業務委託契約を解除したい場合は?業務委託契約の解除前のポイントなど解説!

フリーランス常識

2021.11.15

フリーランスとして結んだ業務委託契約の解除について悩んでいませんか。


何らかの事情により、業務委託契約を解除する事態に陥った場合、契約内容の理解や解除の進め方は非常に重要です。
知識不足や誤解によって、損害賠償などの重大なリスクを被ってしまうかもしれません。


この記事では、業務委託契約の解除を検討する際に必要な知識や手続きについて、詳しく解説していきます。

 

 

 

1.業務委託契約を解除出来る?


業務委託契約関連画像
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業務委託契約の解除は民法上「解除権」として定められています

しかし、定義の解釈があいまいであることから、実務上は契約の種類や契約書の文言によって条件が異なります。

 

まずは、契約の種類について理解を深めましょう。

 

委任(準委任)契約の場合

委任(準委任)契約とは、受託者(フリーランス)の業務遂行・処理など、行為自体を目的とした契約です。

例えばフリーランスエンジニアが委任(準委任)契約によってシステム開発を行う場合、完成したプロダクトの出来(成果)ではなく、決められた工数の業務(行為)を遂行したかどうかで対価が発生します。

 

委任(準委任)契約の特徴は以下のとおりです。

委託者(クライアント)、受託者(フリーランス)双方が、いつでも契約を解除できる
相手にとって不利な時期に委任を解除した場合、解除した側は損害賠償請求をされる可能性がある

 

つまり、委任(準委任)契約の場合は、受注したフリーランス側からも業務委託契約を解除することが可能です。

なお、委任契約と準委任契約は、委託される行為が法律行為かそうでないかによって分類されています。

 

委任契約は法律行為の委託、準委任契約は法律行為ではない業務の委託ですから、フリーランスのWebエンジニアやWebデザイナーが「委任された」業務は、基本的にすべて準委任契約に該当します。

 

業務委託契約について詳しく知りたい方は下記記事をご一読ください↓

 

 

請負契約の場合

請負契約は、委託者(クライアント)が依頼した仕事について、受託者(フリーランス)が完成させることを目的とした契約です。

フリーランスの場合、例えば「計画書」「設計書」「プログラム」などの成果物の納品が、仕事の完成に該当します。

 

請負契約の特徴は以下の通りです。

契約不履行に当たるため、受託者(フリーランス)側からは契約を解除できない。
委託者(クライアント)側からは契約を解除できる
受託者(フリーランス)からの契約解除の申し出に対して委託者(クライアント)の了承があれば、契約を解除できる

 

請負契約の場合、成果物の完成が契約に含まれるため、原則として受注したフリーランス側から業務委託契約を解除することができません。

 

 

 

2.業務委託契約の解除はどんな時にするの?


業務委託契約関連画像
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業務委託契約の解除が行われるケースについて、それぞれ解説します。

 

契約期間が満了した時

委任(準委任)契約には契約期間が定められているため、契約期間の満了に伴い契約は解除となります。

クライアントとの交渉の手間や今後の取引を考えるのであれば、業務委託契約の途中解除はなるべく避けたほうが無難です。

 

何らかの不満やトラブルによって業務委託契約を解除したい場合でも、期日が近ければ、我慢して契約満了を迎えたほうがリスクは少ないといえます。

契約期間の満了まで待てない場合は、その旨を理由を添えてクライアントに伝えた上で、満期を早めてもらえないか交渉すると良いでしょう。

 

ただし、企業(クライアント)側が困るようなタイミングでの解除の申し出は、フリーランス側の損害賠償責任に繋がる可能性があるため、注意が必要です。

 

 

解約の合意に至った時

委託者(クライアント)と受託者(フリーランス)双方が解約の合意に至った場合、解約合意書の締結によって業務委託契約の解除を行うのが一般的です。

解約合意書には、次のような事項が記載されている必要があります。

1.合意解約:委託者(クライアント)と受託者(フリーランス)双方合意した旨と、合意に至った日付を記載する。
2.権利の帰属:受託者(フリーランス)が業務委託契約の期間中に制作した成果物に関する権利(著作権、商標権、所有権など)が誰に帰属するか。基本的には委託者(クライアント)に帰属する。
3.支払:委託者(クライアント)が受託者(フリーランス)に支払うべき業務委託契約の報酬金額や支払方法、支払日、支払条件について記載する。
4.清算条項:業務委託契約の原契約について、債権債務が存在しないことについて双方合意した旨を記載する。

 

上記の記載事項の中では、特に4が重要です。

4の文言は、委託者(クライアント)と受託者(フリーランス)双方が、解約合意書の締結後に損害賠償などの責任を一切追わないことを明言しています。

 

業務委託契約の解除後に予期せぬ請求を受けないよう、解約合意書はフリーランス自身で作るとよいでしょう。

クライアントが作成したひな形を使用する場合は、債権債務に関する記載があるか、必ず確認してください

 

 

契約違反があった時

請負契約においては、原則として受託者(フリーランス)側から業務委託契約を解除することはできないと定められています。

しかし、委託者(クライアント)側に契約違反があった場合は、この限りではありません。

 

委託者(クライアント)側の契約違反については、以下のようなケースが考えられます。

委託者(クライアント)が支払期日を過ぎたにも関わらず、契約上の報酬を支払わない
委託者(クライアント)自身による受託者(フリーランス)への業務妨害
委託者(クライアント)が業務に必要な資料などを受託者(フリーランス)へ提供しない

 

ただし、受託者(フリーランス)側から途中解除を求める前に、委託者(クライアント)に対して契約履行の催促をする必要があります。

例えば上記にある報酬が支払われないケースでは、支払期日を再度指定した上で、支払いを求める書面を提出します。

 

それでも報酬を支払ってもらえない場合は、改めて業務委託契約の解除の手続きを行いましょう。

 

 

 

3.損害賠償義務を負うこともある


業務委託契約関連画像
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業務委託契約の解除を行うにあたり、最も重要な点は損害賠償義務の可能性です。

特に、請負契約で業務を受注しているフリーランスは注意する必要があります。

 

請負契約において、依頼された成果物を納品できないのは契約違反です。

契約違反によって委託者(クライアント)が被る損害は、受託者(フリーランス)の責任ですから、損害賠償請義務が発生します。

 

また、受託者(フリーランス)側から自由に解除できる委任(準委任)契約についても、解除の状況によっては損害賠償義務を負う可能性があります。

相手方に不利な時期に委任を解除したときには、解除をした側が損害賠償の責任を王と民法第651条に定められているためです。

 

「委任(準委任)契約だから問題ない」と、一方的に業務委託契約の解除を行うのは大きなリスクを伴います。

解除を申し出る際は、事前に委託者(クライアント)との話し合いの場面を持つことをおすすめします。

 

 

 

4.業務委託契約を解除する前に確認すること


業務委託契約関連画像
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業務委託契約の解除には、それなりのリスクが伴うことをご理解いただけたのではないでしょうか。

ここからは、実際に業務委託契約の解除することになった場合、事前に確認すべきポイントについて解説します。

 

契約形態を確認しよう

解除したい業務委託契約の契約形態について、委任(準委任)契約か請負契約かを知るする必要があります。

契約書に委任(準委任)契約や請負契約の文言がない場合は、契約書の内容がどちらに該当しているかで判断を行います。

 

判断の基準は、契約の目的の違いや責任、成果物の有無などです。

  委任(準委任)契約 請負契約
目的 行為の遂行 仕事の完成
責任 善管注意義務 瑕疵担保責任
成果物 原則なし あり

 

それぞれの業務委託契約において求められる責任は、それぞれ以下の通りです。

 

善管注意義務:善良な管理者の注意義務の略。受託者(フリーランス)の職業や専門性を鑑みて、常識的に期待される注意義務のこと。

成果が無いにもかかわらず委託者(クライアント)側に対価が発生し、損失を被ることを防ぐために課せられる。

 

瑕疵担保責任:不備なく仕事を完成させなければならない義務。成果物の納品を持って完遂となる請負契約において、受託者(フリーランス)側に発生する。

なお、契約書を確認する際は、併せて「解除条項」の記載がないか確認しておきましょう。

 

原則として、解除条項に定められた期間や記載に沿って、業務委託契約の解除手続きを進める必要があります。

 

業務委託契約について詳しく知りたい方は下記記事をご一読ください↓

 

 

報酬が支払われるか

業務委託契約を解除した場合の報酬は、委任(準委任)契約か請負契約で異なります。

委任(準委任)契約の場合、契約解除前までに履行した業務について、受任者(フリーランス)は報酬を請求することが可能です。

 

一方、請負契約の場合、完成しなかった仕事に対して、受託者(フリーランス)は報酬を受け取ることができません。

請負契約の場合、委任(準委任)契約とは異なり、仕事のプロセスに対して報酬が発生しないことを覚えておきましょう。

 

仕事の完成前に報酬を獲得したい場合、前払いの特約を結ぶことが必要です。

 

 

クライアントとの信頼関係

そもそも業務委託契約とは、委託者(クライアント)と受託者(フリーランス)双方の、信頼の上で成り立つ契約です。

クライアントとの健全な関係性を保つのであれば、業務委託契約の解除を検討する前に、話し合いの場を設けることが重要です。

 

その上で、契約内容に不満があれば一部を変更する、次回の契約からは条件を追記する等、双方が納得できる折衷案を模索するべきといえます。

法律に頼った一方的な業務委託契約の解除は、あくまで最終手段であることを念頭に置き、まずは平和的な解決を目指しましょう。

 

 

 

5.まとめ 


業務委託契約の解除について、進め方やノウハウについて解説しました。

フリーランスとしての働き方を選択する上で、業務委託契約の締結は必要不可欠です。

 

詳細を把握しないまま安易に契約を結ぶのは、後々の深刻なトラブルに繋がりかねません。

業務委託契約の解除について見識を深めつつ、業務委託契約の締結時に契約内容をしっかりと確認することを心がけましょう

 

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