フリーランスの手取りの計算方法は?保険料と税金、会社員との比較を解説

フリーランス常識

2021.06.21

年功序列制度や終身雇用制度が崩壊しつつある現代においては、フリーランスになることを検討している会社員の方も増えてきています。
しかし実際にフリーランスになる上では分からないことも多く、特に収入や税金関係に関する不安は尽きないものでしょう。
そこで今回はフリーランスと会社員の手取り収入の違いを、社会保険料や税金に着目して整理し、解説します。

特に、下記の方にこの記事をご一読していただきたいです。

・フリーランスとして独立を考えている会社員の方
・フリーランスとして活動を始めたばかりの方
・フリーランスの手取り収入を知りたい方
・会社員として生活をいつまで続けていくべきか悩んでいる方
・フリーランスとして税金や社会保険料に関して詳しく知りたい方

 

 

 

1.フリーランスと会社員の手取りの違い


ここでは、フリーランスと会社員の手取りの違いについて、社会保険料と源泉徴収の有無に注目してお伝えいたします。

会社員はあまり気にしないことが多い部分ですが、フリーランスは気を付けておかないと困ることも多いため、しっかり確認しておきましょう。

 

社会保険料

フリーランスと会社員の加入する社会保険は、以下の通り違います。

雇用形態 年金 健康保険
フリーランス 国民年金 国民健康保険
会社員 厚生年金・国民年金 健康保険(被用者保険)

 

会社員は年金保険料も健康保険料も会社と半分ずつ負担していますが、フリーランスは全額自己負担しなくてはなりません。

 

・年金
フリーランスが加入しているのは国民年金のみであり、保険料は一律です。
会社員は国民年金と厚生年金の2つに加入しており(2階建て制度と言います)、国民年金保険料は一律、厚生年金は給与額を基準に計算されています。

 

 

・健康保険
フリーランスは国民健康保険に加入しており、保険料は年間の所得額によって決定します。

一方の会社員は、勤務先の会社が加入している健康保険組合に加入することになります。

 

 

源泉徴収の有無

源泉徴収とは、給与や報酬などを支払う者(勤務先)が給与や報酬などを支払う際に、事前に所得税や住民税などを差し引いて支払いを行う制度です。

会社員の受け取る給与は源泉徴収の対象となっており、支給される給与からはその人が支払うべき所得税や住民税、社会保険料などがあらかじめ差し引かれています。

 

フリーランスにおいては、源泉徴収を受けるケースはほとんどありません。

一旦全額受け取った報酬の中から自分で税金や社会保険料を支払う必要があります。

 

 

 

 

2.フリーランスで差し引かれる税金・保険料


ここでは、フリーランスで差し引かれる税金や保険料の内容について、整理してお伝えいたします。

 

国民年金保険

フリーランスは原則全員国民年金保険に加入し、保険料を支払う必要があります。

保険料は収入に関わらず一律であり、例えば令和2年度では月額16,540円です。
参考:日本年金機構HP

 

全員一律ではありますが、まとめて前払いすると割引が適用されたり、前年度の収入による免除・納付猶予制度があったりします(申告制)。

また逆に「付加保険料の納付」という、定額保険料に上乗せして将来受給する年金額を増やすことができる制度もある点は知っておくべきでしょう。

 

 

国民健康保険

フリーランスが加入する国民健康保険の保険料は、居住地区を管轄する自治体によって異なります。

国民健康保険の保険料額は「所得割」と「均等割」の2つが合算されており、所得割額は前年度の所得を基準とし、均等割額は一律定額です。

 

前年の所得が多いほど保険料は高くなりますが、上限はあるため無制限という訳ではありません。

また逆に所得が全く無かった場合でも、均等割額があるため保険料がゼロにならない点は注意しておきましょう。

 

 

介護保険(40歳を超える場合)

介護保険は、40歳以上になった場合に加入と保険料の支払いが義務付けられている保険です。

介護保険の運営主体は市区町村であり、保険料は各市区町村によって異なります。

介護保険料の請求は、健康保険と一緒に行われます。

 

 

所得税

所得税とは、前年の所得に応じて国に納める税金です。

所得税額を決めるための課税所得は、1年間の所得から経費や社会保険料負担額など税制上認められた控除額を差し引いた金額で申告します。

 

そして申告した課税所得に国が定めている税率を適用したものが所得税額になります。

申告は年に1回、2月中旬~3月中旬に行われる確定申告の時期に行い、基本的には申告と同時に所得税の納税も行います。

 

 

 

住民税

住民税とは、前年の所得に応じて居住地の地方自治体に納める税金です。

所得税と同様に、申告した課税所得に地方自体が定めている税率を適用したものが住民税額になります。

 

所得税とは異なり、住民税は居住地によって税額が異なる点は知っておくと良いでしょう。

住民税の納税は、一括もしくは3ヶ月ごとの4分割で行います。

 

 

個人事業税

個人事業税とは、法律で定められた70業種に対して課せられ、事務所の存在する都道府県に納める税金です。

ほとんどの業種に対して課せられる税金ですが、プログラマーやシステムエンジニア、ライターは基本的に法定業種に該当しないため非課税になります。

 

ただし、仕事内容によっては請負業(70業種に該当する)とみなされて課税されてしまう場合もありますから、事業所がある都道府県に確認しておいた方が良いでしょう。

個人事業税の申告を特別に行う必要はなく、確定申告における申告内容に従って納付金額が決められます。

 

納付は毎年8月頃に送られてくる納付書によって行います。1万円以下の場合は一括、それ以外であれば8月と11月に分納するのが基本です。

また、個人事業税は290万円の事業主控除があるため、事業所得が290万円に満たない場合は課税対象外になります。

 

 

 

消費税

会社員にとっては商品購入時にお店に払うだけの存在である消費税ですが、フリーランスは納税項目の一つとして考える必要があります。

消費税は2020年6月現在10%ですが、この中に実は国税に納める消費税(7.8%)と地方消費税(2.2%)の2種類が含まれていることを知っておきましょう。

 

消費税は、2年前の課税対象売り上げ額が1,000万円を超えた場合に課税されます。

つまり、売上が1,000万円を超えないフリーランスは消費税を納税することが免除されることも重要なポイントです。

 

 

 

3.額面40万円の場合のフリーランスと会社員の手取りの計算方法の例


ここでは、フリーランスと会社員それぞれの手取り計算方法を、月額収入が額面で40万円のケースを例にご紹介します。

今回は30歳で独身であることを前提として計算しています。

 

会社員の場合

会社員の月額給与が額面で40万円だった場合、月々の負担は以下のイメージです。

総支給額 400,000円
健康保険料 約20,000円
厚生年金保険料 約35,000円
所得税 約12,000円
住民税 約19,000円
手取り額 約314,000円


上記はある程度の目安金額で行ったシミュレーションですが、会社員の場合、額面の8割程度が手取り額になるとイメージしておくと良いでしょう。

 

 

フリーランスの場合

フリーランスの月間売上が額面で40万円だった場合、毎月かかる経費を10万円とすると、月々の負担は以下のイメージです。

総収入 400,000円
経費 100,000円
健康保険料 約25,000円
国民健康保険料 16,540円
所得税 約8,000円
住民税 約18,000円
手取り額 約232,460円

 

フリーランスの場合は経費も考慮しなくてはならず、最終的には額面売上の6割程度が手元に残ると考えるべきでしょう。

 

 

 

4.フリーランスは節税対策で受け取る金額を増やしましょう


ここでは、フリーランスの手取り金額を増やすための節税について解説いたします。

上記の手取り計算例ではフリーランスの手取りが非常に少ないと感じた方も多いかもしれません。

 

しかし、実際には節税によって手取り額を増やしやすいのが、フリーランスのメリットなのです。

 

青色申告特別控除(確定申告時)

フリーランスの節税対策として、青色申告特別控除は欠かせません。

青色申告とは確定申告時に複式簿記で帳簿を付けて申告することで、所得から65万円が基礎控除される税制上の優遇措置です。

 

簡単に言うと、青色申告をすれば課税所得が65万円分減額されるため、その分税金も低く抑えることができます。

事前に届出が必要ではありますが、フリーランスとして活動するには非常に大切な申請ですから、早めに税務署へ申請しましょう。

 

 

 

所得控除

青色申告控除以外にも、課税所得から控除できる項目は以下の様に沢山あります。

医療費控除
その年度内に支払った医療費に応じて受けられる所得控除
社会保険料控除
その年度内に支払った社会保険料に応じて受けられる所得控除
生命保険料控除
生命保険料や個人年金保険料、介護保険料を支払った場合に受けられる所得控除

 

上記は所得控除の一部であり、ご自身の状況や支払ったものに応じて受けられるものが沢山あるため、もれなく確認しておくことが大切でしょう。

 

 

 

専従者控除

専従者控除とは、フリーランスとして活動している人と生計を共にする親族がフリーランスが行なう事業に従事している場合、給与の一部を必要経費とみなせる措置のことです。

 

通常、従業員に支払う給与は経費として元々計上できますが、親族に支払う給与は経費として計上できません。

しかし専従者控除の規定を利用すれば経費計上ができ、節税につながるのです。

 

専従者としてみなしてもらうには、以下の3条件を満たす必要があります。

個人事業主と生計を共にする親族である
1年に5ヶ月以上、フリーランスの事業に従事していること
その年の12月31日に15歳以上であること

 

上記条件を満たしている場合、必要な手続きを取れば控除を受けられるため忘れないようにしましょう。

 

 

 

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