インボイス制度対応の適格請求書の記載内容・例

フリーランス常識税金

2023.01.27

2023年10月1日より複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方法として、インボイス制度が導入されます。
インボイス制度の導入は、免税事業者と課税事業者の両方に影響を与えると想定されています。

そこでこの記事では、インボイス(適格請求書)の書き方とインボイス制度の影響について解説します。
なお本記事で紹介するインボイスは適格請求書のことであり、EMSなどの国際郵便で輸出者が税関向けに用意する書類とは異なりますので、ご注意ください。

<目次>
1.インボイス制度に対応した適格請求書記載内容・例
記載例
2.インボイス制度の概要
インボイス制度とは?
仕入税額控除とは?
3.インボイス記入時の注意点
電子インボイスの使用には特別なシステムが必要
複数の文章での処理
「税率ごとに区分した消費税額等」の端数処理
4.インボイス制度の影響
免税事業者への影響
課税事業者(原則課税方式)への影響
簡易課税制度を利用している課税事業者への影響
5.売り手側がインボイスを発行する際の注意事項
適格請求書発行事業者へ登録が必要
6.適格請求書発行事業者に登録する申請書の書き方
郵送
e-Tax
7.買い手側のインボイスの取り扱い
8.まとめ

 

 

 

1.インボイス制度に対応した適格請求書記載内容・例


インボイス制度とは関連画像
インボイス制度とは関連画像

記載例

インボイス制度とは関連画像
インボイス制度とは関連画像

(出典:国税庁)

 

記載内容

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 
②取引年月日 
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

 

 

2.インボイス制度の概要


インボイス制度とは関連画像
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そもそもインボイス制度とはどういったものなのかをこの章でおさらいしましょう。

 

インボイス制度とは?

インボイス制度は複数の税率に対応した消費税の仕入税額控除に関する制度です。

このインボイス制度は商品・サービスの売り手と買い手の両方に適用され、売り手はインボイス(適格請求書)を発行しコピーを保持する必要があり、買い手はインボイスを保存する必要があります。

 

2023年10月1日よりインボイス制度が開始し、適格請求書発行事業者のみがインボイスを発行できます。

あなたが適格請求書発行事業者である必要があるかどうかは、あなたとあなたの取引先が課税事業者であるか免税事業者であるかによって決まります。

 

 

仕入税額控除とは?

事業者が納税すべき消費税は、売上にかかる消費税(売上税額)と仕入れにかかる消費税(仕入税額)の差額であり、この仕組みを「仕入税額控除」といいます。

納付すべき消費税を計算式で表すと以下のようになります。

 

「売上に対して買い手から受け取った消費税-仕入れや経費に対して支払った消費税」

 

この仕入税額控除によって同一商品に対する消費税の重複納付を防ぐことができます。

 

 

 

3.インボイス記入時の注意点


インボイス請求書例関連画像
インボイス請求書例関連画像

この章ではインボイス記入時の注意点を説明します。

 

電子インボイスの使用には専用のシステムが必要

インボイスはチャット・電子メール送信・EDI取引(オンラインシステムを利用した受発注)など、電子的に提出することも可能です。

この場合の記載事項は書面によるインボイスと同じです。

 

電子インボイスの利用には専用のシステムが必要です。とはいえただ費用がかさんで終わりではなく、請求書発行などの業務がスムーズになり、業務効率化につながると想定されます。

また電子インボイスを受け取る事業者は、電子帳簿保存法に従ってインボイスを保管する必要があります。

 

 

複数の文章での処理

インボイスには特定の記載項目を含める必要があります。

ただし、1つの書類にすべての項目が記載されていなくても問題ありません。

 

請求書または納品書が複数ある場合、複数の書類で記載事項を満たしていれば、1通のインボイスとして認められます。

複数の書類間の関係を全体として明確化しておく必要があります。

 

 

「税率ごとに区分した消費税額等」の端数処理

インボイス制度では税率ごとに区分した適用税率または消費税額等の記載が必要です。

このうち「税率ごとに区分した消費税額等」は、インボイスごとに1回づつ、そして、税率ごとに端数処理を行います。

 

言い換えると、10%または8%を乗じた金額に対して、それぞれ1回づつ端数処理を行い、消費税額等を計算する必要があります。

インボイスに記載された個別の項目ごとに消費税額等の金額を計算し、それをその度に端数処理した上でその合計金額を「税率ごとに区分した消費税額等」として記載することはできません。

 

 

 

4.インボイス制度の影響


インボイス請求書例関連画像
インボイス請求書例関連画像

インボイス制度が導入されると免税事業者との取引について控除を適用できなくなります。

免税事業者である売り手がインボイスを提供できないため、課税事業者である買い手が消費税を負担することになります。

 

免税事業者への影響

免税事業者は課税事業者にならなければ、既存の取引が終了したり、現在の売上が10%減少することもありえます。

売上高の金額などにもよりますが、免税事業者は課税事業者になった方が得策であるケースがあります。

 

なお年間売上高5,000万円以下の事業者は、所定の用紙を税務署に提出することにより、簡易課税制度の課税事業者となることができます。

簡易課税制度を選択した場合、みなし仕入率が適用されるため、原則課税方式よりも小さい負担で課税事業者になることができます。

 

現在、国税庁は課税事業者になるための経過措置を設けています。

そのため、期限までに簡易課税制度に切り替えるかどうかを検討することができます。

 

課税事業者になるかどうかを検討している免税事業者はインボイス発行事業者の登録のみを行い、必要に応じて「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すればよいことになっています。

ただし、簡易課税制度を選択した場合は、2年間継続して適用した後でなければ解除できません。

 

インボイス制度導入後6年間は免税事業者への影響を配慮する経過措置が設けられています。

インボイス制度導入後3年以内は消費税相当額の80%、その後3年以内は50%を仕入税額控除できます。

 

 

課税事業者(原則課税方式)への影響

インボイス制度の導入により、最も影響を受けるのは原則課税方式を採用している企業であると予想されます。

これまでの取引先で免税事業者のところが課税事業者にならなければ、仕入税額控除が適用されなくなるからです。

 

場合によっては、課税事業者との取引に移行が必要かもしれません。

また課税事業者との取引を円滑に行うために、必要なシステムの準備も必要です。

 

インボイスが電子的に配信される場合は、専用のシステムが必要になるからです。

 

 

簡易課税制度を利用している課税事業者への影響

簡易課税制度を利用している課税事業者は、実質的に影響を受けないでしょう。

取引先へのインボイスの提供は問題なくできる上、免税事業者との取引でもインボイスの交付を求める必要がないためです。みなし仕入率が適用できるからです。

 

 

 

 

5.売り手側がインボイスを発行する際の注意事項


インボイス請求書例関連画像
インボイス請求書例関連画像

この章ではインボイスについて売り手側が注意すべき主なポイントを解説します。

 

適格請求書発行事業者へ登録が必要

インボイスは「適格請求書発行事業者」でなければ発行できません。

適格請求書発行事業者になるには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出し、審査を受ける必要があります。

 

税務当局による審査の後、「登録通知書」が発行されます。

適格請求書発行事業者になると、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で、登録番号・事業者名・登録年月日を確認できます。

 

ただし、適格請求書発行事業者としての登録は、消費税の課税事業者に限られます。

適格請求書発行事業者になるのに法人・個人事業主など業種は問われませんが、免税事業者は登録できません。

 

免税事業者が適格請求事業者となるためには、別途、課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者に変更する必要があります。

なお、インボイス制度導入後6年間(2029年9月30日まで)は、経過措置が設けられており、免税事業者がこの経過措置期間中に適格請求書発行事業者の登録を申請する場合、課税事業者選択届出書の提出は必要ありません。

 

この場合、適格請求書発行事業者として登録された日から課税事業者となります。

 

 

 

6.適格請求書発行事業者に登録する申請書の書き方


インボイス請求書例関連画像
インボイス請求書例関連画像

適格請求書発行事業者としての登録は、インボイス登録センターへの郵送による登録申請と、e-Taxシステムによる申請書の提出の2つの方法で行うことができます。

 

郵送

郵送で提出する場合は、まず国税庁のホームページから登録申請書をダウンロードし、必要事項を記入してください。

登録申請書は2枚に分かれており、1枚目に記入する項目は、申請者の住所・納税地・代表者名・法人番号など、主に事業に関する情報です。

 

2枚目は、確認項目をチェックする書類です。

上段は免税事業者用で課税事業者は記入不要、下段の登録要件の確認は免税事業者・課税事業者にかかわらず、すべての事業者が記入する必要があります。

 

登録用紙に記入したら、管轄地域のインボイス登録センターへ送付してください。都道府県によって管轄が異なるため、送付前にご確認ください。

 

 

e-Tax

e-Taxでは、フォームへの回答することで申請することができます。

記入漏れを防ぐことができるほか、郵送で提出するよりもスピーディーに審査することができます。

 

また、e-Taxの申請には、電子証明書(マイナンバーカードなど)と利用者識別番号が必要ですので、事前に準備しておきましょう。

 

 

 

7.買い手側のインボイスの取り扱い


インボイス請求書例関連画像
インボイス請求書例関連画像

インボイス制度導入後、買い手が仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、一定の事項が記載された帳簿及びインボイスなどの請求書の保存が必要となります。

したがって、インボイスまたは適格簡易請求書に該当する請求書・納品書・領収書などは、必ず保管しておかなければなりません。

 

保存期間は、課税期間の末日の翌々月から7年間で、電子メールやインターネット上の電子データなどの保存形式・方法も認められています。

 

 

 

 

8.まとめ


インボイスの発行方法とインボイス制度の影響について説明しました。

課税事業者になるかどうかを検討している免税事業者は、簡易課税制度を利用して課税事業者になることも視野に入れましょう。

 

売上高などによっては、免税事業者のままの方が良い場合もありますので、ご検討ください。

課税事業者であれば、将来の取引やシステムについても考えておきましょう。

 

特に、電子インボイスを利用する場合は、専用のシステムが必要になりますので、早めに準備を始めたいところです。

 

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