公開日:2023.02.07
更新日:2025.03.24
昨今、違法な雇用形態として取り沙汰されることも多い、「偽装請負」。
しかし、言葉は聞いたことあるけれど、自身が偽装請負に該当するのかわからない、そもそも雇用形態の違いもよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、現職で受託開発や自社開発・客先常駐の働き方をしているエンジニアの方や、エンジニアを今後検討している方に向けて、偽装請負の概要や契約形態の解説、偽装請負を確認するポイントについて解説します。
是非とも本記事を参考に、一度ご自身の契約形態について確認してみてください。
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<目次>
1.偽装請負とは
2.業務委託
請負契約
委任・準委任契約
3.労働者派遣
4.偽装請負のパターン
代表型
形式だけ責任者型
使用者不明型
一人請負型
5.偽装請負の判断ポイント
業務遂行に関する指示
労働時間や休暇に関する指示
秩序維持に関する指示
6.まとめ
それではまず、偽装請負について説明していきましょう。
偽装請負とは、書面上や形式的には請負(委託)契約とされていながら、実態は労働者派遣であることを指します。
請負企業が労働者に対して「雇用契約」を行うに留まり、「指揮命令」を発注主が行いながら勤務するケースなどに稀にみられる行為です。
偽装請負は、労働者派遣法及び職業安定法に抵触する違法行為となります。
昨今ではアウトソーシングやフリーランスとして他社と契約することも日常的になりましたが、故意に偽装請負をしないというのはもちろんのこと、知らないうちに偽装請負に該当してしまった、という状態も起こりうるでしょう。
アウトソーシングで発注を受けている方や、現職で受託開発、自社開発、客先常駐の働き方をしているエンジニアは、法に触れていないか確認しておくと安心でしょう。
偽装請負に該当するか否かは、当事者間に指揮命令関係がどう存在しているかによって判別されます。
契約内容のみならず、現状の実態についても総合的に考慮されるため、契約書類上に縛られず現場をしっかりと認知することが大切です。
それでは次に、業務委託の種類についてみていきます。
業務委託契約は、「請負契約」と「委任・準委任契約」で分けられなり、委託者が業務の一部を外部の企業や個人に委託する契約です。
今回解説する偽装請負とも非常に関連が深い項目となりますので、偽装請負を判断するためにも、以下の契約方法の内容を確認してみてください。
請負契約は、外部の個人や企業に「仕事の完成を目的として」業務を依頼する場合に結ぶ契約です。
受託者が仕事を完成させてはじめて、報酬が発生するのが請負契約となります。
フリーランスのフロントエンドエンジニアやアプリケーションエンジニア、Webデザイナーなど稼働している方の中には、既に請負契約で働いているという人も多いでしょう。
また、「委任・準委任契約」も業務委託の一部です。
委任契約は、法律行為を外部に委任することです。
弁護士に訴訟を依頼する、司法書士に会社設立手続きを依頼するといった例が該当します。
わかりやすい例えでお伝えすると、Aが「家に来る前にコンビニでお酒を買ってきて」とBに頼み、Bがそれを引き受ければ「当事者(A)が法律行為(売買契約)の遂行を相手方(B)に委託し、相手方が承諾している」ので委任契約が成立します。
準委任契約は、法律行為以外の仕事を委任することです。商品の完成がなく運用・保守がメインのインフラエンジニアや、コンサルティング業務などが該当します。
委任・準委任契約は、請負契約とは異なり仕事の完成を目的としていません。
弁護士への依頼や監視作業など、必ず結果が出るとは限らない仕事を外部に依頼する場合は、委任・準委任契約を締結します。
労働者派遣では、派遣元(派遣会社)が労働者と雇用契約を結び、また、派遣元が派遣先と派遣契約を締結します。
そのため、労働者が実際に業務を行うのは派遣先であり、指揮命令権や労務管理も派遣先が行うのが一般的です。
労働者派遣において、派遣先は労働基準法に沿って労働者を従事させなければいけません。
週40時間以上の労働は禁止であり、それを超える場合は残業代を支払わなければならず、事業の規模によっては雇用保険や社会保険の加入も必須となります。
これらは労働者の権利を守るために必須な規制ですが、企業の負担は決して小さいものではありません。
対して請負契約であれば、派遣先は指揮命令権を持たないため、労働者派遣法や労働基準法による規制を受けずに済みます。
そのため、事実上は労働者派遣であるにも関わらず、請負契約を結んで労働者を従事させる、偽装契約が横行される事態に陥ってしまっているのです。
続いて、偽装請負のパターンについてみていきましょう。
偽装請負は、以下の4パターンに分類されます。
「代表型」は請負契約をしているにも関わらず、依頼業者が労働時間や業務内容について指示を出してくるパターンを指します。
偽装請負の中でも、特に多いパターンです。
本来、請負契約において労働者は請負会社と雇用関係を結んでいるので、依頼会社が指揮命令を下す場合、請負とは認められません。
「形式だけ責任者型」は、請負業者が責任者を置いて労働者を集めるものの、実際は委託者の指示に基づいて仕事をしているというパターンです。
受託者側の労働者は、受託先の指揮命令下にあるということで一見問題なく見えますが、委託者側が事細かに業務内容を指示したり、管理したりしている場合は偽装請負に抵触する場合があります。
「使用者不明型」は、関係者を増やすことで、雇用関係や責任の所在を分かりづらくするというパターンです。
複数の業者を跨いで業務の指示が飛んでくるケースなどが、これに該当します。
例えば企業Aが企業Bに業務を依頼し、企業Bがまた企業Cに再委託、企業Cに勤める人が企業Aの指示の元業務を遂行する、といった具体例が考えられるでしょう。
「一人請負型」は、受託者が個人の労働者を斡旋することで、委託者と労働者個人が業務委託契約を締結するパターンです。
この時、受託者による指揮命令下の元で仕事をさせると、偽装請負となります。
雇用契約を結んでいない個人事業主として、請負契約を結んでいても依頼会社から指揮命令されるのは、法律に抵触する行為です。
なお、独立した個人事業主が一人で請負作業をすることは法律上問題ありません。
それでは最後に、偽装請負の判断ポイントについて確認していきましょう。
正式な契約において、業務遂行に関する指示やそのほか管理は、請負事業主が自ら行います。
つまり、労働者の配置や人事決定、作業スケジュールなど業務に関する指示は請負企業自身が行う工程です。
なお、依頼会社による日常的な会話や注文は指揮命令をしたとならないため法律違反になりませんが、直接の技術指導は偽装請負となってしまうことも覚えておきたいポイントとなります。
どうしても直接指導しなくてはいけない場合や、労働者の安全を守るための指導の際は、請負事業主の監督下において指導が成立します。
労働時間や休暇・休日に関する指示・管理は、請負企業が自ら行います。
始業や終業の時刻、労務時間などの管理は請負企業が行い、依頼会社は労働時間の延長や休日労働などを指示してはいけません。
依頼先による直接の労働時間・休暇に関する指示は、偽装請負となり違法行為です。
また、秩序を維持するための指示もまた、請負業者が自ら管理します。
例えば依頼会社と同じ服装をしたり、依頼会社が用意した身分証を使用したり、依頼会社が労働者を選定したりといった事例は、すべて請負業者の管理下で行います。
なお、服装や身分証について機密保持のため、といった合理的な理由である場合は、この限りではありません。
いかがでしたでしょうか。
今回は、現職で受託開発や自社開発・客先常駐の働き方をしているエンジニアの方や、エンジニアを今後検討している方に向けて、偽装請負の概要や契約形態の解説、偽装請負を確認するポイントについて解説しました。
是非とも本記事を参考に、一度ご自身の契約形態について確認してみてください。
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