フリーランスが確定申告の際に医療費控除を受けるには?

税金

2023.03.13

フリーランスの方の中には、どうすれば所得税を減らせるか興味を持っている方もいらっしゃるかと思います。
所得税から控除できる項目には、配偶者控除・保険に関する控除・医療費控除などがあります。

今回は医療費控除の制度の概要・範囲・計算方法などについてご紹介します。

<目次>
1.医療費控除の概要
1年間に一定額以上の医療費を支払った場合に利用可能
家族分の医療費も合算可能
医療費控除を利用するには確定申告が必要
2.控除される医療費とされない医療費
医療費控除を申請できるもの
医療費控除が受けられないもの
3.医療費控除の計算方法
4.確定申告で医療費控除を申請する際の流れ
医療費の通知書・領収書の収集
医療費控除の明細書の作成
確定申告書と一緒に医療費控除の申請書を提出する
5.セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制の適用条件
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品
6.医療費控除の注意点
控除を受けられるかどうか判断できない場合は税務署に問い合わせる
領収書を紛失しないように
7.まとめ

 

 

 

1.医療費控除の概要


フリーランス医療費控除関連画像
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医療費控除は所得税控除の一つであり、納税者それぞれの個人的な事情を考慮し税負担を調整するものです。

所得税の控除には医療費控除以外にも、基礎控除・生命保険料控除・扶養控除・社会保険料控除・ひとり親控除・寄付金控除など様々な種類があります。

 

医療費控除は確定申告の際に申請することで、所得税の負担を軽減することができます。

まずは、医療費控除の基本的なルールについて見ていきましょう。

 

1年間に一定額以上の医療費を支払った場合に利用可能

医療費控除は1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が10万円(総所得金額200万円未満の場合は総所得金額×5%)を超えた場合、超えた金額に応じて所得控除が受けられる制度です(最高200万円)。

ただし保険会社から受け取った保険金については、あらかじめ控除します。

 

 

家族分の医療費も合算可能

医療費控除では、同居している家族(配偶者・親族に限る。内縁の配偶者は除く)の医療費を合算して申告することができます。

同居の親族は、共働きであっても生活費(食費や光熱費)を共有していれば、生計を一にする親族とみなされます。

 

また同居を前提としているわけではないので、同居の有無は関係なく、「父親が単身赴任」「子供が大学生で別居(学費などは親が負担)」などのケースにも適用されます。

 

 

医療費控除を利用するには確定申告が必要

医療費控除を利用するためには確定申告をする必要があります。

自営業者の確定申告では医療費だけでなく、日々の売上や経費も申告する必要があります。

 

念のため記載しておくと会社員の場合、勤務先が年末調整を行うため確定申告を実施しないケースが多いようです。

しかし医療費控除は年末調整により所得から差し引くことができません。

 

そのため年末調整を行ったとしても、再度確定申告を行う必要があります。

 

 

 

 

2.控除される医療費とされない医療費


フリーランス医療費控除関連画像
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医療費控除はその年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費、つまり、病気全般の治療のために支出した費用です。

ただし、一般的な水準を著しく超えるような支出は認められません。

 

この章では具体的に医療費控除の対象となる医療費とならない医療費をご紹介します。

 

医療費控除を申請できるもの

国税庁のHPによると医療費控除の対象となるのは以下の医療費です。

 

医師または歯科医師による治療または療養の対価
治療またはリハビリテーションに必要な医薬品の購入の対価(例えば風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金)
病院・診療所・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・助産院への入院に伴う人的サービスの提供の対価
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による療養上の世話の報酬
保健師・看護師・准看護師又は特に依頼を受けた者による療養上の世話の対価(これには家政婦に病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれます)
助産師による出産時の介助の対価
介護福祉士等による喀痰吸引・経管栄養の一部に対する対価
介護保険等の制度に基づき提供される一定の施設・在宅介護サービスの自己負担額
医師等による診療・治療・治癒などを受けるために直接必要な以下の費用
a)医師等による診療等のための通院費、通院のための交通費、入院中の宿泊費および食費、ならびに通常必要とされる装具等の医療機器の購入費またはレンタル費
b)医師等の治療を受けるために直接必要な義肢・松葉杖・補聴器・人工歯・眼鏡等の購入に要する費用
c)身体障害者福祉法、知的障害者福祉法等の規定により都道府県及び市町村に支払うべき費用のうち、医療等の費用に相当するもの及び上記a)・b)の費用に相当するもの
d)傷病により概ね6ヶ月以上寝たきりの状態で、医師の治療を受け、おむつの使用が必要と認められる場合のおむつ代(この場合、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要)。
骨髄移植推進財団に支払われる骨髄移植の斡旋に係る患者負担金
日本臓器移植ネットワークに支払われる臓器移植のあっせんに係る患者負担金
高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的な支援を必要とするものに限る)のうち、一定の条件を満たす人が行う自己負担分(2008年4月1日から適用)

 

 

医療費控除が受けられないもの

医療費控除の対象とならない医療費は、主に医療行為に関係のない費用です。

予防接種や健康診断などは病院で行われるため対象になると思っている人もいるかもしれませんが、予防医療費は対象外です。

 

具体的には以下の費用などです。

 

ビタミン剤などのサプリメントの費用
リラクゼーションマッサージの費用
予防接種の費用
美容整形にかかる費用
眼鏡やコンタクトレンズの定期購入やそのための健康診断の費用

 

医療費控除の対象となるものとならないものを理解し正しく申告することで、医療費控除の過大申請を防ぐと同時に控除できる金額の取りこぼしを防ぐことができます。

関連する項目は漏れなく計算するようにしましょう。

 

 

 

3.医療費控除の計算方法


フリーランス医療費控除関連画像
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医療費控除できるかどうかの目安は、医療費の総額が所得の5%を超えることです。

医療費控除を受けるためには、まずその年にかかった医療費を集計する必要があります。

 

医療費は確定申告をする本人だけでなく、家族全員分集計してください。

「支払った医療費の合計額-10万円(総所得金額200万円未満の場合は総所得金額×5%)」が医療費控除の金額となります。

 

実際にかかった医療費のみが計算の対象となり、例えば保険金が支払われた場合はそれを差し引かなければなりません。

入院したときに支払われる生命保険金、1ヶ月の医療費が高額になったときに支払われる高額療養費、子供が生まれたときに支払われる出産一時金などはすべて、自分で加入した保険や国の制度でカバーされており差し引かなければならないので注意してください。

 

 

 

4.確定申告で医療費控除を申請する際の流れ


フリーランス医療費控除関連画像
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ここでは確定申告で医療費控除を申請する際の手続きについて説明します。

医療費控除の申請は、自分で書類や資料を作成し提出する必要があります。

 

正しい手順で手続きを行い、スムーズに手続きができるように準備しておきましょう。

 

医療費の通知書・領収書の収集

医療費控除をするためには、まず医療費の通知書や医療費を証明する領収書などをすべて集める必要があります。

自分の分だけでなく、家族がいる場合は家族の分も集める必要があります。

 

そのほか、交通費などの領収書も集めておく必要があります。

 

 

医療費控除の明細書の作成

医療費控除を受けられる方は医療費控除の明細書を作成する必要があります。

明細書は書式が決まっており、税務署や国税庁のホームページで書式を入手することができます。

 

通知書や領収書などの内容を書式に従って転記することで記入できます。

 

 

確定申告書と一緒に医療費控除の申請書を提出する

医療費控除の明細書を作成したら、自営業者やフリーランスの人は確定申告書と一緒に提出する必要があります。

 

 

 

5.セルフメディケーション税制


フリーランス医療費控除関連画像
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セルフメディケーション税制とは、「特定一般用医薬品等」を1年間に12,000円超購入した場合、その購入費用を総所得金額から控除できる医療費控除の特例制度です。

健康増進のためのビタミン剤や目の疲れを取るための目薬など、購入した商品によっては、通常の医療費控除の対象外であるの費用も控除の対象となります。

 

なお、セルフメディケーション税制は選択制のため、通常の医療費控除と同時には利用できません。

控除額の上限は88,000円で、適用可能期間は2017年1月1日から2026年12月31日まで延長されます。

 

セルフメディケーション税制の適用条件

セルフメディケーション税制は、適用を希望する年に「健康の維持・増進や疾病の予防のための一定の取組」を行う人が対象です。

健康の維持・増進や疾病の予防のための一定の取組とは、以下のようなものです。

 

インフルエンザの予防接種
市町村のがん検診
会社の定期健康診断
特定健康診査

 

また、セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、上記の受診通知表等の保存が必要です。

上記の一定の取組を行った者に家族全員を含める必要はなく、確定申告を行う者が一定の取組を行っていれば足りるとされています。

 

 

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品

セルフメディケーション税制で控除される一部の市販薬は、主にスイッチOTC医薬品と呼ばれるものです。

スイッチOTC医薬品とは、医師が処方する医薬品(医療用医薬品)を、処方箋なしで購入できる医薬品に変更したものです。

 

セルフメディケーション税制の改正により、2022年1月1日以降一部のスイッチOTC医薬品が対象外となり、非対象だったOTC医薬品が対象となります。

セルフメディケーション税制の対象製品・対象外製品の一覧は、厚生労働省のホームページで公開されています。

 

セルフメディケーション税制の対象商品は、外箱にセルフメディケーション税制の対象であることを表示し購入時に受け取るレシートにも裏書きされています。

購入時に受け取ったレシートは税制の適用を受けるために必要なものですので、保管してください。

 

 

 

6.医療費控除の注意点


フリーランス医療費控除関連画像
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医療費控除を受けるために確定申告をする際には、いくつか注意しなければならないことがあります。

改めて説明しておくと、どのような費用が医療費控除の対象となり確定申告を実施するのかについては簡単ではないため注意が必要です。

 

また、医療費控除の確定申告を実施するときだけでなく、日々申請できるように前準備しておく必要があります。

医療サービスを利用する際には、医療費控除について覚えておくことも大切です。

 

控除を受けられるかどうか判断できない場合は税務署に問い合わせる

医療費控除が受けられるかどうかわからない場合は、自分で判断せず、税務署に問い合わせるようにしましょう。

特殊な医療行為を伴う場合は、医師に相談した方が良いケースもあります。

 

医療行為の発達に伴い判断基準が複雑化しており、高齢者の特殊な医療相談にかかる費用など、医療行為にあたるかどうかわからないものもあるようです。

誤った申告をすると訂正するのは簡単ではありません。

 

また医療費控除ができるのに、できないとあきらめてしまうのももったいないことです。

 

 

領収書を紛失しないように

医療費控除を申請する際には、領収書を保管する必要があります。

領収書は医療費の支払いを証明する重要なものですので、必ず保管しておきましょう。

 

自分だけでなく家族の分も含めてすべての領収書を保管しておくことが望ましいです。

また、医療費控除に使用した領収書は確定申告後5年間保存することが原則です。

 

確定申告書に同封する必要はありませんが、自宅などに必ず保管しておきましょう。

医療費控除は医療機関だけでなく、公共交通機関の利用による費用も対象となります。

 

ただし、これらの費用のうち領収書が発行されていないものは対象外です。

これらの領収書が発行されない費用については、領収書の代わりにメモに書き込むことで控除することができます。

 

いつ、どの病院のために使ったのか金額をメモしておきましょう。領収書がないからといって確定申告を諦めないようにしましょう。

 

 

 

 

7.まとめ


確定申告で医療費控除を行うには、まずどのような医療費・人・範囲に適用できるのかを理解することが重要です。

確定申告の医療費控除のルールは複雑で控除できる医療費の種類も明確でない場合があります。

 

わからないことがあれば、税務署や病院などの専門機関に問い合わせ、損をしないように正しく控除を受けましょう。

領収書のない交通費を支払った場合や、保険金と相殺するケースなどが発生する可能性があることも覚えておきましょう。

 

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