公開日:2021.07.27
更新日:2025.03.24
医療業界・IT業界ともに技術が進歩したことにより、この2つの業界の技術を組み合わせて、病気の早期発見や予防が期待できる時代になりました。
そこで今注目されているワードがMedTechです。
しかし、MedTechというワードは登場して間もなく、具体的にどんな技術・考え方なのかと気になっている医療職、IT職の方もいるのではないでしょうか。
本記事ではMedTechと何か、MedTechでは何が期待できるかに加え、MedTech市場の将来性についても解説します。
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<目次>
1.MedTech(メドテック)とは
Healthtech(ヘルステック)との違い
2.MedTechで期待できる可能性
介護職の負担軽減
がんの早期発見
糖尿病網膜症の早期発見
3.MedTech市場の将来性
4.MedTechの活用事例
5.まとめ
MedTechとはMedicalとTechnologyを組み合わせた造語です。
その通りで、医療の現場にIT技術を活用するのがMedTech。
具体的には、AIを使った画像解析技術や、ビッグデータ活用による新薬開発の効率化などが挙げられます。
現代の医療の現場は少子高齢化による高齢者の増加や働き手の減少、地方と都市部の医療サービス・設備の差など様々な問題を抱えている状況です。
そこでMedTechを活用すれば、医療の現場の負担を軽減し、一般市民もより充実した医療サービスが受けられるようになることが期待できるでしょう。
MedTechに似たワードとしてHealthTechというワードが存在します。
HealthTechはHealthCare(健康維持)とTechnologyを組み合わせた言葉で、健康維持や病気の予防に関するITサービスのことを言います。
厚生労働省の調査によると、死亡率の6割ががんや心疾患などの生活習慣病であり、国民医療費に関しても生活習慣病だけで3割を占めている状況です。
生活習慣病はその名の通り普段の生活習慣が原因となる病気。
そのため、予防として日頃から健康維持に取り組む人も日々増えています。
そこで注目されているのがHealthTech分野です。
具体的なHealthTechの例としては、健康管理・ダイエットアプリ、分析機能が搭載された体重計などが挙げられます。
MedTechとHealthTechは混同されがちですが、MedTechは病気にかかってから利用する治療のためのITサービス、HealthTechは病気にかかる前の予防や健康維持を目的として自主的に利用するITサービスと分けて考えると良いでしょう。
それでは、MedTechの活用によってどんなことが期待できるのでしょうか。
MedTechによってできることについて解説していきます。
介護業界では高齢者と会話できるAIロボットや、介護で必要な力仕事を減らせるロボットを活用することで、介護職の負担軽減が期待されています。
介護業界は昔からきつい、汚い、危険の悪条件が揃っている3Kと言われる業界です。
しかも給与待遇も仕事に見合ったものではないので、常に人手不足に陥っています。
日本はただでさえ少子高齢化で働き手が少ない状況です。
介護業界は自分から目指す人が限られるので特に働き手の減少が顕著となっています。
しかし、介護はきめ細やかなサービスが重要。
もし人手が今以上に足りなくなると、介護サービスの質がさらに下がってしまいます。
そこで、介護の現場にロボットを導入して介護職の負担が減れば、介護=きついというイメージを払拭し、介護職を目指す人が増えることも期待できるでしょう。
AIを用いた画像診断で目視では気付かないようながんを発見したり、手軽にがん検診ができるようになったりすることも期待されています。
がんは日本人の死亡率のトップを占める病気で、厚生労働省が実施した2019年度人口動態調査によると、全体の27.3%ががん(悪性新生物)で亡くなっています。
がんを完治・寛解させるためには早期の発見・治療が大切です。
しかし、日本のがん検診受診率は低く、どのがんの検診においても40%台後半~50%台前半程度。
そのため、気付いた頃にはがんが進行して手遅れになっているケースも少なくありません。
その理由には、がん検診は痛みを伴うものが多い、時間がないなどの理由が挙げられます。
そこでMedTechの登場により、がんの早期発見や、痛みがなくて手軽にできるがん検診ができる技術が実現されつつあります。
AIによる画像診断を用いた、糖尿病網膜症の早期発見も期待されています。
糖尿病網膜症とは、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害とならぶ、糖尿病の三大合併症のうちの一つで、目の細小血管の血流が悪くなり、視力が低下する病気です。
最悪の場合最小血管が出血したり、網膜はく離を引き起こしたりして失明することもあります。
糖尿病網膜症はかつては目視によって診断されていたので、早期発見が難しい病気とされていました。
しかし、専用のカメラを使って撮影された画像をサーバーにアップロードすることで、糖尿病網膜症を発見できるサービスが2018年にアメリカで登場。
日本でもこのサービスの活用が進んでいます。
日本人の失明の原因は2位が糖尿病網膜症で、1位の緑内障も、糖尿病網膜症が原因となって引き起こされる例が多いです。
そこで、これらの病気の早期発見ができれば、視力を失わずに健康な老後を過ごせる人が増えるでしょう。
MedTech市場は日本でも今勢いのある市場で、将来性も抜群でしょう。
先ほど解説したように、日本では少子高齢化により、医療サービスを必要とする高齢者の増加や、医療・介護職を目指す人の減少が懸念されています。
そこでIT技術を駆使すれば、医療・介護の現場の負担を軽減できるので、国内におけるMedTechの需要は当然高いです。
加えて、MedTech市場は日本経済の状況を変える分野としても注目されています。
マッキンゼーの日本支社が発表した資料でも、MedTech分野は日本経済を活性化させ、競争力を取り戻すきっかけに繋がると言われています。
現段階で日本のMedTech市場はアメリカ・欧州連合・中国に次ぐ4番手ポジションです。
オリンパスや日立など、すでにMedTech分野で世界的な地位を確立する企業や、アークレイ、フクダ電子などまだ世界的には知名度は無いもののこれからの活躍が期待される企業も日本には多く存在しています。
この条件を考えると日本のMedTech分野は十分世界と戦えるでしょう。
ただ、ロボット工学などの分野において高い技術力を持っていてもそれをバイオメディカル分野に活用できる人材がいないなど、まだ日本のMedTech分野はたくさんの課題を抱えている状況です。
とは言っても、日本のMedTech分野は国内の需要があり、世界的にみても将来性が期待できる分野。
まだ発展していくことが予測できるので、今の段階で注目しておくべきでしょう。
それでは、日本ではMedTech技術がどのような場面で活用されているのでしょうか。
実際の例を紹介します。
まず挙げられるのが東大発のベンチャー企業Lily MedTechによる、超音波を使用した乳がんの画像診断装置です。
乳がんは日本の女性が罹患するがんの中でも5番目に多いとされています。
しかし、乳がん検診で使用されるマンモグラフィーは圧迫される痛みを伴うので検診を避ける人が多かったり、アジア人は乳腺が発達している人が多くマンモグラフィーでも小さい乳がんを見つけられなかったりと課題を抱えていました。
そこで超音波を使用した痛み・圧迫のない乳がん診断装置では、検診を受ける女性側のストレスを軽減し、医師も立体的な乳房画像により乳がんを見つけやすくなることが期待されています。
もう一つ紹介する例はカメラでおなじみのニコンです。
ニコンのヘルスケア部門では先ほど紹介した糖尿病網膜症を早期発見できる画像診断装置を開発しています。
装置の開発においては、機械学習を用いて糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の早期発見システムを開発するVerily社と提携。
超広角走査型レーザー検眼鏡で撮影した網膜の画像を世界中から蓄積し、複数の医師が診断して糖尿病網膜症の早期発見が可能となりました。
また、こちらの技術は現在は糖尿病網膜症にしか対応していませんが、将来的には糖尿病やアルツハイマー病など、目だけでなく全身の病気に応用できることも期待されています。
IT技術を医療に応用するMedTech分野は現段階で世界4位と、今日本でも勢いのある業界です。
日本は伸び悩んでいる分野が多い中で、MedTech分野は今後世界と互角に戦える分野に成長することも期待できるでしょう。
MedTech分野では、AI・IoTに関する知識を持ったエンジニアが必要とされています。
現段階での需要や将来性を考えると、エンジニアのキャリアアップ・キャリアチェンジとして、MedTech業界を検討する価値はあるでしょう。
自分が活躍できる場所に悩んでいるなら、ぜひMedTech業界も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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