公開日:2023.11.09
更新日:2025.03.24
幅広い分野においてテクノロジーが活用されるようになった現代では、さまざまな種類のエンジニアが存在します。1つのシステムを開発するにあたっても、複数のエンジニアが分業・協力することが一般的です。
しかし「フルスタックエンジニア」と呼ばれる存在であれば、複数のエンジニアが携わる業務を1人で進行できます。フルスタックエンジニアは世界中で注目されている存在であり、国内でも今後益々重要視されていくと考えられるでしょう。
そのためこの記事では、フルスタックエンジニアの定義や求められるスキル・知識、役立つ資格、そして年収についてお伝えします。
特に以下の方には、この記事をご一読いただきたいです。
・フルスタックエンジニアになるために役立つ資格を知りたいと思っている方
・フルスタックエンジニアの定義について気になっている方
・フルスタックエンジニアに必要なスキル・知識について知りたい方
・フルスタックエンジニアの年収が気になっている方
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<目次>
1.フルスタックエンジニアの定義
2.フルスタックエンジニアに必要なスキル・知識
フロントエンドの開発経験
サーバーサイドの開発経験
OS・ミドルウェアに関する知識
クラウドに関する知識
UI/UXに関する知識
プロジェクトマネジメントスキル
3.フルスタックエンジニアに役立つ資格
システムアーキテクト試験
ITストラテジスト試験
プロジェクトマネージャ試験
4.フルスタックエンジニアの年収
5.まとめ
フルスタックエンジニアとは、複数の分野におけるスキル・知識を持ちエンジニアが関わる複数の業務を1人で遂行できるエンジニアのことです。
「フルスタック」とは英語で「full stack」と表記され、「あらゆるものが積み重なった」などと言ったニュアンスだと言えます。
簡単に言えば、複数の業務をこなせるエンジニアのことを呼ぶと考えて良いでしょう。
一般的には、以下の業務の内、全てもしくは複数をこなすエンジニアがフルスタックエンジニアと呼ばれます。
<フルスタックエンジニアが担う一般的な業務>
・フロントエンド開発
・バックエンド開発
・モバイルアプリ開発
・インフラ関連
フルスタックエンジニアには、明確な定義があるわけではありません。
フルスタックエンジニアと呼ばれるための資格も特にありませんが、近年になって世界中で注目されている概念です。
スタートアップ企業が多いアメリカでは、人材不足を解消する貴重な人材として早くからフルスタックエンジニアが注目されてきました。
そして日本国内でも近年、高いスキルを持つ優秀な人材として注目されています。
フルスタックエンジニアが1人いれば、開発に必要な業務を全てこなしてもらえるため、人件費も開発にかかる時間も削減可能です。
コストを抑えて開発スピードを上げることは、スタートアップをはじめとして多くの企業にとって望むことだと言えるでしょう。
フルスタックエンジニアは、高いスキルと幅広い知識から非常に需要が高い人材だと考えられます。
この章では、フルスタックエンジニアに求められるスキルや知識についてお伝えします。
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、幅広い分野のスキル・知識が必要です。
フルスタックエンジニアに求められるスキル・知識としてまず挙げられるのが、フロントエンドの開発経験です。
フロントエンドとは、簡単に言うと「ユーザーが実際に見る・触れる部分」のことを指します。
たとえば、Webサイトやアプリなどを利用した際の、入力フォームやボタン、メニューなどユーザーインターフェースと呼ばれる部分がフロントエンド開発の守備範囲です。
フロントエンドの開発には、以下のような言語が求められます。
<フロントエンド開発に求められる言語の例>
・HTML
・CSS
・JavaScript(フレームワーク・ライブラリも)
・CMS(WordPressなど)
上記のような言語を駆使し、ウェブデザイナーのデザインをもとに作業をすすめていきます。
場合によっては、ウェブデザイナーの守備範囲である画面全体のデザインも行うことが必要です。
フロントエンドの開発だけでも、複数の言語やライブラリを活用できるスキル・知識がなくてはいけません。
また、フロントエンド開発の守備範囲は、ユーザーが直接触れる部分です。
そのため、ユーザー目線に立った開発が求められると言えるでしょう。
フルスタックエンジニアには、フロントエンドだけでなくサーバーサイド(バックエンド)の開発経験も求められます。
サーバーサイドとは、ユーザーからは見えない、ユーザーが直接触れることのない部分のことです。
データベースとの連携や受注処理、演算処理など、サーバー側で動いているシステムが例として挙げられます。
サーバーサイドの開発には、以下のようなプログラミング言語やデータベース管理システムを活用します。
<サーバーサイドの開発に用いられる言語の例>
・PHP
・Java
・Python
・Ruby
・C++
・MyMySQL
サーバーサイドは、先程紹介したフロントエンドとペアのような存在です。
お互いが連携して動くことが大切であり、それぞれを担当するエンジニアの連携も欠かせません。
一人のエンジニアが両方の開発を担当できれば、作業効率は大きく高まると考えられるでしょう。
ただしサーバーサイドの開発には、上記のようにフロントエンド開発とは大きく異なる言語を駆使しなくてはいけません。
それだけに、両方を担当できるフルスタックエンジニアの存在は非常に貴重だと言えるでしょう。
フルスタックエンジニアに求められるスキル・知識としては、OS・ミドルウェアに関することも挙げられます。
例 |
概要 |
|
OS |
Windows、iOS、 Linux、Android |
パソコンやアプリなどを動作させるために必要なソフトウェア |
ミドルウェア |
Webサーバ アプリケーションサーバ |
OSとアプリケーションの中間にありそれぞれに出来ないことを補完するソフトウェア |
システム開発を行う際には、Windows系やLinux系など開発するものに応じたOSの知識が求められます。
また、OSだけでなくアプリケーションとの間にあるソフトウェアであるミドルウェアに関しても精通していることが重要です。
ミドルウェアは非常に数が多く、全てを網羅することは困難だと言えます。
そのため、代表的なミドルウェアについて基本を理解しておくことが求められるでしょう。
クラウドに関する知識も、フルスタックエンジニアには求められます。
近年のビジネスにおいては、クラウドの利用が圧倒的に多いためです。
顧客に対してシステム提案をするためには、クラウドに関する知識は必須でしょう。
米Synergy Research Groupのレポートによるとと、現在では以下の3つのクラウドインフラが中心となって使用されています。
【2023年第1四半期のクラウドインフラシェア】
クラウドインフラサービス |
世界シェア |
AWS |
32% |
Azure |
23% |
Google Cloud |
10% |
また、クラウドサービスの提供形態は、以下の3種類です。
<クラウドサービスの提供形態>
・SaaS:ソフトウェアやアプリケーションをネットワーク経由で利用するサービス
・PaaS:アプリケーション開発の実行環境を提供するサービス
・IaaS:CPUやメモリなどのコンピュートリソースを提供するサービス
上記の3形態は、それぞれ守備範囲が異なります。
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、いずれの提供形態においても知識を持っておくことが重要でしょう。
クラウドサービスの需要は今後もますます高まっていくと考えることが自然です。
フルスタックエンジニアとしても、クラウドに対する専門性は高めていく必要があるといえます。
フルスタックエンジニアに求められる知識としては、UI/UXに関するものも重要です。
UI/UXとは、ユーザーが使いやすいユーザーインターフェースを構築するための手法のことを指します。
Webシステムの開発には、UI/UXへのこだわりが欠かせません。
UI/UXがしっかりと考え抜かれておらず操作性の低いサービスは、ユーザーの滞在時間が短くなり、サービスの目的を果たせません。
どんなにはハイレベルなシステムを作り上げたとしても、UI/UXがしっかりしていなければ進化は発揮されないと言えます。
フルスタックエンジニアには、高い専門性に加えてユーザー目線になれることも、プロとして求められる要素です。
プロジェクトマネジメントスキルは、フルスタックエンジニアとしてキャリアアップしていくために重要なスキルです。
いかに優秀なフルスタックエンジニアであったとしても、一人で開発プロジェクトを進めていけるわけではありません。
チームでプロジェクトを進めていくことが基本であり、そのためにはスケジュール管理やマネジメントなどのスキルが求められることもあります。
また、少人数で開発を進める場合でも、担当するタスクは自分で管理することが必要です。
プロジェクトマネジメントのスキルを身につけるためには、コミュニケーション能力を伸ばすことがまず求められます。
また、正しく・素早く意思決定するためにはエンジニアとしての経験が必要であり、トラブルを自ら解決するの能力も不可欠です。
マネージャーとしてのキャリアを積み重ねていくためには、チームやプロジェクト全体を管理するスキルが求められます。
さらにプロジェクトマネジメントの経験を持っていると、転職や案件獲得に役立つでしょう。
この章では、フルスタックエンジニアとして活躍するために役立つ資格を紹介します。
フルスタックエンジニアには資格は必要ありませんが、資格を取得することで転職や案件獲得に有利に働くことは考えられるでしょう。
また、資格取得の過程でスキル・知識を身につけることができれば、より幅広い分野で活躍することも可能です。
資格取得のための勉強をすることで、知識を体系的に身につけられます。
システムアーキテクト試験の概要 |
|
受験資格 |
特に無し |
受験形式・時間 |
【午前Ⅰ】四肢択一・50分 |
受験会場 |
全国のテストセンターから選択して受験可能 |
試験時期 |
毎年春期(4月)の年1回実施 |
受験料 |
7,500円(税込) |
システムアーキストとは、システム開発における企画から要件定義、設計などの上流工程を担当するエンジニアのことです。
プログラミングスキルに加えてシステム戦略の策定を行える知識も求められます。
同資格は、経済産業省が主催する「情報処理技術者試験」の1つに挙げられる国家資格です。
対象者には、ITストラテジストからの提案を受けてシステム開発に必要な要件定義を行い、実現のためのアーキテクチャ設計や情報システム開発の主導などができることが求められます。
IT資格の中でも最高峰の資格であり、試験の合格率は毎年15%程度の難しい試験です。
受験に当たってはしっかりとした準備が必要であり、特に論述は専門家に添削を受けることも重要でしょう。
取得することで、IT分野における高度な専門知識や分析力を身につけられます。
ITストラテジスト試験の概要 |
|
受験資格 |
特に無し |
受験形式・時間 |
【午前Ⅰ】四肢択一・50分 |
受験会場 |
全国のテストセンターから選択して受験可能 |
試験時期 |
毎年春期(4月)の年1回実施 |
受験料 |
7,500円(税込) |
ITストラテジストとは、ITに関する高度な知見を活かし、IT戦略を立案する専門職のことを指します。
ソフトウェアやシステムの開発においては、上流工程に置けるタスクを担当する専門職です。
同試験も、経済産業省主催の「情報処理技術者試験」の1つに挙げられる国家資格です。
高レベルなIT人材として、企業の経営戦略に基づいてビジネスモデルやその他プロセスについてIT活用を行える方を対象としています。
システムアーキストと同様に難関資格であり、合格率は毎年15%前後です。
難関試験であるだけに、取得することでエンジニアとしてでなく経営のスキルも身につきます。
プロジェクトマネージャ試験の概要 |
|
受験資格 |
特に無し |
受験形式・時間 |
【午前Ⅰ】四肢択一・50分 |
受験会場 |
全国のテストセンターから選択して受験可能 |
試験時期 |
毎年秋期(10月)の年1回実施 |
受験料 |
7,500円(税込) |
プロジェクトマネージャとは、開発プロジェクト全体を管理し、スケジュールや予算、そして成果物の品質などに対して責任を持つ職種です。
プロジェクトの成功には不可欠な存在であり、上流から下流、そして完成後の運用までを見越したプロジェクトの策定・管理が求められます。
これまで紹介した資格と同様に、同資格も情報処理技術者試験」の1つに挙げられる国家資格です。
合格率は15%程度であり、計画的に勉強していくことが合格には求められます。
フルスタックエンジニアとしてキャリアアップを考えるうえでは、ぜひとも取得を目指したい資格だと言えるでしょう。
フルスタックエンジニアにはまだ明確な定義がないことから、年収を公的に集計したデータは現状ありません。
「フリーランススタートの求人情報」によると、年収で600~1,000万円程度が中心だと言えるでしょう。
一般的なエンジニアが年収500万円程度だと言われていることから、フルスタックエンジニアが年収600~1,000万円だということは妥当だと言えます。
実力次第では、年収1,000万円以上も十分に狙える職種です。
フルスタックエンジニアの需要は今後も高まっていくことが予想されるため、年収についても今後まっていくことは十分に考えられます。
フルスタックエンジニアとは、特定の分野だけでなく開発全体におけるスキル・知識を持ち、エンジニアが関わる複数の業務を1人で遂行できるエンジニアのことです。
フルスタックエンジニアの存在によって、企業は人件費や開発にかかる時間を削減できます。
そのためにフルスタックエンジニアは貴重な存在であり、エンジニアとして活躍するなら目指すことは十分に意義があることでしょう。
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