二重派遣とは?禁止されている理由や労働者が気をつけるべきことについて解説

転職

2023.02.02

二重派遣という言葉を聞いたことがあるものの、どういう意味なのか具体的に知らない、という方も多いのではないでしょうか。
IT業界でも二重派遣が行われていることはあるので、エンジニアも二重派遣の意味についてしっかり理解し、巻き込まれないように意識しなくてはいけません。

本記事では二重派遣とは何かについて解説します。
二重派遣が違法となる理由、二重派遣に該当する例・しない例などについてまとめました。

本記事を読むことで二重派遣がどういったものか理解できるようになります。
二重派遣について知見を深めたい方はぜひお読みください。

<目次>
1.二重派遣とは?
そもそも派遣とは?
SES契約と派遣契約の違い
2.二重派遣が禁止されている理由
派遣社員の給与が下がってしまうため
責任の所在が不明瞭になるため
労働条件が守られないこともあるため
3.二重派遣に該当する例
取引先に派遣社員を派遣させる
派遣社員を子会社・関連会社に勤務させる
SES契約なのに指揮命令を行っている
4.二重派遣に該当しない例
5.IT業界で二重派遣が起きてしまう理由
SES会社が仲介企業を頼ってしまうため
IT業界全体が人手不足のため
6.二重派遣に巻き込まれないために労働者側がすべきこと
違法な仲介事業を行っていないか確認する
誰の指揮命令で働いているかを意識する
7.まとめ

 

 

 

1.二重派遣とは?


二重派遣とは関連画像
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二重派遣とは、派遣契約によって自社で働いている社員を他の企業にさらに派遣することです。

二重派遣は法律で禁止されており、発覚した場合罰則もあります。

 

派遣社員を他企業に再派遣した企業と、二重派遣と知りながらその契約を受け入れた企業が、罰則対象です。

二重派遣と知らずに受け入れた場合は、罰則対象にはなりません。

 

IT業界やWeb業界などは、二重派遣が起こりやすいと言われています。

エンジニア側は、二重派遣を行う企業、もしくは受け入れる企業への転職を避ける必要があります。

 

そもそも派遣とは?

派遣とは、派遣契約によって社員を他企業に出向させることです。

派遣契約の場合、社員は他企業の指示に従って仕事を進めていきます。

 

他企業に社員を派遣する企業は、派遣会社と呼ばれています。

派遣会社は他企業との契約交渉を始め、社員の育成や労働サポートなどを行います。

 

 

SES契約と派遣契約の違い

二重派遣に該当するかどうかを判別するには、SES契約と派遣契約の違いを理解する必要があります。

SES契約と派遣契約の違いは、指揮命令権がどこにあるかです。

 

派遣契約では指揮命令権は客先企業側にありますが、SES契約の場合はSES企業側にあります。

SES契約において客先の企業はエンジニアに業務の細かい指示や残業命令などを出すことができません。

 

しかし、この規則を破っている企業も中には存在します。

SES契約にも関わらずエンジニアに直接指示を出している企業、それを黙認しているSES企業があります。

 

この場合偽装請負と見做され、罰則が生じる可能性もあります。

 

 

 

 

2.二重派遣が禁止されている理由


二重派遣とは関連画像
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二重派遣は法律で禁止となっています。

二重派遣が違法となる理由は次の3つに分けられます。

 

派遣社員の給与が下がってしまうため
責任の所在が分からなくなるため
労働条件が守られないこともあるため

 

各理由について詳しく解説していきます。

 

派遣社員の給与が下がってしまうため

派遣社員の給与を守るために、二重派遣は禁止されています。

二重派遣を行う場合、契約を仲介する企業に仲介料を取られるため、派遣会社の収入が減ってしまいます。

 

その分、派遣社員の給与が下がってしまうことになります。

 

 

責任の所在が不明瞭になるため

二重派遣を許可すると、派遣社員の雇用責任がどの企業にあるのか不明瞭になってしまいます。

たとえば、派遣社員が業務で怪我をした場合、誰が責任を取るかで揉める可能性があります。

 

責任の所在が不明瞭になった結果、派遣社員が不利益を被ることもあるでしょう。

 

 

労働条件が守られないこともあるため

二重派遣を行うと、給与や労働時間などの条件が守られなくなる可能性もあります。

二重派遣によって正しい契約内容がよく分からなくなるためです。

 

労働条件が守られないと、長時間労働が発生したり契約外の業務を依頼されたりすることもあるでしょう。

やはり派遣社員の負担が増えてしまうため、二重派遣は禁止されています。

 

 

 

3.二重派遣に該当する例


二重派遣とは関連画像
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二重派遣の意味は理解したものの、具体的にどういった場合に二重派遣に該当するのか分からないという方もいるのではないかと思います。

そこで、二重派遣に該当する具体例について解説します。

 

次の3つのような場合は、二重派遣に該当します。

 

取引先に派遣社員を派遣させる
派遣社員を子会社・関連会社に勤務させる
SES契約なのに指揮命令を行っている

 

各例について詳しく解説していきます。

 

取引先に派遣社員を派遣させる

取引先に「社員を派遣して欲しい」と依頼され、断れないために二重派遣を行ってしまう場合があります。

社内の仕事が回らなくなるため、自社の社員を出向させることは難しい場合もあります。

 

そこで仕方なく、本来外部に所属するはずの派遣社員を取引先に派遣してしまう企業があります。

この場合二重派遣に該当し、取引先に派遣した企業は違反となります。

 

 

派遣社員を子会社・関連会社に勤務させる

派遣社員を子会社や関連会社に勤務させるのも、二重派遣に該当します。

子会社は別の企業であり、派遣会社は子会社と契約を結んでいるわけではありません。

 

そのため、この場合も二重派遣に該当してしまいます。

子会社に人手が不足しており、人材を流動させる親会社もありますが、違法性がないか注意が必要です。

 

 

SES契約なのに指揮命令を行っている

派遣社員をSES契約によって他社に出向させるのは、二重派遣にはなりません。

しかしSES契約にも関わらず、指揮命令を他社が行っている場合、二重派遣に該当する可能性があります。

 

この場合、二重派遣だけでなく偽装請負にも該当するため、注意が必要でしょう。

 

 

 

4.二重派遣に該当しない例


二重派遣とは関連画像
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外部に在籍するはずの社員を派遣契約によって他社に出向させるのは、二重派遣に該当します。

裏を返せば、以下のような場合は二重契約には該当しないと言えます。

 

派遣契約にて自社で働いている社員を、SES契約にて他社に出向させる
SES契約にて自社で働いている社員を、派遣契約にて他社に出向させる
SES契約にて自社で働いている社員を、SES契約にて他社に出向させる

 

こういった場合、派遣契約が二重に行われているわけではないため、法律上は問題ありません。

とはいえこのようなパターンでも、仲介企業にマージンを取られてしまい社員の給与が下がってしまう、などさまざまな問題点が挙げられています。

 

特に、SES契約が三次請け、四次請けの場合、違法ではないものの、給与が大きく下がってしまいます。

転職する際はこういった問題があることに留意しておくべきでしょう。

 

 

 

 

5.IT業界で二重派遣が起きてしまう理由


二重派遣とは関連画像
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二重派遣はIT業界でも発生してしまう場合があります。

二重派遣が起きてしまう理由としては、次の2つが挙げられます。

 

SES会社が仲介企業を頼ってしまうため
IT業界全体が人手不足のため

 

1つ1つの理由について詳しく解説していきます。

 

派遣会社が仲介企業を頼ってしまうため

派遣会社は営業を行い、他企業と契約を結ぶ必要があります。

派遣会社の営業力が欠けていたり、他企業とのパイプが太くなかったりすると、案件を獲得できなくなります。

 

そこで仲介会社と契約し、仲介会社経由で他企業と契約を結ぼうと考える派遣会社もあります。

仲介会社と派遣契約を結び、さらに仲介会社も他企業と派遣契約を結ぶと、二重契約となってしまいます。

 

営業力がないために、二重契約を容認する仲介会社と契約してしまう企業があります。

 

 

IT業界全体が人手不足のため

IT業界は人手不足の傾向があり、二重派遣なしではエンジニアを確保できない企業も多いです。

社内にエンジニアがいない場合、派遣会社からエンジニアを調達することになります。

 

しかしそれでもエンジニアが足りない場合、二重派遣でも関係なしに契約する企業もあります。

二重派遣をなくすには、派遣する側と受け入れる側双方が、法令順守意識を高める必要があるでしょう。

 

 

 

6.二重派遣に巻き込まれないために労働者側がすべきこと


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二重派遣は違法ですので、二重派遣を行っている企業には転職しないことが大切です。

また、現在勤めている企業が二重派遣を行っていると分かった場合、法律違反に加担しないためにも速やかに退職することをおすすめします。

 

ただ、従業員が気が付かないうちに二重派遣が行われていることもあります。

二重派遣に巻き込まれないためにも、次の2つは意識することが大切です。

 

違法な仲介事業を行っていないか確認する
誰の指揮命令で働いているかを意識する

 

違法な仲介事業を行っていないか確認する

転職前に、違法な仲介事業を行っていないか確認することが大切です。

派遣社員を他の企業に、SES契約ではなく派遣契約によって出向させるのは違法です。

 

また、SES契約のはずなのに出向先が指揮命令を行っている場合も違法となります。

このような企業への転職は避けるべきでしょう。

 

転職前に事業内容や会社の評判などを調べたり、転職エージェントの担当者に調査してもらったりして、二重派遣を行っていないか確認する必要があります。

 

 

誰の指揮命令で働いているかを意識する

エンジニア側は、誰の指揮命令で動いているかを常に意識することが大切です。

SES契約にも関わらず、出向先の指示で働いている場合、二重派遣や偽装請負に該当する可能性があります。

 

たとえば、出向先に残業や休日出勤を求められたり、契約外の業務を依頼されたりした場合、注意が必要です。

 

 

 

 

7.まとめ


本記事では、二重派遣とは何かについて解説しました。

どういった場合のときに二重派遣に該当するのか、などご理解いただけたかと思います。

 

二重派遣は違法ですので、二重派遣を行っている企業には転職してはいけません。

このような企業に転職してしまうと、給与が不当に低くなるなど、労働者側も不利益を被る可能性もあります。

 

特にSES企業に転職する場合、二重派遣や偽装請負には気をつけるべきです。

出向先の指揮命令で働いた場合、偽装請負に該当する可能性があるため、誰の指揮命令で動いているかを常に意識することが重要でしょう。

 

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