公開日:2022.06.23
更新日:2025.03.24
社員の習熟度別に課題を提示を提示し、レベル別教育を行うアダプティブラーニング。学校教育の現場でよく使われるこの教育法は、社員教育の現場でも役立てられるようになってきています。
ただ、多くの企業がアダプティブラーニングのサービスを開発しており、サービス内容も企業によって大きく異なります。
そのため、アダプティブラーニングは業務内容や企業規模など条件に合わせて、適切なサービスを選ぶことが大切です。
ここでは、アダプティブラーニングの特徴やメリット・デメリット、おすすめのサービスや導入事例について解説します。
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<目次>
1.アダプティブラーニングとは?
アダプティブラーニングとe-ラーニングの違い
2.アダプティブラーニングの広がり
3 アダプティブラーニングのメリット
4.アダプティブラーニングのデメリット
5 アダプティブラーニングの導入事例
6.アダプティブラーニングの主なサービス
Cerego(セレゴ)
CoreLearn(コアラーン)
Classi(クラッシー)
7.まとめ
アダプティブラーニングのアダプティブ(Adaptive)とは、「適応できる」という意味です。
つまりアダプティブラーニングとは、一人ひとりの習熟度や得意・苦手、興味に合わせた学習プラン・コンテンツを提供する仕組みやシステム、サービスのことを言います。
ITツールを用いた教育が広まる前では、習熟度別のクラス分けなどが行われてきました。
しかし、教育に携われる人員が限られていることから、一人ひとりへのフォローが十分にできないことが課題でした。
そこで教育ビッグデータを活用した現代のアダプティブラーニングを活用することで、人員不足によりフォローしきれなかった部分をカバーできるようになっています。
現代では教師不足などにより、文部科学省もITツールを用いたアダプティブラーニングを推奨しています。
このアダプティブラーニングは学校教育だけでなく、社員教育の現場にも応用できるのではないかとして、社員教育システムに取り入れる企業が増えています。
アダプティブラーニングと混同されやすいのが、e-ラーニングです。
e-ラーニングとは、コンピュータを用いた教育のことを言います。
先ほど解説したように、アダプティブラーニングは、一人ひとりに合わせてカスタマイズされた教育システムのこと。
e-ラーニングには、学習管理システムなど様々なものがあり、そのうちの一つにアダプティブラーニングが当てはまります。
e-ラーニングのメリットは以下の通り。
・自分の好きなペースで学習できる
・学習フィードバックがすぐにできる
・わからないことは繰り返し学習できる
・過去の学習データを蓄積して一人ひとりに合わせたカリキュラムを提案できる
・企業目線では社員一人ひとりの進捗状況を把握できる
従来の習熟度別学習では、レベルに合わせてクラス分けがされているとは言え、人手が足りないせいで遅れている人もしくは学習が進んでいる人にペースを合わせざるを得ませんでした。
教師側も一人ひとりの苦手を把握しきれず、苦手分野を放置したまま次のステップに進まなければいけない状況でした。
そこでe-ラーニングを取り入れて、一人ひとりのレベルに合わせた教育を実施することで、これらのデメリットの解決に成功しています。
アダプティブラーニングの広がりには、e-ラーニングの歴史が大きく関係しています。
e-ラーニングそのものは1950年代から存在していました。
当時のe-ラーニングシステムは、与えられたCD-ROMなどに入っている教材を学習マニュアルに沿って行うものでした。
しかし、このシステムは決められた順序でしか学習できないために特に優秀な人にとっては退屈なものでした。そのため、e-ラーニングシステムの開発も停滞していました。
そこからWindowsが普及し、フラッシュメモリなど大規模容量補助記憶媒体が広まります。
現代のe-ラーニングのように、データベースに情報を蓄積し、個人の学習状況に合わせてカスタマイズができるようになったのは1980年代のことです。
1990年代にはインターネットが普及し、講師と生徒双方のコミュニケーションが可能となったことで、現代におけるアダプティブラーニングの基礎ができあがりました。
そして、Windows95が登場し、日本でも1990年代後半〜2000年代頃からインターネットが家庭に定着し、アダプティブラーニングが一般社会にも広まります。
現代の日本ではIT技術を活用した社会であるSociety 5.0の実現のための施策の1つとして「GIGAスクール構想」があり、教育の現場でのIT技術の活用が提唱されています。
GIGAスクール構想の目的の1つが「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学習を提供する」です。
教育の現場では教師不足が深刻となっており、子供一人ひとりの学習に対するフォローがおろそかになっています。
そこでIT技術を教育に取り入れることで、効率よく子供一人ひとりの学習状況を把握し、子供自身がストレスなく自分のレベルに合わせてできる学習環境を実現しようとしています。
一人ひとりへのフォローがおろそかになってしまうのは、学校だけでなく企業においても同様です。
そこで社員教育にもアダプティブラーニングを応用する企業が増えており、文部科学省もアダプティブラーニングに関する企業への情報提供を積極的に行っています。
アダプティブラーニングのメリットは、まず社員目線だと社員が自分の得意・不得意を客観的に把握し、得意を伸ばして苦手を潰せる点、周りから遅れを取らない点が挙げられます。
アダプティブラーニングでは、一人ひとりが自分のペースで学習を行い、小テストなどで知識の定着度合いを確認します。
これらのデータの蓄積を行うことで、社員一人ひとりの得意不得意に合わせたコンテンツの提供を実現しています。
そのため、自分の得意不得意を客観的に把握し、キャリアに活かせます。
また、従来の対面の社員教育ではわからないことがあっても質問できずに取り残されてしまう人が少なくありませんでした。
アダプティブラーニングなら個人の知識の定着状況に合わせて学習を行うので、誰一人取り残さずにカリキュラムをこなせます。
企業目線におけるアダプティブラーニングのメリットには、人事担当者や教育担当者が一人ひとりの得意不得意を把握できることや、教育担当者の負担を軽減できる点が挙げられます。
普段の仕事ぶりだけで社員の適性を判断するのは難しいです。
そこでアダプティブラーニングを用いて学習状況を把握することで、一人ひとりの得意不得意を把握し、適切な人員配置ができるようになります。
また、社員教育は一般の社員が仕事の合間を割いて行うのが一般的です。
そのため、社員教育のカリキュラム作成や講義の準備に時間を取られてしまい、本来の業務に集中できないデメリットもあります。
そこでアダプティブラーニングを用いることで講師が教育を受ける社員の学習管理に割く時間を減らし、学習者とのコミュニケーションや本来の業務に割ける時間を増やせます。
アダプティブラーニングは導入における課題も多いです。
まずアダプティブラーニングの導入にはコストがかかります。
アダプティブラーニングにはインターネット環境や学習に必要なデバイスの準備、サービスの契約料などの費用が必要です。特にIT機器を1から購入しなければいけない企業は膨大な費用を用意しなければいけません。
また、アダプティブラーニングは完璧ではありません。AIが用意したカリキュラムが必ずしも一人ひとりに適しているとは限らず、少しでも企業で取り扱う業務に適したサービスを選ぶ必要があります。
そして、アダプティブラーニングはコミュニケーション能力などソーシャルスキル分野の教育に不向きです。
ソーシャルスキルは実際に人とコミュニケーションを取らないと伸びない分野なので、社員教育はアダプティブラーニングだけでなく対面での教育と組み合わせて行う必要があります。
それでは、実際にアダプティブラーニングで成果が出た企業の例を紹介します。
まず紹介するのが埼玉縣信用金庫の例です。埼玉縣信用金庫ではCoreLearnの財務コースを導入し、1年に1回、5月〜7月の中から好きなタイミングでの受講を可能としました。
この際、社員からは「自分が関わらない業務に関する知識を身に着けたり、普段使わない知識を再度確認したりするのに役立った」という声が見受けられました。
また、すぐに課題を終わらせる人もいれば時間がかかる人もおり、人事評価担当者などからは個人の性格の把握にも役立ったという声もありました。
長崎南山中学校・高等学校では学校向けプラットフォームClassiを導入しています。
こちらでは生徒の学習記録の管理をClassiにて行っており、日報などと違って他の人に見られない安心感から生徒の本音が聞ける、テストの回答をClassiで行うことで採点の時間を減らすなどの効果が出ています。
このような結果から、教師・生徒間のコミュニケーションが密になり、学校生活では見えない生徒の得意・苦手分野が可視化され、より弱点に合わせた学習指導がしやすくなったとの声もありました。
アダプティブラーニングサービスは多種多様です。様々な企業が用意しているものの中から企業に適したものを選ぶことが大切でしょう。
それでは、アダプティブラーニングの主なサービスを紹介します。
Ceregoはアメリカ発のアダプティブラーニングサービスです。多言語に対応しており、もちろん日本語でも利用できます。
コンテンツの幅は多岐にわたり、基本的にはどんな分野でもコンテンツを作成可能なのがCeregoの強みです。
AIの精度もアダプティブラーニングサービスの中で特に高く、学習状況から弱点を把握し、適切なコンテンツを提供してくれます。
Ceregoは日本だとJR西日本の運輸関連指令員の教育に導入されています。
CoreLearnは凸版印刷が提供するアダプティブラーニングサービスです。
自社でカリキュラムを用意できるオリジナルコンテンツと、主に金融系に特化したプリセットコンテンツが用意されており、特に銀行などの金融機関が採用しています。
CoreLearnでは学習に焦点を置いているのが特徴です。
共通問題の正解不正解から不得意分野を洗い出し、オリジナル問題集を作成して、反復学習を行うことで知識の定着を目指せます。
Classiは主に教育の現場向けのアダプティブラーニングです。
代表的な機能は以下の通り。
・学習管理
・欠席連絡
・校内会議の内容確認
・動画・問題コンテンツの配信
・テストの採点
・生徒同士のコミュニケーション
教育におけるアダプティブラーニングに必要な機能を一通り揃えており、Classiは2020年10月の段階で3,000校以上の学校が導入しています。
教師の業務負担の軽減や教師・生徒・保護者のコミュニケーションの活性化、アダプティブラーニングを用いた学習状況の可視化、学習状況に応じた適切な学習法の提案などが期待できるでしょう。
IT技術が進歩した現代の社員教育では、一人ひとりのレベルに合わせたアダプティブラーニングが基本です。
社員教育は業務に圧迫されてどうしてもおろそかになってしまいがち。アダプティブラーニングを導入すれば、一人ひとりが空き時間を活用して、自分に合った学習に取り組めるでしょう。
ただ、アダプティブラーニングサービスの機能は企業によって異なります。導入の目的や業種、社員に求めるレベルなどに合わせてサービスを選んでください。
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