公開日:2022.11.09
更新日:2025.03.24
日本のITシステム開発の中心を担っているのが、「SIer」と呼ばれるシステムインテグレータです。
SIerにはさまざまな種類・規模の企業が存在しており、働くことで得られるスキルや経験にも幅があります。
SIerが描けるキャリアパスにもさまざまな種類があるため、目指している方は事前にしっかりと調べて未来の姿を描くと良いでしょう。
今回は、SIerの特徴や目指すべきポジション、よくある転職先、年収事情について解説します。
特に以下の方には、この記事をご一読いただきたいです。
・SIerでの就職を検討している方
・SIerの業界の特徴について知りたい方
・SIerとして目指すべきポジションいついて知りたい方
・SIerの転職先としてよくある例を知りたい方
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<目次>
1.SIerの特徴
多重下請け構造になっている
システム開発に関わるほぼすべての仕事を請け負う
ウォータフォール開発が多い
2.SIerで目指すべきポジション
プロジェクトマネージャー
ITアーキテクト
ITコンサルタント
フルスタックエンジニア
3.SIerのよくある転職先の業界
同じSIerへの転職
Web系企業への転職
コンサルティングファームへの転職
SESへの転職
4.SIerの年収
5.まとめ
この章では、SIerの特徴についてお伝えします。
SIerを取り巻く状況としては、多重下請け構造になっていることは理解しておくべきことの1つです。
多重下請け構造とは、最初の発注差から委託された業務を、元請け企業がさらに細分化して二次請け、三次請けとしたの階層に仕事を委託していく構造を指します。
建築業界でも見られる構造であり、最初の委託企業を頂点としたピラミッド構造になっているのが一般的です。
SIerが活躍するIT業界においても、大手企業から委託された業務が中堅企業、中小企業、零細企業と流れていくような構造になっています。
多重請負構造では中間に沢山の業者が関わることになるため、中間マージンが多数発生して実際に作業をするエンジニアの給与が低くなりやすい点が問題です。
下流の下請け程、ギリギリの予算で作業をせざるを得ず、ギリギリの人数で作業をすることから雇用条件・労働環境の悪化を招きやすい構造になっています。
そして「SIerは忙しい」「長時間労働」などのイメージダウンにより、さらにエンジニアが不足するとの悪循環も懸念される構造です。
もちろんすべての企業において上記の状態になっているわけではありませんが、多重下請け構造はさまざまな問題に発展しやすいとは考えられるでしょう。
SIerは、システム開発に関わるすべての仕事を請け負う職種です。
システム開発に関する多種多様な業務が、SIerの業務として考えられます。
システム開発には、ITに関する高い専門性が必要です。
そのため一般企業ではエンジニアを抱えずSIer企業に外注してシステム開発を依頼することが多くあります。
ただし実際のシステム開発には案件によって異なるプログラミング言語を必要とするため、「SIerであればどんな案件でも受けられる」とは言えません。
さまざまな種類のシステム開発に対して、さまざまな専門性をもったSIerが存在すると言えるでしょう。
特定の分野やプログラミング言語における専門性が高ければ、SIer企業で活躍できる可能性があるでしょう。
また、SIerの業務範囲はシステム開発だけに留まりません。
データベースやサーバーの構築、ホームページの構築など、非常に幅広い分野で活躍できる可能性があるのが、SIerです。
ウォーターフォール開発が多いこともSIerの業務における特徴の1つです。
ウォーターフォールとは「Waterfall(滝)」を意味する言葉であり、滝のように上流工程から下流に向かって開発を進める手法のことを指します。
主な開発の流れは、以下の通りです。
<ウォーターフォール開発の流れの例>
1.要件定義
2.基本設計
3.詳細設計
4.コーディング
5.テスト(単体・結合・運用)
6.リリース
上記のような流れに沿って、順番通りに開発を進めていきます。
隣り合った工程では、多少の工程戻しや反復はあります。
しかし、基本的には前の工程をしっかりと終えてからでないと次の工程に進めないのが、ウォーターフォール開発の特徴です。
開発全体の流れを決めて、前工程を終えてから次工程へと進めていくことから、ウォーターフォール開発では完成品の品質を担保しやすいと言えます。
また、計画的に開発を進められることから、スケジュール管理をしやすいこともウォーターフォール開発の特徴です。
SIer企業での活躍を考えるのであれば、ウォーターフォール開発については理解しておくことが重要でしょう。
この章では、SIerで目指すべき代表的なポジションについてお伝えします。
キャリアパスは多岐にわたるため、自分自身の考えに合わせて選びましょう。
SIerで目指すべきポジションとしてはまず、プロジェクトマネージャーが挙げられます。
プロジェクトマネージャーとは、文字通りプロジェクトの品質や納期などに関する責任を持ち、管理するポジションのことです。
難易度や規模は異なりますが、SIerにはさまざまなプロジェクトがあり、その数だけプロジェクトマネージャーの仕事があると言えます。
通常はまず小規模なプロジェクトを担当し、徐々に大規模なプロジェクトのプロジェクトマネージャーを目指していきます。
大規模なプロジェクトを任せられるプロジェクトマネージャーは市場価値が高く、充分に高収入を期待できるポジションです。
プロジェクトマネージャーとなり、そのまま管理職の道を進むことも考えられるでしょう。
プロジェクトマネージャーになるには、基本的なプログラミングスキルに加えてマネジメントスキルやコミュニケーションスキルが求められます。
勉強することで身につけられる部分もありますが、やはり実際に経験していくことが重要でしょう。
いきなりプロジェクトマネージャーのポジションにつけない場合は、補佐役やPMOをまず経験することも重要なポイントです。
SIerで目指すべきポジションとしては、ITアーキテクトも挙げられます。
ITアーキテクトとは、IT開発の規格策定や推進、実行までにおける課題分析を行う職種です。
開発の上流工程である要件定義や設計工程において、インフラやアーキテクチャの選定、要件の実現可能性の調査などを行います。
IT開発の現場は過重労働に陥りやすい歴史があったことから、ITアーキテクトの職が設けられました。
そのためシステム開発における効率や品質向上において非常に大きや役割を担っており、一人のエンジニアとしてだけでなくチーム全体の業務に影響する要職です。
開発の規模が大きくなればなるほど、責任と共にやりがいも大きくなっていくと考えられます。
次に紹介するITコンサルタントと近い職種ではありますが、ITアーキテクトはより技術的な観点から課題分析を行う点が特徴的です。
技術力に強みを持つ企業が多く募集しており、ITエンジニアの上級職であるとも考えられます。
スペシャリストとしてのキャリアパスを考えている方にも要注目でしょう。
ITアーキテクトと同様に組織やプロジェクトへ大きな影響を及ぼし得るポジションとして、ITコンサルタントへの道も考えられます。
ITコンサルタントは、クライアントのIT課題に対してITへの知見とビジネスの観点を交えてソリューションを提供する職種です。
経営層とやり取りをしてソリューションを提供するために、ビジネスに関する理解が必要な職種だと言えます。
その一方でもちろんITについても一定以上の知識が必要であるため、エンジニアとして目指すポジションの中でも難度は高いと考えられるでしょう。
また、ITコンサルタントには、高度なレベルでのコミュニケーションスキルも求められます。
クライアントの課題を見つけ解決策を提案するには、クライアントとのやり取りを上手に行う必要があるためです。
適切なヒアリングや分かりやすく説得力があるプレゼンを行うためには、高度なコミュニケーションスキルが求められます。
ITコンサルタントには、まずプロジェクトマネージャーを経験してからなるキャリアパスがあります。
クライアントの信頼を得るためにはITに関する深い知識も欠かせないため、まずはエンジニアとしての経験を積むことが大切でしょう。
フルスタックエンジニアとは、複数の分野における開発を一人でこなすことができるエンジニアのことを指します。
インフラやアプリケーションなど幅広い分野の開発について理解しているフルスタックエンジニアは、非常に需要が高いポジションです。
特にエンジニアが不足している企業であれば、高収入でのオファーも充分に考えられるでしょう。
さまざまな分野の技術を身につけることは非常に大変なことではありますが、同時にエンジニアとしてのやりがいにあふれていることは間違いありません。
現在案件を受けて対応している分野の知識だけでなく、さまざまな製品や知識に対して常に興味を持ち、学習していくスタンスが求められます。
フルスタックエンジニアとして活躍できる方は、組織に属するだけでなく個人事業主としてや起業をして活躍する方も少なくありません。
この章では、SIerにとってよくある転職先の業界についてお伝えします。
SIerの転職先としてまず挙げられるのが、同じSIerの業界です。
一口にSIerといっても企業によって扱う仕事や携わる業務は多種多様であるため、転職が働き方を大きく変えるチャンスになり得ます。
転職によって今までとは異なるスキルや経験を身につけられれば、その後のキャリアパスも広がる可能性があります。
たとえばこれまで中小SIerに勤めていたのであれば、より大手のSIerへ転職を目指す道が考えられるでしょう。
SIerは大手ほどクライアントから直接仕事を請け負う一次請けとなる可能性が高く、プロジェクトの上流工程から携われる可能性が高まります。
上流工程の業務を多く経験することで、マネジメントスキルや交渉力、調整力などを身につけることが期待できるでしょう。
また、大手SIerに勤めていた人が中小のSIerに転職するパターンも考えられます。
この場合、上流工程のスキル・知識だけではなく開発全般に対して幅広いスキルが求められることになるでしょう。
SIerの転職先としては、Web系企業も挙げられます。
Web系企業にはスピード感や幅広い技術への対応などが求められるため、SIerとしてのキャリアとは異なるやりがいを感じられるはずです。
具体的には、Web系企業は企画から開発までの期間が短く、ワンストップで進めていくことが多いと言えます。
また、とにかく自分の手を動かして開発を進めたい方や、自社サービスの開発をしたいと考えている方に対しても、Web系企業への転職はおすすめできます。
開発において多くのことを任されることも多々あり、エンジニアとしての経験を積む場所としては適しているでしょう。
幅広い工程・分野に対応できるエンジニアであれば、歓迎されやすいとも考えられます。
Web系企業への転職に当たってはプログラミングスキルが重視されることが多いため、技術力の高さを証明できるように研鑽しておくことが大切です。
Web系企業ではアジャイル開発が中心になっていることも多く、戸惑わないようにとアドバイスを受けることも少なくありません。
しかし実際には多くのスタートアップにてSIer出身者が活躍していることもあり、開発手法についてあまり神経質になることはないでしょう。
あくまでも、スキルを磨いて最新のトレンドをつかんだうえで転職に臨むことが重要です。
コンサルティングファームも、SIerからの転職先として転職先として考えられます。
ITに関する知見を活かしてクライアントの経営課題を解決できるITコンサルタントはに、多くの需要があります。
開発におけるもっとも上流の部分を担う専門職であり、収入の水準も非常に高めです。
コンサルティングファームが対応しているクライアントの業界は非常に多彩であり、転職先の得意分野によって携われる業界は大きく異なると考えられます。
コンサルティングファームで活躍するには、ITスキルだけでなく高いレベルでのコミュニケーションスキルやビジネススキルなどが必要です。
また、関わる業界の専門知識についても求められることとなるため、学ぶべきことは非常に幅広いと考えておくべきでしょう。
転職する難度は決して低くありませんが、ITスキルを直接的に経営課題の解決に生かせている感覚は、大きなやりがいにつながると言えます。
SESとは「System Engineering Service」の略であり、システム開発における委託契約の種類のことです。
人材派遣のような働き方であり、企業の駐在し、開発からリリース、そして保守点検までにプロジェクト単位で関わります。
SESとして働くことは、さまざまな企業で働くことにつながります。
そのため幅広い分野の専門スキルを身につけることができ、幅広い企業とのつながりができることは大きなメリットでしょう。
また、長時間労働をすることが少なく、人間関係のしがらみに悩まされることが少ない点も魅力的なポイントです。
場合によっては大手企業の多きbなプロジェクトに携わるチャンスをもらえることもあり、単なる「人材派遣」としての働き方の枠以上の利点があるとは言えるでしょう。
SIerの年収事情は、どのようになっているのでしょうか。
dodaが公表している平均年収ランキングによると、システムインテグレータの年収は平均452万円でした。
これは同ランキングのIT/通信部門においてITコンサルティング(年収平均458万円)に次ぐ第2位の年収です。
IT/通信業界全体の平均年収は433万円であり、IT業界全体で見てもSIerの年収は高水準になると考えられます。
SIerの求人はまだまだ安定しているとされており、スキルを磨いていくことで高い収入を得ることは充分にかのうでしょう。
順位 |
職種 |
平均年収 |
---|---|---|
1位 |
ITコンサルティング |
458万円 |
2位 |
システムインテグレータ |
452万円 |
3位 |
ハードウェア・ソフトウェア・パッケージベンダ |
451万円 |
4位 |
通信・ISP・データセンタ |
398万円 |
(参考:doda平均年収ランキング)
SIerの業界は多重下請け構造になっていることが多く、システム開発に関わるほぼすべての仕事を請け負うなどの特徴があります。
また、開発形態としてはウォータフォール開発が多いため、覚えておくと良いでしょう。
SIerからの転職やキャリアパスにはさまざまな選択肢が考えられるため、自分の志向に合わせて選択することをおすすめします。
SIerの年収は一般的なIT業界の職業と比較しても高めであり、スキルを高めることで高収入を得るチャンスは充分い存在しているといえるでしょう。
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