専従者給与や青色申告特別控除の適用はないとします。
コンサルタント業は第三種事業であるため、個人事業税の税率が5%の事業です。
その他の条件は以下の通りとします。
年収:900万円
経費:400万円
個人事業税の金額の計算式は以下の通りです。
(900万円 - 400万円 - 290万円) × 0.05 = 10.5万円
したがって、この場合の個人事業税は10万5千円です。
納付方法
納付方法としては、都道府県税事務所の窓口や金融機関での現金払いの他、口座振替やクレジットカード決済も可能です。
30万円以下ならコンビニで現金払いも可能です。
個人事業税の納付期限は8月と11月です。
8月に都税事務所・支庁から送付する納税通知書により各納期に納めます。
個人事業税には租税公課という勘定科目を使います。
そのため、仕訳例は以下の通りです。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | xxx | 普通預金 | xxx |
個人事業税は支払った年に関する経費として損金に算入します。
例えば、令和2年の所得で計算された個人事業税は令和3年に支払いますので、令和3年の仕訳帳に記入します。
事業主の住所と事業所の場所が異なると、個人事業税の納付書が届かないケースが考えられます。
事業主の住所を前もって都道府県税事務所へ連絡しておくなど対策を取りましょう。
この章では、個人事業税が掛からない場合について解説していきます。
基本的に個人事業税がかからない業種はかかりませんが、かかる業種でも以下の場合は掛かりません。
青色申告をしていて、前述した【フリーランスとして個人事業税の計算方法と納付方法 ①繰越控除 (ア)・(イ)・(ウ)】の繰越控除を受けられる場合で、所得が控除額より小さい場合は、個人事業税はかかりません。
前述した【フリーランスとして個人事業税の計算方法と納付方法 ②事業主控除】は年間290万円なので、事業をその前の年から継続していて対象となる年の所得が290万円以下の場合は、個人事業税はかかりません。
この章では、フリーランス(個人事業主)が納める税金について解説していきます。
フリーランス(個人事業主)は、参考にして確定申告の際にぜひお役立てください。
所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。
1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
所得金額の計算について
所得は、以下10種類に分かれています。
それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲あるいは所得の計算方法などが定められています 。
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得
課税所得金額の計算について
課税所得金額は、納税者の全ての所得から所得控除額を差し引き算出します。
所得控除とは、控除の対象となる扶養親族が何人いるかなどの個人的な事情を加味して税負担を調整するもので、次の種類があります。
・雑損控除
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
基礎控除
基礎控除は全ての方に適用される控除です。
納税者本人の合計所得金額に応じて変化します。
個人の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0万円 |
所得金額の計算
所得税額は、課税所得金額に所得税の税率を適用して計算します。
住民税は都道府県や市区町村がおこなう行政サービスに対して支払う税金です。
住民税は前年の1月から12月までの所得に応じて決まる「所得割」と、一律に課される「均等割り」があります。
住民税の税率は所得割が10%です。内訳は市町村税が6%、道府県民税が4%になっています
国民健康保険は、都道府県及び市町村が保険者となって運営する公的な医療保険制度です。
国民健康保険が負担する医療費等に応じた保険料を国民健康保険料と言います。
国民健康保険料は税金ではありませんが税金と似た性質を持つと言われています。
国民健康保険料は、次の3つの項目に分けて算出します。
所得割:加入者一人ひとりの所得に応じて計算した額
均等割:世帯の加入者数に応じて計算した額
平等割:一世帯につき一律の額
国民年金は、全ての人が共通の基礎的な年金を受けられるように、国が運営している社会保険制度です。
国民年金も税金ではありませんが、日本に住所がある20歳以上60歳未満の人は必ず加入しなければなりません。
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入し、将来、老齢基礎年金を受けます。
国民年金では3種類が加入者います。そのうち、20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など、第2号被保険者、第3号被保険者でない人が第1号被保険者です。
また60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、1965年4月1日以前生まれで、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも国民年金に任意加入をすることができます。
国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者の1カ月当たりの保険料は16,540円です(令和2年度)。
個人事業主が納める個人での事業税のことです。
消費税は、物品やサービスの「消費」に着目し課税する間接税です。
復興特別所得税は、東日本大震災復興の財源確保のために創られた税金です。
平成23年12月2日に特別措置法(平成23年法律第117号)が公布されています。
復興特別所得税額 = 所得税額 x 2.1%
ここまで個人事業税を中心に、フリーランス(個人事業主)が納めなければならない税金や社会保険料について、解説してきました。
フリーランス(個人事業主)として、納めなければならない税金や社会保険料について概要が理解できたという方もいらっしゃることでしょう。
税金や社会保険料を滞納してしまうとペナルティーがあります。
そのため、納めなければならない税金や社会保険料は確実に納めたいものです。
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