エンジニアは残業時間が多い?日本の平均残業時間や現在の残業規制を解説!

市場動向分析

2021.12.06

エンジニアとして働く皆さんは普段どの程度残業をしていますか?
エンジニア職種や仕事内容、個人のスキルやノウハウによっても、作業スピードやかかる時間は違うため、残業する時間も違いますよね。


今回は、「エンジニアの残業実態」に焦点を当てながら解説します。

・エンジニアの残業実態について
・フリーランスの残業実態について
・サラリーマンの残業実態について
・働き方改革で変わった残業時間規制でエンジニアが受ける影響について
・万が一エンジニアが法定残業時間を超えてしまうとどうなるのかについて
・36協定とは何か


エンジニア職は世間的に残業が多いイメージがありますが、それはあくまで世論であり、信憑性がありません。


本記事では、エンジニアの残業実態や他業種と比較した際の残業量について具体的なデータを用いながら、その信憑性を確かめていこうと思います。

エンジニアとして活躍をしている方や今後エンジニアを検討している会社員/学生は是非ご一読ください。

 

 

 

1.エンジニアの残業実態


エンジニアの残業関連画像
エンジニアの残業関連画像

IT業界の中でも将来性が高いエンジニア職種ですが、「エンジニア」といえば残業が多く、きつい仕事の代名詞というイメージを持たれやすいですよね。

しかし、本当にそうなのでしょうか?

 

ここでは、そんなエンジニアの残業実態について具体的なデータを用いながらその実情を確かめていきたいと思います。

 

エンジニアの平均残業時間

エンジニアの平均残業時間を調査すべく、今回は株式会社Geeglyで実施された「IT業界における「残業」に関するアンケート」をもとに、IT業界における「長時間労働」の実情を解明していきたいと思います。

 

『アンケート概要』
調査対象:20代~40代の男性・女性
回答数:334名
調査内容:IT業界に携わる方の1か月の残業時間について調査

 

【表① | 残業時間帯別の人数】

エンジニアの残業関連画像
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【表① | 残業時間帯別の人数】はIT業界の方の1ヶ月の残業時間の内訳です。

調査の結果、IT業界の1か月あたりの平均残業時間は「23.2時間」となっています。

この数値が他の職種と比べて多いのか少ないのかに関しては、後ほど解説します。

 

 

【表② | 職種別残業時間平均】

 

エンジニアの残業関連画像
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【表② | 職種別残業時間平均】は職種別の平均残業時間についてのグラフです。

 

IT系のほどんどの職種は平均残業時間が「20時間以上」と長い傾向にあること分かります。

その中でも、ITコンサルタントやPM(プロジェクトマネージャー)、Webデザイナー/ディレクター(受託)の残業時間が「30時間」程と高い傾向にあることがわかります。

 

この理由は様々ですが、予期せぬトラブルの対処や急遽の開発方針変更など、臨機応変に対応しなければならない場面が多いという理由から、エンジニアの残業時間は多いのではないかと推測できます。

また、ITコンサルタントやPM(プロジェクトマネージャー)、Webデザイナー/ディレクター(受託)業務の残業が多い理由は、クライアントとの要件定義や折衝、時間外対応など、会社の上流工程に関わるコミュニケーション業務が長引くため、残業時間が多いのではないかと推測できます。

 

しかし、これらのどの業務においても、より良いモノを作ると言う熱心な思いから生じる超過残業ですので、一概に悪いとは言えないでしょう。

【表①・②:参照|IT業界の「残業」の実態を徹底解説!長時間労働の現状を知ることで転職活動を優位に進めましょう

 

 

フリーランスの残業時間

では、次にフリーランスの残業時間についてみていきましょう。

今回はフリーランス協会という一般社団法人が実施した「フリーランス白書 2020」を参考にフリーランスの残業時間について解説していきたいと思います。

 

『調査概要』
調査期間:2019年10月23日~11月24日 
調査方法:インターネット調査
有効回答数:フリーランス・パラレルキャリア活動者 568名
調査主体:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

 

【表③ | 平均勤務時間】

エンジニアの残業関連画像
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【表③ | 平均勤務時間】はフリーランス・パラレルキャリア活動者の方、568名の現在の平均勤務時間について調査したグラフです。

 

このグラフによると、会社員のフルタイムに近い140時間以上200時間未満の方は189名(全体の約33.3%)、月に200時間以上稼働している方は97名(全体の約17%)という結果になっています。

この結果から、フリーランスには会社員の残業という定義はありません。

 

しかし、会社員同様、またはそれ以上に働いている方が全体の50%以上で多いということがわかりました。

【表③:参照|フリーランス白書 2020

 

 

 

2.サラリーマン(会社員)の残業実態


エンジニアの残業関連画像
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先ほどはフリーランスの残業実態について解説しました。

ここからはサラリーマン(会社員)の残業実態について解説していきます。

 

doda(デューダ)でのサラリーマン(会社員)の平均残業時間

ここでは、2021年に発表された株式会社doda(デューダ)によるサラリーマン(会社員)の平均残業時間について解説していきます。

『調査概要』
調査期間:2020年
有効回答数:ビジネスパーソン15,000名
調査主体:株式会社doda(デューダ)

 

15,000名にアンケートを行い、職種別の残業実態を調査したところ、1カ月あたりの平均残業時間は「20.6時間」という結果になりました。

これは月の出勤を20日間とした場合、1日あたり平均約1時間15分の残業をしている計算になります。

 

緊急事態宣言前である同年1~3月の平均「28.1時間」と比べると7.5時間短い結果となりました。

 

【表① | 平均残業時間が多い職種ランキング】

順位 業種 平均残業時間
1位 ITコンサルタント(アプリ) 27.2時間
2位 サーバーエンジニア 26.5時間
3位 プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連) 25.2時間
4位 組み込みエンジニア 25.2時間
5位 研究開発/R&D(IT/通信) 24.3時間

 

IT業界やエンジニア職種に絞り平均残業時間が長い順にした表です。

1位はITコンサルタント(アプリ)で27.2時間、2位はサーバーエンジニアで26.5時間、3位はプロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連)で25.2時間、4位は組み込みエンジニアで25.2時間、5位は研究開発/R&D(IT/通信)で24.3時間という結果になっています。

 

全体的の平均残業時間と比較するとIT業界やエンジニア職種は残業時間が長いことがわかりました。

2019年のエンジニアにおける平均残業時間と比較すると、約10時間ほど短くなっており、コロナ禍におけるリモートワークやビデオ会議などの活用により減少したものと予測されます。

 

残業する理由に妥当性や納得感があるかどうかなどによっても働く人たちの残業の受け止め方は異なってくると思いますので、一概に残業が悪いとは言い切れません。

 

 

厚生労働省 毎月勤労統計調査でのサラリーマン(会社員)の平均残業時間

ここでは、厚生労働省の毎月勤労統計調査でのサラリーマン(会社員)の平均残業時間について解説します。

 

エンジニアの残業関連画像
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【表③:参照|厚生労働省:毎月勤労統計調査

 

上図は2021年年9月時点における事業所規模5人以上、サラリーマンやパートタイマーの月間平均給与額や月間実労働時間数が記載されたものです。

表③を見ると、サラリーマンの1ヶ月の平均出勤日数が19.4日であり月の平均残業時間は12.8時間です。

 

前年比の平均残業時間から4.1%の割合で残業時間が増加していることがわかります。

これは新型コロナウイルスの影響でリモートワークとなったことによることが要因と考えられるでしょう。

 

 

 

 

3.働き方改革で変わった残業時間規制


エンジニアの残業関連画像
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近年、働き方改革の推進により、労働基準法が改正されました。

改正された項目に残業時間規制を設ける項目があり、大企業は2019年4月〜、中小企業は2020年4月から施行されました。

 

ここではその具体的な規制内容について解説していきます。

 

残業時間の最大上限

通常、労働基準法で定められた労働時間の限度は「1日8時間、週40時間以内」です。

また毎週必ず1日は休日を取らなければなりません。

 

もしこの上限を超えて労働する・させる場合には36協定の締結が必要になります。

法改正前まで、限度基準告示による上限は、罰則による強制力がなく、また特別条項を設けることで上限無く時間外労働をする・させることが可能でした。

 

しかし法改正により罰則付きの上限が法律に規定され、臨時的な特別な事情がある場合にも、上回ることのできない以下の残業上限が設けられました。

①時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間まで

 

②臨時的な特別条項でも、時間外労働の上限規制が定義
時間外労働が年720時間以内
時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
時間外労働と休日労働の合計について
「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」が全て1ヶ月あたり80時間以内
時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月が限度

 

③特別条項が適用有無に関わらず、年間で常に時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満で2~6ヶ月の平均は80時間以内

 

例えば、時間外労働が40時間に収まっているならば特別条項にはなりません。

しかし休日労働が65時間となっている場合、その合計は105時間になり法律違反扱いになります。

 

 

月の労働が45時間超える場合

基本的に、臨時的な特別条項がなければ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えることはできません。

しかし、万が一、限度時間を超えて労働する・させる必要がある場合は、限度時間に近づけるように、できるだけ具体的に時間を定めなければなりません。

 

使用者の方は、時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にするように心がけましょう。

『認められる特別条項の例』

予算編成の対応、決算業務の対応、ボーナス商戦に伴う業務の繁忙、納期の逼迫、顧客のクレーム対応、重大な機械トラブル対応

 

そして、限度時間を超える時間外労働については、25%を超える割増賃金率とするように努めなければなりません。

万が一、36協定や特別条項に違反した場合は、労働基準法違反として、「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑罰が法律上定められています。

 

上限はあくまでも使用者が守るべきルールです。

上限を超えて残業や休日出勤をしたからといって労働者が罰せられるなどの不利益はなく、万が一上限を超えて働くことになったとしても働いた分の残業代を受け取る権利があります。

 

 

 

4.エンジニアが残業時間の上限を超えた場合


エンジニアの残業関連画像
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エンジニアとして働く場合、どんなに気をつけていても、その月の仕事量や納期、トラブルの対処等で残業時間の上限を大幅に超えてしまう場合もあるかと思います。

そんな時、エンジニアはその残業時間に見合った残業代を請求できる権利が発生します。

 

法律上の割増賃金は、時間外労働手当と休日手当、深夜手当の3種類があります。

 

①時間外労働手当:

法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて仕事をした場合、使用者は労働者に25%以上の割増賃金を支払う義務が発生します。

 

②休日手当:

法定休日(1週間に1日は必ず取らなければならい休日)に労働した場合、使用者は労働者に35%以上の割増賃金を支払う義務が発生します。

 

③深夜手当:

22時から翌朝5時までの労働をした場合、使用者は労働者に25%以上の割増賃金を支払う義務が発生します。

時間外労働手当+深夜手当の対象になる場合もあります。その場合は両方適用され、割増率は合計50%になります。

 

 

 

5.残業を認める法律「36協定」とは?


エンジニアの残業関連画像
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36協定とは「労働者に法定時間を超えて働かせる場合、あらかじめ労働組合または労働者の使用者と協定を結ばなくてはならない。」という旨の協定のことです。

労働基準法36条に規定されているため、36協定(さぶろく協定)と呼ばれています。

 

正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。

36協定の内容を簡単に説明すると、下記に該当する場合は労使間で書面による協定を締結する必要があるということです。 

労働者に1日8時間、週40時間を超えて時間外労働させる場合
労働者を法定休日に労働させる場合

 

36協定をせずに、労働者に対して上記を行うと、使用者には労働基準法違反として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

しかし、36協定を締結していれば、時間外労働や休日出勤が合法的に可能になり、長時間労働を是認することにもつながりかねません。

 

残業する/させる場合は、しっかりと法律を守りながら可能な範囲でするように心掛けましょう。

 

 

 

6.まとめ


今回は、エンジニアの残業実態に焦点を当てながら、労働者の残業について詳しく解説してきました。

エンジニアは他の職種に比べ、残業時間が多い職種です
フリーランスはサラリーマンのフルタイムより働く方が50%以上です
サラリーマンの残業時間は減少傾向です
働き方改革による労働基準法の改定により、残業時間規制に限度時間(月45時間・年360時間)が設けられ、それに違反すると罰則(6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が付与されました
エンジニアが法定残業時間を超えた場合は25%以上の割増賃金を請求できます
36協定とは、労働者を過度な時間外労働やワークライフバランスを守る協定です

 

エンジニアは残業時間が長く、きつい仕事であるという世論はあながち間違いではないのかもしれません。

しかし、働き方改革推進や労働基準法改正などの影響から、エンジニアを含めた労働者に残業時間の上限が定められたことで、ワークライフバランスの充実を測りやすくなったのではないでしょうか?

 

エンジニアは今後の将来性や給与面の待遇も良いですし、この機会にエンジニアに就職・転職を考えてみるのもいいかもしれません

現在フリーランスとして独立するエンジニアが増加しています。

 

フリーランスエンジニアとして活動をされる方は労働基準法や企業との契約周りをしっかりと学習しておきましょう。

 

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