公開日:2022.01.27
更新日:2025.03.24
インフラ業務をはじめ、各IT分野で幅広く扱われいるLinux。
そんなLinuxの技術力を証明する資格試験である、LinuC(Linux技術者認定資格)について興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、LinuC試験を現在勉強している/今後勉強する予定の方に向けて、LinuCについてやLinuCの概要や試験に必要な詳細を知ってもらうことだけでなく、メリットデメリット、おすすめの教材についても一挙に紹介します。
この記事一本でLinuCについて網羅的に理解できる濃い内容となっていますので、是非とも一読してみてくださいね!
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<目次>
1.LinuC(Linux技術者認定資格)とは
2.LinuCの3つのレベル
LinuCレベル1
LinuCレベル2
LinuCレベル3
3.LinuC試験の詳細
LinuC試験の試験概要
LinuC試験の受験者数・合格率・難易度
LinuC試験の申し込み手順
LinuC試験の有効期限
LinuC試験の勉強時間
4.LinuC試験の資格取得のメリット
Linuxを含むインフラ知識が身に付く
資格手当や報奨金を貰える
5.LinuC試験の資格取得のデメリット
勉強時間を確保する必要がある
6.LPICとLinuCってどっちがいい?
7.LinuC試験合格のためのおすすめ教材
LPI-Japan認定教材(LATM)
LinuCイージス
8.まとめ
LinuC(Linux技術者認定資格)とは、2018年3月より提供されたLinux技術者認定試験です。
Linuxの認定試験を実施しているNPO法人、LPI-Japanが独自に作った認定資格であり、正式名称は「Linux技術者認定試験 LinuC」となります。
その特徴としては、ますますクラウド化が進む日本IT市場のニーズに合わせた試験であり、各種サービスのクラウド化・オープンソース化が進展している現代のエンジニアの技術力を証明できる認定試験です。
現代のLinux技術者に求められるスキルは「クラウド」「オープンソースのリテラシー」「システムアーキテクチャの知見」であり、LinuCは「まさにこの3つを含みLinux技術者だけでなく、全てのIT技術者に求められる技術力を証明することができる認定資格」とされています。
同じくLinux技術者認定試験に「LPIC」も挙げられますが、LPICは世界規模で実施されている試験であることに対し、LinuCは日本のマーケットに最適化された日本独自の試験です。
より日本が求める技術に沿った試験であることはもちろん、LPICでは過去に外国の違法業者による試験問題の漏洩事件が起こったことも相まって、LinuCの認知度や評価も拡大しています。
LinuCでは、技術力ごとに3つのレベルが定められています。
ここからは、各レベルとその試験内容について見ていきましょう。
LinuCレベル1(LinuC-1)では、主に物理/仮想Linuxサーバーの構築と運用に関して出題されます。
試験は101試験と102試験の2種類のテストに分けられており、2つの試験を5年以内に合格して初めてレベル1の認定が下されるというシステムです。
一般的に勉強時間の目安は1か月~3か月程度とされており、はじめてLinux系統の試験を受験する人にもおすすめです。
LinuCレベル1(LinuC-1)はITSS(情報処理推進機構が作成しているITスキル標準)において「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」「ソフトウェアディベロップメント」「カスタマサービス」「ITサービスマネジメント」の5分野において「レベル1」として位置付けられています。
LinuCレベル2(LinuC-2)では、主に仮想マシン・コンテナを含むLinuxシステム、ネットワークの設定・構築について出題されます。
こちらも試験は201試験と202試験の2種類のテストがあり、2試験を5年以内に合格し、かつLinuCレベル1の認定を持っていることで初めてレベル2の認定を取得できる仕組みです。
3か月~半年程度の勉強時間が目安となるでしょう。
LinuCレベル2(LinuC-2)はITSS(情報処理推進機構が作成しているITスキル標準)において「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」「ソフトウェアディベロップメント」「カスタマサービス」「ITサービスマネジメント」の5分野において「レベル2」として位置付けられています。
LinuCレベル3(LinuC-3)は上記2種の試験と異なり、3つの独立した300試験、303試験、304試験から構成されています。
また、3つの試験すべてに合格する必要はなく、いずれか1つに合格し、かつLinuCレベル2の認定を取得していればレベル3の認定を取得することができます。
この点は、LinuCレベル1、LinuCレベル2との大きな違いとなっていますので、あらかじめ頭に入れておきましょう。
それでは、3つの試験について個別に解説していきます。
300試験は「Mixed Environment」とも呼ばれ、Linux、Windows、UNIXの混在環境でのシステムインテグレーションやトラブルシューティング、冗長構成でのLDAP、OpenLDAP、Sambaを使ったシステムや認証サーバーの構築に関して出題されます。
勉強時間の目安は半年~1年程度とされています。
303試験は「Security」とも呼ばれ、Linux環境での認証の技術及びシステムセキュリティを考慮した、システムの計画・構成・設計・構築・実装、セキュアなシステムにするためのぜい弱性及びその対策の評価、トラブルシューティングに関して出題されます。
勉強時間の目安は半年~1年程度とされています。
304試験は「Virtualization & High Availability」とも呼ばれ、仮想化の概念と技術の理解に加えて、Linux/OSSを用いた仮想化システムの構築・運用・負荷分散・クラスタ管理やLinux/OSSを用いたクラスタストレージなどの高可用性のための技術の構築・運用に関して出題されます。
勉強時間の目安は半年~1年程度です。
LinuCレベル3(LinuC-3)もITSS(情報処理推進機構が作成しているITスキル標準)において「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」「ソフトウェア ディベロップメント」「カスタマーサービス」「ITサービスマネジメント」の5分野において「レベル3」として位置付けられています。
ここからは、LinuC試験の詳細について見ていきましょう。
試験日程 |
都合の良い日程で受験可能 |
受験料 |
各16,500円(税込) |
試験会場 |
|
試験時間 |
90分間 |
試験実施形式 |
コンピュータベーストテスト(CBT) |
問題数 |
約60問 |
出題範囲 |
・LinuCレベル1 ・LinuCレベル2 ・LinuCレベル3 |
前提条件 |
・LinuCレベル1 ・LinuCレベル2 ・LinuCレベル3 |
合否結果 |
その場でテスト結果が表示される |
LinuC試験の受験者数は公表されていません。
合格率ですが、詳細は非公開ですが目安として65~75%程度の正解率で合格点となります。
難易度に関して先述したITSSのレベルから推測してみましょう。
LinuCレベル1はレベル1、LinuCレベル3はレベル2、LinuCレベル3はレベル3の難易度です。
レベル1と同等レベルの試験にITパスポート試験、レベル2と同等レベルの試験に基本情報技術者試験、レベル3と同等レベルの試験に応用情報技術者試験があります。
また、ITパスポート試験と基本情報技術者試験の合格率は50%前後であり、応用情報技術者試験は20%前半です。
上記を数値を参考すると、勉強なしに受かる試験ではないことがわかります。
LinuC試験の大まかな申込手順としては、以下流れです。
1.EDUCO-IDの取得
2.受験場所の選択
3.受験チケット事前購入または受験予約
では、詳細をみていきましょう。
1.EDUCO-IDの取得について、LinuCを受験するには、EDUCO-IDが必要となります。
EDUCO-IDは、LinuC公式ホームページから新規取得が可能です。
ID取得後は「受験者マイページ」にユーザネームまたはe-mailアドレスを使ってログインでき、そこから結果など各種情報の確認が可能です。
2.受験場所の選択について、全国各地にある試験センターでの受験に加え、オンライン試験(OnVUE試験)の選択ができます。
オンライン試験(OnVUE試験)にて受験する場合、受験に求められるPCのスペックなどがありますので、受験前に公式ホームページから見られる事前チェックを確認しておきましょう。
3.受験チケット事前購入または受験予約について、LinuCの受験チケットの購入と試験予約は、2つのパターンでの手続きが可能です。
試験の予約と支払いをセットで申込みする場合は、ピアソンVUEのページより手続きをしましょう。
受験チケットを先に購入(試験予約は後日設定)する場合は、クレジットカード、コンビニ決済、振込決済で手続きをしましょう。
使用する受験チケット(=12桁の英数字)は購入手続き時に登録したメールアドレス宛に送付されます。
LinuC試験に有効期限はありません。
しかし、LinuC試験の再認定ポリシーとして有意性の期限を理解しておくことが必要です。
先述したとおり、LinuCレベル1は101、102、レベル2は201、202というように、2種類の試験の両方に合格しないと認定が得られません。
また「1試験目に合格後、5年以内にもう一方の試験に合格しなくてはならない」とされています。
5年を過ぎると、先に受けたテストの合格は無効になりますので念頭に置きましょう。
簡単に再認定ポリシーを説明すると、LinuC試験では再認定ポリシーの有効期限があり「ACTIVE」と「INACTIVE」という2つの認定ステイタスが用意されています。
最初は「ACTIVE」として有意性が示されていますが、認定日から5年以内に同一レベルの認定の再取得または上位レベルの取得をしなければ、ステイタスが「INACTIVE」に変更される、という仕組みです。
「INACTIVE」は過去には認定された知識を所持していたが、現在の最新技術にマッチした知識を持っているかは担保されない、という意味であり、LinuCの認定者は「ACTIVE」であり続けることで、資格の有無だけでなく、その内容において最新の技術要素を反映した技術力を証明することが可能となりました。
LinuC試験の勉強時間については、公式ホームページよりそれぞれLinuCレベル1は1か月~3か月程度、LinuCレベル2は3か月~半年程度、LinuCレベル3は半年~1年程度と公表されています。
いずれの数値もはじめて受験する方の場合の目安であると言えますが、個々人の能力や1日あたりの学習時間によって若干の誤差が生じるとも言えますので、あくまで参考程度に考えてみてください。
それではここからは、LinuC試験の資格取得のメリットについてみていきましょう。
LinuC試験の資格取得の最も大きなメリットは、やはりLinuxを含むインフラ知識が身に付くことでしょう。
取得に向けた学習を通じて、Linux関連の知識や仮想化技術・オープンソースについての知識を体系的に身につけやすいため、インフラエンジニアをはじめとした、多くのITエンジニアにとって業務に役立ち、またキャリアアップも望める知識を獲得できます。
また、Linuxに関する知識は現在も幅広い分野で扱われているため、もう古くて使うことが少なくなったテーマやコマンドなどを覚えなければならない、ということにもなりません。
ITの中枢を担うLinuxを自由に扱うことができる技術力は、この先もさらにますます価値が上がっていくものでしょう。
また、企業によっては資格取得一時金や資格手当を支給しているところも多く、手当が貰えることも資格取得の大きなメリットです。
中には昇給・昇格の条件にしている企業も見受けられ、また就職・転職の際にも有利に働くことが多いほどに、LinuCは有用性が証明されている資格です。
それでは反対に、LinuC試験の資格取得のデメリットはあるのでしょうか。
これはどの試験にも通じる当たり前のことではありますが、資格取得にあたっては勉強時間を確保する必要があることは念頭においておきましょう。
中でもレベル3ともなると各分野の最高レベルの技術力を持つ専門家であることを証明する資格となりますので、長期間の学習が必要不可欠です。
そのため、資格取得を目指す前に「本当にLinuxの技術は必要か」を確かめてみるのが無難かもしれません。
やはり多くの時間を資格勉強に取られてしまうため、より必要性の高い他の資格や業務がないかどうか、確認が取れたのちに勉強を始めてみましょう。
LinuCと同じくLinux系の資格として、LPICが挙げられますが、資格獲得にはどちらが良いのでしょうか。
はじめに両者の違いについてですが、前述したとおり、LPICは世界中で実施されているLinux技術者認定試験で、LinuCは日本独自の認定試験となります。
LPICは元々、現在LinuCを提供しているLPI-Japanが提供している試験でありました。
しかしLPICの試験問題の流出における対策や、LPICよりも日本市場向けの試験内容を作る意図で制作されたのがLinuCとなります。
そのため、現在LPICはLPI-Japanからは受験が出来ず、LPI-inc(LPI日本支部)からの受験のみとなっています。
さて、それでは本題の「LPICとLinuC、どちらをとるべきか」についてですが、LPICは国際標準の資格であることが大きな強みであるため、グローバルな顧客を持つ企業や取引先相手にはわかりやすい資格であると言えます。
反対に、LinuCは日本の市場に合わせて作られた資格であるため、LPICよりも国内のIT産業との相性は良いと言えるでしょう。
自分の企業や業務がグローバルか国内向けかによって、LPICとLinuCの資格取得を変えましょう。
最後に、LinuC試験合格のためのおすすめ教材を紹介します。
試験合格に向けての強力な味方となりますので、是非とも下記教材を参考に学習を進めてみてください。
LPI-Japan認定教材(LATM)とは、出題範囲に添って作成された教材として、問題作成者であるLPI-Japanが認定した教材です。
LATMは、LPI-Japan Approved Training Materialを指します。
LPI-Japan認定教材(LATM)は、それぞれのレベルに合わせて、e-learningや最新WEB問題集、合格教本や紙面媒体の問題集・教科書が用意されています。
また、認定教材と組み合わせて学習するための教材としてLPI-Japanが認定した教材である「学習補助教材」も、それぞれのレベルごとに用意されています。
「Lunix標準教科書」「LinuC Ver10.0 学習教材」「動画で学ぶ技術解説」など、無料で使える教材も数多く用意されていますので、是非とも学習の際のサポートに利用してみてください。
LinuCイージスとは、LinuC レベル1(101/102)試験対策のためのWeb教科書です。
Linux技術を効率的に学習できるよう、試験範囲が体系的に解説されており、多くの受験者が学習に利用するサイトとなっています。
LinuCイージスでは、試験範囲が各項目ごとに細分化されており、それらをひとつずつ学習することが可能です。
サイト側ではじめから目次が作られているため、学習項目を取りこぼすことなく勉強を進めることができます。
なお、LinuCのための勉強時には、実際にLinuxを使用してコマンド入力した方が記憶の定着が捗るでしょう。
Windowsに仮想化ソフト(VMware)をインストールすることでWindows上でもLinux OSを動かすことができるため、勉強の際にはVMwareをインストールしておくことがおすすめです。
いかがでしたでしょうか。
今回は、LinuC試験を現在勉強している/今後勉強する予定の方に向けて、LinuCについてやLinuCの概要や試験に必要な詳細を知ってもらうことだけでなくメリットデメリット、おすすめの教材についても一挙に紹介してみました。
本記事を参考に、是非LinuCの資格勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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