公開日:2022.04.05
更新日:2025.03.24
自分が好きな自治体への寄付の返礼品という形で好きな食べ物やレジャーを受け取れるふるさと納税。それだけでなく、ふるさと納税を行うことで所得税や住民税の控除が受けられるというメリットもあります。
ただ、フリーランスや法人の場合、確定申告が必要なので確定申告の手続きが必要ないワンストップ特例制度を利用できません。
そのため、税額控除を受けるには確定申告の際にふるさと納税分のお金も申告する必要がありますが、どのように対処すれば良いのでしょうか。
ここでは、フリーランス・法人のふるさと納税の仕訳について解説します。
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<目次>
1.フリーランス(個人事業主)がふるさと納税を仕訳する際の勘定科目
2.返礼品が届いた際の仕訳は?
3.フリーランス(個人事業主)として確定申告時のふるさと納税の対処とは?
確定申告には寄付金受領証明書が必要
ふるさと納税の限度額に注意
4.法人(企業)もふるさと納税できる?
法人(企業)のふるさと納税の勘定科目
法人税申告時の注意点
6.まとめ
ふるさと納税は寄付金扱いですが、フリーランス(個人事業主)が経費として扱うことはできません。
これはふるさと納税はあくまで事業に関係なく個人と寄付先の自治体でやり取りするものと捉えられているためです。
ただし、フリーランス(個人事業主)の中には生活費用の口座と事業用の口座をまとめていて、はっきり支出を事業用とプライベート用と分類できないこともあるでしょう。
その際は、事業用のお金を生活費に貸し出す事業主貸という勘定科目を使うことができます。もちろんふるさと納税分も事業主貸に分類することが可能です。
そして寄付した分から2,000円を差し引いた金額に所得税率をかけた数字を確定申告書の所得控除内寄付金控除のところに記載すれば完了です。
帳簿の書き方に関しては、例えば自治体Aに3万円分をふるさと納税で寄付したとします。
この際は以下のように帳簿の借方の欄に「事業主貸」、貸方に「普通預金」、借方・貸方それぞれの金額の欄に3万円と記載します。
借方 |
金額 | 貸方 |
金額 |
事業主貸 |
30,000 | 普通預金 |
30,000 |
返礼品は一時所得扱いになります。
一時所得は50万円を超えない限り申告する必要はありません。
混同しやすいですが、50万円という金額は寄付金額ではなく、寄付金額に対しての返礼品額です。
ふるさと納税で50万円以上の返礼品を受け取る人はかなり限られるでしょう。そのため、大半の人は返礼品を受け取っても特に確定申告で申告する必要は無いと思って構いません。
ただし年収が高く、どう考えても受け取った返礼品の額が50万円を超えている人もいるでしょう。その場合は自分で金額を計算する必要があります。
一時所得の金額の求め方は、直接寄付をした自治体に問い合わせるか、寄附金額×3割で算出します。(返礼品の原価は3割以下に抑えるよう総務省より要請されています)
原価を問い合わせる際、ふるさと納税サイトに問い合わせても原価はわからないので、必ず自治体に問い合わせてください。
また、ふるさと納税で返礼品ではなく、ふるさと納税サイトのポイントを選択する人もいるでしょう。
ポイントの場合、ポイントが付与されるタイミングによってその年の申告対象か、翌年の申告対象か変わります。
申告タイミングに関しても税務署によって判断基準が異なります。
そのため、ポイント制でポイントが50万円分以上になる場合は確定申告の際にお住まいの自治体に問い合わせてください。
なお、「楽天ふるさと納税」のサイトを活用しふるさと納税を行うと、寄付した金額に対して楽天ポイントが貰えますが、この付与されたポイントは非課税ですので覚えておきましょう。
フリーランス(個人事業主)の確定申告時の方法は、まず限度額を確認したうえで寄付を行い、実際にふるさと納税を行って返礼品を受け取ります。
その後に確定申告を行うことになりますが、先ほど紹介した通り事業主貸として処理して、確定申告書の寄付金控除欄には寄付金−2,000円の金額を記載します。
また、ふるさと納税では所得税だけでなく住民税も控除の対象となります。
住民税に関しては特に申告は必要なく、確定申告を済ませれば次の年の住民税から控除が適用されます。
確定申告の主な手続きは以下の通り。ただ、ふるさと納税を行うにあたっては注意しなければいけないことが2点あります。
注意点を理解していないと税額控除のメリットが受けられないことも。
それではふるさと納税を行うにあたって把握しておきたい注意点を確認しましょう。
確定申告の際にふるさと納税分の控除を受けるには、寄付金受領証明書が必要となります。
寄付金受領証明書は目安として寄付から1ヶ月後程度のタイミングで届きます。
年末など自治体の繁忙期に寄付をした場合発送が遅れたり、忘れられていたりすることもあるので、届くのが遅いと感じたらすぐに問い合わせましょう。
ちなみにふるさと納税サイトでは、自分で寄付金受領証明書に代わる「寄附金控除に関する証明書」を出力できるサービスが増えてきています。
複数の自治体に寄付した場合や、寄付してから時間が経過している場合、寄付金受領証明書を失くしてしまうこともあるでしょう。
そんなときにインターネット上で寄附金控除に関する証明書を管理すれば失くす心配がなくなるので、ぜひ活用してみてください。
寄附金控除に関する証明書は電子発行と書面発行(郵送)、どちらの提出方法にも対応しています。
ふるさと納税は年収に応じて限度額が定められています。限度額は総所得額の30%。
万が一限度額を超えた金額を寄付してしまった場合、その分は控除の対象にならず、自己負担となります。
ふるさと納税は実質2,000円で返礼品を受け取れるのが魅力的ですが、限度額をオーバーしてしまうと損です。
ふるさとチョイスなどふるさと納税サイトなどで限度額を簡単に算出できるので、必ず限度額を把握したうえでふるさと納税を利用してください。
また、特に気をつけなければいけないのが配偶者控除や医療費控除、iDeCoなどを利用する場合です。
これらは節税効果がありますが、控除を活用して所得を減らすことによって所得税を減らす仕組みでしょう。
それに対してふるさと納税は所得の金額に応じて限度額が変動するものです。つまり控除を使いすぎると、ふるさと納税の限度額も下がってしまいます。
そのため、これらの制度を併用したうえでふるさと納税もする場合はバランスを考えて確定申告をしてください。
法人(企業)もふるさと納税をすることは可能です。
ただし、通常のふるさと納税とは仕組みが異なり、名称も「地方創生応援税制」です。
通常のふるさと納税との大きな違いは、企業版のふるさと納税だと返礼品が無い点でしょう。
その代わり地方の自治体に寄付をした際に最大9割の法人住民税・法人事業税・法人税の控除が受けられます。
ただし、法人版ふるさと納税は今のところ令和6年までと期限が決められています。
延長される可能性もありますが、永久的に続く制度ではないので、使えるうちに活用しましょう。
法人版ふるさと納税は「特定寄附金」に分類されます。
法人(企業)を経営していると自治体に寄付をすることもあるでしょう。法人版ふるさと納税もそのときと同じように、全額損金として処理します。
帳簿の書き方は以下の通り。
借方 |
金額 | 貸方 |
金額 |
寄付金 |
100,000 | 預金 |
100,000 |
借方に寄付金、貸方に預金、金額欄に寄附金額を記入すれば問題ありません。
法人版ふるさと納税は通常のふるさと納税とは異なる部分があることから、注意しなければいけないことがあります。
まず法人版ふるさと納税で寄付ができる自治体には制限が設けられています。
法人の本社がある自治体や不交付団体である東京都、不交付団体で三大都市圏の既成市街地等に所在する市区町村(東京23区や神奈川県横浜市、川崎市など)すでに栄えている地域などは対象外です。
法人版ふるさと納税を行ったところでリターンは一切ありません。
寄付を行った企業に対して優遇を行うなどといった行為は禁止されているので、ただ取り組みに興味がある自治体に対して寄付を行ってください。
また、法人版ふるさと納税は寄附金額に上限と下限が設けられています。
下限は10万円、上限は法人税額の5%です。それ以上は寄付しても控除の対象外となってしまうので注意してください。
法人税申告書の別表6(20)の「認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除に関する明細書」を添付します。
返礼品を受け取れるだけでなく、所得税・住民税の控除も受けられてとてもお得なふるさと納税。
フリーランスでも帳簿の書き方や申告方法は難しくないので、ぜひふるさと納税を活用して節税をしましょう。
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