フリーランスって年末調整する?確定申告との違いや年末調整が必要なケースを解説

フリーランス常識

公開日:2020.08.18

更新日:2025.03.24

フリーランス(個人事業主)として稼いでいても年末調整は関係あるのでしょうか?会社員であれば1年の締めくくりとして年末調整は必須の手続きとなっています。
ただ会社員が自身で年末調整をするわけではありません。会社(企業)が所得などを計算して税務署に申告してくれます。

フリーランス(個人事業主)に年末調整が必要なケースは稀にありますが、それよりも重要なことは確定申告です。
確定申告は期限も決まっているので、遅れるとペナルティを課されることもあり、忘れていたでは済まされません。

今回の記事では、フリーランス(個人事業主)には欠かせない確定申告の知識や、年末調整との違いについて解説していきます。

 

 

 

1.年末調整とは?


フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像
フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像

年末調整とは、1月~12月までの1年間に会社が従業員に対して支払った給与を対象に所得税を算出して、源泉徴収の合計額と比較し、過不足額を調整することです

なぜ年末調整で過不足金が発生するかというと、毎月の給与からは「源泉徴収」という名目で所得税が天引きされているわけですが、そもそもこの税額は概算となっており、正確ではないのです。

 

ですので、12月に支払われる給料日までにきっちりと再計算が行われ、余分に源泉徴収をしていた場合は、差額が従業員に還付されます。

もし、何らかの原因で不足していれば追加で所得税が徴収されますが、年末調整では「給与所得控除」「配偶者控除」「扶養控除」「社会保険料控除」「生命保険料控除」などが適用されるので、めったに追加で徴収されることはありません。

 

普通に会社員として働いているとあまり意識されない年末調整ですが、会社の経理担当の方にとっては1年の締めくくりに行われる大変重要な業務となっています。

 

年末調整と源泉徴収の違い

まず「年末調整」は前述した通り、1年の給与が確定する年末に会社側で正確な所得税を算出し、毎月天引きしていた源泉徴収をチェックして過不足額の精算をすることです。

 

「源泉徴収」とは、毎月の給与額に応じて会社側で所得税を天引きすることになります。ただし、源泉徴収として毎月自動的に納めらている所得税は概算となっています。

「勝手に給与から差し引かれて、なにか釈然としない」と思う方もいるかもしれませんが、会社が代わりに国への納税を行っているわけなので、源泉徴収は税金の未納を防ぐことにも繋がっているのです。

 

ここで、年末調整と源泉徴収の違いを簡潔にまとめると「年末調整」は一年の所得税を正確に計算してきっちり精算すること、「源泉徴収」は会社が給与から国に納めるべき税金を天引きすることになります。

 

 

年末調整と確定申告の違い

「年末調整」についてはこれまで解説した通り、所得税の計算や税務署への申告など全て会社側で手続きしてくれます。

「確定申告」とは、1年の所得から国へ納税する金額を算出することであり、フリーランス(個人事業主)自身が確定申告の書類作成をして、翌年の2月16日~3月15日の間に税務署へ申告しなければいけません。

 

年末調整と確定申告の違いは「年末調整」ですと所得税の計算や税務署への手続きは会社(企業)に任せておいて問題ないですが「確定申告」は書類作成から申告までフリーランス(個人事業主)の方がご自身で行う必要あるということです。

 

確定申告についてより詳しく理解したい方は下記記事をご一読ください↓

 

 

 

2.フリーランス(個人事業主)に年末調整は必要?


フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像
フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像

結論としてフリーランス(個人事業主)に年末調整は、基本的に必要ないものと思ってください。

年末調整は、会社員の給与から天引きされる源泉徴収と年末に確定された所得税の「誤差」が対象となっているため、会社(企業)に属していないフリーランス(個人事業主)とは基本的に関係ありません。

 

フリーランス(個人事業主)は、通常クラウドソーシングやエージェントなどを通し1つの案件に対しての契約となり、会社(企業)に属する内容の雇用契約とは違うので、年末調整も必要なくなります。

ただし、フリーランス(個人事業主)はクライアント企業から報酬を得ている個人事業主ともなるので「確定申告」をご自身で手続きする必要があります。

 

フリーランス(個人事業主)としての収入が少ない場合

フリーランス(個人事業主)の方に年末調整は関係なく、その代わり「確定申告」が必要と解説しましたが、収入が少ない場合は税務署への申告手続が不要となります。

フリーランス(個人事業主)として年間の所得額が48万円以下だった場合は、確定申告をしなくてもいいです。

 

これは日本の国民すべての納税者に「基礎控除」として48万円が設定されているため、確定申告はしなくてよいことになっています。

 

たとえば、事業所得による収入が50万円で、必要経費が10万円だった場合の所得合計額は40万円となります。

そこから所得控除額を差し引きますが、差し引ける所得控除が基礎控除48万円のみだった場合は、40万円-48万円=△8万円となり、残額は残らないため確定申告は必要ありません。

 

2019年までは38万円だったのですが、税制改正により2020年からは48万円に引き上げとなりました。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

 

 

フリーランス(個人事業主)として従業員がいる場合

フリーランス(個人事業主)でも従業員を雇うことは可能なのですが、色々と揃える書類や手続も増えます。

当然ですが、従業員には給与を支払わないといけませんし、忘れてはならないことが「源泉徴収」になります。

 

毎月の給与から所得税を天引きして、税務署に納めておかなければなりません。

また従業員へ給与を支払うには、雇用してから1ヶ月以内に税務署へ「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。

参照:国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

 

フリーランス(個人事業主)として、従業員を雇用した場合は年末調整をしなければいけません。

年末調整に必要な書類は、税務署から送られてくることもありますが、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。

 

書類が準備できたら、従業員に渡して必要事項を記入してもらうようにしてください。

年末調整に必要な書類は「給与所得者の扶養控除等申告書」になります。

 

そのほか、場合によっては従業員から提出してもらう必要がある書類を以下に記載しますのでご確認ください。

 

 

年末調整の準備は、10月に入ったら従業員へ年末調整に必要な書類を配布し、11月中にはフリーランス(個人事業主)側へ提出してもらえるようにしておきましょう。

 

 

青色事業専従者

フリーランス(個人事業主)の方が、生計を一にする妻や夫、子供、両親といった家族を雇用して給与を支払っても、それについては原則「必要経費」と認められません。

ただし、フリーランス(個人事業主)で確定申告の手続きを青色申告で行っており、なおかつ一定の条件を満たしていれば、雇用している家族を「青色事業専従者」とすることが可能になります。

 

これによって、支払った給与も全額「必要経費」と認めもらうことができますので、事前に税務署へ手続きをしておきましょう。

詳しくは、国税庁の「青色事業専従者給与に関する届出手続」をご参照ください。

 

また、家族を青色事業専従者にする為の条件は以下になります。

・従事した期間が6ヶ月を超えていること
6ヶ月以上は事業主の仕事に従事していないと、家族を青色事業専従者とすることができません。

 

・生計を同一にしている配偶者または15歳以上の親族
家族を青色事業専従者とする為には、フリーランス(個人事業主)と生計が同一である配偶者や、15歳以上の親族でないとダメです。

 

・支払っている給与額が多すぎない
家族へ支払っている給与などの金額が、ほかの従業員と比べて高額すぎると判断された場合は、税務署から「必要経費」と認められないこともあります。

 

例として、特に専門的な知識・技術を必要としない普通の業務を担当しているだけで家族には毎月50万や100万の給与が支払われていたらどうでしょうか?

客観的に考えて税務署から「必要経費」であると評価される可能性は極めて低いといえるでしょう。

家族も含め従業員全員へ平等になっていないと、一般的な感覚としては妥当と判断されません。

 

・従事した期間が6ヶ月を超えていること
6ヶ月以上は事業主の仕事に従事していないと、家族を青色事業専従者とすることができません。

 

 

 

3.フリーランス(個人事業主)における確定申告とは?


フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像
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フリーランス(個人事業主)として完全に自立した生活をしている方にとって「確定申告」は避けて通れない手続きになります。

 

会社員であれば、税金などの納付に関しては会社に任せておくだけで問題なかったのですが、フリーランス(個人事業主)は確定申告や社会保険制度などの知識も身につけておく必要があります。

では、そもそも確定申告とはなにか?ということを、ここであらためて簡潔に振り返ってみましょう。

 

確定申告とは、フリーランス(個人事業主)として得た1年間の所得金額から国へ納めるべき税金を算出することであり、書類作成や税務署への申告はすべてフリーランス(個人事業主)自身で行うことになります。

 

確定申告は、申告期限が毎年3月15日と決まっていますので、もし遅れたりすると、ペナルティとして「付帯税(附帯税)」が課されます。

付帯税(附帯税)は「加算税」「延滞税」「利子税」の3種類あります。

 

付帯税(附帯税)の中でも「加算税」について解説しておりますので、以下をご確認ください。

 

・過少申告加算税
申告期限内に忘れず申告はしていたが、本来支払うべき税よりも申告額が不足していた場合にペナルティとして課税されます。

・無申告加算税
3月15日の申告期限までに申告をできなかった場合に、ペナルティとして課税されます。なお、期限が過ぎても自主的に申告をした場合は納税額の5%、税務署から期限が過ぎていることを指摘された後の申告だと15~20%の課税となります。

・重加算税
納税を逃れる為に、意図的に偽装や隠蔽などをすると、悪質性のある脱税と判断されて、納税額の40%という高い課税をすることになります。

参照:財務省「納税環境整備に関する基本的な資料

 

フリーランス(個人事業主)の方は、税金関係の他にも色々と自分でやることがあり、期限ギリギリになって焦りながら申告の準備を進めるといったこともあるのではないでしょうか。

納税は国民の義務となっておりますので、確定申告については事前に準備しておくことを十分に意識しておきましょう。

 

 

 

 

4.フリーランス(個人事業主)から会社員になった時は年末調整は必要?


フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像
フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像

フリーランス(個人事業主)として生活していくことを諦めて、普通の会社員に戻る方もいることでしょう。

1年の途中で会社員となり、年末まで働いた場合は「年末調整」が必要になり、会社員としての所得などは会社(企業)が清算をしてくれます。

 

フリーランス(個人事業主)としての所得は年末調整の対象にはなりませんので、会社から源泉徴収票が渡されたら、ご自身で確定申告の手続きをするようにしてください。

 

 

 

5.フリーランス(個人事業主)が確定申告だけでなく年末調整も行う場合


フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像
フリーランス(個人事業主)年末調整関連画像

年末調整は基本的に会社員の方を対象にして行われる手続きなのですが、例えばフリーランス(個人事業主)でも収入が減ってしまい、生活の為にアルバイトなどを始めたとすれば年末調整が必要となることもあります。

この場合は、フリーランス(個人事業主)としての収入が20万円以下で、アルバイトなどで給与所得があると、確定申告の代わりに年末調整が実施されます。

 

ですが、これに該当しないケースでは原則的に確定申告をしなければいけません。

フリーランス(個人事業主)としてまだ駆け出しだったりすると、収入が低くて確定申告を必要とされるほどではない場合もあるので、一応は覚えておいてください。

 

 

 

6.まとめ


フリーランス(個人事業主)にとって必要な確定申告の知識や、年末調整の違いなどについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

確定申告で一番大事なことは申告期限を忘れないことです

期限を過ぎてからの申告は必ずペナルティとしての課税をしなければならないからです。

 

また、確定申告の書類作成についてですが、クラウド会計ソフト「freee(フリー)」などの利用も検討してみてください。

確定申告の作業が効率化できるので時間の節約にもなります。

 

フリーランス(個人事業主)になって初めて確定申告をするという方は、特に分からないことだらけでしょうから、無料で試せるツールは活用すべきです。

今回の記事でフリーランス(個人事業主)の方が、確定申告や年末調整への知識を深めていただけると幸いです。

 

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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

執筆者:フリーランススタート編集部

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