公開日:2020.07.30
更新日:2025.03.24
フリーランス(個人事業主)になると、厚生年金へ加入できないため、将来受給できる年金が減ってしまいます。
現在の生活で困ることがなくても、老後の生活費としての貯金が足りない問題が出てくるかもしれません。
かといって、一生現役で働くのは厳しいですよね。
そこでこの記事では、フリーランス(個人事業主)が加入する国民年金の手続き方法や国民年金と厚生年金の違い、フリーランス(個人事業主)の年金額を上乗せする方法を詳しく説明していきます。
特に下記の方にこの記事は一読していただきたいです。
・現在フリーランス(個人事業主)で老後の生活に不安を抱えている人
・独立志望者でフリーランス(個人事業主)のデメリットを知っておきたい人
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<目次>
1.フリーランス(個人事業主)は厚生年金に加入できない|国民年金のみ加入可能
厚生年金から国民年金への切り替え方
国民年金の支払い方
国民年金を未納・滞納すると受給額が減る
2.国民年金と厚生年金の違いとは
3.国民年金だけで老後の生活費は賄えない
4.フリーランス(個人事業主)が老後の年金額を増やす方法6選
基礎年金に付加年金を上乗せする
国民年金基金に加入
iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入
退職金制度として小規模企業共済を利用する
事業を法人化して厚生年金・社会保険に加入
年収130万円未満なら家族の扶養に入ってしまう
5.一度就職して厚生年金に入る際、個人事業は廃業にすべき?
6.まとめ
フリーランス(個人事業主)は厚生年金に加入することができません。
退職後に厚生年金から抜け、その後は国民年金への加入になります。
ここでは国民年金のルールについて見ていきましょう。
勤務先の企業が厚生年金の脱退手続きを行ってくれます。
そのため、本人は国民年金の加入手続きをするだけで構いません。
国民年金への切り替えは、最寄りの市区町村役場の国民年金窓口で行うことができます。
切り替えには、以下の持ち物が必要です。
・退職を証明できる書類(離職票、退職証明書など)
・身分証明書
・年金手帳or基礎年金番号通知
・印鑑
離職票が手元にない場合は前の会社の電話番号と退職日を伝えれば、対応してもらえます。
原則として退職から14日以内に手続きしなければなりません。つまり国民年金への切り替えは、退職後に行うべき最優先事項です。
国民年金の支払い方法は、以下の通りです。
・銀行振込
・口座引落
・クレジットカード
振込以外は市区町村の役所でも手続きが必要になります。
毎月の支払いだけではなく、6ヶ月・1年分・2年分を前納することも可能です。
前納は割引対象になるので、お金に余裕がある人は前納することをおすすめします。
国民年金の未納は許されません。
なぜなら、国民年金は加入権利のある制度ではなく、加入義務がある制度だからです。
長期滞納が続くと、催促状が届き、財産の差し押さえや延滞金を払う羽目になります。
未納はデメリットしかないので、経済的な問題がある場合は免除制度を利用してみてください。
国民年金保険料免除制度・・・前年度の所得が一定以下or失業した場合、保険料を全額、4分の3、半額、4分の1程の4種類あり免除・減額してくれます。
しかし免除された分、将来もらえる年金額が少なくなってしまいます。
そのため、支払いに困らないように、独立前にしっかり貯蓄しておくことがおすすめです。
国民年金は20歳〜60歳未満が加入する義務のある年金制度。保険料は月額16,610円です。
(参照:日本年金機構 国民年金保険料)
厚生年金は会社員が加入する義務があります。
厚生年金の保険料は会社が負担し、給与から天引きされています。
日本の公的年金は二階建て構造のため会社員の場合、国民年金と厚生年金に加入します。
会社員は国民年金(65,000円) + 厚生年金(156,000円※平均月収約40万円の会社員の場合)を定年後に毎月受給可能です。
フリーランス(個人事業主)は国民年金にしか加入できないので、65,000円しか受給できません。
(参照:厚生労働省 日本の公的年金は「2階建て」)
もちろん、国民年金(65,000円)だけでは生活はできません。
生命保険文化センターの調査によると、老後の最低日常生活は月額約22.1万との結果が出ています。
旅行や趣味を生活の中に取り入れた場合、月額約36万円の生活費で、ゆとりをある老後生活を送れるとの結果も出ています。
(参照:公益財団法人 生活保険文化センター)
そのため、フリーランス(個人事業主)には会社員よりも多い貯蓄が必要不可欠です。
生涯現役で働くことを前提に独立する人もいます。しかし、病気や怪我で働けない時期が続く可能性もゼロではありません。
そこで、老後の生活を保証する制度やサービスへの加入を検討してみてください。
ここでは貯金の他にフリーランス(個人事業主)の老後の年金額を増やす方法を紹介していきます。
付加年金は毎月400円を支払うことで、今後受給できる年金額を上乗せできる公的年金です。
公的年金は市役所で申込ができます。付加年金の額の計算方法は以下の通りです。
200円 × 付加年金保険料を納付した合計月=毎年の国民年金受給額に加算
例えば、20歳から60歳まで付加年金保険料を納付した場合は以下のような計算になります。
200円 × 40年(480ヶ月) = 年額96,000円(月額8,000円)
毎月8,000円と小額の受給料ですが、積立額の192,000円はわずか2年で元を取ることが可能です。
大きなデメリットはありませんが、国民年金基金とは併用ができないので注意が必要です。
そのため、自分に適している方を選択することをおすすめします。
国民年金基金は国民年金に上乗せできる年金。加入対象者はフリーランス(個人事業主)など第一号保険者です。
国民年金基金の事務所で申込をします。掛金が全額控除になっており、節税対策になることが大きなメリットです。
掛け金も小額からスタートでき、上限68,000円まで増やせるので柔軟な対応ができます。
将来の年金受給額を増加させたい人にはおすすめの制度です。
しかし、以下のようなデメリットもあるので、加入の際の参考にしてみてください。
・受給額が固定化しており、貨幣価値が変わると損をするかもしれない
・一度加入すると途中で任意に脱退や退会ができない
・掛金額は加入時の年齢や性別、給付タイプで決まる
そのため、継続して支払える地盤ができた際に加入することをおすすめします。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産形成する年金制度です。
60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。確定拠出年金を運用している金融機関で加入可能です。
(引用:iDeCo公式サイト iDeCoってなに?)
フリーランス(個人事業主)の場合、月額5,000円〜68,000円まで掛金を積立可能です。
また、選択した商品(定期預金や保険商品、投資信託)で掛金を運用し、それが老後の資金となります。
掛金は全額所得控除対象で、iDeCo運用期間中の運用益に税金はかかりません。
受給時にも以下の所得控除が受けられます。
・退職所得控除・・・受給年齢で確定拠出金を一時金で受給する場合は対象
・公的年金等控除・・・年金として受給する場合は対象
デメリットとして、給付額は運用成績によって変動するので、元の掛金より減少するリスクがあることです。
損をしないためにも、運用商品を取り扱っている銀行や信用金庫、保険会社などに問い合わせてみることをおすすめします。
小規模企業共済は個人事業の廃業に備えた積立式の退職金のような制度です。
2020年時点で147万人以上が加入しています。毎月1,000円〜70,000円まで積立ができ、個人事業を廃業した際に退職金として積立額を受け取ることができます。
掛金が全額控除されており、節税効果が高いのが特徴です。
年間40万までの掛金の場合、解約して受け取る際の税金も退職金控除により非課税になります。
しかし、1年未満で解約した場合、共済金は掛け捨てになるので注意が必要です。
会社員からフリーランス(個人事業主)に独立しようかなと検討している方は下記記事をご一読ください↓
フリーランス(個人事業主)も事業を法人化することで、厚生年金や社会保険を加入できます。
本人だけではなく、家族も加入可能です。
フリーランス(個人事業主)が事業を法人化するメリットは、節税できることです。
フリーランス(個人事業主)は収入額に応じて所得税を支払う必要があり、収入が増加すると納税額も増えていきます。
所得税の税率は最高45%まで増加するため、稼いでいる人ほど多くの税金を納めなければばなりません。
法人の場合は所得税→法人税に変わり、法人税の最高税率は23.9%と稼いでいるフリーランス(個人事業主)にとって、法人化のメリットは大きいです。
デメリットとして、法人登記に20万程度かかることや従業員の社会保険料も半分負担する義務もあります。
フリーランス(個人事業主)として、現時点で法人化を検討していたり法人化に興味/関心がある方、どれ程の収入から法人化した方が良いのか、などの疑問を持った方は下記記事をご一読ください↓
会社員の家族がいる場合は、家族の扶養に入ることで厚生年金や社会保険に加入できます。
収入を130万円未満の駆け出しのフリーランス(個人事業主)なら、家族の扶養に入った方が良いです。
会社によっては扶養手当ももらえるので、稼げていない時期に扶養に入るのも一つの手かもしれません。
フリーランス(個人事業主)として家族を扶養にするメリットを詳しく理解したい方は下記記事をご一読ください↓
一時的な就職の場合は、個人事業を廃業にする必要はありません。
なぜなら、特に個人事業を続けていくことにデメリットがないからです。
むしろ、副業として今後も個人事業を続けていくなら、勉強用の書籍代やセミナー代を経費にできるメリットがあります。
厚生年金の手続きは会社が行ってくれるので、特に本人が手続きをする必要はありません。
個人事業としてどこまで経費に出来るのか、詳しく知りたい方は下記記事をご一読ください↓
フリーランス(個人事業主)が加入する国民年金の手続き方法や国民年金と厚生年金の違い、フリーランス(個人事業主)の年金額を上乗せする方法を詳しく解説してきました。
フリーランス(個人事業主)は国民年金しか加入できませんが、貯金や積立型の制度やサービスを利用すれば、老後の生活に困ることを防ぐことができます。
ぜひ本記事でフリーランス(個人事業主)の知識を高めていただき、フリーランス(個人事業主)を目指してみてはいかがでしょうか。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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