合同会社とは?フリーランスが設立するメリットや手続き方法、株式会社との違いを解説

フリーランス常識起業・開業

2022.07.01

そろそろ法人化しようと思っているものの、合同会社にすべきか株式会社にすべきか分からず悩んでいるフリーランス(個人事業主)の方もいるかと思います。

合同会社は株式会社とは資金調達方法や会社設立費用などが異なります。
合同会社について詳しく知らないまま法人化してしまうと、後で後悔するかもしれません。

本記事では合同会社の基礎知識について解説します。
株式会社との違いや合同会社のメリット・デメリット、合同会社設立の流れについてまとめました。

合同会社設立を検討しているフリーランス(個人事業主)の方は参考にしてください。

 

 

 

1.合同会社とは


合同会社とは新しく導入された会社の形態のことです

会社は大きく、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4つの形態に分かれています。

 

元々会社の形態のには有限会社が入っていたのですが、2006年に施行された会社法で廃止され、新たに合同会社が導入されました。

合同会社の特徴は、出資者と経営者が同じである点です。

 

会社に出資した人の全員が合同会社の社員ということになります。

一方で、株式会社は出資者と経営者が分離されており、出資者は株主と呼ばれています。

 

株主は会社の経営を経営者に任せており、ここが合同会社と異なる点です。

合同会社は、株式会社同様1人でも法人登記を行えば設立することができます。

 

フリーランス(個人事業主)の方が合同会社を立ち上げる事例も多くあります。

 

有限責任とは

合同会社と株式会社には共通している点もあります。

出資者が無限責任ではなく有限責任を負うということです

 

有限責任の場合、会社が倒産した場合出資したお金は戻ってきませんが、それ以上責任を負う必要はないため、借金を抱えるリスクはありません。

文字通り出資者の責任は有限ということです。

 

一方無限責任の場合、会社が倒産した場合出資者も借金を返済する義務が発生します。

つまり、無限責任の方が出資のリスクが高く、気軽に出資できなくなります。

 

出資側が無限責任を負う形態は、合名会社と合資会社の2つです。

合名会社は無限責任を負う出資者のみで構成されており、合資会社は無限責任・有限責任出資者の両方で構成されています。

 

無限責任はリスクが高く、出資する人が少なくなってしまうため、現在は合名会社・合資会社は主流ではありません。

大多数の人は会社を設立する場合、株式会社と合同会社のどちらかを選択します。

 

 

 

2.合同会社と株式会社の違い


合同会社と株式会社は出資者が有限責任を負うという点は共通していますが、その他異なる点が多々あります。

そのなかでも合同会社設立前に知っておきたいのは、次の3つに関してです。

 

会社設立費用
代表者
資金調達方法

 

これら3つは合同会社と株式会社で大きく異なりますし、その後の事業運営方法に直接関わってくるため、あらかじめ違いを知っておかないといけません。

 

会社設立費用

合同会社と株式会社では設立にかかる費用が異なります。

株式会社の設立に必要な費用の中でも代表的なものは以下です。

 

登録免許税:15万円〜
定款の認証手数料:3〜5万円
定款の印紙代:4万円(電子定款の場合は不要)

 

一方、合同会社の設立に必要な費用は次のようになっています。

 

登録免許税:6万円〜
定款の印紙代:4万円(電子定款の場合は不要)

 

つまり、株式会社では設立に最低でも18万、合同会社では6万円程度かかるということです。

株式会社の場合認証手数料が3〜5万円かかりますが合同会社の場合は必要ないです。

 

印紙代は株式会社・合同会社ともにかかりますが、電子定款を選択すれば不要です

合同会社の方が設立にかかる費用が少なく、初期費用を抑えたい方におすすめです。

 

さらに、株式会社は決算公告が義務付けられているため、決算公告費が毎年6万円かかります。毎年の決算公告費がかからないのも合同会社のメリットです。

なお、登録免許税について以下のように決められています。

 

株式会社の場合の登録免許税は「資本金の金額×0.7%」が課税標準です。「資本金の金額×0.7%」が15万円に満たない場合、申請件数につき15万円が発生します。

一方、合同会社の場合の登録免許税は「資本金の金額×0.7%」が課税標準です。「資本金の金額×0.7%」が6万円に満たない場合、申請件数につき6万円が発生します。

(参考:国税庁 登録免許税の税額表)

 

 

代表者

合同会社と株式会社では会社の代表者の肩書きが異なります。

株式会社の場合、会社の代表は「代表取締役」を名乗ることができます。

 

合同会社の場合、出資者=社員であるため会社の代表者も社員の1人ということになり、会社の代表者は「代表社員」という扱いになります。

合同会社を設立する場合、「代表取締役」を名乗らないようにしましょう。

 

また、「代表社員」という呼称は認知度が低く、誰が会社の代表なのか取引先に分ってもらえない可能性がある点も注意が必要です。

 

 

資金調達方法

合同会社と株式会社では資金調達方法も異なります。

株式会社の場合、株主から資金を調達することが可能です。

 

一方で合同会社では、株主から資金を調達するという手段がありません。

そのため、合同会社の場合銀行からの融資や国や自治体の助成金を頼りに資金調達することになります。

 

ただし、それらの方法では満足に資金調達できない可能性があります。

 

 

 

 

3.フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立するメリット


フリーランス(個人事業主)として1人で事業を行っている方でも、合同会社を設立するメリットはあります。

フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立するメリットは次の4つです。

 

社会的信頼が増す
所得税が法人税に変わる
経費として認められる範囲が広がる
株式会社に移行することもできる

 

1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。

 

社会的信頼が増す

フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立することで社会的信頼が増します

クレジットカードの審査にも通りやすくなりますし、周囲の人や両親からも法人化し社長となることで安心される傾向があります。

 

クライアントからも信頼されやすくなる可能性があります。

また、業務を外注したり従業員を雇ったりする際も、法人化している方が人材募集しやすいでしょう。

 

 

所得税が法人税に変わる

フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立すると、所得税が法人税に変わり、納めるべき金額が減る可能性があります

所得税の税率は事業所得に比例して上昇します。

 

一方、法人税の税率は「年800万円以下の部分に15%、年800万円超の部分に23.2%」となっており、年800万円を超えても上昇することはありません。

事業所得が多い方は、法人化した方が税金が減る可能性があります。

 

さらに、合同会社の場合株式会社のように決算公告費がかからないため、さらに費用を抑えることが可能です。

ただし、事業所得が少ないと、むしろ税額が増えてしまうので注意してください。

 

 

経費として認められる範囲が広がる

フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立すると、経費として認められる範囲が広がる可能性があります

フリーランス(個人事業主)が経費として申告するものの中には、生活費と事業経費を明確に区分分けしにくいものもあります。

 

そのため、事業に必要なものだと主張しても経費と認められないこともあります。

合同会社を設立して法人となれば、業務行為のほとんどを経費として認められるようになり、節税が可能になります。

 

ただし、法人でもすべてが経費になるわけではなく、事業に使ったものであることが条件です。

完全にプライベートで使ったものはもちろん経費として無効となります。

 

とはいえ、経費で落とせる範囲が広くなるのは大きなことでしょう。

 

 

株式会社に移行することもできる

合同会社から株式会社に移行することが可能です

特に会社の規模が大きくなると、株式会社の方が資金調達などの面で便利なことが増えます。

 

合同会社を株式会社に移行するには、組織変更の手続きを行う必要があります。

決算公告費や会社登記の収入印紙代などの移行費用はかかるので注意しましょう。

 

 

 

4.フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立するデメリット


フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立するデメリットは次の2つです。

 

株式会社よりも信頼性が低い
社会保険への加入が必要

 

状況によっては合同会社を設立しない方が良い場合もあるので注意しましょう。

1つ1つのデメリットについて詳しく解説していきます。

 

株式会社よりも信頼性が低い

合同会社を設立すると、フリーランス(個人事業主)のときよりも信頼性を高めることができますが、株式会社ほど高めることはできません。

株式会社の方が知名度は圧倒的に高く、合同会社という形態を知らない人も多いです。

 

そのため、株式会社の方が契約を勝ち取りやすいなどの傾向はあるでしょう。

ただし、株式会社は設立費用が最低でも18万円程度もかかるのに対し、合同会社は約6万円程度で済みます。

 

信頼を受けやすくなるのと設立費用を天秤にかけて、どちらを選択すべきか決める必要があるでしょう。

 

 

社会保険への加入が必要

合同会社を設立すると、社員が自分1人だけであっても社会保険に加入しなくてはいけません。

社会保険には健康保険・厚生年金保険・介護保険などがあります。

 

所得税が法人税に変わることに加え、これらの費用がかかることも考慮したうえで、合同会社を設立すべきか検討する必要があります。

このデメリットは会社組織を設立する場合であるため、合同会社ではなく株式会社を設立しても社会保険への加入は必要です。

 

 

 

 

5.フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立する流れ


最後に、フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立する流れをまとめました。

 

1.会社設立の前準備
2.定款の作成
3.資本金の払い込み
4.登記に必要な書類を準備
5.会社設立登記

 

フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立する流れは上記の通りです。

株式会社を設立する場合とは少し流れが異なるため注意してください。

 

1つ1つの合同会社設立の流れについて詳しく解説していきます。

 

会社設立の前準備

まず会社を設立するために、会社の基本事項を定めます。

事業の目的や資本金の金額、会社の住所、社員構成、事業年度を整理します。

 

これらの情報は定款を作成する際にも必要です。

また、会社の印鑑もあらかじめ作成しておきましょう。

 

実印・銀行印鑑・角印の3本を用意します。

会社の印鑑も登記する際に必要になります。

 

 

定款の作成

定款とは会社の基本事項や規則、方針などをまとめたものであり、登記する際に提出する必要があります。

定款の提出が義務付けられている理由は、事業の責任の所在を明らかにするのと、会社法に書かれている会社側が守るべき内容を守ると約束させるためです。

 

定款には事業の目的や資本金の金額、会社の住所などを記載する必要があります。

合同会社の場合、株主構成や株式の譲渡制限などを書かなくて良いため、記載内容が多少減ります。

 

また、合同会社の場合は定款作成後の認証が必要ありません。

株式会社の場合必ず認証をもらう必要があり、認証手数料が3〜5万円かかります。

 

 

資本金の払い込み

続いて、資本金の払い込みを行います。

登記を行うには会社の口座に資本金が振り込まれたことを証明する必要があります。

 

ただ、この時点ではまだ会社の口座はないため、個人の口座を会社の口座として使うことになります。

また、資本金の金額は定款に記載した通りにする必要があります。

 

資本金は1円などでも可能ですが、会社としての信用度が下がってしまうなどの問題もあるため、最低でも3ヶ月程度事業を続けられる金額にするのが良いです。

資本金の払い込みを済ませたら、通帳の記録をコピーしておきます。

 

登記の際はこのコピーを提出する必要があります。

なお、法務省の登記統計(2022年4月分)をもとにした合同会社設立時の資本金額の平均は約146万円です。

 

内訳は合同会社の設立登記総件数は3,251件で、総金額は475,313万円(約47.5億円)です。

 

 

登記に必要な書類を準備

続いて、登記に必要な書類を準備します。

合同会社の場合、次の8つの書類が最低でも必要になります。

 

合同会社設立登記申請書
登記用紙と同一の用紙
定款(会社保管用 + 提出用)
代表社員の印鑑証明書
払込証明書(通帳コピーなど)
印鑑届書
定款の収入印紙(電子定款の場合は不要)
登録免許税の領収証書(登録免許税納付用台紙に貼付)

 

定款は印紙税の会社に保存する原本が課税文書となるため、定款の収入印紙を法務局で登記時に4万円で購入する必要があります。

電子定款の場合は収入印紙代はかかりません。

 

登録免許税(6万円〜)も事前に納める必要があります。

納付後、領収証書を「登録免許税納付用台紙」に貼付して提出します。

 

 

会社設立登記

最後に、必要書類を法務局に提出して完了です。

書類を提出した日が会社の設立日となります。

 

登記が完了したら登記完了証が交付されます。

登記が完了するまでには1〜2週間程度かかることが多いです。

 

 

 

 

6.まとめ


本記事では、フリーランス(個人事業主)が合同会社を設立するメリット・デメリットや、合同会社を設立するまでの流れについて解説しました。

合同会社は株式会社に比べ、定款の認証などが必要ない分会社設立費用を抑えることができます。

 

一方、信頼性が株式会社に比べると低いなどデメリットもあります。

フリーランス(個人事業主)が会社を設立する場合タイミングが重要です。

 

現在の事業状況や貯金額、事業の将来性などを見極めて、個人事業主のままでいくのか、合同会社、もしくは株式会社を設立するのか決めましょう。

会社を設立すべきか判断に困る場合、税理士や中小企業診断士などの専門家に相談してみるのがおすすめです。

 

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