公開日:2022.11.19
更新日:2025.03.24
社会人からフリーランスエンジニアとして働き方を変える際には、契約における注意点を把握しておく必要があります。
特に「秘密保持契約」は、正確に内容を理解しておかなければ、賠償請求など大きな問題を引き起こすリスクがあります。
フリーランスは会社に雇われている社員と違い、自分の身は自分で守らなければなりません。
秘密保持契約についての理解は、フリーランスとして活動していく際のポイントになるでしょう。
本記事では、秘密保持契約の概要と、フリーランスエンジニアが注意すべきポイントについて解説します。
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<目次>
1.秘密保持契約とは?
秘密保持契約の目的
秘密保持契約の種類について
秘密保持契約を結ぶタイミングとは?
秘密保持契約は必ず締結しなければならない?
2.秘密保持契約の内容や適用範囲とは
3.秘密保持契約を結ぶ際のチェックポイント
秘密保持契約の対象および範囲を明確になっているか
秘密保持契約が適用される期間はいつまでか
4.フリーランスエンジニアが秘密保持契約の契約後に注意すべきこと
秘密情報を口外しない
実績の公開が秘密保持契約違反に当たらないことを確認する
秘密保持契約書はきちんと保管する
5.秘密保持契約に違反した場合のリスク
契約が途中で解除される恐れがある
賠償請求が行われる可能性がある
6.まとめ
秘密保持契約とは、エンジニアの業務時に使用する企業のデータや顧客情報などについて定めたものです。
英語では「Non-disclosure agreement」となり、「NDA」と略して称されることもあります。
秘密情報の取り扱い方法や秘密保持義務の確認、開示した秘密情報の利用目的などを記載するのが一般的な秘密保持契約です。
契約書には「守秘義務契約」などの種類もありますが、フリーランスが取引をする際には基本的に秘密保持契約が結ばれます。
秘密保持契約は守秘義務契約と違い、フリーランスエンジニアと企業が独自に設定した契約となり、法律によって定められるものではありません。
そのためフリーランスは秘密保持契約の内容をしっかりと確認した上で、契約を結ぶ必要があるでしょう。
秘密保持契約には、以下のような目的があります。
・会社の情報を他社に漏洩することを防ぐため
・提供した情報を許可された方法、範囲外で使用することを禁じるため
・秘密情報の破棄や返還を求めるため
・秘密情報の漏洩時の補償について決めておくため など
企業側が上記のようなルールを、事前にフリーランスエンジニアと共有することが目的になります。
実際に秘密保持契約に記載されている内容をチェックし、禁止行為や秘密情報の扱い方を正確に把握しておく必要があります。
秘密保持契約には、「片務契約」「双務契約」という2つの種類があります。
片務契約とは、秘密保持契約を結ぶ当事者の片方にだけ責務を負わせる契約方法です。
特にフリーランスエンジニアのように個人で活動している場合、片務契約によって負担を押し付けられるケースがあります。
理不尽な契約バランスとなることが多く、なるべく避けるべき秘密保持契約となります。
双務契約とは、企業側とフリーランスエンジニア側の両方が秘密保持契約における条件を守る契約方法です。
双方が契約において情報を開示することになるため、対等な関係で契約を結びやすいです。
秘密保持契約は、一般的に「契約を締結する前」「秘密情報を提供する前」に締結します。
紙の書面や電子データに記録された秘密保持契約が企業側から提供され、その内容をフリーランスエンジニアが確認した上で、双方の合意を持って契約の締結至ります。
郵送によって秘密保持契約が郵送された場合には、記名や押印をして返送する必要があります。
電子契約の場合には、電子著名など法的な効果を持つ方法で合意の意思を示します。
秘密保持契約は双方の合意の下で結ばれるため、フリーランスエンジニアに締結の義務はありません。
秘密保持契約の内容に不自然な点があったり、報酬や業務範囲に納得いかない場合には、再交渉して内容を変更することも可能です。
「契約のチャンスを逃すのではないか」と不安になり、納得のいかない秘密保持契約にサインしてしまうフリーランスエンジニアの事例は多いです。
しかし、1度結んだ秘密保持契約は基本的に破棄できないため、その後もずっと納得のいかない条件で働かなければなりません。
それは仕事のストレスを増大させ、金銭的な不利益を被る可能性も懸念されます。
秘密保持契約の締結は強制ではないため、よく考えた上で契約するか判断しましょう。
秘密保持契約の内容や適用範囲は、企業やプロジェクトによって変わります。
そのため秘密保持契約を結ぶたびに詳細をきちんと確認し、問題となる点がないかチェックする必要があるでしょう。
過去に結んだ秘密保持契約の内容・適用範囲が一致することは稀であるため、契約ごとに契約書を隅々まで確認するのが重要です。
フリーランスエンジニアが秘密保持契約を結ぶ際には、いくつかチェックすべきポイントがあります。
以下を参考に、秘密保持契約が契約前にチェックすべきポイントを把握しておきましょう。
秘密保持契約を結ぶ際には、その対象と適用範囲が明確になっているか確認します。
具体的にどの部分までが秘密情報に含まれるのか、どこから範囲外となるのか把握しておくことで、適切に情報を活用してエンジニア業務に臨めます。
仮に秘密保持契約の定義が曖昧だったり、企業側とフリーランスエンジニア側とで認識がずれていたりすると、無意識のうちに違反行為をしてしまうリスクがあります。
また、口頭で秘密情報についての説明を受けている場合も、必ず秘密保持契約書の内容は確認しましょう。
企業の担当者が勘違いしていたり、重要な項目を伝え忘れていたりといった可能性も考えられるため、リスクを排除するためにも秘密保持契約の対象と範囲を明確にした上で契約を進めるのがポイントです。
秘密保持契約には、「存続期間」が記載されています。
存続期間とは、契約期間終了後も一部の内容を有効とする期間を意味します。
例えば契約期間が1年で、存続期間が3年の場合、3年間は秘密保持契約で定めた内容を守る必要があるのです。
フリーランスエンジニアの場合、「契約終了後に開発したプログラムに問題が発生した場合、無償で対応を行う」などの内容が盛り込まれるケースがあります。
存続期間が長いほど、業務の責任を負う期間が長期化します。
「他社で業務内容を開示してはならない」などの内容が取り入れられている場合、新規の求人・案件を探す際に実績としてアピールできないなどのデメリットにつながるでしょう。
存続期間があまりに長い場合には、秘密保持契約の締結を考え直すことも必要です。
フリーランスエンジニアが秘密保持契約を結んだ後には、いくつか注意すべきことがあります。
トラブルに発展しないように、以下の注意点を確認しておきましょう。
秘密保持契約後に提供された情報は、軽々しく口外しないのが鉄則です。
家族や友人に「〇〇の仕事をしているんだ」と話したことで、秘密情報が流出して問題になるケースは珍しくありません。
「少しなら大丈夫」という油断は、フリーランスとしての信頼を損ねる結果になるため、秘密保持契約の締結後は案件に関する情報を口にしないように注意ましょう。
また、秘密保持契約では情報の複製が禁止されることも多いです。
秘密情報が記載されているファイルをコピーした、メールで添付したといった行為も、違反となる可能性があります。
秘密保持契約の締結後に提供される情報は、細心の注意をはらって扱うのが基本です。
フリーランスとして活動する際には、自身の能力を証明するために過去の実績を公開することが多いです。
しかし、秘密保持契約の内容次第では、実績として公表することが違反になるケースがあるのです。
過去に使用したノウハウや技術を実績として公開することは、企業にとって情報漏洩に近い行為となる可能性があります。
フリーランスの実績として公開する予定があるのなら、事前に企業側に公開しても良い範囲や内容を確認しておくのがポイントです。
企業から提示された秘密保持契約書は、必ず保管しておきましょう。
後からトラブルが起きた際に、秘密保持契約書がないとその詳細を確認できません。
業務中に契約内容を再確認する必要があるケースも考えられるため、基本的に秘密保持契約書はきちんと保管するのが鉄則です。
郵送で受け取った紙媒体の秘密保持契約書は、そのまま紙として保存しつつ、スキャナーで電子データに変換するのがおすすめです。
また、秘密保持契約書は7年程度の保管が一般的です。
フリーランスエンジニアが秘密保持契約に違反した場合、さまざまなリスクを負うことになります。
例えば、違反時には以下のリスクが考えられます。
万が一フリーランスエンジニア側が秘密保持契約の内容に違反した場合、その場で即刻契約の途中解除が決まる可能性があります。
収入源が絶たれることになるため、生活に支障が出るリスクがあるのです。
一方で秘密保持契約を解除してしまうとその時点で情報の守秘義務などがなくなるため、任せている業務をストップさせた上で、違反内容を調査する企業も多いです。
いずれにせよ仕事がなくなることになるため、フリーランスエンジニアにとって秘密保持契約違反には大きなリスクがあります。
秘密保持契約の内容次第では、違反行為に対して賠償請求が行われることもあります。
あらかじめ秘密情報の漏洩などの違反に関する条項が設けられている場合、その内容に沿った処罰を受けなければなりません。
一般的には違反行為によって企業が被った損失を、フリーランスエンジニアが補填する形になります。
損害額によっては数百万〜数千万という規模にもなり得るため、秘密保持契約におけるリスクの重さは正しく理解する必要があります。
フリーランスエンジニアとして求人・案件を募集している企業と契約する際には、秘密保持契約の締結を求められるケースが多いです。
秘密保持契約は決してフリーランスエンジニアに不利となる内容ばかりではありませんが、きちんと詳細を把握しておかないと後から業務内容やその後の求人・案件探しに支障が出る可能性があります。
上記で紹介した秘密保持契約の基本を確認し、トラブルが起きないように注意して締結するようにしましょう。
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