公開日:2021.02.26
更新日:2025.03.24
フリーランスとなるか会社員となるかを検討するうえでは、賃金に関する問題が非常に大きな要素だと言えます。
会社員やパート・アルバイトの賃金においては「最低賃金」の考え方があることは一般的にも広く知られています。それでは、フリーランスが関わることが多い業務委託契約においては、最低賃金の保障はなされているのでしょうか。
この記事では、最低賃金の概要や業務委託において最低賃金が適用されるか否か、業務委託契約の詳細等について解説します。
特に、以下の方にこの記事をご一読していただきたいです。
・業務委託契約で最低賃金が適用されるのかを気にされている方
・そもそも最低賃金とは何かについて知りたい方
・業務委託契約の内容を詳しく知りたい方
・業務委託契約と雇用契約の違いを整理したい方
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<目次>
1.最低賃金とは
2.最低賃金の種類
3.最低賃金を下回って支払った場合どうなる?
4.業務委託契約では最低賃金は適用されない
業務委託契約で最低賃金が適用されない理由
業務委託契約における法的な保護は?
5.業務委託契約の詳細
委任契約
準委任契約
請負契約
6.業務委託契約と雇用契約との違い
雇用契約とは
雇用契約と業務委託契約の違い
業務委託契約でも労働者性が認められることも
7.まとめ
最低賃金とは、最低賃金法に基づいて国が定めた最低限度の賃金のことを言います。
使用者は労働者に対して最低賃金以上の賃金を支払わなければならず、たとえ労働者と使用者が合意の上だったとしても、法律によって無効となってしまいます。
また、もし最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合、最低賃金との差額を計算し支払う義務を負います。
最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と特定の産業に従事する労働者を対象とした「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
地域別最低賃金は、地域ごとに物価や労働者の賃金が異なることから設けられました。
一方の特定(産業別)最低賃金は関係する労働者と使用者の申し出に基づいて、最低賃金審議会が地域別最低賃金よりも金額水準を定める必要があると判断した特定産業に対し設けられます。
最低賃金を下回った場合、以下の罰金が雇用主に科せられます。
・地域別最低賃金以上を支払わない雇用主
最低賃金法に則り50万円以下の罰金
・特定(産業別)最低賃金以上を支払わない雇用主
労働基準法に則って30万円以下の罰金
業務委託契約においては、最低賃金は適用されません。
この章では、業務委託契約で最低賃金が適用されない理由や業務委託契約における法的な保護についてお伝えします。
業務委託契約では労働者は雇用されているわけではなく、あくまでも特定の業務の委託を受けているだけです。
そのため労働基準法や最低賃金法の対象外であり、最低賃金法の適用対象外になります。
その結果としてどれだけ低い報酬の仕事でも発注することができ、労働者側も請け負うことができます。
業務委託契約をしている場合は最低賃金法の適用ですが、請法の適用を受けます。
下請法では発注業務の内容や代金等を明示した書面の交付や、取引内容保存の義務を発注者側に課しています。
また、成果物が提出された60日以内には、発注側は報酬を支払わなくてはなりません。
この章では、業務委託契約の詳細を3つに整理して解説します。
業務委託契約には法的な定義はありませんが、一般的には「委任契約」「準委任契約」「請負契約」の3つを指して言うことが多いでしょう。
いずれも発注側から雇用されているわけではないため自立して業務を進められますが、労働基準法や最低賃金法の適用対象外になります。
委任契約とは、契約の当事者の内一方が特定の法律行為を相手方に委託し、相手方が承諾することで成立する契約です。
委任契約では受注者の仕事の完成ではなく業務の遂行自体に報酬が支払われます。
つまり契約内容に沿って業務を行いさえすれば対価が発生し、その結果成果が出たのか否かは問われない点が特徴的だと言えるでしょう。
ただし、そのために委任契約では受注者側に「善管注意義務」が課せられ、業務遂行に当たっては細心の注意の元で行わなければなりません。
例えば、弁護士が行う弁護人代行業務などは、委任業務だと言えます。
準委任契約とは、委任契約の中でも法律行為以外の事務業務を委託する契約のことを指します。
例えば、新人研修や各種セミナー、学習塾の講師やインストラクター等の契約は、準委任契約だと言えます。
準委任契約も委任契約の一種であり、成果ではなく業務の遂行自体に報酬が支払われます。実社会においては、委任契約よりも準委任契約の方が多いと言えるでしょう。
準委任契約には、履行割合型と成果完成型の2種類があります。
・履行割合型
入力業務など、事務処理の業務量と業務時間に対して報酬が支払われます。
・成果完成型
事務処理が最終目標まで完遂したことに対して報酬が支払われます。成果物の有無を問われているわけではなく、あくまでも業務の遂行に対して報酬を支払う契約です。
請負契約とは、受注された業務を完成させることを報酬支払の条件にした契約のことです。
報酬は業務の遂行ではなく成果物に支払われる点が、委任契約(準委任契約)との違いだと言えます。
請負契約では業務を実施することで一定の成果を出すことが必要であり、発注側が予測する成果を出せた時に、報酬の請求が可能になります。
例えば、ソフトウェア開発におけるシステムの構築やホームページ制作、清掃業務等は請負契約だと言えるでしょう。
請負契約では成果物を納品するうえでどんな形で何時間業務を行ったかは問われず、あくまでも成果物が期日までに不備なく納品されたか否かが問われます。
この章では、業務委託契約と雇用契約の違いについてお伝えします。
雇用契約とは、労働者が相手方に使用されて労務の提供を行い、使用者が提供された労務に対して賃金を与える契約のことです。
雇用契約の場合、労働者は以下のような法律による保護を受けられます。
・社会保険や労働保険への加入
・有給休暇の付与
・一方的な解雇の禁止
・最低賃金を下回らない賃金の受け取り
労働契約では契約成立において書面作成の義務はなく、非正規雇用においては雇用契約書が交付されないことも多くあります。
雇用契約と業務委託契約の違いの1つが、使用従属性の有無です。
雇用契約の場合、労働者は雇用主からの命令や指示をある程度守って業務を遂行する必要があります。
しかし、業務委託契約では使用従属性がなく、成果を挙げるまでの仕事の進め方や仕事時間には特段の決まりがありません。
また業務委託契約は雇用契約とは違い、労働基準法や最低賃金法の保護を受けられない点も、両者の違いの1つだと言えるでしょう。
業務委託契約では基本的に労働基準法による保護を受けられません。
しかし以下のような実態があった場合には労働者性が認められ、労働基準法等の保護対象になることもあります。
・勤務時間や場所に関する拘束がある
・報酬が時間単位で算出されている
・職務に対する命令や指示を受けている
・発注者側の監督者によって、仕事への評価や指導を受けている
最低賃金とは最低賃金法に基づいて国が定めた最低限度の賃金のことであり、雇用契約を結んでいる場合、最低賃金を下回る賃金の支払いは法律上無効になります。
しかし業務委託契約においては発注側と雇用関係に無いため最低賃金は適用されず、どんなに報酬が低い案件でも発注側と受注側が合意することで契約は成立します。
また、業務委託契約には委任契約や請負契約などの形態があり、それぞれ異なる性質を持っていることは覚えておきましょう。
雇用契約と業務委託契約の大きな違いは使用従属性の有無であり、それによって適用される法律が異なります。
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