公開日:2023.02.21
更新日:2025.03.24
偽装請負は法律違反となり、罰則の対象となる行為です。
実際に法律のことがよくわかっておらず、エンジニアとして普通に働いていたはずなのに「実は法律違反で罰則の対象だったという形で仕事を失う」となれば、非常に困ってしまいます。
これからフリーランスエンジニアになりたい、または客先常駐で働きたいエンジニアの方が最も注意すべきことですので、知らず知らずのうちに偽装請負にならないよう理解を深めておきましょう。
今回は偽装請負に関する基礎知識、偽装請負によるエンジニア側のリスク、偽装請負による法令違反や罰則の対象とならないための注意点についてお話しします。
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<目次>
1.偽装請負に関する基礎知識
偽装請負とは何か
なぜ、偽装請負が発生してしまうのか
なぜ、偽装請負が法令違反や罰則になるのか
偽装請負と準委任の違い
派遣元が違反や罰則を理解した上で偽装請負する悪質なケースも
2.偽装請負によるエンジニア側のリスク
法令違反となり仕事を失うリスク
本来得られるはずだった正当な報酬が得られない
偽装請負をさせるような雇用主はブラックである可能性が高い
偽装請負以外の何らかの法的リスクがある可能性も高い
契約内容によっては不利益や思わぬ責任を取らされる可能性もある
3.偽装請負による法令違反や罰則の対象とならないための注意点
雇用関係や契約の内容をしっかりと精査する
指揮命令系統についてしっかりと精査する
契約前に偽装請負だと気付いたら絶対に契約しない
エンジニア自身が法令違反となる行動を起こさない
トラブルに巻き込まれないためにも早めに法律の専門家に相談する
4.まとめ
はじめに偽装請負に関する基礎知識について解説します。
前提として業務請負契約での発注者と労働者の関係性において、直接的に指示や命令をすることは認められていません。
直接的に指示や命令をするためには、直接雇用契約を結ぶか、労働者派遣契約をする必要があります。
そして偽装請負とは、業務請負契約を結んでいる労働者に対し、直接的に指示や命令をすることを意味し、本来であれば労働者派遣契約をしなければならないため、法律違反になってしまうのです。
偽装請負は発注者と労働者の両方に罰則があるため、働く側としても知らなかったでは済まされない問題といえます。
実際に法律についてよく分かっていない場合、契約して働く段階になっても気がつきにくいため、労働者側が騙されて働いてしまうケースが後を絶ちません。
もちろん、基本的には発注者や雇用者が悪意を持っている場合に偽装請負が発生しますが、労働者側にとって何かしらの利点がある場合においても偽装請負になってしまうので、お互いが隠ぺいをしてしまうことで発覚しにくいということも問題となっています。
偽装請負が発生してしまう理由として、労働者派遣契約の場合は法律で保護されますが、請負契約の場合は労働者派遣契約よりも保護がされにくいことが挙げられます。
例えば、労働者派遣契約で働く労働者は簡単に解雇することはできません。
しかし、請負契約の場合は法律で保護されていないために、簡単に契約を打ち切ることができます。
しかし、前述したように本来であれば請負契約で働く労働者に対して、直接的に指示や命令をすることはできません。
発注者や雇用主からすれば、いつでも解雇できて、その上で指示や命令を出来る方が都合が良いため、結果として偽装請負が発生してしまうのです。
同時に本来の請負契約であれば、労働者が直接的に報酬を得ることができますが、派遣元を仲介することで中間の手数料を取られてしまうことも理由として挙げられます。
いわゆる中間搾取と呼ばれる行為であり、労働基準法に違反している状況です。
発注元である雇用主や派遣元の利益は売上のために、労働者側が少ない報酬で、成果物を完成させるという責任を負いながら働くことになってしまいます。
結果として発注元である雇用主や派遣元の都合のよい人材のやり取りが実現してしまうのです。
なぜ、偽装請負が法令違反や罰則になるのか、それは労働者の労働者の立場が弱いため、法律によって保護しなければ、発注者や雇用者に都合よく労働力を搾取されてしまうためです。
同様に偽装請負契約の場合は、何かあった時の責任の所在が労働者側にあり、場合によっては損害賠償を請求されてしまうことも考えられます。
現実問題として必要な時に必要な労働力が欲しいというのは、発注者や雇用主にとって都合が良すぎますし、労働者側からすれば都合よく切り捨てられてしまえば生活が出来なくなってしまいます。
そのため、法律によって労働者を保護し違反をしたら罰則という強い形にしておかなければ、労働者の立場が弱いままになってしまうため、法令違反や罰則になるよう規定されているのです。
正規の労働者派遣事業として、正規の手順で労働者派遣をすれば良いのに、正規の手順では派遣元や発注元の雇用主の都合が悪いため、結果として偽装請負に発展してしまうともいえるでしょう。
請負契約は基本的に成果物の完成が契約の条件であり、期日や納期を守ることで報酬を得る流れです。
準委任契約の場合は成果物の完成が条件ではなく、特定の業務を遂行することが条件であり、一定の期間業務を遂行することで報酬が得られます。
同時に請負契約の場合は成果物を完成させるために、発注者が指示や命令を出すことはできません。
準委任契約の場合も同様であり、特定の業務を遂行する中で指示や命令をされることはなく、労働者側の裁量や判断で業務を遂行していくことができます。
エンジニアで例えるとすれば、要件を満たすプログラムを開発するのが請負契約、プロジェクトの中で特定の業務のみ担当するのが準委任契約と覚えておくと良いでしょう。
その上で偽装請負と準委任の違いを比べてみると、準委任契約の場合は指示や命令はできないとしても、条件の変更などがあればエンジニアはそれに合わせる必要が出てきます。
偽装請負の場合は成果物の完成に対して本来であれば指示や命令できないのに、その都度、条件の変更や仕様が変わったという場合において指示や命令をしてしまうため、法令違反ではあるものの非常に都合のよい存在になってしまうのです。
労働者を派遣する事業者においても、実際には労働者を派遣する認可や許可がないために偽装請負をさせている悪質なケースもあります。
労働者派遣事業として認められていないのに、実質的には偽装請負によって労働者派遣をしているということです。
現実問題として労働者側も全ての法律に詳しいという人はほとんどいません。
そのため、生活するために稼ごうとすればいろんな方法で働き口を探します。
実際に初めて転職するという人の中には、転職活動に疲れてしまうことで、働ければ何でもよいと契約の内容を精査せず働き始めてしまう人も存在します。
偽装請負契約によって、成果物の完成に対する責任を負いながら、場合によっては損害賠償などのリスクも内包しつつ、不利な立場を受け入れてしまいます。
結果として、少しでも早くお金を稼ぎたい労働者と都合良く働いてくれる人材が欲しい派遣元や雇用主がマッチングしてしまうため、偽装請負を防ぎきれないのです。
次に偽装請負によるエンジニア側のリスクについて解説します。
偽装請負によるエンジニア側のリスクとして、前述したように法令違反となり派遣元や派遣先の雇用主が罰則の対象になることが挙げられます。
・労働者派遣法
・職業安定法
・労働基準法
上記の法律や法令に違反してしまうため、場合によっては仕事を失ってしまうということです。
直接的に労働者側であるエンジニアが罰則の対象にはならないとしても、仕事を失うということは収入を失うということでもあり、簡単に受けられることではありません。
同様にスキルアップやキャリアアップのために働いていたはずが、法律に違反しているということが分かれば、エンジニアとして働くモチベーションも下がりますし、業界に対する信頼や安心も失ってしまうでしょう。
結果的にエンジニアとして長く働き続けたいという気持ちが薄れてしまい、キャリア形成をゼロから考えなくてはならなくなるのです。
前述したように派遣元を通すことで、中間搾取が行われてしまえば本来得られるはずだった正当な報酬が得られないというリスクがあります。
実際には派遣元に支払われている額を貰えたはずなのに、派遣元が大幅に搾取していれば、当然のことながらエンジニアとして得られる報酬が下がるということです。
現実問題として、エンジニアの実績やスキルによっては、それなりの報酬や年収を貰うべきであり、実績やスキルに伴わない金額で働くこと自体がリスクとも言えます。
同様に生涯年収という視点から考えてみると、エンジニアとしての実績やスキルに見合わない金額で働いた時期が一時的でもあるのは非常にもったいないです。
もちろん、知らず知らずのうちに偽装請負だった、報酬が低いことも分かっていたが生活の為には仕方がなかったということもあるかもしれませんが、結果として自分の身に降りかかることを考えると偽装請負は絶対に避けるべきということは断言できます。
そもそも、偽装請負をさせるような雇用主はブラックである可能性も高いです。
職場環境が悪いからどんどん離職や退職をされてしまい、企業や組織を維持するために違法な偽装請負をするということも考えられるでしょう。
同様に正社員や労働者派遣契約よりも、偽装請負の方が安く済む可能性が高いため、結果として人件費が削減され、削減されたコストがそのまま利益になるということです。
実際には偽装請負をさせるような雇用主においても、その先にクライアントがいるはずです。
クライアントからの報酬を少しでも減らさずに手元に残したい、しかし、正社員や労働者派遣は高い、それなら偽装請負で直接命令してしまえば良いと考えること自体が非常にブラックともいえるでしょう。
もしかしたら、サービス残業や休日出勤が当たり前かもしれない。
その分法令違反となり仕事を失う可能性があるのお金ももらえないかもしれない。
心身の負担に対してエンジニアが体を壊したとしても、一切の補償がないことを考えると、偽装請負をすべきではないということは明白です。
偽装請負をするという選択肢を選ぶような雇用主の場合、偽装請負以外の何らかの法的なリスクがある可能性も高いです。
もしかしたら、知らないうちに違法な行為をさせられていた、通常の業務や作業と思っていたら実は対応しなくても良い部分まで仕事をさせられていたということも考えられるのです。
結果として労働者側であるエンジニア自身が法的なリスクを負わなければならなくなり、責任を取らなければならないという状況に陥ってしまいます。
誠実に働いているつもりが、雇用主の性質や現在の状況の不当性が分かっておらず、エンジニアとしての成長どころか、お金のためだけに働いていたということにもなりかねません。
現実問題として法的なリスクがそのまま犯罪者になってしまうというリスクになる可能性もあるため、偽装請負はエンジニアにとって何一つ特にならないということを覚えておくべきです。
偽装請負であっても、請負契約であるということに変わりはありません。
そのため契約の内容によっては、不利益が思わぬ責任を取らされる可能性もあります。
例えば、違法行為とは知らずに何かの作業や業務を担っており、事件として発覚した時に損害賠償を受ける可能性も考えられるのです。
その他にも請負契約の内容として、成果物の完成、納期までの納品、求めるクオリティの達成なども含まれることで、結果的に違法な雇用主のその先の正規のクライアントから損害賠償を受ければエンジニア個人の責任として流れにくい可能性が高くなってしまいます。
同様に請負契約であれば指示や命令は受ける必要はないのに偽装請負のために指示や命令を受けて、その指示や命令が原因で不具合やエラーがあったとしても、エンジニアが責任を取らなければならないということも考えられるでしょう。
次に偽装請負による法令違反や罰則の対象とならないための注意点について解説します。
前提として雇用関係や契約内容をしっかりと精査しましょう。
よくわからないまま話が進まないように、複数のエージェントや検索サイトなどをチェックし、ひとつの案件が契約だけで判断しないことが大切です。
特に派遣会社と契約するのに、なぜか請負契約だったと言ったようなことがないように注意してください。
同様に「エンジニアとしてどんな仕事をするのか」ということをしっかりと理解し、明らかに成果物の完成や納期までの納品という形になっていれば請負契約ではないかと疑いましょう。
同様に責任の区分についても見ておくべきです。
もちろん、どのような契約であってもエンジニア側の責任になる部分もありますので、明らかに逸脱したような責任を取らせ方や損害賠償などの項目については目を通しておく事をおすすめします。
その他にも直接的に成果物の納品というような形ではなくても、結果的に割り振られた仕事が成果物の納品、すなわち請負契約と同じような状況も考えられます。
請負契約の場合は直接の契約になることを忘れず、派遣元を通した請負契約は 偽装請負であるということを覚えといてください。
契約書の内容によっては、労働者派遣のような形に見えて請負契約だった、もしくは準委任契約だったということも考えられます。
指揮命令系統がどうなっているのかをしっかりとチェックし、何をして報酬を貰うのかという部分を明確にしましょう。
同様に契約書の内容によらず、実務の現場において指示や命令が行われることがあります。
実際に働いてみると細かな指示や命令については、業務や作業の区分が難しい場合もあるため、エンジニア側が引き受けてしまいがちです。
結果的に良かれと思って引き受けたら、実は偽装請負契約のような働き方をしているような状況に陥ってしまいます。
指示や命令を受けたタイミングで派遣元に問い合わせてみるか、場合によっては法律の専門家などに相談して、契約の内容と実態が異なっている部分について、どうすべきか判断を仰ぐと良いでしょう。
契約前に偽装請負だと気がついたら、絶対に契約をしないということも忘れてはいけません。
現実問題として今すぐに転職したい、もしくは収入が途絶えていて早く働きたいというような状況下ですと、正常な判断ができなくなることもあります。
結果としてつなぎのような形で偽装請負で契約をしてしまい、ブラックな環境に引き込まれてしまえば逃げ出しにくくなります。
偽装請負は派遣元や雇用主がブラックである可能性があること、他にも違法な行為をしている可能性があることを理解し、なるべく契約前に選択肢から排除することが重要です。
前述したようにいくつか候補や選択肢を見つけておくこと、情報収集を行って偽装請負を行っているような派遣元や雇用先でないか調べることも忘れないようにしましょう。
同様に偽装請負に引っかかりそうになったタイミングとは、エンジニアとしての働き方を見直す良い機会でもあります。
正社員を目指すのはどうか、派遣社員はどうか、フリーランスエンジニアはどうなのかといった形で働き方の選択肢も増やしておくと良いでしょう。
エンジニアがフリーランスエンジニアとして、様々な法律を理解した上で請負契約をすることもあるでしょう。
もしくは準委任契約という形で働きやすい環境を手に入れたい、短期間でもスキルアップに繋がるような仕事を続けたいということもあるかもしれません。
そんな中、案件を取るために必死になっていると、クライアント側の要望に対応しなければ仕事がもらえないという風に焦ってしまうこともあります。
エンジニア職しか経験がなかった場合、営業や経理など全ての作業や業務も行いながら、案件を途絶えさせることなく仕事をするというのはなかなか難しいこともあるのです。
なかなか仕事が取れない、一時的にでも収入が下がるのが困ると言ったようなネガティブな環境になると、エンジニア自身が偽装請負と同じことをしてしまうかもしれません。
言い換えればエンジニアとしての良心や弱みにつけこまれるのも偽装請負の手口ですので、契約以上のことはしないということは肝に銘じておきましょう。
偽装請負の一番恐ろしいことは、何らかの形で損害賠償を受けてしまうことです。
その他にも不法行為を手伝うようなことをさせられてしまえば、犯罪者になってしまう可能性もあります。
誠実に働いたつもりがトラブルに巻き込まれて、結果的にネガティブなレッテルや実績が残ってしまうようであれば、エンジニアとして働き続けることは難しくなってしまいます。
「明らかに契約と異なる作業や業務をさせられている」「明らかにエンジニア自身が不利になるような契約だった」や直接的には犯罪行為ではないにしても、延長線上に犯罪行為があるかもしれないと言ったようなことを感じた時点で、すぐに法律の専門家にどのように対処すべきか相談しましょう。
その他にも派遣先である雇用主が、その先のクライアントからの要求をエンジニアに丸投げして、成果物が出来なかったら責任を取らせるという悪質なことも考えられます。
明らかに作業や業務の範囲が逸脱している、もしくは現在の環境では人材的にも時間的にも成果物の完成が困難だと感じた場合においても、違法な契約を打ち切るためにも、専門家に相談してトラブルに巻き込まれないようにしましょう。
今回は偽装請負に関する基礎知識、偽装請負によるエンジニア側のリスク、偽装請負による法令違反や罰則の対象とならないための注意点についてお話ししました。
偽装請負は思わぬリスクが発生するだけでなく、明らかに法律に違反している行為でもあり、真っ当な働き方とは言えません。
本来、雇用主が取るべき責任を取らず、真面目に働こうとしているエンジニアの労働力を搾取している行為でもあります。
そのため、何かあった時に責任を取らされたり、実は正当な報酬を受け取れていなかったりするようなことになれば、エンジニアとしての成長どころではなくなってしまうでしょう。
エンジニアとして長く働き続けたいとお考えであれば、しっかりと法律や法令についても学んでおき、自分で自分の身を守れるようにしておくことが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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