公開日:2022.08.11
更新日:2025.03.24
働き方が多様化する現代において、「派遣」や「出向」といった労働形態で仕事をする人も増えています。
派遣や出向は会社や契約の都合で労働環境が大きく変わる点が特徴であり、突然これまでとは違った働き方を求められることも多いです。
そのためなかには派遣や出向で働くことが、自分に合わないと感じることもあるでしょう。
別の環境で働くことが多い派遣と出向は、似ているようでそれぞれに違いがあります。
その違いを把握することが、派遣や出向で働く際には重要なポイントになるでしょう。
本記事では派遣と出向の違いを解説し、働く際の注意点を紹介します。
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<目次>
1.派遣と出向の違いについて
雇用形態の違い
雇用期間における違い
労働時間に関する違い
給与の支払いにおける違い
2.派遣の特徴
自分の求めるライフスタイルで働ける
派遣会社に悩みやトラブルを相談できる
スキルによって収入が大きく変わる
3.出向の特徴
社員の成長のために実施する企業が多い
正社員のままさまざまな企業のことを学べる
基本的に出向の命令は辞退できない
4.派遣および出向を行う際の注意点
労働条件を事前に把握しておく
偽装出向になっていないか確認する
5.派遣と出向の共通点
どちらも労働環境が変わる点が特徴
自分で派遣・出向先を選ぶことはできない
6.フリーランスなら自分の意思で働く場所を選べる
7.まとめ
派遣と出向は、それぞれ用意された派遣先や出向先で働く労働形態です。
別の場所で働くことになる点は同じですが、それ以外には派遣と出向でさまざまな違いがあります。
以下では、派遣と出向の違いを複数の視点から比較します。
派遣と出向は、雇用形態の時点で既に違いがあります。
派遣として働いている従業員は、派遣元である派遣会社に雇用されている形になるのが特徴です。
派遣先の企業で業務を行い、指示や命令も派遣先企業の上司から受けますが、実際にその企業と直接的な雇用関係があるわけではありません。
一方で、出向はその会社に所属したまま、子会社や関連する企業に出向いて仕事をする労働形態です。
同会社内で部署などを変える異動とは違い、勤務する会社そのものが変わってしまうのが出向となっています。
出向には「在籍型出向」と「転籍出向」の2種類があり、どちらを命じられるかで雇用形態が変わります。
具体的には在籍型出向の場合、出向元の企業と雇用契約を結んだまま、同時に出向先の企業とも一部の雇用契約を結びます。
二重の契約が交わされる点が特徴で、他にはない雇用形態になるでしょう。
一方で転籍出向が命じられた場合、まず出向元との契約を解消した上で、出向先と新規で労働契約を結びます。
事実上の「転職」に値するため、その後は出向先の労働条件で仕事をすることになるのが特徴です。
派遣と出向は、雇用期間においてもそれぞれ違いがあります。
派遣の場合は「労働者派遣法」の改正によって、同じ従業員を3年以上同職場・部署で働かせることができない「3年ルール」が制定されています。
そのため従業員は3年間働いたタイミングで職場を変えるか、もしくは同企業内の別の部署などに異動する必要があるのです。
せっかく慣れた職場から強制的に離れなければならない点は、派遣として働く際にはデメリットになり得ます。
しかし、最初から雇用期間が設定されていない「無期雇用派遣」として登録しておけば、雇用期間を気にせず同じ職場で働き続けることが可能です。
また、産前産後休業や育児介護休業などで休む従業員の代わりに働く場合や、期限が設けられているプロジェクトの一員として働く際にも、3年ルールは採用されません。
出向の場合、基本的に雇用期間は法律で定められていません。そのためそれぞれの企業が設定した期間が、出向時の雇用期間として適用されます。
出向の期間は延長・短縮が可能であるため、在籍型出向の場合には予定外のタイミングで出向元の企業に戻る可能性あります。
しかし、出向期間を変更できるのは、あらかじめ出向規定に変更をすることがある点を明示している企業のみです。
不当な出向変更があった場合には、就労規則に出向変更の明示があるか確認してみましょう。
派遣と出向では、労働時間に関する取り決めにも違いがあります。
例えば派遣の場合、労働時間は派遣元の企業と派遣を受け入れる企業が交わす「労働者派遣契約」によって決められます。
具体的な労働時間、休憩時間、休日・休暇の数、有給休暇の取得方法などが、契約時点で全て確定するのです。
派遣元の36協定の範囲内であれば、派遣従業員を時間外労働させることはできますが、基本的には契約で結んだ労働時間を守ることが派遣先企業には求められます。
出向の場合は、出向先企業で決められている労働時間が新たに適用されるケースが多いです。
働き方や業務内容が大きく変わる場合もあるため、これまでとは違うタイミングで働く可能性も考えられます。
在籍型出向の場合には、出向元と契約が継続しているため有給休暇の消化が行えますが、転籍出向の場合には再度出向先と雇用契約を結ぶため、出向元で取得可能だった有給休暇が使えなくなる点に注意が必要です。
派遣と出向は、給与の支払い条件や支払い元も変わります。
派遣従業員は雇用契約を結んでいる派遣元企業から、毎月の給与が支払われます。
まず派遣を受け入れている企業が派遣元企業に従業員の賃金を支払い、そこから必要な経費を差し引いた上で従業員の元に届くのが基本です。
在籍型出向の場合には、出向元と出向先の両方で労働契約を結んでいるため、どちらから給与が支払われても問題ありません。
基本的には出向元と出向先の企業が結ぶ出向契約のなかで、給与を支払う方を決定します。
転籍型出向の場合には、給与を支払うのは出向先の企業です。
給与の金額は出向先の水準に合わせられるため、場合によっては年収の低下につながるケースもあります。
派遣という働き方には、独自の特徴やメリット・デメリットがあります。
以下では、派遣の働き方ならではの特徴について解説します。
派遣は基本的に、自分の求めるライフスタイルで働くことができます。
担当したい職種、勤務時間の長さ、勤務地などの条件をあらかじめこちらから提示できるため、理想的な仕事を探しやすいのが特徴です。
また、雇用契約に含まれる業務以外を命令されることが基本的にないため、自分の仕事に集中しやすいのが派遣の魅力になります。
派遣として働く場合、登録している派遣会社からさまざまなサポートを受けられるのもメリットです。
例えば派遣先で理不尽な扱いや差別を受けている場合などは、派遣会社に相談することで直接派遣を受け入れている会社に是正を促してくれます。
また、契約満了によって派遣先の企業が変わる際にも、派遣会社の担当者と新しい派遣先企業をどこにするか話し合うことが可能です。
派遣会社によっては、派遣従業員のキャリアプランに関する相談にも対応してくれます。
将来的にどのような働き方をしたいのか、どんな職業で働きたいのかといったことを相談することで、それに合わせたキャリアプランを提案してくれるでしょう。
派遣会社によっては、派遣の契約期限がない無期雇用派遣や、直接企業に雇用されることを前提とした紹介予定派遣への移行を勧めてくれるケースもあります。
派遣として働く場合、自分のスキル次第で収入が大きく変わる可能性があります。
特定の資格や経験を持っているかどうかは、派遣における重要な評価基準となります。
そのためスキルを持っている人と持っていない人では、同じ派遣先企業でも収入が異なるケースがあるのです。
派遣として収入アップを狙うのなら、スキルアップを目指して働くことがポイントです。
自分の担当する職種に関係する資格を取得したり、さまざまな企業で業務経験を重ねたりして、スキルを高めていくことも計画してみましょう。
企業から出向する場合にも、独自の特徴およびメリット・デメリットがあります。以下の内容を参考に、出向の特徴をチェックしてみましょう。
出向は一般的に、社員の成長やスキルアップを目的として行われることが多いです。
別の企業で業務を担当することの責任感や、新しい環境の下で新しく関わる人たちと仕事をする経験は、従業員のキャリア形成に大きく影響するでしょう。
そのため特に在籍型出向の場合には、社員を別会社に移動させることで、スキルアップしてほしいという考え方のもと行われます。
また、転籍型出向の場合には、子会社に親会社のノウハウを伝えたり、職場環境を改善させたりといった目的で実行される場合もあります。
親会社と子会社をつなぐ橋渡しとして出向させられるケースもあるため、重要なポジションを担えるのがメリットです。
しかし、人によっては転籍型出向を「左遷」と感じることもあり、モチベーションが低下するケースもみられます。
出向は、正社員という労働形態のままさまざまな企業のことを学べる機会を得られます。
通常正社員として就職した場合、会社から転勤を命じられたり、自分から転職の道を選ばなければ、同じ企業・職場で働き続けることになるでしょう。
それは安定した収入につながりますが、同時に社会人としての経験が足りなくなるリスクにもなり得ます。
しかし、転職にも大きなリスクが付き纏うため、簡単に決断することはできません。
そこで正社員というポジションを維持しつつ、別の企業で業務が行える出向には独自のメリットがあると言えるのです。
給料や福利厚生も基本的に出向前と後で大きく変わることはないため、労働条件の変化に悩まされることも少ないでしょう。
基本的に会社から出向の命令を受けた場合、辞退することはできません。
そのため頑なに拒否し続ける場合、「業務命令違反」として問題になる可能性があります。
一方で、就業規則や労働協約に出向の規定および社員に対する出向命令の可能性が明示されていなければ、出向を辞退可能です。
また、自主退職を促したり、会社が有利になるために社員を出向しようとしたりする場合にも、不当労働行為として禁止事項に該当するため命令を辞退できます。
派遣および出向を行う際には、事前に従業員として注意しておきたいポイントがあります。
以下を参考に、派遣として働く際や出向を命じられた際に確認するべき内容をチェックしておきましょう。
派遣の途中や出向によって労働環境が変わる際には、労働条件を確認することが重要です。
派遣社員は労働条件に明示されていない内容の業務を行う必要はないため、仮に急な仕事を頼まれても拒否する権利があります。
しかし、労働条件を自分で把握していないと、次々と仕事を回されてしまい、負担が大きくなる可能性があるでしょう。
また、出向を命じられた際にも、時間外労働や休日労働などに関する情報を事前に確認し、出向元と出向先におけるルールの違いを把握しておくことがポイントです。
出向先が休日に関係する条件を説明せずに、出向元の会社のルールのまま働かせようとする可能性も懸念されるため、自ら労働条件を把握して問題がある場合には指摘をする必要があります。
偽装出向とは、出向元と出向先に関係性がないにも関わらず、労働力として社員を出向することを意味します。
例えば出向元が出向先から理由のない資金提供を受けていたり、複数企業に繰り返し出向が実施されていたりする場合、出向ではなく「労働者派遣業」に該当すると見なされて偽装出向と認定される可能性があるのです。
偽装出向となれば、派遣法にもとづいて会社に対して処分が下されます。
出向した社員に対して罰則が与えられることはほとんどありませんが、会社として問題のある行為をしていた事実に変わりはないため、そのまま働き続けることには将来的なリスクを抱えることになり得るでしょう。
派遣と出向にはさまざまな違いがある一方で、共通点もいくつかあります。
以下からは、派遣と出向の間で共通している部分について解説します。
派遣と出向は、どちらもさまざまな職場で働くことになるのが共通点です。
派遣先・出向先によって仕事の方法や任される業務が変わるため、柔軟な考え方と仕事に対する理解を深めることが、派遣および出向先で働く際には重要となるでしょう。
労働環境の変化は、ときに大きなストレスの原因となります。
そのため変化に慣れていないと、仕事が辛く感じられる可能性があるでしょう。
派遣と出向は、両方とも自分で具体的な派遣先・出向先を選ぶことはできません。
派遣の場合は条件に合った派遣先を紹介してもらえますが、無数にある派遣先から自由に選択できるわけではありません。
そのため条件にマッチした派遣先がなければ、いつまでも仕事を見つけることができないのです。
無期雇用派遣として働く場合には、雇用期限の制限がなくなる代わりに、派遣会社の命令によって派遣先企業が決められてしまいます。
選択の余地がなくなるため、無期雇用派遣で働く際には注意が必要です。
出向の場合にも、基本的に出向先企業を選択することはできません。
また、原則として出向を辞退することもできないため、出向を命じられた時点で選択肢はなくなってしまいます。
派遣と出向には、多くの違いがあり、同時に共通点があります。
それぞれの特徴を調べてみた結果、「自分には合わないかも」と感じた人もいるのではないでしょうか。
そこでおすすめされるのが、フリーランスという働き方です。
フリーランスであれば自分で働く場所や企業を選べることはもちろん、業務内容も契約時にしっかりと決められます。
自分の求める環境・条件で働ける自由を常に確保できるので、理想的な労働スタイルを実現できるでしょう。
現在派遣として働いている人や会社から出向命令が出た人は、より自由度の高い働き方ができるフリーランスになることも、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
派遣と出向には、上記で解説したようなさまざまな違いがあります。
いずれも労働環境が大きく変わる可能性のある働き方となるため、事前に詳細を確認して自分の性質や考え方にマッチするかチェックしてみるのがおすすめです。
派遣や出向による働き方が向いていないと思う場合には、フリーランスになることも検討しましょう。
フリーランスとして活躍できるスキルがあれば、自分の求める労働環境や就業条件を優先して自由に仕事が探せます。
リモートワークも普及している昨今は、自宅にいながらフリーランスとして活躍している人も増えているため、ワークライフバランスの向上にもつながるでしょう。
この機会にフリーランスになるための方法や、働き方のポイントなどをチェックして、労働スタイルを変える準備をしてみてはいかがでしょうか。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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