公開日:2021.01.29
更新日:2025.03.24
正社員やフリーランスから転職を考えるとき、「契約社員だと、仕事の責任が少なくて楽そう」と、契約社員としての就業を検討する方は少なくありません。
契約社員は正社員と比べると雇用や収入の安定性がない代わりに、労働時間や人間関係の悩みは軽減されます。
ただし「だから契約社員はおすすめ!」とは強く推奨はしません。転職を考えるときは慎重に判断する必要があるでしょう。
当記事では「契約社員とは?」という基本部分に加え、転職で契約社員をおすすめしない理由や契約社員の特徴、契約社員に向いている方を解説します。
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<目次>
1.契約社員とは?
契約社員と正社員の違い
契約社員と派遣社員との違い
2.転職は契約社員より正社員の方が良い
3.転職において契約社員を勧めない理由
更新してもらえないと契約終了
立場(発言権)が弱いと思っている社員が存在する
昇給やボーナスがない企業(会社)が多い
契約社員は転職で評価されづらい
契約社員には5年ルールが適用される
4.契約社員として無期契約社員について知っておこう!
5.転職において正社員より契約社員に向いている方の特徴
様々な職場で経験を積みたい方
留学など自分の目標が別にあるため、短期で働きたい方
職場の人間関係であまり悩みたくない方
異動や転勤を希望していない方
仕事においてあまり責任を感じたくない方
6.まとめ
契約社員とは、契約の開始日と契約満了日をあらかじめ設定し、その決められた期間のみの労働契約を結んで働く従業員のことです。
正社員と同じように企業(会社)との直接雇用の関係になります。
なお契約社員や正社員、正規・非正規社員という名称は法律上には存在せず、便宜上の呼び名として浸透しました。
契約社員と正社員の最大の違いは「契約期間に限りがあるかないか」です。
契約社員はあらかじめ契約期間が決まっている「有期雇用」で契約を結びます(有期労働契約もしくは有期雇用契約)。
たとえば1年契約であれば、1年後の契約満了日に一旦契約が終了し、その時点で「契約更新を行うか」と「終了して退職するか」を決めます。
法律上、契約社員が一度の有期労働契約で契約できる上限は3年までです。専門知識を持っている場合や満60歳以上の場合は、上限が5年になります。
対して正社員は、定年までかつフルタイムで働くことが前提である「無期雇用」での契約です。
悪質な違反等による懲戒解雇や自主退職、希望退職(リストラ)などの事情がない限りは同じ企業(会社)で働き続けられます。
業務内容も契約社員より正社員のほうが、責任ある立場や業務に就くことがほとんどです。
企業(会社)としても、将来的に契約終了が決まっている人に、重要な業務を任せたり長期的な成長を期待したりするのは難しいといえます。
とはいえ、契約社員も立派な従業員であるため、正社員と同じように労働基準法や労働契約法で守られています。
たとえば、契約社員と正社員共通の労働契約の原則は次のとおりです。
(1)労使の対等の立場によること
(2)就業の実態に応じて、均衡を考慮すること
(3)仕事と生活の調和に配慮すること
(4)信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはならないこと
引用:厚生労働省|労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)
また企業(会社)側には、「労働条件を書面で明示する」「就業規則の労働条件を下回らない限りは、労働者との合意で労働契約を変更できる」「就業規則変更であっても労働者の不利益となる労働条件に変更することはできない」などの条件が、労働基準用・労働契約法で定められています。
似た待遇と認識されがちな契約社員と派遣社員ですが、雇い元が異なるという明確な違いが存在します。
派遣社員が労働契約を結ぶのは、従業員へ仕事を斡旋するは派遣会社です。
派遣されて業務を行う企業(会社)とは、直接的に雇用関係にありません。
また派遣社員は従事していた仕事の契約が終了しても、雇用元の派遣会社が新しい職場を斡旋してくれます。この点も契約社員と違う部分です。
現在勤めている企業(会社)やフリーランスからの転職を希望している場合、次の転職先は契約社員より正社員のほうがおすすめです。
なぜ正社員のほうがおすすめなのか、その理由を以下でご紹介します。
・無期雇用契約で安心して働けるため
・世間や取引先などから信用されやすいため
・昇給・ボーナス、退職金など待遇面が安定しているため
・さらなる転職を考えたときに正社員の経験は武器になるため
・クレジットカードやローン審査が通りやすいため など
逆にいえば、上記の恩恵が受けられない点が契約社員の弱点です。
次章ではさらに「転職において契約社員を勧めない理由」を詳しく見ていきます。
転職において契約社員を勧めない理由は次の5つです。
・企業(会社)側に更新してもらえないと契約終了になる
・立場(発言権)が弱いと思っている社員が存在する
・昇給やボーナスがない企業(会社)が多い
・契約社員は転職で評価されづらい
・契約社員には5年ルールが適用される
2020年4月1日から施行された「パートタイム・有期雇用労働法」によって、正社員と有期雇用労働者との不合理な待遇差は禁止されました。
契約社員が納得して働ける環境は整備されつつあります。
しかし、まだまだ正社員のほうが雇用や待遇面で安定しているのが実情です。転職市場でも、契約社員より評価されやすい傾向があります。
有期労働契約である契約社員は、満了日に企業(会社)との契約を更新できなければ仕事を失うことになります。
もし契約終了となった場合は、次の仕事先に向けて転職活動を行う必要があります。
派遣社員と違い、自力で次の職場を見つけて応募する必要があります。
また後述の「5年ルール」の影響によって、同じ企業(会社)に継続して5年超えの雇用を期待するのは難しいです。
企業(会社)側は通算5年を超えて雇用する場合は、本人の希望次第で以降の契約を無期雇用とする必要があります。そのため、企業(会社)側としても判断に困るケースがあるのです。
ただし、理不尽な理由による期間途中の契約終了は認められません。
合理的な理由がないときや社会通念上相当でない解雇のときは、権利を濫用したものとして解雇が無効になります。
「契約期間中の解雇に関しては正社員よりも難しい」との見解もあるほどです。
もし有期雇用の期限によって契約終了となったときは退職扱いになります。
企業(会社)側の都合や意思によって次の契約を結ばないときは「雇止め」「更新拒絶」として解雇とは別扱いです。
契約満了による終了となったときは、失業保険の対象になります。
契約社員の社会的立場は弱く見られる傾向があります。
なかには個人的な差別感情で「契約社員は自分たちよりも弱い人間だ」と、下に見る人間が存在するのも事実です。
・すぐ辞めると思われて「意見を聞いても仕方ない」と捉えられる
・責任のない立場の人間として「実情を知らない軽い発言だ」と流される
・そもそも契約社員という立場を見下しているケースもある など
仕事だけでなく、人間関係においても「どうせ期間中しか仲良くできない」と、交友関係や仕事のアドバイスも疎かになる可能性も否定できません。
契約社員に対する昇給やボーナスがあるケースもありますが、存在しない企業(会社)も少なくありません。
昇給に関しても契約内容に盛り込まれていない場合は、次の契約更新時までは基本的に上がることはないでしょう。
ベースとなる給与は正社員に近いケースもありますが、賞与額や各種手当、そして昇給幅などの要因によって、正社員と差がどうしてもつきがちです。
契約社員の勤務時間や勤務日は、正社員と同じくフルタイムであるケースが多いです。有給休暇も付与されます。
2022年現在は「同一労働同一賃金ガイドライン」が制定によって、契約社員と正社員の賃金格差は狭まっていくと予想されますが、楽観視はできません。「正社員の給与を下げる対応をするのでは?」との疑問の声も存在します。
ガイドラインでは「労使の合意なく正社員の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえない」と定めているものの、労働基準法の遵守を軽視する企業(会社)も少なくないことから、浸透するまで時間を要するかもしれません。
続いて福利厚生に関してですが、こちらも正社員のほうが充実しているケースが多いです。
契約社員の場合は法律で定められている「法定福利厚生(厚生年金や雇用保険など)」は利用できますが、企業(企業)が独自に定めている「法定外福利厚生」は、正社員のみが利用可であることも少なくありません。
たとえば法定外福利厚生には次のものがあります。
・住宅手当や社宅制度、独身寮などの住居関係の補助
・食費補助や社員食堂の提供などの食事関係の補助
・自社製品購入時の割引サービス
・フィットネスジムや温泉施設などのレジャー施設利用割引 など
契約社員も対象にしている企業(会社)もあるものの、正社員のほうがより多く受けられるケースはよく見られます。
ただし、有給休暇や産休に関しては正社員と同じ扱いです。育児休業に関しては、一定の範囲の有期労働者であれば取得可能になります。
契約社員は経営に関わる重要業務や管理職などのマネジメント業務などに携わる機会が少ないため、転職で武器になる経験やキャリアを積みにくくなります。
そのため転職活動時の履歴書や面接のときにアピールできるポイントが乏しくなり、結果的に転職の難易度が上がる可能性が高いです。
また企業(会社)側が正社員歴を重視しているときは、応募条件の時点で除外されることもあります。
とはいえ、正社員歴が少ない理由やそれを補うスキル・経験をアピールできれば、契約社員から正社員への転職も不可能ではありません。
契約社員の5年ルール(無期転換ルール)とは、契約社員側からの申し込みによって無期労働契約へ転換できる制度です。
同一の会社で通算5年超えの有期労働契約を結ぶ場合に適用されます。
こちらの5年ルールは契約社員だけでなく、パート・バイト・派遣社員も対象です。労働契約法第18条にて定められています。
裏を返せば無期雇用として契約したくない企業(会社)は、通算5年超の契約を行わずに契約更新を見送る可能性も否定できません。
厚生労働省も「無期転換申込権が発生する前に雇止めすることは望ましくない」としているものの、更新年限や更新回数の上限を設けることは直ちに法律違反とはならないと表明しています。つまり不当な理由でない限りは認められるケースもあります。
そもそも違反を訴えるには時間も労力もかかるため、「争うぐらいなら受け入れて新しい職場を探す」という人も少なくないでしょう。
以前から雇止めに関するトラブルは多いことから、契約に関する問題はいまだに潜んでいるといえます。
無期契約社員とは、正社員と同じく無期雇用で契約を結んだ契約社員のことです。2012年の労働契約法の改正によって誕生しました。
ただし正社員と同じ扱いというわけではありません。
あくまで有期の契約社員時代と同じ待遇や業務内容、勤務時間、勤務地で、あらたに無期労働契約を結ぶというイメージです。契約を更新する際の条件に従います。
とはいえ企業(会社)のなかには、5年という契機を見て契約内容を見直し、労働条件を改善した上で無期労働契約とするところもあります。
転職先は契約社員より正社員のほうがおすすめですが、状況や考え方によっては契約社員として働くほうが向いている方もいます。
契約社員の有期労働契約や5年ルールなどは、裏を返せばすぐに新しい職場へ移りやすいともいえます。
つまり、様々な契約終了するごとに職場を転々とすることで、数多くの職場で経験を積むことが可能です。
「正社員として働く」を目標とせず、留学や将来の独立を目指すときは、一旦契約社員として働くのも一つの選択肢です。
「2年後に留学や専門学校で勉強したい方」は、退職の手続きや労力が必要になる正社員よりも契約社員のほうがよいでしょう。
また契約社員は正社員よりも簡易かつ残業がない業務に就くことが多いため、仕事以外に時間を使いやすくなります。
資格取得や起業準備を進めたいときは、あえて時間と労力の猶予がある契約社員に転職するのもありです。
職場の人間関係にあまり悩みたくない方も、実は契約社員の働き方は向いています。
基本は定年まで企業(職場)に従事する正社員と違い、契約社員は期間限定の働き方です。
そのため、もし職場で合わない人と出会ったとしても、時間が経てば離れられるチャンスが来ます。
また正社員と比べて「飲み会の幹事を任されない」「会社行事への参加が強制になりにくい」などの特徴も、人間関係で悩みたくない方にとって嬉しいポイントといえます。
ただし、悩みがゼロになることはない点は事前に頭に入れておいてください。
業務内容で正社員の方と衝突したり、理不尽な業務や残業を強いられたりも可能性としては存在します。
契約社員として働く場合は、異動や転勤が発生することはあまりありません。
企業(会社)は契約社員でも異動や転勤を命じることはできますが、少ないケースといえます。
なぜなら契約期間が決まっていたり業務内容が限定されていたりなどの要因によって、異動や転勤を行うメリットが少ないためです。
将来の管理職を期待されて採用される総合職と違い、契約社員は限定的な業務の従事を目的としているケースがほとんどになります。
ただし、仕事内容が専門的だったり独自性があったりする場合は、契約社員でも異動や転勤を打診されるかもしれません。
契約社員は正社員よりも責任ある仕事に就くことが少ないため、「仕事で責任をあまり感じたくない」という方にはおすすめの働き方です。
契約社員の場合、職場全体の管理職やリーダーに登用されることはありません。任される仕事も限定的かつ、最終責任は正社員が負うことが多いです。
ただし、それは「責任感なく仕事してよい」という免罪符ではないため、与えられた仕事に関しては真剣に取り組みましょう。
例外として、正社員が少ない企業(会社)などでは、契約社員も責任者やリーダーになることもあります。
契約社員は正社員と違い、有期労働契約によって期間限定で仕事に従事する働き方です。
あらためて特徴をまとめました。
・契約社員は1度の契約で基本的に3年まで同じ職場で働ける
・契約社員は同じ職場で通算5年超で務めるとき「無期契約社員」となる
・契約社員は正社員より待遇や雇用が安定しない
・転職市場では契約社員は正社員より評価されづらい
・人間関係や仕事の責任で悩みたくない場合は契約社員が向いている
もし契約社員として転職したいときは、「自分は契約社員としての働き方に向いているのか」をしっかり考えることが大切です。
今後のキャリアアップを目指したい場合は、契約社員より正社員への転職を狙うことをおすすめします。
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