公開日:2021.04.06
更新日:2025.03.24
政府が少子高齢化による人手不足の解決のために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推奨していることから、AIを活用した技術は日本全体で高い注目を浴びています。
それに対して、AI開発ができる技術者の数は需要に追いついていないのが現状です。
そのため、今勢いのあるIT業界でも特に稼げる仕事として、機械学習エンジニアを目指す人は増えています。
機械学習エンジニアを目指す人の中には、すでにエンジニアとして働いている人はもちろん、全く関係のない職種からの転職しようとする人もいるほどです。
確かに機械学習エンジニアは将来性の高い仕事でしょうが、未経験から機械学習エンジニアへの転職を実現することは可能なのでしょうか。
そこで本記事では、機械学習エンジニアの仕事内容や年収、将来性に加え、未経験から転職する際のポイントについても解説します。
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<目次>
1.機械学習エンジニアとは
2.機械学習エンジニアの仕事内容
①:機械学習モデル構築、検証
②:機械学習システム設計、開発
③:機械学習の基盤構築、運用保守
3.機械学習エンジニアの年収
4.転職市場からみる機械学習エンジニア需要
機械学習エンジニアの現状
機械学習エンジニアの将来性
5.未経験から機械学習エンジニアへの転職を実現させるには
機械学習や深層学習(ディープラーニング)開発経験を身に付ける
統計、数学、データ分析の知識/スキルを身に付ける
データベース、分散処理、クラウドスキルを身に付ける
転職理由と志望動機を一貫させる
転職サイトや転職エージェントを活用する
6.まとめ
機械学習エンジニアとは、データの共通項を見つけるためのアルゴリズムをコンピュータに学習させ、自動的にタスク処理を行えるプログラムを組むエンジニアのことを言います。
通常のプログラムと機械学習を用いて組まれたプログラムの違いは、予測ができるかどうかです。
通常のプログラムでは、Aに対する処理はこれ、Bに対する処理はこれというように指示が出されるので、予定外のデータCを入力されてしまうとエラーを吐いてしまいます。
それに対して機械学習では、A・Bのデータの共通点を探すアルゴリズムが組まれていることから、A・Bと新たなデータCの共通点を探し出して、「Cの場合はこのように処理すれば良い」とコンピュータが自分で予測・判断できます。
機械学習を英訳するとMachine Learningであることから、機械学習エンジニアはMLエンジニアとも呼ばれます。
機械学習エンジニアと混同されやすいのが、AIエンジニアやデータサイエンティストです。
まずAIとは、Artificial Intelligenceの頭文字を取った言葉で、日本語では人工知能と訳します。
人工知能は簡単に言えば、人間のように自分で考えて判断できるプログラムを作るという試みであり、機械学習はAI技術のうちの一つに当てはまります。
したがって、AIエンジニアとは、機械学習エンジニアをはじめとするAI技術を用いた開発業務を行う人全般のことを指します。
データサイエンティストは機械学習エンジニアが開発したアプリケーションを行って大量のデータを分析するのがメインです。
同じAIを取り扱う分野でも、機械学習エンジニアは開発、データサイエンティストは分析に重きを置いているので、AI開発に携わりたいならこの違いもしっかり把握しておきましょう。
それでは、機械学習エンジニアは具体的にどんな業務を行うのでしょうか。仕事内容を一つひとつ詳しく見ていきましょう。
機械学習エンジニアでも上流工程の最初の業務にあたるのがモデル構築・検証業務です。
モデル構築・検証業務を行うのは、機械学習エンジニアの中でもプロジェクトマネージャークラスが担当するのが一般的となります。
機械学習には様々なアルゴリズムが存在しており、システムごとに適したアルゴリズムを選んで、モデルの構築を行います。
ただし、選択したアルゴリズムが必ずしもベストな選択肢とは限りません。
そこで、様々なパターンを想定して検証を行い、本当にその採用すべきかどうか検討し、次のシステム設計・開発に業務を渡します。
モデル構築・検証を通して「このアルゴリズムを使ってサービスを開発する」と決まったら、そのアルゴリズムを用いてどんな機能を搭載したシステムを作るか検討し、実際にサービス開発します。
このフェーズは、一般的なエンジニアの業務の流れと変わらないでしょう。
機械学習を用いたシステム開発を行うにあたって、当然実行環境も機械学習エンジニアが構築します。
ただし、開発するシステムの内容や規模によって、準備すべき環境は異なります。そこで自分の知識/経験をもとに開発するシステムに適した基盤を構築していきます。
ちなみに基盤構築に関しては、Dockerを使ったコンテナ型仮想化が今の機械学習界隈でのトレンド。
コンテナ型仮想化においては、基本的にはDockerコンテナを1から構築していきますが、AWSやAzureなどの大手クラウドサービスが提供する基盤を使う企業も多いです。
加えて機械学習に限らず、開発したシステムは運用や保守が必須です。長く使うためにメンテナンスを行ったり、万が一トラブルが発生した際に原因を特定して再度同じトラブルが起こらないように改修したりする必要があります。
このように、機械学習を用いた開発を行ううえで必要な下準備にあたる段階や、開発後の運用保守業務も機械学習エンジニアの仕事です。
実際に機械学習エンジニアの開発案件を覗いてみる↓
求人ボックスを参考にすると機械学習エンジニア(AIエンジニア)の平均年収は599万円です。
求人ボックスを参考にするとITエンジニアの平均年収は497万円です。
両方のエンジニア職の平均年収を比較すると、機械学習エンジニアはIT業界の中でも年収の高い仕事であることがわかります。
ただ、年収599万円は思っていたより少ないと感じる方もいるのではないでしょうか。
理由として未経験OKの機械学習エンジニアの求人が増えていることが考えられます。
求人ボックスに掲載されている機械学習エンジニア求人のうち未経験OKの求人割合は約18.9%です。
IT業界の中でも特に高い専門性が求められる機械学習分野は、他のIT業界の仕事と比べて採用基準が厳しく、未経験者は採用しない、情報系学部卒・院卒が基本でした。
しかし、人手不足が問題視されているIT業界の中でもAI分野の人手不足は顕著です。
「実務経験や必要な学歴は無いけれども今勢いのあるAI分野の仕事に就きたい」と思っている人も多いのが現状。実際に日本ディープラーニング協会認定のG検定・E資格関連講座を開講しているAIジョブカレでは、2022年4月の段階で受講者数が5,000人を突破しています。
実務経験・学歴必須の求人に応募できない未経験者を採用している企業が増え、平均給与が下がっているのでしょう。
なお、フリーランスの機械学習エンジニアの月額単価は以下になっています。
平均単価 | 中央値単価 | 最高単価 | 最低単価 | |
機械学習エンジニア | 85.2万円 | 80万円 | 200万円 | 20万円 |
フリーランスの機械学習エンジニアの平均年収は1,022万円です。(月額単価を年ベースで算出)
機械学習エンジニアはここ数年で注目度が急激に上昇した職種です。
そのため、いきなり注目度が落ちてしまう可能性もあるのではないかと思っている人もいるでしょう。
それでは、機械学習エンジニアの現段階での需要や将来性について詳しく見ていきましょう。
機械学習エンジニアは現状不足しています。
経済産業省が実施した「IT人材需給に関する調査」によると、2018年、AI技術者は既に3.4万人不足している状況。
2030年までには、12.4万人まで広がると想定されています。
機械学習分野はプログラミングに加え、大卒レベルの数学・統計学の知識が必要となるため、IT分野の中でも特にエンジニアの育成時間がかかります。
今注目度が高く、志望者も増えていますが、AI特化型のスクールで学べる内容や独学では実践的な知識を身に着けることが難しいです。
しかし、日本だと一度社会人になったあとに、新たなキャリアのために再度大学・大学院に通うというルートはあまり一般的ではなく、かつ膨大な時間と費用を工面する必要があります。
今後機械学習エンジニアの人数を増やすには、大手企業を中心とし機械学習エンジニアの育成環境を整えるか、社会人が働きながら機械学習分野について学び、転職に必要な学歴を得られる環境を整備する必要があると考えます。
機械学習エンジニアは将来性の高い仕事といえます。
これまで解説してきたように、機械学習エンジニアは現段階で不足しており、将来的にさらに需要に対する供給の差は広がっていくことが予測されています。
加えて日本政府はSociety5.0という、生活の中にIT技術を組み込んだ新たな生活スタイルを提唱しています。
Society5.0にはAI技術を用いた業務の自動化なども含まれており、内閣府が提唱する新たな生活スタイルの実現に機械学習エンジニアの存在は必須です。
現在、世界規模でIT技術を生活の中に取り入れる改革が進んでいます。
したがって、IT技術と人間の共存に欠かせない役割である機械学習エンジニアは、将来的にも仕事に困らないでしょう。
今注目の機械学習エンジニアに未経験からなりたいと思っている人はたくさんいます。
しかし、自分の周りには、エンジニアで働いている友人知人がいない、機械学習エンジニアへの転職を成功させた人がいないなどの理由で、いまいち転職のために必要なものが見えてこない人もいるのではないでしょうか。
そこで、未経験から機械学習エンジニアになるためには、どんな知識・経験が必要なのか確認していきましょう。
やはり未経験から機械学習エンジニアを目指すにあたっては、その分野の開発経験が必須です。
ちょっとしたアプリケーション開発からでも良いので、機械学習やディープラーニングの実装経験を積んでいきましょう。
機械学習や深層学習(ディープラーニング)開発では、主にPythonやC++などのプログラミング言語、Django(Pythonフレームワーク)、TensorflowやNumPy(機械学習や深層学習(ディープラーニング)特化型フレームワーク)、MySQL、Spark、Hadoop、Dockerなどのミドルウェアのスキルがあると良いです。
開発したものは、ポートフォリオとしてまとめておくことも忘れないようにしましょう。
面接でポートフォリオ面接官に見せれば、それだけで自分の実力をすぐに理解してもらえます。
機械学習分野において、統計・数学・データ分析の知識/スキルも欠かせません。基本的にはこれらは大学卒業レベルが求められると思っておきましょう。
プログラミング言語の習得ではなく、統計学や数学の学習において躓く方もいるかと思います。
統計・数学・データ分析について勉強に取り組むなら、高校数学から振り返るのがおすすめです。
特に確率・数列・微分積分は機械学習には必須なので、入念に学習を行い、大学レベルの積分や離散数学などに取り組みましょう。
統計学に関しては、統計検定2級合格を目標に学習を進めていくのがおすすめです。
資格なら必要な知識が体系的にまとめられていますし、実際にAI開発の分野で統計検定は評価されており、統計検定を取得していると転職活動も有利に進みます。
統計、数学、データ分析を独学では難しく感じる方は大学・大学院で学ぶのがおすすめです。
昔と比べて今はAIについて学べる夜間制学部や通信大学も増えてきています。
通信大学だとソフトバンクが運営するサイバー大学や早稲田大学の人間科学部人間情報科学科、夜間だと筑波大学の社会人大学院や東京理科大学の理学部第二部などが有名です。
社会人として働きながら勉強に取り組むのは大変ですが、やはり確実に転職を成功させたいなら学歴は大きな武器になるでしょう。
機械学習エンジニアは大容量のデータを取り扱う仕事なので、データベース・クラウドや分散処理に関する知識も必須です。
ただ、独学だと大規模なデータを取り扱う開発経験を積みにくいでしょう。
そのため、Webエンジニアやプログラマーとして転職して、数年ほどの実務経験を積むことをおすすめします。
転職活動において、どうしてこの会社に入りたいのか、どうして前の会社を辞めたのかは必ず聞かれます。
この会社に入りたい理由が志望動機、辞めた理由が転職理由に当てはまるでしょう。
転職理由とは「どうして前の会社・仕事を辞めたのか」、志望動機とは「どうしてこの会社に応募したのか、この職種を目指したいのか」と、似ているようで少し違います。
この2つの違いをよく理解したうえで話に一貫性を持たせ、自分をアピールしなければいけません。
前の会社を辞めたのなら、前の会社の待遇などに不満があったと捉えられるのが一般的でしょう。
転職をすることでその不満が解決できないと、新しい会社でも仕事が長く続かないと思われてしまいます。
転職理由と志望動機に一貫性をもたせ、転職することで前の職場での不満を解決し、新しい会社ならやりたいことを実現できるとアピールしていきましょう。
やはり未経験からだと何も後ろ盾が無い状態での転職活動は厳しいです。
転職サイトで求人をチェックして未経験OKの求人に自分で応募するだけでなく、転職エージェントも積極的に活用していきましょう。
転職エージェントには、様々な転職事例を見てサポートしてきたキャリアコンサルタントが在籍しています。
自分と近い転職事例を担当した経験のあるキャリアコンサルタントと巡り会えるかもしれません。
もちろんそうでなかったとしても、転職エージェントなら未経験からの転職がうまくいくように、手厚いサポートをしてもらえます。
未経験からの転職は実務経験者と比べて圧倒的に不利なので、転職エージェントのアドバイスを受けながら転職活動を進めましょう。
機械学習エンジニアは今多方面から注目を浴びており、今後も需要が高くなっていくことが想定される仕事です。
未経験でも今から機械学習エンジニアを目指す価値は大きいでしょう。
ただ、機械学習エンジニアはIT業界の仕事でも特に高いスキルが求められる仕事で、未経験からの転職はハードルが高いです。
場合によっては大学へ通って学歴を身に着けることも検討しておくと良いでしょう。
機械学習エンジニアは正社員だけでなくフリーランスの需要も高いです。単価100万円以上の案件も充実しており、フリーランスでも高収入が期待できます。
そのため、機械学習エンジニアへの転職を希望するなら、将来的にフリーランスへの転身も考えつつ、転職活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。
フリーランスエンジニア専門の求人・案件一括検索サイト「フリーランススタート」に少しでも興味がある方は是非ご登録ください。
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